世界がゲーム仕様になりました

矢崎未峻

再出発

 目が覚めた。いや、目は開けてない。意識が戻っただけだ。
 不思議と柔らかい感覚がある。外のはずなのにな。
 あぁ、俺死んだのかな?
 目を開けてみると、空が見えた。視界の半分に。
 もう半分は、ウチの制服だ。制服の上に革製の防具が装備されているが、女子のものだ。

「・・・てことは、生きてるな」

「あ!起きた?おはよう」

「おはよう。今、何時?どんな状況?」

「今は夕方の4時くらいかな。それで、移動せずに休憩中」

「あー、俺が気絶したからか」

「それもあるけど、みんな気が抜けて移動どころじゃなかったから」

「なるほど、な!・・・あれ?」

 起き上がろうとしたのだが、俺の感覚で数センチだけしか体が起きなかった。
 今はまた力が抜け切っている。

「どうしたの?」

「力入んない」

「じゃあ、もう少しこのままだね」

「・・・それは、なんて言うか、良いのか?」

「何が?」

「その、膝枕だろ?これ」

「・・・!」

 ボッと音がしそうな勢いで顔が赤くなった。和む。

「い、良いの!恥ずかしいんだから、言わないでよ・・・」

「わ、悪い」

 こっちが恥ずかしくなるわ!
 なんて台無しなことは言わない。言えない。
 それからしばらく、雑談しながら身体の回復を待った。

 多分、30分ほど経っただろう。そろそろ行けるか。

「よし、よっ!行けた」

「もう良いの?」

「・・・それはズルい」ボソッ

「?なんて言ったの?」

「そろそろ回復したから大丈夫って」

「そっか。これからどうするの?」

「とりあえず、そこでイチャつきながら寝てる2人を起こす」

 まあね、2人が現れないからちょっと予想はしてたよ?
 でも想像以上に弄り甲斐のある状況だった。
 さぞかし俺の顔はニヤけてることだろう。

「お2人さん。起きろ」

「・・・ぅん?はれ?起きてはの?」

「結構前にな。雅人起こして」

「ん。雅人、起きて。晩ご飯の相談しよう?」

 ん?

ピッ

「・・・加耶の肉じゃが食いたい」

「ん。作るから起きて?」

「ぁあ、わーった」

 起きて、目を合わせて、周りを見回して、また目を合わす。
 そして、ここがどこかようやく思い出す。で、

「「・・・っ!?」」

ピッ

 赤面、と。ごちそうさまでした。
 録画完了。良いもの手に入れた。

「おはよう。奴の死体は?」

「・・・オレの端末の中」

「オッケー。じゃあ、本来の目的の加耶の家まで行こうか」

 色々言いたそうな顔をしていたが、知った事ではない。
 にしても、思わぬところで時間かかったな。
 今日は雅人の家に泊まる事になるかな。
 それにしても、あのうざい奴の集まりの様なパーティは何処に行ったのやら。
 まあ、関係ないし興味も無いからどうでもいいけど。
 それらは一旦置いておいて、

「雅人、ちょっと話がある。2人は後ろ警戒してて欲しい」

「「分かった」」

「・・・来ると思ってたぞ」

「今日は雅人にしては察しが良いな。じゃあ、さっきの戦闘の最後の事だ」

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