チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第八十三話 レイロードの精霊

 「さあ何だろうな」

 俺はそう言い、地面を全力で蹴った。

 「は?」

 魔王の呆気にとられた声が聞こえた。俺は既に魔王の背後に走っていてすぐに剣を振ったが寸前の所で魔王が反応して致命傷には至らなかった。

 「......何なんだ。その速さは」

 魔王はそう言って警戒を強めた。こいつは完璧に一撃で仕留めないと再生能力がある為、すぐに回復させてしまう。

 今の攻撃もすぐに再生はしなかったがもう殆ど回復している。今ので仕留めきれなかったのはきついな。

 正直に言えば今回は最高に決まったと思った。それはこのウレイさんに作ってもらった剣のおかげでもあるんだろうな。

 この剣は俺にしっくりきすぎているぐらいだ。そんな剣ももらったんだ。

 負けるわけにはいかないよな。

 俺はもう一度地面を駆け抜ける。すぐに相手の背後を取るのではなく相手に見破れない速さで動き、今度は横から攻めた。

 だがそれは先程とは違い、殆ど傷をつけずに魔王は止めてしまった。かすり傷しか俺はつけることが出来なかった。

 どうする。魔王はもう雷纏いの攻撃に慣れてきてやがる。

 このままじゃ負ける可能性が高くなる。俺は体力温存も考えて一度雷纏いを解く。

 「今ので終わりか?」

 「いや、これからだ」

 俺は次に火を纏い、魔王に突撃した。

 「パワーは上がったがスピードが落ちすぎだな」

 そう言って簡単に受け止める魔王。

 魔王は剣を破壊する技量がある。

 このまま打ち合うのは厳しい。

 俺はすぐに退避した。だがこのままじゃやられる。やっぱりあれで決着がつけなかったのがきついんだよな。

 だけどこのまま降参するわけにもいかない。

 「しょうがないわね」

 そんな声が聞こえた。

 俺は咄嗟にその声の主を見た。

 そこには今まで見えなかった筈の黒い小人がいた。

 「どうしたニャ?」

 タマが不思議そうに聞いてくる。ということはタマには見えていないってことだ。

 俺はこれが誰か分かった。

 「精霊か?」

 「そうよ。私は最古の精霊と言われているセルミーよ」

 セルミーと言われた最古の精霊は黒い小人であり、何やら明るいイメージだ。

 だが、俺と精霊が話している所を邪魔しない魔王ではない。

 「何を独り言を喋ってるのか知らないが油断してるな」

 「もう油断はしないって決めてるんでね」

 俺は攻めてくる魔王を何とか止める。

 「ちょっと!私と契約しないの?」

 「お前。この状況でどうやったらそれが出来るのか教えてくれ」

 俺はセルミーのアホな発言を流しながら魔王の攻撃を何とか回避する。

 「はあ」

 セルミーはため息をついたと思ったら魔王の動きが止まった。

 「は?」

 「これでゆっくり話せるわね」

 セルミーは何事も無かったかのように微笑んだ。

 「お前何やったんだ?」

 「時間をとめたのよ。けどあなたも意識はあるけど手足は動かないと思うけど」

 俺はそう言われて手足を動かそうとしたけど金縛りにあっているかのように動かない。

 何だか不気味だな。周りは全く止まって動かない。

 最古の精霊何でもありかよ。

 「それでここまでして何がしたいんだ?」

 「折角話せるんだからゆっくり話しましょうよ」

 「今はそんな事をしてる場合じゃないだろ。契約ってなんだ?」

 「ならこれが終わったら話すからね。契約は私の力をあなたに貸してあげる。その代わり私を一緒に過ごす事を許可して欲しい」

 「まずその力は?」

 「それはリミッター解除よ」

 「何それ?」

 「あなたゾーンって知らない?」

 何だかその言葉は聞いた事がある気がする。

 俺が思い出そうとしていたらセルミ―が説明してくれた。

 「ゾーンは極限の集中状態の事。あなたもそれを体感したことがある筈よ」

 「え?いつ?」

 「ゴブリン戦の時」

 こいつ。俺の事どれだけ知ってんだよ。イルイラと同じぐらいのストーカーだろ。

 けど確かに俺はゴブリン戦の頃段々と剣を振るスピードが速くなった気がする。あれがそうなのか。

 「それでそのゾーンがどうしたんだ?」

 「私はそのゾーンにいつでも入れるようにする事が出来るの。ただ」

 「ただ?」

 何だかそこでセルミ―が戸惑う。

 「え、えーと。デメリットがちょっときついの」

 「何それ?」

 「例えばリミッター解除をしても元々弱い人には殆ど効果はなしい、、それを使用しすぎると、当分の間動けなくなるわ」

 そのデメリットは俺には正直どうでもいいんだよな。問題は何で俺に力を貸してくれるかだ。

 「お前は何で俺に力を貸してくれるんだ?」

 これが重要だ。これで俺の実力に関係なく気に入ってもらったりしたら絶対に力は貸してもらわない。

 「それはゴブリン戦からあなたの事をずっと見てきて気に入ったからよ」

 「要するに俺の戦いを見て気に入ってくれたのか?」

 「そうよ。精霊って大抵強い人が好きだから。けど私の場合はあなたのような弱そうだけど頑張ってる人が好きなの」

 ......俺って告白されてんの?違うよな。分かってたよ。

 「.....そうか。それならいいんだ」

 「契約してくれるの!?」

 「ああ。いいぞ。お前がこれでただ顔が好みとか、変な気配を感じたとかだったらしなかったけどな」

 「大丈夫よ。顔は好みじゃないから」

 ......こいつと契約しないでいい気がしてきた。

 だが気にしても駄目だ。

 「なら俺と契約しよう。セルミー」

 「ええ。これからよろしく。レイロード」

 そして時は戻り、身体も動く。

 ここからが本番だ。

 「行くぞセルミー」

 「ええ」

 俺達は互いに頷きあい、

 「リミッター解除」

 俺がそれを唱えると、身体に異変が起きた。

 体がもの凄く軽い。今ならジャンプしたら空を飛べる程だ。

 「お前一体何をした?」

 「リミッター解除だ。これからが本番だ。ラバーナ」

 今から俺と魔王ラバーナの勝負が始まる。

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