チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

番外編12 リリアVSマリー

 ~マリー視点~

 ようやくここまで来た。私はずっとやりたいことがあった。それはリリアと真剣に戦ってみたかった。第一の妻の話をした時に闘技場の話が出たとき私はリリアと戦える事になった。

 そして今それが叶う。シアの場合は武器を振るわなかったがリリアの場合、必要だろう。なんせリリアもゾンビを出しているのだから。

 「え、ええとこれはどういう事でしょうか?」

 実況の声が聞こえる。

 「こ、これは召喚魔法と変身魔法ですね!いやーー、二人とも凄いですね」

 レイが棒読みで言っているが大丈夫だろう。

 「マリー、本気で行くから」

 「私もよ」

 この時をどんだけ待ち望んでいただろうか。今まで特訓として戦ったことはあるが、きちんと戦ったことはない。

 「ミレム、行くわよ」

 「了解!全力でいい?」

 「いいわよ」

 ミレムの力を纏い、リリアに突撃する。リリアには今回リッチーはいないようだ。

 「邪魔よ!」

 私を囲むようにアンデット共がぞろぞろとやってくるが今の私は身体強化に魔人の力も使っているんだ。アンデット共に負けるわけがない。

 だが、蹴散らすのだが、そこにリリアの姿はない。

 すぐに上を確認すると、案の定リリアは上にいたのだが、私にもう突撃している。

 更に周りからアンデット共がこちらに更に攻めてくる。

 「一度退くわよ!」

 「分かってるけどアンデットが多すぎるのよ!」

 ミレムの言う事は分かるが、彼らは何度やられても更に攻めてくる。魔法で焼き払うぐらいしか思いつかないが、それをしていたらすぐにリリアにやられてしまう。

 ......待って。

 私はここでレイに無詠唱の魔法を学んだことについて思い出した。

 「ファイアーウォール!」

 その瞬間私の周りに火が舞い上がる。

 レイは言った。無詠唱は凄いがイメージするのに時間が掛かる事があると。だからこそ一言詠唱を唱えた方がイメージしやすいと。

 これでリリアとの一対一になる。

 リリアの方を見ると、リリアが薄く笑っている。これぐらいしてもらわないと張り合いが無いという笑みだろう。それは私も同じだ。

 リリアが一直線に私の目の前に落ち、魔法を放ってくると思いきや、リリアは懐に短剣を忍ばせていたのだ。

 私はギリギリの所で短剣を防ぐが、リリアはすぐに短剣を捨てた。

 「フレイムランス!」

 彼女はすぐに私と同じ様に一言詠唱を唱え超級を放ってきた。

 だが、私の体は少しは固くなっている筈だ。これを受け止めて剣を振るう。

 「ちっ!」
 
 私の剣はリリアの腕を掠っただけだった。

 逆に私の体は大分傷がついた。一応身体強化に魔人の力も使ったのにも関わらずだ。

 だが、ここからだ。リリアは私に近づいたのだ。それなら接近戦が得意な私の方が有利だ。

 私は剣をリリアに振るい、リリアは避ける。しかし私は手を止めることは出来ない。ここでまた距離をとられたら負ける。それにゾンビたちもいるし。

 だからこそここで予想外の一手を使うしかない。

 私は剣を振ろうとして剣を手から放す。リリアは一瞬動揺する。それもそうだろう。剣士が剣を捨てるなんて無謀だからだ。確かに無謀かもしれない。けどここで勝てば問題ない筈だ。

 剣を放した私はリリアに思いっきり殴る。

 「がは!」

 リリアは吹き飛ぶ。だが、ここで終わらせない。

 更に追撃して攻めるが、

 「ウインドブレス!」

 リリアが上級の風魔法を使い、防戦するが、今吹き飛ばされるわけにはいかない。

 今しかない!勝つには!これからこんな戦う事なんて絶対ない。今しかないんだ!

 「はあああああ!」

 「負けない!」

 私は自分に気合を入れて、リリアに突撃し、リリアはリリアで覚悟の決まった目で私に向かってくる。

 「そこまでだ」

 だが、私とリリアの中間でレイが止めに入った瞬間私は気絶するのだった。

 ~レイロード視点~

 済まない。

 リリアとマリ―が俺に止められた瞬間限界に達していた事で倒れる。
 
 それも当たり前だろう。マリーはどうみても身体に負担をかけ過ぎだ。

 リリアもマリーに殴られた所から半ば意識が飛ばされていた。

 本当はもっと早く止めに入るべきだったのだろう。

 それは誰もが思っていたのかもしれない。だが、誰一人応援どころかこの二人の試合を黙って見ていた。

 そして実況する筈だった俺達も思わず黙って見てしまう程だった。

 本当に悪い。俺が悪い。

 自分に罪悪感がありながらも、誰も俺が試合を止めた事を咎めない。それどころか拍手が贈られる。

 誰もが声をあげる訳でもなくただひたすらにこの試合の栄光を称える賞賛の拍手が贈られるのだった。

 

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