チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第六十二話 予選

 闘技場。

 それは世界中の強者が集結し、自分の強さを見せびらかすというものだ。

 それに加え、優勝者には賞金百万円が貰えるらしい。

 この闘技場のルールは、殺人は駄目なので、初戦は木で作られた武器を使用するということ。

 魔法は殺さないのであれば何でもオッケーらしい。

 武器は闘技場の人が、渡すものを使う。

 そして、場外でも負けだ。

 予選があり、A、B、C、Dブロックのバトルロワイヤル、そこで勝ち残った四人で一対一の個人戦で、準決勝、決勝と行うものらしい。

 予選と本選は一日空きで行われるらしい。

 俺はAブロックで、今は控室にいる。

 タマは入れないので、観客席で見守るらしい。

 「レイロードさん」

 そう言って近づいたのは、ミラさんだ。

 だが、俺はそこで挨拶が出来なかった。

 「.......何ですか。その服装は」

 ミラさんは以前とは違い大分布面積の少ない服を着ている。

 ズボンではなく、ミニスカートだし。

 「これですか?獣人の戦闘服ですよ。獣人は好きな人がいない限りこの服装で戦うものなんですよ」

 「ああ。そうなんですか」

 ミラさんは美人でその服装もあって、周りの人達も目が釘付けだ。

 「それよりも今回リタイアをした方がいいと思います」

 「どうしてですか?」

 「私達三獣士がいるに決まっているからです。それに猫神様に帰っていただく為に他の獣人もちらほらいるでしょう」

 そう言われたら、獣人の数が多いような。

 だからと言って、リタイアするつもりはない。

 「まあ。リタイアはしませんよ。俺にとってタマは必要な存在ですから」

 「ならば私達も本気で行くので覚悟しておいてください」

 ミラさんはそう言って、何処かに行ってしまった。

 だが、俺がミラさんが見えなくなるまで見ていると体に悪寒が走った。

 もしかしたら、遠くからマリーとシアが感づいているのかもしれない。

 そんな事があるはずもないが気を付けよう。

 俺はそれから改めて、周りを見ると強そうな連中だらけだが、その中でも強いオーラが出ているフードを被った二人組がいる。

 あれは、他の奴らとは別格だな。

 あの二人が、予選で当たらい事を願うまでだ。

 俺はそう思いながら、予選まで落ち着いて周りの連中を観察した。

 「Aブロックの皆さん予選開始ですので会場に集まってください」

 受付の人に言われ、俺達は会場に行く前に受付の人に剣を貰う。

 そして、何か仕込んでないかボディーチェックをされ会場に入る。

 そこには学校の練習場より広く、見に来ている人が大勢いる。

 だが、何故か緊張はしなかった。

 そりゃあ殺されるわけじゃないんだもんな。

 戦争に比べたらぬるいもんだ。

 俺は、そう思いながら剣を構えはしない。

 何故なら、無駄な体力を使わない為だ。

 どれだけ体力を温存できるかが大事な筈だ。

 獣人の奴らが、何人もいるな。

 狼人、猫人、犬人もいる。

 獣人は他の奴らを見ていない。俺だけに目が釘付けだった。

 だが俺が剣を構えていない事に不思議そうにしながらも警戒している。

 あのフードの連中はいない、それにミラさんの姿も見えない。

 なので安全は筈だ。

 「それでは試合初め!」

 実況の声と共に試合が始まった。

 俺は試合開始の合図と共に自分の周りに水の上級で会場を濡らす。

 そして、俺は自分の周りに土魔法の上級で体を守る。

 それが出来たら、初見殺しと名付けた雷魔法を会場に放つ。

 だが殺したら駄目なので、威力はほぼ最小限だ。

 だが、俺は土魔法でくるまっているので、会場が見えない為、誰かに当たるかもしれないがそれは許してくれ。

 俺は心の中でそう謝りながら、土魔法を解くと会場は感電して、全員金魚のようにピクピクしている。

 その中でも一人ちょっと焦げている人がいるのは、俺のライトニングが当たってしまったのだろう。

 会場にいる人達は、何が起きているのか分からない様子だ。

 実況が何とか意識を取り戻し、

 「し、試合終了です!何が起きたのか全く分かりませんが試合終了です」

 すると、会場も意識を取り戻したかのように歓声が沸いた。

 俺はそれを聞きながら会場を下りた。

 Aブロックではない選手は戦闘の邪魔にならない場所で見ることが出来る。

 試合を見ていた人達が俺を見るが気にしないでおく。

 そのまま控室に向かった。

 そういえば、三獣士は何処のブロック何だろう。

 本当はAブロックに三獣士の犬人がいたことをレイロードは後ほど聞かされるのだった。

 俺が速めに終わらせた理由は二つある。

 一つは温存。

 二つ目は、ミラさんの戦いを見る為だ。

 ミラさんは、Bブロックの為次だ。

 どんな戦いをするのか楽しみで早く終わらせた。

 決して、ミラさんが戦った時にスカートの中が見えるから早く終わらせたわけじゃない。

 俺は自分自身に言い訳をして、次の試合を見る。

 Bブロックではミラさん以外、強そうな人物はいない。

 あのフードの連中もいないしな。

 俺の言う通り、ミラさんが木の槍を使い、どんどん数を減らしていく。

 この服での戦い方を分かっているのかスカートがめくれることもなく、Bブロックはミラさんの勝利で終わった。

 俺が残念そうにすると、又しても身体に悪寒が走る。

 やはり悪い事を考えると、マリー達にばれるらしい。

 俺は、心を入れ替え、次の試合を見る。

 そこで、隣にミラさんが来た。

 「猫神様があなたが強いということは本当だったんですね」

 「いや。まだまだです。これから更に強くなるつもりです」

 これは謙遜ではない。

 俺はまだまだ強くならないといけない。

 そうでないと、魔王には勝てない。

 「そういえば、なんでタマは獣人の森に帰らないといけないんですか?」

 俺はこれがずっと気になっていた。

 もしも、タマには何か役目があるのであれば、流石に返さないといけない気がする。

 「猫神様が猫人の神と言われているからです」

 「それだけですか?」

 「そうですけど」

 これは返さなくていいやつだ。

 俺は改めてそう思った。

 それから、俺とミラさんはCブロックの試合を見ることにした。

 そこにはフードを被った人が一人いる。

 ようやく出るのか。

 俺はそう思いながら試合が始まった。

 だが、結果は一瞬だった。

 「ま、又しても一瞬で決着がつきました!」

 実況の人はもう慣れたのか、普通に実況をしている。

 勝者は、フードを被った人だった。

 土魔法の超級を使い、全員の目の前に土の槍を突き出し、降参させた。

 ミラさんは呆然とその光景を見ていた。

 だが、俺も凄くて何も言えない。

 特にあのコントロールだ。

 何本もの超級はコントロールが難しいのに、それを精密にコントロールしている。

 あれは、本当にやばいな。

 俺は改めて気を引き締めた。

 「今回って凄いんですか?」

 俺がミラさんに聞くと、

 「当たり前じゃないですか!こんなの前代未聞だと思います。二回も瞬殺で終わるなんて」

 「やはりそうなんですね」

 「その一回をしたのを自分でやった事忘れてませんか?」

 そんなツッコミがありながらも試合は続く。

 次はラストのDブロックだ。

 「見ていてください。あれが三獣士の一人、狼人です」

 そう言って、指さす場所には狼人の屈強な男がいた。

 あの人も強そうだな。

 俺はそう思うも、もう一人フードを被った人がいるから勝敗は分からない。

 これは面白くなりそうだなと思い、ミラさんと話をしながら、試合を見ていると、

 「あーーーーーーーーーー!」

 何故か会場でそんな叫び声が聞こえたと同時に強力な風が発生した。

 俺達は離れていてこの強さだ。

 会場にいる人達は一人を残して全員場外で壁にめり込んでいる人もいる。

 残ったのはフードを被った人だ。

 「またしても瞬殺です!これは本選でどうなるのか!明後日の試合を楽しみにしてください!」

 実況のそんな言葉で試合は終了した。

 フードを被った人は、何事も無かったように会場を後にした。

 「......一体今回の闘技場はどうなってるんですか」

 ミラさんのその言葉と共に今回はお開きとなった。

 それから、ミラさんとタマを待った。

 「待たせたニャ」

 そう言って、戻ってきた。

 「こちらは待たされて当然です。猫神様なんですからご自由に」

 「その堅苦しさをいい加減辞めて欲しいニャ」

 タマは呆れながらも、俺の方を見た。

 「確か、闘技場は明日は休みニャ?」

 俺とミラさんは頷く。

 「なら獣人の森に行くニャー」

 それにミラさんは顔を喜びに変える。

 「戻ってきてくださるんですか!?」

 「違うニャ。用事があるニャ」

 その言葉にミラさんはがっくりとしたが気を取り直して連れて行くようだ。

 「俺はどうしたらいい?」

 「ついてくるに決まってるニャ」

 その言葉に俺もついて行くことが決定した。

 ~翌日~

 俺達の宿に、ミラさんが迎えに来て、一緒に森に向かった。

 ミラさんは以前のような恰好ではなく、可愛らしいワンピースの服装だった。

 そんなミラさんに案内されながら森の前まで向かった。

 それからミラさんが森に入ったので俺も入ろうとした所で、

 「あっ!ちょっと待つニャ!」

 タマのそんな声が聞こえるが、俺は森に足を踏み入れた瞬間死ぬのだった。

 俺が次に目を覚ますとそこは暗闇だった。

 だが目の前にいる人物が、ランタンを持っていた為、その人物は見える。

 「久しいな」

 そこにいたのは俺の生まれ故郷の村長であり、死んだ筈のアスロさんがいた。

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