チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第八十八話 シアの秘密

 今俺達は家の中で集まっている。

 メンバーは俺とリリア、セシリア、マリー、タマ、アネット、ココ、ロロ、師匠、ミレイアさん、そしてシア、何故かレイシアがいる。

 ジルドはもう夜で寝ている。

 「それで何でレイシアまでいるんだ?」

 「この子も関係があるので」

 俺達はもう聞く態勢に入っている。

 後はシアが話すのを待つだけだ。

 だけど俺は初めに言っておかなきゃならない。

 「前にも言ったけど話したくなかったら話さなくてもいいんだぞ?」

 「いえ。もう隠し事は嫌だから話します」

 そう言ってシアは覚悟を決めて話してくれた。

 シアは巫女と言われる奴の二人の内の一人らしい。

 水色の髪が巫女の髪の色らしい。

 俺は今までを振り返っても青色の髪なら知ってるが水色の髪はシアとレイシアしか知らない。

 巫女の証拠になるのはもう一つある。今までの巫女の記憶がある。

 簡単に言うと、今までの巫女の記憶が受け継がれていくらしい。

 何故そんな事をすることが出来たのかは未だ不明。だけどこれは普通に言ってるが大変きつい事だと思う。

 よく考えたら、それは今まで巫女がどんな扱いを受けてきたかは分からないけど、良い思いをしなかったのだから
。そんな今までの巫女の記憶が入ってくるというのは言葉では何とでも言えるが相当きつい事だっただろう。

 だけど巫女はこの世界で誰にも負けない強さを持っているらしい。

 だから今までの巫女の人達は決りを決めているらしい。

 もし、現代の巫女がこの世界が腐っていると思ったら二人で力を合わせ世界を元通りにすると。

 だからこそ、そんな事が出来る巫女の力を欲していたのが魔王という事だったらしい。

 シアが魔法があんなにも使えたのも今までの巫女の記憶を受け継がれたときの記憶に魔法があったからだそうだ。

 「これで全てです」

 「いや、レイシアは何なんだ?」

 「そうでした。この子はもう一人の巫女が死んで次の器だと思います」

 俺はそれを聞いて一つ思い浮かぶ事があった。

 レイシアに魔法を教えたとき、レイシアは何か出来ると答えた。あれは今までの記憶から覚えているからだったのか。

 「てことは今ここには巫女が二人いるって事か」

 師匠がそう呟く。

 「それよりシアはどうやって今までばれずに生活出来たんニャ?」

 タマが不思議そうに言うが、確かに俺もそれは気になった。アンリさん達も探していたらしいし。そこでシアは微笑み、

 「こんな私を保護してくれたのが校長でした」

 「校長が?」

 「ええ。私はある村に住んでいたんですが、その村で唯一水色の髪をした私は不気味がられ、村で嫌われ者でした。そして私は七歳の頃にそんな村を一人で出て行きました」

 俺達はその答えにどうやって返せばいいか分からなかった。だけどシアは続けた。

 「だけど所詮は子供の考えでお金も持ってなくてご飯も無くて、私は野垂れ死にしそうでした。そんな時、校長のルドノフさんが私を助けてくれました。私はこの水色の髪が不気味では無いのかと聞いても自分もエルフで嫌われている存在だから同類だと言ってくれたんです。そんな校長がやってる学校に入りたくて勉強して、この学校に入ったら皆優しくていい人たちばかりだったんですよね」

 今話しているシアの顔は寂しいとうより幸せそうな顔をしていた。

 「おかあさんがなんだかしあわせそうなかおしてる」

 レイシアがそんな事を呟く。

 シアは嬉しそうな顔をして、

 「レイシア。私は幸せですよ。こんなにも素敵な人達と出会うことが出来たんですから」

 その日はその言葉と共に終わった。

 そして俺は自分の部屋に戻ると、セルミーが出てきた。

 「何か聞きたいことないの?」

 「何だよ急に」

 「私がいつからあなたの事見てたのかとか気にならないの?」

 そんな事か。

 「俺の予想ではあのゴブリン戦からみて、それからずっと見てきたんじゃないのか?」

 「そうよ。よく分かったわね。だけどあなたの力が足りないから私の声は聞こえないし」

 確かに最近聞こえてきたばっかだもんな。

 「それに関してはどうしようもないだろ」

 「そうなのよね。私ってずっと色んな人を見てきたけど、誰も私の事見れないし、誰も私の言葉も聞こえなかった。それに私は魔力の流れなんて分からないし、能力もいまいちだし」

 その表情は何処か悲しげだった。

 「......あなたは私と契約した事後悔してない?」

 セルミーは少し目に涙を溜め、不安そうな顔で聞いてくる。

 「はあ。あのな俺はもう後悔しない人生を過ごすって決めてるんだ。だからこそお前と契約した事も後悔してない」

 その言葉にセルミーは少し呆気にとられて微笑んだ。

 「それで慰めてるつもりなの?普通にお前と契約して良かったって言えばいいじゃない」

 俺自身慰めるのが得意じゃないのが分かってるから困る。

 「......うるせえな。解約するぞ」

 「残念。解約できません!」

 最後はそう言って笑顔で何処かに消えた。

 あんなにも明るそうなセルミーでも悩みはあるんだよな。俺はそう思わずにはいられなかった。

 それから寝ようと思ったらドアがノックされた。

 ......今日は忙しすぎるだろ。

 俺はそう思いつつも、

 「誰だ?入ってきていいぞ」

 「いっしょにねよ!」

 そう言って俺に抱きついてきたのはレイシアだった。だがその後ろにはシアもいた。

 「おう。いいぞ。今日はどうしたんだ?」

 俺は何かあったのかは分からないがシアがわざわざ来たのに理由がある気がした。

 「いえ。ただ眠れなくて」

 そう言うので俺達は三人で川の字で寝た。

 俺が真ん中で両サイドにシアとレイシアが寝ている。

 レイシアはもう疲れていたのかすぐに寝息が聞こえてきた。

 そんな中俺も疲れていて寝ようと思ってると、後ろからシアに抱きつかれた。

 だがシアにはこれからするとかそんな邪な感じのハグではない事は分かっている。ていうより横でレイシアがいるんだから出来るわけがない。期待なんてしてないから!

 「まだ何か悩んでるのか?」

 「悩んでるわけじゃないの。ただ安心したの」

 「安心?」

 「私ずっと思ってた。レイのお父さん達が死んだのも私がいたからじゃないかって。それに私は巫女で狙われている身なのにレイとこうしていていいのかって」

 シアはずっとそれで悩んでいたのだろう。確かに俺がその立場になってみたら責任は感じると思う。

 「魔王も言ったろ?人族に復讐する為に戦争を仕掛けたのが一番の狙いだって。確かにシアを狙ったのもあるかもしれないけど責任を負う必要はない。それに俺の親が死んだのも俺が弱いくせに挑んだからだ。シアが悪いわけじゃない。それにお前に俺が言ったんだぞ。シアがどんな悩みを持っていてもそれでも付き合ってくれって」

 俺はそこで一度息を整えて、

 「だからこれからも一緒に頑張ろうな」

 「......はい。喜んで。それで今日はこのまま寝ていいですか?」

 「構わないぞ」

 ほんとは我慢するのが大変だから勘弁して欲しいが今日ぐらい俺が頑張ろう。

 そして明日から始まる修行を頑張ると決意する。

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