チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第六十四話 獣人の神々

「ご主人様。さっきからどうしたのニャ?」

 タマがこちらを覗きながら言う。

 「いや。何でもないよ」

 俺は誤魔化した。

 本当は何でもなくはない。

 リリアの母親がアネットという事実を受け止めきれていない。

 アネットは獣人の筈だ。

 一体どういう事なのか。

 一つだけ分かるのは、アネットが俺や皆に隠し事をしているって事だ。しかも重要な。

 そんな風に考えていると、獣人の森に着いた。

 「じゃあ私は用事があるから、ご主人様は適当にブラブラしといてニャー」

 そう言って何処かに行ってしまった。

 ......あいつ。自分で付いて来いって言っておきながら放置かよ。

 だが、良かった。

 俺もちょっと考えたい事もあるし。

 そう思いながら、獣人の村らしき所に入ると皆から警戒の目で見られる。

 それもそうだ。

 俺がタマを召喚した事は、知れ渡っているんだから警戒されない訳がない。

 「すいません。ちょっとブラブラしてきます」

 俺はミラさんにそう言って村ではなく、森に入った。

 あれ程の視線に耐え切れなかった。

 俺は適当に森の中で座った。

 ダメだ。全く頭から離れない。

 こういう時は寝るしかない。

 俺はそう思い、森の中で寝るのだった。

 俺が寝て、何時間経ったのだろうか。

 すっかり寝てしまっていたようだ。

 俺はそう思い、起き上がろうとすると、何か俺の肩に乗っている気がする。

 そこにいたのは、ミラさんだった。

 .......え?

 俺は突然の事に動揺を隠しきれない。

 何で俺の肩で寝ているんですかね。

 嬉しいんだけど、どうしたらいいか困る。

 「あの......。ミラさん?」

 俺が少し肩を揺らすとすぐに目を覚ました。

 「おっと、寝てしまいました」

 そう言って立ち上がった。

 「何してるんですか?」

 「あなたこそ何やってるんですか?ここは森ですよ。魔物は普通に通れるんですからこんな所で寝たら危ないですよ」

 それをあんたが言うのか。

 俺は心の中で突っ込む。

 「俺はちょっと休息をしようと」

 「嘘ですよね」

 すぐに見破られてしまった。

 ちょっと待てよ。

 ならここにミラさんがいるのは.....。

 「もしかして心配して来てくれたんですか?」

 「勘違いしないでくださいね。あなたと明日勝負するのに魔物にやられて決着がつかないのが嫌なだけですから」

 これは皆が見ると、ツンデレかと思うかもしれないが、ミラさんは真顔で言うから、全くデレがないと言っていい。

 けど、心配して来てくれたことに変わりはない。

 「ありがとうございます」

 俺がお礼を言うと、ミラさんはため息をついて、座り直した。

 「それでどうしたんですか?森に入ってからずっと変でしたけど」

 俺はミラさんに相談するか迷った。

 けどこのままずっと考えるぐらいなら、相談しよう。

 「これは絶対に誰にも言わないでくださいね」

 ミラさんが頷いた事で、俺はアネットの事について話した。

 「そういうことだったんですか」

 ミラさんはそう呟いて、考えるような仕草をする。

 「それで何に悩んでいるんですか?」

 「悩んでいるというか何でアネットはそんな大事なことを黙っているのかなと」

 「それは喋らないといけない事なんですか?」

 「そりゃあ、大事なことですし」

 これは黙っていいものではない。

 「確かにそうかもしれませんけど、その人も言えなかったんじゃないですか?誰にだって言いたくない事の一つぐらいあるんじゃないですか?」

 俺はその言葉と近い事を以前聞いた気がする。

 ......そうだ。

 俺がシアに告白する時に言ったんじゃないか。

 誰にだって秘密の一つや二つぐらいある。

 俺だって誰にも言ってない事もある。

 それなのに俺がアネットを責めることが出来るだろうか。

 出来ないだろうな。

 それにこれはリリアが帰ってきたら、二人で話し合うべき事なんだ。

 俺が口を出していい事じゃない。

 「ありがとうございますミラさん。おかげで気分がすっきりしました」

 それから、俺達はタマを探した。

 寝ていたし、そろそろ帰ってくるはずなんだけどな。

 俺はそう思いながら村を探していると、

 「もしかして、犬神様と狼神様と会っているんじゃないでしょうか」

 ミラさんがそう言うので俺とミラさんは犬神達がいる場所に行くことにした。

 そこにタマはいた。

 その隣には、犬と狼?というか耳が長いホワイトタイガーのような小さい動物がいる。

 「おい。タマまだ終わらないのか?」

 「あ。ご主人様。もう終わって今は雑談ニャ」

 「ていうか、そいつら誰?」

 まさか、目の前にいる奴が神様じゃあるまいし。

 俺がそう言うと、ミラさんに頭を叩かれた。

 「犬神様と狼神様に向かって、そいつらとは何ですか!」

 ......まさかこいつらが神様なのか?

 だって、犬の方は柴犬で、狼の方は小さいホワイトタイガーだぞ?

 どう見ても、神様には見えないんだが。

 「中々失礼な事を考えておるの」

 柴犬とは思えない威厳のある声で話す犬神。

 「俺の考えていることが分かるのか?」

 犬神は頷いた。

 なるほど。こりゃあ神様だ。

 人の考えていることが分かるなんて普通分からない。

 「じゃあ、そっちの狼の方は?」

 「様を付けろ!」

 ミラさんの声が聞こえるが、狼神は気にしてないように話してくれた。

「俺は耳がいいんだ。ここに襲いに来そうな魔物の音は絶対に見逃さない程のな」

 ただ、耳が長いだけかと思ったが違うらしい。

 なるほど。やはり神と言われるだけあって、皆特殊能力はあるらしい。

 「そろそろ帰るニャ」

 タマはそう言って俺の隣に来た。

 「お前さんが羨ましいな。俺も狼神じゃなかったら一緒に行きたかったんだけどな」

 狼神が羨ましそうに言う。

 俺もこいつを連れて行きたいんだが。

 「役目が無くなったら一緒に何処か行きましょう」

 「駄目に決まってるじゃないですか!?」

 ミラさんの叫びが耳に響く。

 「はっはっは。そうだな。役目が終わればだけどな」

 そんな意味深なことを呟くのだった。

 俺達はそれから森を抜けるところまで、ミラさんが見送りに来てくれた。

 「ありがとうございました」

 俺はそれから宿に帰ろうとしたが、ミラさんに止められた。

 「あなたの事は正直もう認めています」

 急にそんな事を言われると恥ずかしいんだけど。

 「だけど、明日の試合は別です。猫神様を守れるだけの力があるのかもしれませんが、明日の試合であなたに勝って猫神様を連れ帰ります」

 「俺がそんなことさせませんよ」

 すると、ミラさんが手を差し出した。

 俺はその手で気付いてしまった。

 「ミラさん。そんなにお腹が空いてたんですか?」

 俺はポケットにタマの餌を用意していたが、それが欲しいのだろう。

 「違いますよ!握手ですよ!」

 ああ。そういうことか。

 俺の事を認めてくれるっていう証明なんだろうな。

 俺もその手を握り返した。

 「明日はいい勝負にしましょう」

 「ええ。どっちが勝っても恨みっこなしですよ」

 俺は明日が楽しみでしょうがない。

 そうして宿に戻るのだった。

 ~翌日~

 本選がもうすぐ始まる。

 本選では、自分の持っている武器を使う。

 その代わり、殺しては不合格。

 自分の武器を本選で使うのも、本選に出るだけの力がある人は、殺さずに勝つことが出来るだろうとの事で、使用できる。

 対戦は俺とミラさん。

 そして、フード同士で戦う事になっている。

 この戦いは一日で戦う為、準決勝では温存して戦う人がいるらしいが、俺の相手はミラさんだ。

 そんな余裕はないだろう。

 俺とミラさんが会場でそれぞれの武器を構える。

 俺は剣で、ミラさんが槍だ。

 試合開始の合図が聞こえようとした所で、晴れの筈なのに空が暗くなった。

 俺は上空を見上げる。

 他の人も上空を見るが誰一人声をあげることが出来なかった。

 そこにはドラゴンが三体と一人でが乗っていた。

 そして会場にドラゴンが降り立った。

 だが、その勢いで、会場はめちゃくちゃだ。

 一体なんだ。

 俺がそう思っていると、その三体のドラゴンは人の姿になった。

 その内のドラゴンの一人は何処かに行った。

 ......こいつらもしかして龍人か?

 俺がそう思うと、その場にいる三人のうち、一人が叫んだ。

 「我らの巫女を殺した奴を知っている者は今すぐでてこい!」

 この日から少しずつ世界が変わり始める。

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