突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました

カナブン

学園トーナメント2日目終

理事長室では理事長が自ら司会を務める会議が続けられていた。

「彼も生徒の中の一人ですので余り手荒な真似はしたくありませんので話し合いから入るつもりです。ですがもし仮に彼が拒絶した場合彼から力尽くで取り返す必要があります。そうなった場合どう戦うか知恵を貸していただきたい」

「理事長一ついいですか?」

一人の大男が手を挙げた。それに対し理事長は手の平を出し発言を許可した。それに対し男は立ち上がり続きを話し始めた。

「戦闘科の猪奥いおくです。失礼ながら言わせて貰います。作戦を立てる上で相手の情報は必須、ですがこの資料にはその情報が少なすぎるこんな情報だけで作戦を立てた所で何の役にも立ちませんよ」

「はい、確かに今はまだ情報はほとんどありませんなので今すぐ作戦を立てるという訳ではありません。
トーナメントの間彼には常時このモニター機を着かせます。なので実際作戦を立てるのはトーナメント終了日になりますね」

「それは失礼しました、なら問題はありません」

猪奥は深く頭を下げ再び着席する。理事長はそれを確認すると話の続きに入った。

「今言った通り作戦を立てるのはまだ先のことです。なのでそれまでの時間あなた方には彼の監視をしていただきたい、私のモニター機は能力により作った世界にしか存在できません。ですのでその間あなた方に協力していただきたいのです。少しでも被害を抑えたいですので」

「あのー、すみません私からも質問よろしいでしょうか?」

気弱そうで小柄の若い女の教師が恐る恐る手を挙げた。

「なんでしょうか?」

「はい、音楽学科でお世話になっています襠 琴葉まち ことはです。この人数で戦うのにそんなに警戒する必要は無いんじゃないでしょうか?相手は一人それもまだ成長途中の学生ですよね、そこまで警戒する必要は本当にあるんでしょうか?」

襠先生は弱々しい声で問い掛けた。

「貴方以外にもそう思っている人は多いでしょう、なのでここではっきり言っておきます、彼はsssランク以上の力を持っています。それも能力を使わずに、もし仮に彼が何らかの能力を所持していたならおそらく私達では手に負えないでしょう」

「理事長その根拠はあるんですか?俺たち全員揃って負けるなんて言われても信じられないんですがね」

猪奥全員が再び声をあげた。

「根拠ですか・・・・あれは確かもう20年以上も前の話になりますかね。
私の知り合いに異界へのゲートを開ける人間がいたんですよ。私は何人かの仲間と共に彼の能力を借り異界へと行きました。
未知の場所に行く訳ですから万全の準備をしてしてね、もちろん仲間も私の知る限りの最強の面子を揃えてね。
そこで出逢ったんですよあのドラゴンに。
あの頃の私は考えが甘かったsssランク二人にssランクが四人、楽に勝てるとそう思っていたんですよ、だが現実はそう甘くは無かったんです。かろうじてドラゴンの捕獲はできました、しかしその戦いで生き残ったのはsssランク一人とssランク一人の二人だけでした。
神谷 玲はそこまでして捕獲したドラゴンをたった2時間程で倒してしまったのです。しかも戦場にいた生徒の証言によると彼が能力を使った様子は無かったとそう言ったそうです」

「やっぱりおかしいな、sssを殺せるような化け物を身体能力だけで倒すなんて幾ら何でもでたらめすぎるな、そいつは目に見えない何らかの能力を使用したと考えた方がいいだろう」

理事長の話を聞いた周りの職員からも声が出る。
確かにその通りだ身体能力と考えるよりはそう考えた方が納得がいく。他の職員らも彼の意見に同意し口々に声を出し始めた。

「静かにして下さい、根拠ならありますよ彼が能力を使用していないという証拠があるんですよ。
皆さんご存知の通りトーナメント参加生徒達にはデバイスが配られています、このデバイスの基本用途は「対戦申し込み」「マップ情報」「生徒名簿」「ルールブック」と生徒には伝えてあります、しかしもう一つ生徒達には伝えていない用途があるんです、それが「能力使用の有無」この機能は使用者の発する神経信号を感知し能力の使用状況を私のパソコンに送る機能のことです。
今回のトーナメントでは無能力登録者での能力使用は3人確認出来ましたがその中に彼の名前はありませんでした」

理事長の言葉に再び室内には静寂が訪れた。
それもそのはずだ少しでも都合のいい方へと考え気を持たせようとしていたところに残酷にもその唯一の希望を切り捨てられたのだ気が落ちるのも無理はない。
静まり返った部屋の中理事長は再び話を始めた。

「皆さん彼との戦いはあくまで最悪の場合の話で決まった訳ではありません、それに今回の件は強要はしません、いざとなれば人を雇う事も考えています。ただ戦闘になった際少しでも勝利を上げるために情報収集だけは是非ともお願いしたいのです」


*     *     *     *     


その頃話の核神谷 玲はそんな状況になっていることなど梅雨知らず異界の中壁に背を預け存分に寛いでいた。
イヤホンを着け外部の音を遮断し完全に自分の世界に入り込んでいる。しかしそんな隙だらけの玲だがそれを襲おうとする者は一人としていない。
午前中の戦いを境に異界の中では玲の姿を見た者は皆即座にその場を離れていくようになっていた。今や玲は異界の中最も警戒すべきギミックへとなっていた。
生存者全員が玲との戦闘は諦め逃げに徹する「狙われたら最後脱落の未来しかない」そんな存在へとなっていた。

コメント

  • カナブン

    ありがとうございます。感謝感激です!

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  • ノベルバユーザー249371

    他のただ無双して面白いみたいな作品と違って読み物として面白いので自信もって頑張ってください

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