チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第九十話 リリア・セシリアVSレイロード

 「師匠、俺に自分の彼女と戦えって言うんですか?」

 それに師匠は頷いた。

 「お前の気持ちも分かるが、これは絶対にお前の為になる筈だ。それにあっちはやる気満々だぞ?」

 俺はリリアとセシリアの方を見ると、準備運動をしてやる気満々なのだ。

 やる気を出されても困るんだが。こっちはまだ心の準備が出来ていない。

 だが、リリア達に俺の気持ちが通じるわけも無く、

 「まあ、本当は私一人で戦いたいんだけど、先生の為だからしょうがないわね」

 「私だって一回一対一で戦ってみたいんだが」

 俺今日嫌な予感がするから戦いたくないんだよな。

 今日戦ったら俺ここで終わる可能性がある気がするんだが。

 だけどこれも必要なことだ。師匠は確かにドSだが必要のない事は絶対にしない人だ。

 だからこそ俺も準備をした。

 「それでは今から始めるぞ」

 ミレイアさんの言葉で今までの雰囲気が変わる。

 俺はすぐに地面を駆け抜けようとしたが、

 「うお!」

 俺の目の前にセシリアが放った風魔法の超級が落ちてきた。

 .......これって。

 俺はリリアの方も見てると片方の目が青く光っている。

 「眠れる者たち、今こそ復活し、踊れ、我に力を」

 俺はその聞いた事も無い詠唱で冷や汗が流れる。

 先程のセシリアの攻撃はどう見ても普通の風の超級じゃない。どう見てもシルフの力を使ったものだ。

 地面に大穴が空いてる。

 そしてリリアの周りには死者の軍団がいる。

 こいつら本気すぎる。

 俺も改めて気を引き締め、火魔法を纏った。

 「言っておくが本気でやらないと負けるぞレイ」

 俺は師匠の言葉に頷いた。

 「やっとストレスが発散できるわ」

 「ほんとにな」

 そんな二人の言葉に俺は身に覚えがあった。絶対シアのやつだ。多分この二人相当ストレスが溜まって俺で晴らそうとしてやがる。

 俺はこの二人が本気と分かって俺も真剣に駆け抜けた。

 セシリアの超級が俺に降り注ぐ。だが俺はその速さもあってギリギリで躱して更に距離を縮める。

 だがそこにはリリアによって呼び出された死者の軍団がいる。

 こいつらの相手をしてる場合じゃない。

 死者の軍団という事は絶対に倒しても蘇る筈だ。そんな相手をしていたらいつか負ける。

 俺は雷魔法を纏って死者の軍団の相手をせずに一気に駆け抜ける。

 「速いぞ!」

 セシリアの声にリリアは気を引き締めたのか魔法を放ってくる。

 だけど俺はそれを躱す。更にスピードを上げて距離を更に縮める。

 魔導士には接近戦にいけば勝ちだ。

 俺はセシリアの風魔法とリリアの攻撃を躱してまずは死者を操るリリアを先に倒す。

 俺はそう決め、リリアに剣を向ける。勿論剣は斬れない方を向けている。

 だが、そこで俺は勝ったと思った。それがいけなかった。

 リリアが笑ったのだ。俺が不思議に思ったその時に、

 「なっ!」

 俺はその瞬間にリリアに剣を躱され服を掴まれてぶん投げられた。

 そしてセシリアからシルフの超級が放たれ、リリアから火の超級を放たれる。

 まずい!俺はそう思って瞬時に足に風魔法を放って避ける。

 「レイ!後から!」

 それはセルミーの声だ。

 俺はその瞬間後ろから悪寒が走った。俺が後ろを振り返るとそこには死者でも先程までの死者とは違う雰囲気の奴が俺に剣を振ってきた。

 俺は咄嗟にガードしたがそいつの力が強く守り切れなかった。そのまま吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 すぐに立ち上がろうとしたのだが、そこは死者の軍団が俺に剣を向けている所だった。

 「参った」

 負けた。

 すぐに死者達は消えてセシリアとリリアが駆け付ける。

 「ごめん先生。少しやりすぎちゃった」

 「悪い。つい乗ってしまった」

 「いや。俺がリリアとセシリアを甘く見てたんだ。二人ともほんとに強くなったんだな」

 二人がこんなにも強くなってるとは思ってなかった。

 「まあ。今回はセシリアもいたから次は一対一で戦いましょ!」

 リリアが嬉しそうな表情をしていて俺も幸せな筈なんだけど何だか複雑だな。

 「私はもういいな。今回で満足した」

 セシリアは満足そうな顔をしていた。そんな顔を見て俺はまたしてもなんだが複雑な気分になってしまった。

 そんな俺達を見ながら師匠とミレイアさんが来た。

 「これが今のお前の実力だ。これじゃあ邪神なんて夢のまた夢だ。もっと厳しくするからな?」

 「はい!」

 俺の返事で終わるかと思いきや、

 「ちょっと、何だか私達が弱いみたいじゃない!」

 リリアが師匠に反論するのだ。それはいけない。師匠に反論するとほぼ勝てない。

 「違うぞ。お前らが邪神ぐらいの実力を持ってるからこれじゃあまだ勝てないって意味だったんだ」

 「そ、そうなの。中々見る目あるじゃない」

 リリアが急に褒められて驚いていた。だがそんな事を言う師匠ではない。

 「まあ、冗談なんだがな」

 笑いながらそう言う。こんな人なのだ。

 「ねえ。あいつぶっ飛ばしていい?」

 「やめとけ。気持ちは分かるがあれでも一応勇者だからな」

 リリアはミレイアに手をポキポキ鳴らしながら確認している。

 リリアがそんな事を言うのだがやめといた方がいい。俺もそれで何回もキレてぶっ飛ばそうとしたら返り討ちにあった。

 そんな感じで俺達の修行の一日が終わると思った。

 だけど、その日の夕方に、

 「大変ニャ!」

 タマとアネットが帰ってきた。

 「お前ら遅かったな」

 「そんな呑気な事を言ってる場合じゃないニャ!」

 そう言ってアネットが記事を見してくれる。この世界では新聞を記事と言うらしい。

 「......嘘だろ?」

 そこには、

 『剣聖アラン二世邪神に敗れ死亡。邪神は一カ月後にムー大陸に侵略すると宣言した』

 そんな記事が一面に書かれていた。

 俺はその記事に衝撃を受けずにはいられなかった。

 ~邪神視点~

 「ついに完成した。ようやくだ」

 三大最強達の心臓を触媒にしてついに死者を蘇す事に成功したのだ。

 「「お前が俺達を呼んだのか?」」

 「ああ。一緒に世界を乗っ取るぞ」

 そこには二匹の覇王がいるより、昔最強と呼ばれた魔物がいるのだった。

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