チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第九十三話 戦いの最後の日

 俺達は既に準備は万端だった。

 俺の装備はマントを羽織るだけで、後は速さを重視して軽装備だ。

 メンバーは、俺、リリア、セシリア、マリー、シア、タマ、校長、アランだ。

 師匠と、ミレイアさんは何やら用事があるらしく、後々来るそうだ。

 「今邪神は魔大陸からこのムー大陸に向かっているらしい」

 そして戦いの舞台となるのが、俺の生まれ故郷の村のすぐ側だ。

 魔大陸からムー大陸に行くのに俺の生まれ故郷を通るのだ。まさか生まれ故郷で戦う羽目になるとは思わなかったけどこれで俺の最後の戦いになる。

 「それで邪神が俺の村を通り過ぎて、森を抜ける瞬間から戦闘が始まるからな」

 それに皆は頷いている。

 「校長も来て下さってありがとうございます」

 「いえいえ。こればっかりは私も戦わないわけにはいきませんから」

 そう言ってくれる。俺が朝早くに校長に頼んだら普通にオッケーしてもらえた。

 これでメンバーは揃った。増援も呼んである。後は戦って勝つだけだ。

 俺達は召喚魔法で行こうとすると、師匠とミレイアさんが来た。

 「どうしたんですか?」

 「いや。マリーにお願いがあってな」

 「私に?」

 マリーは心当たりがないのか不思議そうにしている。

 「ちょっとばかしジルドを借りていいか?」

 「はあ。別に構わないけどあの子誰にも緊張気味だから嫌がるならやめてよ」

 「分かってる」

 マリーは不思議そうにしながらも許可したようだ。ただ、ジルドを借りて何をしでかすのだろうか?

 まあ、俺は今はそれどころじゃない。これから戦いに行くのだから。

 「「お兄ちゃん」」

 そこにはココとロロ、それにアネットとレイシア、ジルドまでいた。

 「「頑張って来てね!」」

 「ああ。頑張る」

 二人はいつも通り息ぴったりにそう言った。いつも通り可愛くて自慢の双子の妹だ。

 「レイ君。それに皆も勝たなくても必ず生きて帰ってきてください」

 「分かってる。負けるつもりはないけどな」

 アネットは心配そうに言った。あの魔王との戦争の頃の事があるから仕方ないのかもしれない。

 そしてアネットはリリアの方を向いて、抱きついた。

 「必ず帰って来てね」

 「分かってるわよ。お母さんこそちゃんとご飯用意しといてよ」

 何だか二人の様子を見て微笑ましい気持ちになる。

 そしてレイシアとジルドが来た。

 「なにするのかわかんないけどがんばって!」

 「......がんばって」

 「ああ。帰ったら沢山遊んで、魔法も教えてあげるからな」

 「「うん」」

 二人は元気よく頷いた。今回はマリーとシアも反対しないようだ。

 「よし。行くぞ!」

 そして全員で俺達は召喚魔法で移動するのだった。

 「懐かしいわね」

 リリアがそう呟く。

 「ああ。本当に懐かしい」

 俺達の目の前には俺の冒険が始まる場所でもあった。

 俺達は少し森から離れた場所でその光景を見ていた。

 すると、俺達が見ていた目の前の森がいきなり凍った。

 「は?」

 俺はそう呟かずにはいられなかった。

 次にこちらにも伝わる程の強風が吹き荒れた。

 すると氷になった所全てが崩れ落ちた。

 そしてその氷が次に燃え尽きた。

 なんだ、この三コンボのような組み合わせは。

 すると、遠くに何千もの魔物がいる。

 おかしい。初めは千ぐらいの数と聞いていたんだけどな。

 明らかに違う。すると、空から一人の男性が飛んできた。邪神だ。

 「ほんとに俺に歯向かうのか?そのまま死んだ方が楽だぞ」

 邪神の恰好は以前と違い戦闘服なのだろう。マントを羽織り、その恰好は魔導士だ。

 「それはありえないな。もし死ぬにしてもあがいて死ぬ方がいいね」

 俺はそう言って剣を抜いた。

 「呆れたぞ。たったそんだけの数でこの三千にも及ぶ強者だらけの魔人を倒して挙句の果てに俺まで殺せると思ってるのか?」

 俺はそれに笑った。

 「誰が俺達だけだって?」

 「何?」

 俺達の後方から大勢の音が聞こえる。

 「レイさん!」

 その声と共に最初に到達したのはミラさんだ。

 「来てくれてありがとうござます。ミラさん」

 「いえ!レイさんの為ならば!」

 そして獣人達が沢山やって来た。

 その中には犬神と狼神もいる。

 「久々じゃな。戦争なんて」

 「そうだな。それに相手が最強と言われた邪神だからな」

 二匹はそんな会話をしながらもこれからの戦いを楽しみにしているようだった。

 「ミラさんには悪いですけどあの魔人を頼んでもいいですか?」

 「任せてください!」

 ミラさんもすでに戦闘モードだった。

 「なるほど。考えたな。だがこちらにも手駒はまだいる。俺が召喚した最強の魔物が二体いるんでな」

 邪神は俺の背後にいる獣人の人達を見ても未だ余裕の表情だ。

 だからこそ俺はその余裕の表情を崩してやりたかった。

 「それだけじゃないでしょ?まだいるんじゃないですか?」

 「何を言っているんだ?」

 邪神は平静を未だ保っている。

 「例えば後ろにいる『剣聖』とか」

 「は?」

 それはアランの声だった。

 「......どうして分かった?」

 そして邪神は驚きの表情になり、邪神のマントから剣聖が出てきた。

 「.......親父」

 アランは幽霊でも見ているような表情だった。だが、これで終わりじゃない。

 「まあ。待ってくださいよ。まだいるでしょう?」

 「これはどういうことでしょうか?冗談でも笑えないですよ?」

 アラン以外の全員が校長にそれぞれ武器を突き付ける。

 「校長。あんたが裏切り者の二人目だ」

「チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く