突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました

カナブン

学園トーナメント初日2

ゲートに吸い込まれた玲と凛は教室へと戻された。
玲達だけじゃ無い教室には次々とゲートが現れ生存者達が帰って来る。

「玲、無事だったかモニターに全然映らないから心配したぜ、我が主人と言えど神々から枷をかけられてるんだ、あまり無茶はするなよ」

こいつん中で俺の設定どうなってんの?なんかいろいろとヤベー奴じゃん神に枷掛けられるとかどんな重罪人だよ。

一応これでも心配してくれているのだろう仁がまた訳のわからないことを言いながら近づいて来た。

「ねぇ、黒牙くんモニターって?」

黒牙の言葉に凛が尋ねた。

「ああ、俺の様な強者達はこの期間中やること無いからな、大体の奴らはモニターで戦いの状況を見ているのさ、まっ、その映像がどう取られてるかなんてことは興味も無いがな」

「ふーん、中継されてたんだ、でもさ自分が知らない内に撮られてるのってなんかやだな」

凛は少し不服そうな顔でぼやいた。玲もそれには同感だ。

「それはなんかわかるは、そもそも写真とかまんま映りたく無いのに、それをなんの確認も無くやられたくはないかな」

「んー、ウチのはそれとは違うかな、なんていうかこう、変なとこ?とかそういうの撮られたく無いの、それにそれを見られるなんてマジ有り得ないし」

「つまり綺麗に撮られたいってことか・・・」

「そ、でも別にウチだけじゃないよ、他の子らだってそう思ってるよ、きっと」

まぁ、女子だからなやっぱりそういうもんなのか。・・・女子って大変だな。

「本題に入っていいか我が主人よ」

話のズレを修正しようと仁が言葉を掛ける。玲はそれに無言で頷いた。

「頼まれていたことなんだが今のところ普通科一年の天堂って女が1番目立ってるな、午前中だけで既に50人は倒してるあれはもうSランクに匹敵するだけの力を持ってやがる。」

玲はトーナメントが始まる前仁に決勝に残りそうなメンバーの情報収集を頼んでいた。今朝まではやる気の無かったトーナメントだが戸田に聴いた情報により玲は優勝を狙っていた。

「なぁ、詳しいことも分かる?」

「ふっ、俺を誰だと思ってる情報など腐る程あるは、能力は「瞬間移動」俺も始めてみたがあれはかなり厄介な能力だぞ」

「瞬間移動」その能力には心当たりがある。入学式の迷子になっていた少女が瞬間移動の能力者だった。
そして玲はその少女のある言葉を思い出す。「お兄ちゃんお姉ちゃんのお友達?」そういうことか、玲はあの時めいの言っていたことの意味がようやく理解できた。
「能力」は遺伝する可能性が結構高い、そう考えると今回暴れている天堂とめいが同じ血縁関係にいる可能性がかなり高い。
そしてめいを見つけた日玲は学校帰りで制服を着ていた。めいのあの言葉は玲自身を見て言ったのでは無く玲の制服を見て言った言葉だったのだ。つまりめいの言っていた「お姉ちゃん」は玲と同じ学校に通っておりなおかつ瞬間移動能力者の可能性が高い。となるとその天堂とやらがめいの姉と考えるのが普通だろう。

「まぁ、そうだね瞬間移動は避けようないからな」

まるで体験したかの様な玲の言い草に仁は突っかかってくる。

「我が主人よまさか既に戦っていたと言うのか!」

「いや、別に戦ってはねぇよ、ただ別の瞬間移動能力者とちょっとあっただけ。で、その天堂はどんな戦い方するんだ?」

「奴の能力は同能力者のより確実に上だな、普通の奴らなら自身の移動だけだが奴は触れた物を飛ばせる、奴に触れられたら最後空中から地面に叩き落とされゲームオーバーだな」

「そっか空中にね、それってどのくらいまでとか分かる?」

「さぁな、今んとこ10メーターくらいだが加減してる可能性が高いしな。だが奴の弱点なら分かるぜ、体力だ奴は能力の発動にかなりの体力を消費してるらしいからな。やるなら時間ギリギリを見て能力が使えなくなったとこを叩くのが一番だな」

「まあ、そうだな」

確かに仁の言う通りだがそんなこと本人が1番分かってるはずだ。その対策をして来るのはほぼ確実な事だろう。

玲は仁の提案につい歯切れの悪い返事をしてしまった。

「だが相手もそんなバカじゃないそれなりの策は用意してるだろうな」

仁もそのことは考えてあったようで玲の歯切れの悪さは納得している様だった。

「ねぇ、いい加減お昼食べない?ウチお腹減ったんだけど」

話の切れ間を見て凛が言いづらそうに口を開いた。
その言葉に2人はまるで忘れていたかのような表情を見せる。

「昼休みだもんな、午後に向けてなんか食べないとね」

「そうだな、食える時に食っておかねばな、この先何が起こるかなんて分からんのだからな」

3人は食堂へ向かった。
出遅れたせいか席は既にいっぱいで座る場所は残っていなかった。

「とりあえず何か頼もうよ、席だってその内空いて来ると思うからさ」

食堂を見るとほとんど食べ終わった食器がいくつか見当たる。そんな長居する様な場所でも無いし時期に席も空いて来るはずだ。

玲の予想通り料理が出来上がる頃にはぼちぼちと席が空き始め何事も無く座ることが出来た。
食べ始めてしばらくすると仁が食堂に入ってきた女子を指差した。

「なぁ、見ろよあれがさっき話した天堂だ」

金髪にピアスにネックレスそして崩した制服の着方どっからどう見てもヤンキーだ。
でもやはりどこかめいに似た雰囲気がある。

「・・・・やっぱ姉妹なのかな」

「ん?なんか言ったか?」

玲の漏らした声に仁が反応するが「いや、何でもない」と軽く誤魔化した。

「でもさ、凄い綺麗な人だよね」

玲達の話を聞いていたのかいないのか、凛はいきなり逸れたことを言い出した。

「まあ、そうだね」

玲は興味無さげな相槌を入れた。凛はその態度に何故だか、小さく胸を撫で下ろした。

「玲そんなこと言ってる場合じゃないぜ、あいつとどう戦うかちゃんと考えてんのか?」

「まぁ、なる様になるよ、俺はその時の最善の手を尽くすだけだからさ」

真面目に心配してくれている仁に対し玲は笑顔で余裕のある様な表情をして見せた。

「そっか、まぁ、お前がそう言うんだったらいいぜ、その言葉信じよ、なんせお前はこの俺が唯一認めた男なんだからな」

玲の表情を見て安心したのか仁はいつも通りの厨二病を走らせた。

「じゃあそろそろ戻るか」

飯を食べ終えたことを確認し玲が凛に声をかける。

「戻るって教室に?」

「いや、もう直接ゲート向かおう、午前中の場所はもう使えないと思うから、それにもう午前中の策も使えないと思うしね」

玲に促され凛は早々と、食べ終わった食器を片付け出す。それに続き玲と仁も食器を片付けゲートに向かった。

*     *     *     *

ゲート前にはまだ早いこともあってかあまり生徒は見当たらない。

「じゃあ行くは。又後でな」

「じゃあね」

「気を付けろよ、戦いの中生き残った奴らだ午前中の奴らとは一味違うぞ」

玲と凛は学校に残る仁に軽く声を掛けゲートへと入って行った。


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