突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
生きた化石、厨二病?
玲と仁は翼に連行され生徒会室に来ていた。仁の右腕は既に普通の人の腕に戻っている。
「また遊びに来てとは言ったけど、早すぎないかい?」
生徒会室に入る前に翼は少し呆れた感じだが冗談めかしに言った。そして玲達はソファーへと案内された。
「君達、今からする質問には正直に答える様に」
翼は気持ちを切り替え質問の前触れに真剣な顔で言った。
「分かりました」
玲は素直に答える。しかし仁は、ふざけているのか翼に
歯向かう様に言った。
「俺は主人以外の言うことに従うつもりはない」
仁の言い草に翼は眉をひそめる。玲は咄嗟に仁を睨みつけた。真横から来る圧にすぐさま仁は気づき返答をし直した。
「仕方がない、正直に答えよう」
仁のでかい態度に翼はかなり苛立っているが、副会長としてそこは堪えた。
「まず君達の関係は?」
「俺とゼロは主従の関係だ」
またしても仁は訳のわからないことを言い出す。仁に聴いても意味がないと悟ったのか翼が玲の方へと目をやる。
「今さっき知り合ったばかりの『ただのクラスメイト』です」
玲は後半をかなり強調して答える。しかし又しても仁が余計なことを言い出した。
「知り合ったばかりだと?我が主人よ何をつまらぬ冗談を、そこの女!そんなに知りたいのなら教えてやろう!俺達の切っても切れぬ絆の物語を!
遠い昔、数千年も前の話しだ。俺は聖騎士王との戦いで深傷を負い深い眠りについた。100年後そこに現れたのが我が主人ゼロだった。彼は俺を眠りから覚ませ、そしてこう言ったのだ。「俺と共に来い、この世界の果てを見せてやる」と・・・俺は「この男について行きたい」素直にそう思った。おかしいだろ今まで誰かの下に着くことなんて考えたことなどなかったと言うのに、この男になら自分の全てを預けらる、そう思ったんだ。それからの日々はとても充実していた。
たった2人で幾千、幾万もの戦士と戦う日々、生死を分ける接戦。1日1日があっという間だった。そして俺たちは「世界の果て」神の大地へ辿り着いた。しかし、そこに待ち受けていたのは万能神ゼウス。俺とゼロは奴と戦った。だが奴の力は想像をはるかに超えるものだった。そんな戦いの最中ゼロが俺に言ったんだ「このまま戦っても勝ち目はない、お前だけでも逃げろ」俺はそんな事は出来ないと断ろうとした、しかし彼はこう言ったんだ「これは永遠の別れでは無い」と「いつか必ずお前の前に現れる」と。その言葉を信じ俺は戦いから逃げたんだ。仲間を置いて逃げるなんて心が張り裂ける様な想いだった。だが彼の言葉を信じ逃げることしか出来なかった。それからと言うもの俺は「もうあんな思いはしたく無い」と修行を始めた。あれから何年経っただろうかついに彼が現れたんだ。彼を見た時直感的にすぐわかった彼があのゼロだと」
「私は正直に答えるよう言ったつもりなんだけどな」
翼は言葉こそ優しいがその声音からは明らかに怒りの感情が滲み出ていた。しかし仁はそんなの御構い無しだ。
「信じられぬのも無理はない、貴様ら一般庶民とは次元が違う話だからな」
「もう良い、君に話を聞いても時間の無駄だ、君は黙ってそこに座っているだけでいいよ」
さすがの翼も仁のあまりの態度に一瞬怒りを露わにした。そして少し腰を上げ、玲の方へと身体を向け座り直した。
「玲くん君の連れはいったい何なんだ?」
「先輩厨二病って知ってますか?あと連れじゃないです。」
翼の質問にをは質問で返した。
「厨二病?本で読んだことがある。自分の中で様々な設定を作り、まるで現実で起こっているかの様に演じ続けてしまう心の病のことだろ。確か超能力者が現れてからぱったりと無くなったって聞いたけど・・・もしかして」
「そのもしかしてなんです。彼は厨二病と言うとてもとても深刻な病に侵されてしまっているんです。だからそんなに怒らなくても・・・」
仁に助けて貰った手前、一応駄目元でも彼をかばってみた。
「それもそうだね。心の病と言うことは、きっと彼は私達には想像も出来ない様な辛い過去があるんだろ可哀想に」
どうやら翼は厨二病と言うものを正確には理解していなかったらしく、仁のことについては見逃してくれることになった。
「じゃあ玲くんに聴くけど君たちは」
「ハイッハイ!玲くんはどういう時、絵のアイディアを思いつくんですか!」
翼の質問を遮り突如乃明が横から飛び出してきた。その横には凛もいる。
こいつらさっき会ったばっかなのに仲良くなり過ぎだろ!沙希もそうだったけど女子ってみんなこんなにコミュ力高いの?
玲が生徒会室から出てから既に40分は経過しているのにまだ生徒会室にいる凛に玲はコミュ力と言う圧倒的な力の差を見せ付けられた気がした。
「どういう時って言われても・・・別に普通だと思いますよ。たまたま見た景色とかですかね。あと夢に出てくる風景?かな」
少し遅れたが、玲は乃明の質問に正直に答えた。
「ちょっと乃明!こっちは真面目な話してるんだけど、あと玲くんも関係ないことなんだから答える必要ないでしょ!」
乃明に呆れ翼はひたいに手をあてため息をつく。そして何故か玲には強い口調で言いつけてきた。
なんで俺怒られなきゃいけないんだよ、俺悪くなくないですかね?
玲は不服そうに小さく首をかしげた。
「翼は真面目すぎるんだよ!玲くんが悪いことするわけないじゃん。どうせ翼の勘違いなんだから一誠が戻って来るまで時間を潰してれば良いんだよ」
「そうですよ神谷くんがそんなことするはず無いですよ」
玲のファンである乃明と凛は全力で玲を守りに入っている。
「わかったよ、話は山羊が来てからにするよ」
「 ︎?」
あんまりにもあっさりと折れた翼に玲は驚きを隠せない。
「先輩どうしたんですか急に」
「どうしたんですかって言われてもね、このまま事情聴取続けた方が良かったかな?」
玲の質問に翼は少し困った様な顔をして答えた。
「いや、別にそう言うわけじゃ無いですけど・・・」
「だろうね。私はこのまま続けたいんだけど乃明が邪魔するんじゃ多分無理だろうからね」
どうやら翼は乃明の妨害を受けながら事情聴取をするのは不可能と判断したらしい。それを聴いた乃明は何故だか胸を張っている。
いや、胸を張る場面じゃないだろ。邪魔する才能とかマイナスでしかないだろ
そんな玲の心情など知らない乃明は玲を守り抜いたと少し浮かれている。
「ねぇ玲くん、さっきの質問の続きだけど玲くんはアイディアが浮かんだらすぐ絵を描くの?」 
「すぐ描くってわけじゃないですよ。アイディアが浮かんだら、とりあえずそのイメージをスケッチしておくんですよ。」
「へ〜そうなんだぁ」と乃明は少し意外そうな顔をしている。そんな乃明をよそに凛が少し緊張気味に玲に聴いてきた。
「神谷くん、良かったらそ、そのスケッチこんど見せてもらってもいいですか?」
「え、いいよ」
玲は即答し、鞄の中をガサゴソとあさり1枚の黒いスケッチブックを取り出し机に置いた。
玲のその行動にその場にいた全員に緊張感が走った。
それもそのはずだ、このスケッチブックはこれまでの玲の作品だけでなく、これから描かれる作品の元なのだから。これから、この一冊から何十億もの大金が生まれるといっても過言じゃない。
「凛ちゃん開いてみてよ」
乃明が凛にスケッチブックを開くよう促した。凛は恐る恐る手を近づける。
「ごめんなさい!出来ないです、ウチなんかじゃ恐れ多くて」
凛はあと少しのところで急に手を引き乃明に目を向ける。すると乃明は翼に視線を送った。
「え?あたし?私もちょっと無理かな」
翼にも断られ今度は仁に視線を送る。
「任せろ!」
仁はスケッチブックに向かい手を伸ばすが、触れた瞬間に手を引き、反対の手でその手を押さえる。
「クッ!、なんだこの力は、この魔道書強力な結界がはられている」
「何やってんすか、いい加減開きますよ」
玲は乃明達のやりとりに呆れ、自らスケッチブックを開いてしまった。それに対し乃明達はあまりにもあっさりと開いてしまったため唖然としている。
「・・・・・・・・これが神谷 玲の・・・す、凄い!」
少しの間の後に乃明が感激の声を漏らした。玲はスケッチブックをペラペラとめくって見せる。そのほとんどは風景画の様なものでたまに少し違った感じの絵が混ざっていた。
「あ!その絵確か国際芸術祭の」
翼がその中の1枚を見て声を出した。そこには中心に木があり、その根元にもたれかかり座る人の姿が描かれていた。
「そうですけど・・・」
玲は特に気にすることなくそのまま次のページをめくろうとした。その時玲の腕が押さえられ、凛が前のめりになって話し出す。
「そうなんですよ!これは国際芸術祭で大賞を受賞した作品全ての元となったものなんですよ!」
いやお前そんなこと知らんだろ、このスケッチブック人に見せたことないからそんな情報出回ってないはずだし、まぁあってるんだけど。
そんな説明無くても誰だって見ればわかる。何故なら玲が大賞を取った作品は全て同じ様な構図なのだから。スケッチブックの絵をベースにそれを少し変えただけだったのだ。それだけでは無く3作品全て「眠り」という同じ題名なのだ。
乃明と凛はその原本である絵を見てテンションがおかしな事になっている。
「あの名画の元を観れるなんて、ウチ今、今までで1番幸せです。」
「うん、うん、生きてて良かったって瞬間だね」
「これが、かの有名な「眠り」のオリジナル!なんとゆう力だ。溢れ出す魔力でまともに見ることができない」
2人以外にも1人テンションのおかしな奴がいた。仁は目に手の甲を当て怯むような仕草をしている。
3人の反応を翼と凛は引き気味に見ていた。
その時、入り口の扉が開き一誠が戻ってきた。そして玲達を見て「何してんですか、あなた達は」呆れた風にそう言った。
「あははは、なんかすみません」
玲は苦笑い混じりに謝る。翼も謝りはしないが苦笑いして一誠に視線をやっていた。そして残りの3人は一誠のことなどまるで無視、絵に魅入っていた。仕方なく一誠は小さくため息をついてから、一瞬能力を発動させた。
その瞬間3人は同時に一誠に注目する。そして一誠が乃明に説教を始める。
「2人はともかく会長は何をしてるんですか、だいたい貴女は会長としての自覚が」
一誠の説教を遮り乃明が一誠にキレかかる。
「「会長として」っていつもそう!私だって1人の生徒なんだから好きな絵を見て喜んでたって別にいいじゃん。だいたい一誠が玲くんの絵の良さを理解できないからいけないんだよ!」
「確かに山羊は美的センス無いよね。それに今回に限っては乃明のことそんなに責めなくてもいいんじゃ無いの」
乃明と凛の2人に言われてしまい今回は一誠が折れた。
「そうですね、今回に限っては私が悪かったです。すみませんでした会長」
一誠の謝罪に乃明は数回縦に首を振り満足した様子だ。
「ところで山羊、話は聴けたの?」
凛が本題のさっきの騒ぎのことを一誠に尋ねた。
「はい、2人はただカツアゲしようとしていた生徒を止めようとしただけの様です」
「そうか、で、そのカツアゲ犯は?」
「それが私達が現場に着いた時には既に逃げていたみたいで、話は明日になりそうですね」
一誠の話を聞き翼は少し安心した様に笑った。
「という訳でお2人方今日は時間を取らせてしまいすみませんでした。話はまた後日聴くと言う事で」
一誠は玲と仁に向かいそう言った。
「じゃあ今日はこの辺で帰ります。」
玲は荷物をまとめ小さく一礼をし、生徒会室を後にした。
そしてさっき来た道を再び歩いて帰る。
なんで1日にこんなに同じ道を行き来しなきゃいけないんだ。
玲は再び時間を確認すると既に1時をまわっていた。
「もうこんな時間か、早く帰んないとなぁ」
玲は誰に言うでもなく1人呟き学校を後にした。
「また遊びに来てとは言ったけど、早すぎないかい?」
生徒会室に入る前に翼は少し呆れた感じだが冗談めかしに言った。そして玲達はソファーへと案内された。
「君達、今からする質問には正直に答える様に」
翼は気持ちを切り替え質問の前触れに真剣な顔で言った。
「分かりました」
玲は素直に答える。しかし仁は、ふざけているのか翼に
歯向かう様に言った。
「俺は主人以外の言うことに従うつもりはない」
仁の言い草に翼は眉をひそめる。玲は咄嗟に仁を睨みつけた。真横から来る圧にすぐさま仁は気づき返答をし直した。
「仕方がない、正直に答えよう」
仁のでかい態度に翼はかなり苛立っているが、副会長としてそこは堪えた。
「まず君達の関係は?」
「俺とゼロは主従の関係だ」
またしても仁は訳のわからないことを言い出す。仁に聴いても意味がないと悟ったのか翼が玲の方へと目をやる。
「今さっき知り合ったばかりの『ただのクラスメイト』です」
玲は後半をかなり強調して答える。しかし又しても仁が余計なことを言い出した。
「知り合ったばかりだと?我が主人よ何をつまらぬ冗談を、そこの女!そんなに知りたいのなら教えてやろう!俺達の切っても切れぬ絆の物語を!
遠い昔、数千年も前の話しだ。俺は聖騎士王との戦いで深傷を負い深い眠りについた。100年後そこに現れたのが我が主人ゼロだった。彼は俺を眠りから覚ませ、そしてこう言ったのだ。「俺と共に来い、この世界の果てを見せてやる」と・・・俺は「この男について行きたい」素直にそう思った。おかしいだろ今まで誰かの下に着くことなんて考えたことなどなかったと言うのに、この男になら自分の全てを預けらる、そう思ったんだ。それからの日々はとても充実していた。
たった2人で幾千、幾万もの戦士と戦う日々、生死を分ける接戦。1日1日があっという間だった。そして俺たちは「世界の果て」神の大地へ辿り着いた。しかし、そこに待ち受けていたのは万能神ゼウス。俺とゼロは奴と戦った。だが奴の力は想像をはるかに超えるものだった。そんな戦いの最中ゼロが俺に言ったんだ「このまま戦っても勝ち目はない、お前だけでも逃げろ」俺はそんな事は出来ないと断ろうとした、しかし彼はこう言ったんだ「これは永遠の別れでは無い」と「いつか必ずお前の前に現れる」と。その言葉を信じ俺は戦いから逃げたんだ。仲間を置いて逃げるなんて心が張り裂ける様な想いだった。だが彼の言葉を信じ逃げることしか出来なかった。それからと言うもの俺は「もうあんな思いはしたく無い」と修行を始めた。あれから何年経っただろうかついに彼が現れたんだ。彼を見た時直感的にすぐわかった彼があのゼロだと」
「私は正直に答えるよう言ったつもりなんだけどな」
翼は言葉こそ優しいがその声音からは明らかに怒りの感情が滲み出ていた。しかし仁はそんなの御構い無しだ。
「信じられぬのも無理はない、貴様ら一般庶民とは次元が違う話だからな」
「もう良い、君に話を聞いても時間の無駄だ、君は黙ってそこに座っているだけでいいよ」
さすがの翼も仁のあまりの態度に一瞬怒りを露わにした。そして少し腰を上げ、玲の方へと身体を向け座り直した。
「玲くん君の連れはいったい何なんだ?」
「先輩厨二病って知ってますか?あと連れじゃないです。」
翼の質問にをは質問で返した。
「厨二病?本で読んだことがある。自分の中で様々な設定を作り、まるで現実で起こっているかの様に演じ続けてしまう心の病のことだろ。確か超能力者が現れてからぱったりと無くなったって聞いたけど・・・もしかして」
「そのもしかしてなんです。彼は厨二病と言うとてもとても深刻な病に侵されてしまっているんです。だからそんなに怒らなくても・・・」
仁に助けて貰った手前、一応駄目元でも彼をかばってみた。
「それもそうだね。心の病と言うことは、きっと彼は私達には想像も出来ない様な辛い過去があるんだろ可哀想に」
どうやら翼は厨二病と言うものを正確には理解していなかったらしく、仁のことについては見逃してくれることになった。
「じゃあ玲くんに聴くけど君たちは」
「ハイッハイ!玲くんはどういう時、絵のアイディアを思いつくんですか!」
翼の質問を遮り突如乃明が横から飛び出してきた。その横には凛もいる。
こいつらさっき会ったばっかなのに仲良くなり過ぎだろ!沙希もそうだったけど女子ってみんなこんなにコミュ力高いの?
玲が生徒会室から出てから既に40分は経過しているのにまだ生徒会室にいる凛に玲はコミュ力と言う圧倒的な力の差を見せ付けられた気がした。
「どういう時って言われても・・・別に普通だと思いますよ。たまたま見た景色とかですかね。あと夢に出てくる風景?かな」
少し遅れたが、玲は乃明の質問に正直に答えた。
「ちょっと乃明!こっちは真面目な話してるんだけど、あと玲くんも関係ないことなんだから答える必要ないでしょ!」
乃明に呆れ翼はひたいに手をあてため息をつく。そして何故か玲には強い口調で言いつけてきた。
なんで俺怒られなきゃいけないんだよ、俺悪くなくないですかね?
玲は不服そうに小さく首をかしげた。
「翼は真面目すぎるんだよ!玲くんが悪いことするわけないじゃん。どうせ翼の勘違いなんだから一誠が戻って来るまで時間を潰してれば良いんだよ」
「そうですよ神谷くんがそんなことするはず無いですよ」
玲のファンである乃明と凛は全力で玲を守りに入っている。
「わかったよ、話は山羊が来てからにするよ」
「 ︎?」
あんまりにもあっさりと折れた翼に玲は驚きを隠せない。
「先輩どうしたんですか急に」
「どうしたんですかって言われてもね、このまま事情聴取続けた方が良かったかな?」
玲の質問に翼は少し困った様な顔をして答えた。
「いや、別にそう言うわけじゃ無いですけど・・・」
「だろうね。私はこのまま続けたいんだけど乃明が邪魔するんじゃ多分無理だろうからね」
どうやら翼は乃明の妨害を受けながら事情聴取をするのは不可能と判断したらしい。それを聴いた乃明は何故だか胸を張っている。
いや、胸を張る場面じゃないだろ。邪魔する才能とかマイナスでしかないだろ
そんな玲の心情など知らない乃明は玲を守り抜いたと少し浮かれている。
「ねぇ玲くん、さっきの質問の続きだけど玲くんはアイディアが浮かんだらすぐ絵を描くの?」 
「すぐ描くってわけじゃないですよ。アイディアが浮かんだら、とりあえずそのイメージをスケッチしておくんですよ。」
「へ〜そうなんだぁ」と乃明は少し意外そうな顔をしている。そんな乃明をよそに凛が少し緊張気味に玲に聴いてきた。
「神谷くん、良かったらそ、そのスケッチこんど見せてもらってもいいですか?」
「え、いいよ」
玲は即答し、鞄の中をガサゴソとあさり1枚の黒いスケッチブックを取り出し机に置いた。
玲のその行動にその場にいた全員に緊張感が走った。
それもそのはずだ、このスケッチブックはこれまでの玲の作品だけでなく、これから描かれる作品の元なのだから。これから、この一冊から何十億もの大金が生まれるといっても過言じゃない。
「凛ちゃん開いてみてよ」
乃明が凛にスケッチブックを開くよう促した。凛は恐る恐る手を近づける。
「ごめんなさい!出来ないです、ウチなんかじゃ恐れ多くて」
凛はあと少しのところで急に手を引き乃明に目を向ける。すると乃明は翼に視線を送った。
「え?あたし?私もちょっと無理かな」
翼にも断られ今度は仁に視線を送る。
「任せろ!」
仁はスケッチブックに向かい手を伸ばすが、触れた瞬間に手を引き、反対の手でその手を押さえる。
「クッ!、なんだこの力は、この魔道書強力な結界がはられている」
「何やってんすか、いい加減開きますよ」
玲は乃明達のやりとりに呆れ、自らスケッチブックを開いてしまった。それに対し乃明達はあまりにもあっさりと開いてしまったため唖然としている。
「・・・・・・・・これが神谷 玲の・・・す、凄い!」
少しの間の後に乃明が感激の声を漏らした。玲はスケッチブックをペラペラとめくって見せる。そのほとんどは風景画の様なものでたまに少し違った感じの絵が混ざっていた。
「あ!その絵確か国際芸術祭の」
翼がその中の1枚を見て声を出した。そこには中心に木があり、その根元にもたれかかり座る人の姿が描かれていた。
「そうですけど・・・」
玲は特に気にすることなくそのまま次のページをめくろうとした。その時玲の腕が押さえられ、凛が前のめりになって話し出す。
「そうなんですよ!これは国際芸術祭で大賞を受賞した作品全ての元となったものなんですよ!」
いやお前そんなこと知らんだろ、このスケッチブック人に見せたことないからそんな情報出回ってないはずだし、まぁあってるんだけど。
そんな説明無くても誰だって見ればわかる。何故なら玲が大賞を取った作品は全て同じ様な構図なのだから。スケッチブックの絵をベースにそれを少し変えただけだったのだ。それだけでは無く3作品全て「眠り」という同じ題名なのだ。
乃明と凛はその原本である絵を見てテンションがおかしな事になっている。
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「これが、かの有名な「眠り」のオリジナル!なんとゆう力だ。溢れ出す魔力でまともに見ることができない」
2人以外にも1人テンションのおかしな奴がいた。仁は目に手の甲を当て怯むような仕草をしている。
3人の反応を翼と凛は引き気味に見ていた。
その時、入り口の扉が開き一誠が戻ってきた。そして玲達を見て「何してんですか、あなた達は」呆れた風にそう言った。
「あははは、なんかすみません」
玲は苦笑い混じりに謝る。翼も謝りはしないが苦笑いして一誠に視線をやっていた。そして残りの3人は一誠のことなどまるで無視、絵に魅入っていた。仕方なく一誠は小さくため息をついてから、一瞬能力を発動させた。
その瞬間3人は同時に一誠に注目する。そして一誠が乃明に説教を始める。
「2人はともかく会長は何をしてるんですか、だいたい貴女は会長としての自覚が」
一誠の説教を遮り乃明が一誠にキレかかる。
「「会長として」っていつもそう!私だって1人の生徒なんだから好きな絵を見て喜んでたって別にいいじゃん。だいたい一誠が玲くんの絵の良さを理解できないからいけないんだよ!」
「確かに山羊は美的センス無いよね。それに今回に限っては乃明のことそんなに責めなくてもいいんじゃ無いの」
乃明と凛の2人に言われてしまい今回は一誠が折れた。
「そうですね、今回に限っては私が悪かったです。すみませんでした会長」
一誠の謝罪に乃明は数回縦に首を振り満足した様子だ。
「ところで山羊、話は聴けたの?」
凛が本題のさっきの騒ぎのことを一誠に尋ねた。
「はい、2人はただカツアゲしようとしていた生徒を止めようとしただけの様です」
「そうか、で、そのカツアゲ犯は?」
「それが私達が現場に着いた時には既に逃げていたみたいで、話は明日になりそうですね」
一誠の話を聞き翼は少し安心した様に笑った。
「という訳でお2人方今日は時間を取らせてしまいすみませんでした。話はまた後日聴くと言う事で」
一誠は玲と仁に向かいそう言った。
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コメント
レイ・ブラドル・ドラニス
誤字報告
突如乃明が横から飛び出してきた。
これまでの玲の作品だけでなく、
そのほとんどは風景画の様なもので