ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)
再会とはいいものです(会)
今日は休日だということで、日中をダラダラと怠惰に過ごしていたら、不意に家のチャイムが鳴り響く。
「? 誰だろう?」
兄さんはいつも通り何処かに出かけてるし、彩奈は学校の部活だし、ボクに用事がある人なんていないだろうし。
なんて悲しい予想をしながらドアを開くと、予想に反してそこには見知った顔があった。
「こんにちはです。はるっち」
「あぁ、久しぶりだね。花村さん」
「むぅ……」
久々に会ったということで戸惑いながら苗字を呼ぶと、ミラは膨れっ面になって口ごもる。
「え、えっと、それで今日はどうしたの。ミラ」
「今日は、はるっちに会いにきたのです」
ボクが名前を呼ぶと、ミラは目に見えて上機嫌になる。
「へぇ、そうなんだ。じゃあ上がってく?」
「はいっ!それじゃあリン行きますよー、ってあれ?リン?」
ボクが来客用のスリッパを出していると、ミラは後ろを振り向き一瞬固まった後、何やら動揺しだす。
「どうしたの?そんな慌てて」
「リンが、リンがいないのです」
「リン?それって、誰のこと?」
「私の妹なのです。あわわわわ。ど、どうしましょうかですぅ?」
ミラの慌て具合を見て、ボクも真剣味を増して、事の詳細を訊く。
「えっと、その妹さんとはどこで逸れたの?」
「バス停までは後ろについてきているのを確認していたのです。けど……」
「それじゃあ、とりあえずそのバス停まで見に行ってみようよ」
バタンッ
「「うわぁっ」」
急いで探そうと玄関のドアを勢いよく開けると、その前には人が立っていて思わずぶつかりそうになる。
「な、なんだ兄さんか。そんなことより兄さん、ここら辺で小さい子供見かけなかった?」
「あ、あぁ、それってこいつのことだろ」
ボクの焦燥感とは対照的に落ち着いた様子で、兄さんはボクに横にいる小さな女の子を見せつける。
すると、女の子はボクの後ろにいるミラを見て、目を潤ませながら飛び込んでいく。
「おねぇちゃん!」
「リン!」
玄関先でひしひしと抱き合う姉妹を見て、ただただ呆然としていると、兄さんが「あっ」と言ってボクの肩をたたく。
「最初に言っておくけど、俺様は親切に迷子を保護者に連れてってやっただけだかんな。拉致ったわけじゃねーから」
「あ、うん。そうなんだ」
そんな前置きをされると、余計疑わしく思えてしまうが、あの女の子の表情を見る限り、それは本当なのであろうということはなんとなくわかった。
感動の再会の余韻も終わり、皆で家の中に入り、事の真相を二人に聞く。
「まぁ、なんだ。俺様がゲームセンターで遊んでたらこいつが喋りかけてきてだなぁーーー」
居間でテーブルを囲うようにして座りながら、兄さんがさっきまでのことを饒舌に語りだす。
「ーーー。つーことで、俺様はこの迷子をお守りしながら姉の元へ渡してやったってわけさ」
自分の評価を上げようと話しているのが目に見えたため、ボクはミラの妹のリンちゃんにそっと話しかける。
「本当にあってる?このお兄ちゃんの言ってること」
「うん。おにぃちゃんは、お菓子をたくさん買ってくれたのっ!」
「うんうん。そうだろうそうだろう」
兄さんは自分の功績を聞いて、腕を組みながら大きく頷く。
「でもこの家に来る途中、おにぃちゃんは、わたちの尻を食い入るように見つめてから叩いたの」
「ええっ!?」
「いやっ、違うぞ、晴人。これはだなぁ」
「兄さん、見損なったよ。こんな幼い子をお菓子で釣ってから手を出すなんて……」
「いや、だから尻じゃなくてSiriなんだって」
「言い訳はいいから早く自首してきなよ、兄さん」
「だからSiriなんだってぇぇぇええぇぇえええぇ!!」
兄さんの情けない声で叫んでいる一方、リンちゃんはなんのことだかわからないといった表情で首を傾げていた。
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