突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました

カナブン

学園トーナメント初日4

いじめられていた生徒を学校へと返し再び拠点には玲と凛の2人だけになった。

「なんであんな酷いこと平気で出来るんだろう、同じ学校の仲間なのに・・・」

凛から放たれた言葉は怒っていると言うよりは悲しさの方が強く感じられた。

「理由なんてないんじゃないかな、「なんとなく」とか「イラついた」とか曖昧な理由でやるからねああいう連中は・・・。きっと弱いんだよ、精神的に、自分より弱い者がいることを確かめて自分が底辺に居ないことを確かめたいんだろうな」

「可哀想な人たちなんだね」

「きっとあいつらには自分を認めてくれる人がいなかったんじゃないかな、それかいても気付けなかったか。そういう人達ってああなりやすいみたいだからさ。でもそれが暴力を振るっていい理由にはなんないんだけどね」

「・・・そうだよね」

玲の言葉に凛は何か考え込んでいる。そうしてできた間に玲は自分の言ったことを思い返し急に恥ずかしくなってきた。

うっわ〜、なに俺あんな臭いこと言ってんだろ恥ずかしー、何が「認めてくれる人がいなかったんじゃないかな」だよ!超クセーよ!あー消えたい。

「俺ちょっと外の様子見てくるわ」

玲はその恥ずかしさから一旦凛と距離を置くことにした。

「え!?じゃあ私も」

「いいよ、ホントにちょっと観に行くだけだしすぐ戻るから」

凛の言葉を遮り玲はそのまま外周りのビルの中へと入って行った。
そして1人玲はビルの上階へと登っていく。
暫く上がっていくとR階と描かれた看板が壁に付いているのを見つけた。
辺りを見回すと暗い建物の中小さな光が漏れているのが目に入った。

「ここかな?」

その光に近づくとそれは扉の隙間から漏れた光だった。おそらく屋上に出るための扉だ。
扉を開くとそこは予想通り屋上になっていた。建物自体が傾いているため少し歩きづらいが歩けないほどでは無い。
玲は屋上の端の見晴らしの良い場所へと移動する。

「ん!?・・・なんだあれ?スカイダイビング?」

そこから見えた光景は何人目の生徒が空中から落ちていくものだった。その光景はまさにスカイダイビングだが、こんな時にやっているわけはない。玲は黒牙の言葉を思い出しその正体を理解した。

天堂の「瞬間移動」か、いゃ〜予想以上に高いな10メーターってアレじゃあ普通の人なら触れられただけで終わりだな。でもアイツには負ける気しないかな。

玲はそこで暫く戦闘の様子を伺った。天堂以外にも派手に戦っている生徒はちらほら見当たる。周りを気にせず派手に戦闘を行うということは余程腕に自信があるのだろう。そうでなきゃただの馬鹿だ。
決勝に残りそうな面子を大体把握出来たところで玲は凛のもとへ戻ることにした。


*     *     *     *


「お帰り、どうだった周りの様子」

玲に気付いた凛が駆け寄ってきた。

「結構派手にやってたよ。それと、そういえば彼奴いたよ、日野だっけ?あの入学式の日の」

「日野ってまだ停学中じゃなかったっけ?なんか停学中の人がいるとか怖いんだけど」

凛は日野の停学が短くなったことを知らなかった。そして日野が入学式の日、玲に攻撃したこともあり少し不機嫌になようすだ。

「まぁ、いろいろあって短くなったんだよ。日野も反省してるみたいだったし別にいいだろ」

「え!?神谷くんは知ってたの?」

「まぁ、当事者だしねそれなりに情報は入って来るから」

玲は日野を毛嫌いしている凛に停学の短縮を手伝ったとは言えず軽く誤魔化した。

「神谷くんがいいならいいんだけどさ・・・・早く負ければ良いのに」

凛は納得いかないといった様子でボヤいているが玲はそれを聴かなかったことにした。

「俺ちょっと外出て来るは」

「・・・え?」

突然の玲の言葉に凛はキョトンとしてしいる。

「いや、観てたらなんか身体動かしたくなっちゃってさ、それに明日から普通に戦うつもりだし、そのウォーミングアップにね」

「え?明日から普通に戦うってどういうこと!」

その報告を凛はまだ信じられない様で理解出来ていない。理解出来ていないと言うより理解は出来ているが、玲には何か考えがあると思い無いはずの言葉の裏を理解しようとし、本来の意味をそのまま受け止めようとしない。

「そのままの意味だよ。じゃあちょっと行ってくるわ」

玲は混乱したままの凛を残しその場を後にした。
再び屋上の上に行き戦いの様子を見ながら目的地を決める。

「さてと、どこ行こうかな、天堂のとこか日野のとこかそれともそれ以外か・・・・よし決めた」

玲はひときわ目立つ激しく炎が舞い上がっている場所を目指し20階もある屋上から身軽に飛び降りそのまま目的地へと歩き出す。


*     *     *     *

その頃玲の目的地炎の上がる場所では・・・・

日野がある能力者と戦っていた。

赤城  英司あかぎ  えいじ
能力「オリジナル」
生物を除く物質の移動する力を右手で吸収し、またその吸収した力を左手により別の物に与える能力。

「オリジナル」能力とは、「プレッシャー」や「サモン」などの複数の人が使える能力とは違いその個人のみが所有する能力のことだ。

ひらけた場所に幾つもの火の玉が宙に浮いている。そこで日野と赤城は対峙している。しかしその力の差は側から見ても歴然としている。息を切らし立っているのもやっとな日野に対し赤城は息を切らすどころかヘラヘラと笑っている。

「おいおい、まさかこんなんで終わりじゃねぇよな、生きの良い一年がいると思って来たのにこんなんじゃなんも面白くねぇよ」

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・うるせぇなあんな程度攻撃止めたくらいでいい気になってんじゃねぇよ戦いはこれからだ!」

日野はそう言うとフラフラしていた足に力を入れ歯を食いしばる。そして両腕を上げ頭上に巨大な炎の球を創り上げだ。入学式の日玲に向かい日野が最後にはなった技だ。

「これで終わらせてやる、くたばれーー!!」

片手を引き大きく振りかざす。その動きに連動し炎の球は赤城に向かい動き出した。

「フッ!期待外れもはなはだしいな、能力に頼るだけのただの雑魚、これならまだ神谷 玲や水谷 悠みずたに ゆうの方が面白そうだな」

火の球は真っ直ぐと赤城に向かい飛んでいく、しかし当の赤城は全く避けるそぶりなど見せない。
そして球が赤城に当る瞬間赤城は右手による能力によって軽々とその球を止めてしまった。

「・・・・まだだ、まだ終わってねぇー!!「爆」!!」

日野は前に出した右手を強く握りしめた。その瞬間辺りにある全ての火の球が一斉に爆発する。

「なんだと・・・・」

それまで余裕そうにしていた赤城の顔があせりの表情に変わる。

ドゴゴゴーーーンッッ!!!!!

爆発による衝撃によって火の球からある程度距離を置いていた日野自身でさえ後方へと吹き飛ばされた。そして視界は衝撃によって起こった砂埃により完全に遮断された。

「はぁ・・・はあ・・・はあ・・・やったか?」

遮断された視界のせいで相手を倒せたのか分からない。既に体力の限界に達している日野は赤城がダウンしたことを強く願った。

しかしその願いは届くことなく砂埃の中から赤城が姿を表した。

「あービックリした、まさかあんな隠し球用意してるとは思わなかったわ。でもまぁ俺の勝ちに変わりはないんだけどさ」

赤城が助かっていたことに日野は混乱する。

あんな近距離であの爆破を避けらるわけはないなのに何故・・・。

「どうやって助かったかって、データ記されている通り俺の能力は生物以外の物質の移動する力を操作できる。でもなデータに記されてないことが一つある、それは俺自身は例外ってことだ。つまり俺は吸収した力を使い超速移動が出来るんだよ」

日野の渾身の一撃は赤城には当たっていなかった。その事実に日野は一気に絶望へと叩き落とされる。
赤城はそんな日野を嘲笑うかのように見下懐からナイフを取り出す。

「じゃあなゲームオーバーだ」

















「突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

  • はるしお

    赤城の、能力あきらかにs級以上だと思うんですが

    1
  • カナブン

    誤字報告ありがとうございます。

    0
  • かオース⤴︎

    助かてになってる

    1
コメントを書く