絶生

烈空醒

エピローグ

「おい、そこパスだろ!」 
同級生である佐藤圭吾の怒りと呆れの混ざった声が同じミスを何回も繰り返している自分への罪悪感に追い打ちをかける。何度も練習しているがなぜかできない。
 「だからお前は控えなんだよ、」
その言葉に激しい怒りを覚えたが、じっと我慢した。
 俺、有村優真は、とある高校の男子バスケットボール部に所属している。 入った理由は中学から続けていたというだけ。 しかし、高校のバスケの壁は高く、自分たちの代になった今でもレギュラーとして試合に出ることはできていない。本当ならやめてもいいかなと思っているが、2年の秋という時期が時期なだけにやめるにやめられない。また、バスケ部のメンバーは結構好きなため、やめるのは未練が残るというのもあるが....
  もし、転部するなら?と聞かれたら迷わず演劇部と答えるだろう。なぜなら、俺は密かに役者になるという夢を抱いているからだ。
 きっかけは、とてもシンプルで、自分はひょうきんな性格で、表現するのが好きだからだ。また、アニメが好きというのもきっかけの一つだった。高校を卒業したら、養成所に入りたいと思っている。「劣等生」である自分が役者になどなれるのかという不安もあるが、目指してみたいという気持ちだけは日に日に増していった。
俳優でも声優でも、とにかく「役者」になりたかった。
 この気持ちを入学した時点で持っていればよかったのだが....
 部活はつまらなかったけれど、夢を追いかける日々は今思えば幸せだった。
 しかし、そのときはまだ考えもしなかった。
夢も希望も自分の中の全てを「怪物」のせいで唐突に奪われることなど....



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