チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第九十四話 黒幕

 シアは校長に魔法を使う準備をしているが、目が悲しげだった。

 「やれやれ」

 校長はそう言って、俺と戦った時よりも速い速度で邪神の元に向かった。

 「これは少々このレイロードの評価を改めないといけないな」

 剣聖がそう呟く。

 「レイ!どういうことなんだ!」

 アランは未だ何が起きているか分かっていないようだった。

 「そこにいる二人が人族の裏切り者なんだよ」

 そして校長が一歩前にでて俺に聞いた。

 「何故我々が裏切り者だって分かったんですか?」

 俺は自分の予想を話す事に決めた。

 「剣聖に関しては簡単でした。まず剣聖が死んだという事を聞いて俺は不思議に思ったんですよ」

 「どうしてだ?俺はこの邪神と対等に戦ってるとなっていた筈だが」

 剣聖が俺を見据えて言った。

 「だからですよ。逆におかしくないですか?対等に戦ってたんですよ。いくらどんな手を使われたとしても今までいい勝負だった人が負けて死ぬんですか?負けて重症を負いながらも逃げたというならまだ分かりますが死ぬなんてありえないと思いますよ。精霊の加護で未来予知もあるんですから」

 それに剣聖は自分の失態に気付いたようだ。

 「私はどうして分かったんですか?」

 校長が笑顔で俺に向かって聞いた。

 「校長の場合は本当にギリギリまで疑いたくなかったんですよ。だけど昨日確信が持てたんですよ」

 「昨日?」

 校長は身に覚えがないようだ。

 「俺は昨日王様に会いに行ったんですよ。だけどおかしいですよね。なんせ明日から戦争があると言うのに何で王の所で作戦の最終確認をしたりしてないんですかね?校長は魔王が戦争をした時に王と話し合いがあるって言ったんですよ?それなのに邪神が攻める前日に打ち合わせをしないなんておかしくないですか?」

 だがこれを聞いてもまだ校長は笑みを崩さない。

 「それは偶々いなかったとは思わないんですか?」

 確かに俺はそこだけでは確信が持てなかった。だけど今までの事を思い出して分かったのだ。

 「あんたが嘘の情報を私達に流したでしょ!」

 マリーが俺の隣に来て校長を睨みながら叫ぶ。マリーも校長が裏切っていることにショックを受けているのだろう。

 ~マリーと魔王軍幹部の会話~

 「それで話って何なの?」

 「一つ聞きたいんですが、あなた方は何故ここを攻めたのですか?ずっと戦闘中も疑問だったのです。魔王様のあの時の戦争の復讐にしても遅すぎる気がしましたし、あの男の青年の顔をどう見ても復讐をしたいと思っている顔には見えなかったもので」

 何を言っているのだろうか。ここに攻め込まれる理由は自分達が一番知っている筈だ。

 「何故ってあんた達がアドルフ王国にまた攻め込むって聞いたからよ」

 「やはりそんな感じでしたんですね」

 「どういうこと?」

 「私共は戦争なんて仕掛けるつもりは一切ありませんでした。兵もあの時に相当減らされましたし、攻めるとしてもずっと先だったでしょう」

 「え?」

 おかしい。私達がこの城に攻め込んだのはムー大陸に攻め込もうとしているからだと聞いていた。

 「......もしも何かしら吹き込まれたのならその中に人族であなた方をこの城に攻め込ませようとする輩がいたはず」

 ~レイロード視点~

 「あの爺さんは言ったのよ!自分達は攻め込む気は無かったって!」

 「だけどそれはその人の嘘かもしれませんよ?」

 俺はその後をマリーに変わって引き継いで喋った。

 「俺も最初はそうかなって思いました。だけどよく考えたら明らかに魔王城にいる兵が少ないんですよ。流石にあれだけの数で戦争なんて起こせる筈が無いんですよ」

 俺の言葉に校長はため息をついた。

 「確かにあれは私のミスですね。正直に言えばあそこであなた方は死ぬと思っていたもので」

 俺はもう校長のその言葉を聞いても驚かなかった。

 「しかし、それだけだと王国の誰かと思ってしまうんじゃないですか?」

 その通りだ。だけど俺は気付いてしまったのだ。

 「じゃあ、校長今から変身魔法を使ってもらっていいですか?」

 それに初めて校長の笑みが崩れた。

 「どういう意味ですか?」

 俺は今までを振り返ってある事に気付いた。

 「俺一つ思ったんですよ。俺が変身魔法を使える人物って、三大最強、もしくはその血筋の人しか使えないって事に気付いたんですよ」

 そうなのだ。俺が思い出しただけでも変身魔法を使えるのは三大最強の血筋だけなのだ。

 「しかしそれは私がソロ冒険者最強という事で納得しませんか?」

 「俺も初めはそう思ったんですよ。だけどシアの話を聞いて思ったんですよ。何であなたは自分に変身魔法が使えるのならシアに使わなかったのかって。だってそうでしょ。昔から生きているあなたが巫女の存在を知らないわけがない。そしてその巫女であるシアがいたんですよ。変身魔法が使えるのなら容姿を変えて匿ってあげる筈ですよね?」

 「ですがそれは私が巫女の存在を知らないって可能性も捨てきれないですよ?」

 「なら、何故校長は魔王が学校に宣戦布告してきたとき、『あなたの目的は分かりました』なんて言ったんですかね?魔王が何故速めに動くのかあなたが知っていたからじゃないですか?じゃないとそんな言葉は出てこない筈です」(参照四十六話)

 俺はそこで一つ深呼吸して、

 「最後にあなたはエルフである。なのに何故人族を恨まないのか?恨んでいる筈です。なんせ急に自分達が不気味な存在と変わり、攻め込まれたんですよ?それで人族に恨みが無いエルフなんていない筈なんですよ。なのにあなたは平然と校長をしているなんて何か目的が無いと、ありえないでしょう」

 何故か校長は笑い出した。

 「ははははははは」

 「どうしてですか校長!私は絶対に違うと思っていたんですよ!」

 俺がこの事を昨日のセシリアが来る前に皆に話したのだが、最後まで校長は違うと言い張ったのはシアなのだ。

 だけど何とか説得させたが、私は校長は違うと思うから敢えてやると言うほどだった。

 「お見事ですよレイロード君。それでどうしてかって?」

 そこで校長の雰囲気が変わった。

 「人族の連中が私達エルフを急に呪われた一族というデマを流したからですよ!分からいでしょうね!以前冒険者だった時仲良くなった連中もその噂が流れた瞬間に態度を変えて邪見に扱い、国の為に魔物を倒して私に憧れているという騎士達も私を倒す方に行ったです!ふざけるなとしか言いようがない!私はあの追われる日々で決めたのです!いつか必ず復讐してやると。そう思い魔大陸で魔王に挑んだりと強敵と戦っている時に剣聖と邪神と出会い、私は強力することに決めたんです!」

 「......そんな」

 シアは本当に校長がここで裏切っていた事に気付いたようだ。

 「それにあなたは気付いていないようでしたが、あなたと同じ特別生である、ミレムさん。ザルダさんも私の協力者ですよ」

 「嘘です!あの二人はそんな人達じゃない!」

 シアは信じられない表情をしていた。

 「それがほんとなんですよ。ミレムさんは以前人族の男性に犯されそうになった所を私が助け、私に協力してくれる事になりました。ザルダさんは頭がいい。しかしザルダさんの親はそんなに頭がいい人たちでは無かった。そしてザルダさんは親からも周囲からも嫉妬で誰からも相手をされない相手でした。ザルダさんはただ親が頭もそこまでよくなくあまりいい仕事についていなくそんな二人を助けようと頑張って勉強をしようと思っただけだったのにですよ。だからこそそんなザルダさんを私が助けて協力してくれることになったんですよ。人族は酷いと思いませんか?」

 「......それは」

 シアはそれを聞いて何と返せばいいか分からないようだ。そんなシアの代わりにセシリアが前に出て答えた。

 「確かに人族は酷い連中だらけだ。だけどそんな中でもいい人たちはいる。それは校長をしていたあなたが一番分かってるんじゃないのか?」

 「全く分かりませんね。いらない人は消えてしまえばいいんです」

 校長はきっぱりとそう言った。

 「ああ。それとレイロード君も知らないようでしたが、もう一人いたんですよ?」

 「誰ですか?」

 「ウレイさんですよ。彼は邪神には誰にも勝てないと思っていましたからそれならば邪神が平和にしてくれると言うので協力してくれると言ってくれたんですよ。まあ、協力と言っても誰にも武器を作らないようにして欲しいという事でしたけど」

 ウレイさんが黒幕の一人だったか。それは知っている。

 「......俺の聞き間違いですかね?校長今いたって言いませんでした?」

 それに校長は笑顔で、

 「ええ。あってますよ。いたんですよ。私が殺しましたが。それもそうでしょう。ウレイさんは私達を裏切ってレイロード君に剣を作ってしまったんですから」

 「もう聞きたくないです!」

 シアはその場に座りこんで泣いてしまった。

 「あいつ、剣を作ったのか。それなら殺してもしょうがないな」

 剣聖は普通に死んで当然のように言うことに俺は信じられなかった。

 「ええ。それにミレムさん。ザルダさんも五年生ぐらいの頃でしょうか。いきなりもうやめたいと言い出したものですから口封じの為に」

 敢えて校長は殺したとは言わなかった。だけどシアはその言葉を聞いた瞬間に決意のこもった目で立ち上がり

 「あなたはお世話になった私が相手をします」

 巫女の姿になった全力のシアがいた。

 だからこそ俺はシアの肩に手を置いて、

 「大丈夫だ」

 俺はそう言ってあげるのだった。

 「あんな事言ってるがルドノフ大丈夫か?」

 「ええ。大丈夫ですよ。なんせシアとは戦いませんから」

 校長は笑顔でそう言い、隣にいる邪神と剣聖に向かって、巨大ファイアーボールを至近距離から放った。

 そして何事も無かったかのようにこちらに戻ってきた。

 「どうでした?私今回相当上手く出来た気がするんですが」

 「いやいや、全然ダメでしたよ。確かに上手い所もありましたけど何で敵の俺に対して君づけなんですよ」

 俺達は何事も無いように会話をした。それに他の全員は唖然とした表情で俺達を見ていた。そして一番最初にシアが代表して俺達に聞きたいであろうことを聞いた。

 「.......どういうことですか?」

 それに校長ではなく俺が返事をしてあげた。

 「ごめんシア。皆には黙ってたんだけど校長は味方だ。当然ウレイさん、ミレムさん。ザルダさんも生きてるよ」

 「え?ちょっと待ってください。校長は敵じゃないんですか?」

 シアは未だ戸惑っているようだった。

 「本当は元敵です」

 それに校長はシアに不適な笑顔で返すのだった。

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