ボクの完璧美少女な弟子は変態すぎて手に負えません(笑)

花水木

なんだか体調が良くないです(病)


 朝、目覚めるとなんだかやけに体が重く気怠るかった。視界が霞んで目をこすりながらベットから降りると、重心が定まらずフラフラしてしまう。
 だが、たまにはそんな日もあるだろうと深く考えずに部屋を出て、朝食を食べようと居間へ向かった。

「もうっ!ハル兄もうとっくにご飯できてるよ」

 廊下で妹の彩奈がエプロンを身に着けおたまを持ちながら、ボクを待ち構えていた。

 「悪い悪い」と軽く謝ろうと頭を下げたところで意識が突然と途絶え、力の抜けたボクの体は彩奈に寄りかかってしまう。

「へっ?ちょ、ちょっとハル兄?いきなりどうしたの!?」

 彩奈はボクの体を受け止めようとするが、あえなく二人とも地面に倒れてしまう。
 図らずも廊下のど真ん中で、ボクが彩奈を押し倒す形になってしまった。

「……ハル兄私の気持ちにやっと答えてくれるの?……やっぱりそうだよね、妹だけど愛さえあれば関係ないよねっ」

 と、どっかで聞いたことありそうな言葉を言いながら、ボクをギュッと抱きしめた。
 抱擁が数分続いたのちに、彩奈は何かを決心したのか、おもむろに顔をボクの顔に近づけ……。

「……お前ら朝っぱらからなにやってんだ?」

 変な寝癖をつけたまま現れた兄さんのおかけで、彩奈ルート突入は免れた。



「ま、こりゃー風邪だな」

 倒れたボクをベットまで運んでくれた兄さんが、ボクのひたいに手を当てながら言った。

「どうしようどうしよう?こんな時は確か……そうだネギを首に巻けばいいんだ」

 あまり病気にかからないボクが急に寝込んだことを心配して、彩奈は動揺しておかしなことになっていた。
 それを見かねた兄さんは、深いため息をつきながら言う。

「はあ、晴人は俺様が見といてやっから、彩奈は学校へ行ってこい」

「え、でも……」

「それと早くそれ解かないと、本当に晴人があの世に行きかねんぞ」

 学校に行くことを渋る彩奈は、台所から持ってきたねぎでボクの首をきりきりと絞めつけていた。

「それにこんなもんは一日寝てれば治るだろうし大丈夫だろうし、俺様は講義が昼からだからそれまで見といてやっから」

「そう?じゃあわかった。帰りにリンゴとお薬買ってくるから」

「あーはいはい。わかったから行ってこい行ってこい」

 彩奈はなぜか名残惜しそうにしながら、ボクの部屋から出て行った。



 数時間後、目を覚ましぼやけた視界で辺りを見渡すと一人の看護師が視界の中に入った。
 ここはどこかの病院なのかと思い寝ていたベットを見ると、それはいつもボクが愛用している自室のベットだった。

「おはよう。ハル君」

 風邪のせいか若干頭が回らず、ボクは看護師さんからの挨拶を何気無しに返す。

「あ、はい。おはようございます……え?」

 やっとこさ視界が良くなり色々なものが鮮明に見え出したところで、もう一度看護師さんを見て見るとそこには見知った顔の女性が。

「瑞希さん……ですよね?なんでボクの部屋でそんな格好してるんですか?」

 瑞希さんが身につけているのは、一目でコスプレの衣装だとわかるようなスカート丈の短いピンクのナース服だった。

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 今時はナースキャップなんてしていないだろうと思いつつ、この衣装の真意を問いただした。まあ十中八九犯人は分かっているのだが。

「えっとこれは和乃ちゃんが看病するなら絶対にこれを着て行けって言うから……」

 言いながら自身の服装の見て、羞恥に悶えるところもまた可愛らしい。

「瑞希さんはもっと人を疑うことを覚えたほうがいいと思います」

「と、とにかく今日は私がハル君のお世話をするように、お兄さんから頼まれたし精一杯頑張るよ!」

 そう言い残すと、瑞希さんは意気揚々と部屋から出て行った。

「この状況は兄さんが仕組んだのか」

 今頃講義を聴きながらほくそ笑んでいる兄さんが容易に想像でき無性に腹がたつ。
 兄さんへの怒りを爆発させていると、疲労が溜まってかまた急激な眠気が襲ってきて、ボクはそれに抗うこともできずまた深い眠りへとついた。

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