チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

番外編4 レイロードの修行

 「では始めましょうか」

 校長の声と共に戦いが始まる。

 .......というわけではなく、

 「あの、なんで放課後に座学なんですか?」

 「分かってませんね。魔法はどうやって出来ているのか。どんな風に使うのかそれを初めに座学で学ぶ事が魔法では必須なんですよ!」

 校長はドヤ顔で言ってきたが正直に言えばやる気が出てこない。

 ここにきてリリアの座学嫌いの心理が分かる気がする。

 初めはそう思っていたが中学や高校のような数学などではなく、魔法に関しての事で全く苦にならなかった。

 座学を受けながら以前から気になっていたことを校長に聞くことにした。

 「そういえば校長はどうやってあの巨大ファイアーボールを出来るようになったんですか?」

 魔法の座学では校長が話し、それに関して何か気になる事があれば俺が質問するという形式だ。

 「よくぞ聞いてくれました。その巨大ファイアーボールですが初めはこういう風に作ろうとは思ってなかったんですよ」

 校長は自分の魔法に関してはもの凄い熱弁するという事を今日初めて知った。そんな知識はいらないんだが。

 「それじゃあ初めはどういう風に?」

 「初めはファイアーボールを圧縮させ地面に落ちると同時に広げるような魔法にしようと思っていたんですが、途中で膨れ上がる様になってしまったんですよ。しかしこれはこれでいいかもしれないと思い結局このままなのです」

 「へえ。けどほんとにこれは凄いと思いますよ」

 「ありがとうございます。では続けますよ」

 そう言って放課後の教室で二人で座学を続けるのだった。

 座学が終わり今度は実戦かと思っていたが、校長が衝撃発言をしてきた。

 「レイロード君。初めに言っておかなければならないのですが正直に言って私と実践練習はしなくていいと思います」

 「........はい?」

 「はっきり言えば私と戦った事であまり得が無いと思うんですよ」

 「それじゃあ今から何をするんですか?」

 そこで校長は目を輝かせ、

 「ですが!やる事はあると思うんですよ!私と一緒にオリジナルの魔法を作りませんか!?オリジナル魔法は相手も知らない一手になります!どうでしょうか!?」

 「は、はい。いいですけど」

 俺は若干校長の押しに引きながらもそれは必要な事だと思って了承したが、

 「いやー。レイロード君なら分かってくれると思ってましたよ!あのオリジナル魔法が完成した時の快感は本当にやばいですよ!」

 一人熱弁しているんだがこれはどうしたらいいのだろうか。

 エルフと言ってもこの人もう何歳か分からない年齢だぞ。

 こんな歳はおっさんの人が教室で鼻息荒くしながら何やら語ってらっしゃるこの光景で引かない方が無理だ。

 .......絶対ああならないようにしよう。

 心にそう決めた。

 ー翌日

 今日は師匠であるオリドさんに修行を付けてもらう。

 正直に言ってあの人の所には適当に行けば暇そうなのでいつでも相手をして貰える。

 それに今日は学校も無い日だ。

 この世界では日本と同じように週二で休みだ。

 一週間の内一日は休みで、その他はオリドさん。または校長に修行を付けてもらう。

 .......俺の人生ハード過ぎね?と思うがしょうがない。

 それに今では自分が強くなっていくのが分かっていくので楽しい。

 そして今日も師匠の所に向かう。

 「師匠。今日も修行付けてください」

 「......お前また来たのか。それに俺を師匠と呼ぶな」

 「はいはい。分かりましたから師匠もほんとは待ってたんじゃないですか?」

 「そんなわけないだろうが。いつもいつも俺が暇だと思うなよ」

 そんな事を言っておきながらも立ち上がって剣を持っているのは素直じゃないんだろうな。

 「それじゃあ今日はどうしましょうか?どんな所から始めます?」

 「そうだな。今日はお前の弱点を片っ端から直していくぞ。お前はまだまだ弱いんだからな」

 「いちいち言わなくても分かってますから」

 毎回俺を挑発してくるんだよな。そして口では勝てない。

 今の所剣でも勝てないが。

 「じゃあ行きますよ」

 「いつでも来い」

 俺は師匠に突撃する。相手は木刀だ。

 俺は剣を横に振る。

 だがそれは師匠に止められる。一応筋トレをしてきたつもりなんだけどな。

 ほんとこの爺さんの体にそんな力があるのがおかしい。

 だがすぐに縦、横と振り、あるいは斜めに斬る。

 だがそれも全て躱されるか、止められる。

 だが俺もいつも止められるわけにはいかない。

 剣を振っている間に一瞬だけ火纏いを繰り出し、パワーを上げる。

 「お」

 師匠は一瞬だけ驚いたが受け止めきれなかったがそれを後ろに下がって受け流す。

 「今のは良かったな。一瞬だけ火纏いを使ったのか?」

 「そうですよ。まあ無駄でしたけど」

 「いや。今ので大抵の敵はダメージ食らうと思うがな」

 「師匠。ダメージ入ってないじゃないですか」

 「俺は強いからな」

 そんなドヤ顔で言われてもカッコよくねえよ。

 だがほんとに勇者と呼ばれるだけ強いので何も言えないのが悔しい。

 「俺が師匠に勝って勇者の称号を貰いましょう」

 「お前には千年早い」

 絶対ぶっ飛ばす!

 俺は火纏いを纏い攻撃する。

 「おお?もう本気で来るのか?」

 「甘いですね師匠。俺はまだまだ本気じゃないですよ?」

 「まあ。俺もだがな」

 ほんとに俺を舐めてやがる。

 どうにかして一発は攻撃を食らわせたい。

 ただ火纏いを纏っても攻撃が与えられないのはほんとにおかしいぐらいだ。

 どうやってこの人は攻撃を見切ってるのだろうか。

 そう思いながら攻撃すると、

 「戦闘の合間に考え事をするな」

 「ぐは!」

 俺は腹に一撃貰い今日も負けてしまった。

 その場に座り、師匠と今日の反省をする。

 師匠は俺と親父と一緒で戦い終わった後に指摘するタイプだ。

 まあ、戦闘中も普通に指摘しながらやる事もある。

 「お前は何で毎回戦闘の合間に考え事をするんだよ」

 「分かるんですか?」

 「当たり前だ。少しでも弱く感じたからな」

 流石だな。俺にはそんな事は一切分からない。

 「それで、何を考えたんだ?」

 「いや。師匠は何で俺の火纏いの攻撃も普通に避けたり受け止められたりするのかなって思ったんですよ」

 師匠は一瞬考える素振りをし、

 「そうだな。俺は相手の目線や動きの様子、それに加えて俺がお前ならどんな動きをするのかって考えてるな」

 「へえ。師匠って何も考えてないように見えて考えてるんですね」

 「お前もう一回しばくぞ」

 「冗談ですから許してください」

 この人は全部本気で言ってそうですから困るんだよな。

 「まあ、今日のお前は前よりも弱点は無くなってきてるな」

 「そうなんですか?」

 「少しだけどな。だが俺が戦闘中に指摘をしないってことはその分強くなってるって思え」

 「分かりました。それじゃあ戻りますか」

 「そうだな」

 俺達は一度オリドさんの家に戻り、風呂を借りて家に戻る。

 「お疲れ様です」

 いつも通り俺は門番の人に挨拶をして帰ろうと思ったが、

 「すみません。次はいついらっしゃいますか?」

 「.......そうですね。すいませんがまだ分かりません。やっぱり急に来るの迷惑ですかね?」

 「いえ。迷惑ではないんですが少々めんどくさい事がありまして」

 「めんどくさい?」

 「何でもありません。なるべく早く来てくださると助かります」

 「分かりました」

 何だろうか。歓迎はされているようだが、おかしいな。そう思うながら帰るのだった。

 ~門番視点~

 本当に困った。

 今日からまためんどくさいぞ。

 「なあ。今日はレイ来てないのか?」

 来た。

 「はあ。来てませんよ。昨日来たばかりなんですから」

 「あいつも分かってねえな。上達したくないのか」

 溜息をつきながらオリドさんは戻って行った。

 これが最近毎日十回以上ある。

 本当に勘弁して欲しい。

 ー約一時間後

 「なあ。まだ来てないのか?」

 「ですから来ていません。もういい加減自分でレイさんの所に行ってくればいいではないですか?あの方も学校で忙しそうですから」

 「何で俺が行かなきゃならないんだよ!まるで俺があいつに修行を付けさせてやりたいみたいじゃねえか!」

 全く持ってその通りだと思うんだが口に出すのは止そう。

 「はあ。分かりましたから毎日は来てないでしょう。来たら自分がきちんと案内しますので」

 「分かったよ」

 そう言って戻って行った。

 俺の最近の仕事がレイ君が来るのを連れて行く係になった気がするんだが。

 -約二時間後

 「なあ。きて」

 「来てません」

 もう門番の仕事誰かに変わって貰おうかな、

 そう思わずにはいられなかった。

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