チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第五十七話 リリア・セシリア修行

 「そのルドノフという人にはどんな魔法を教えて貰ったんですか?」

 私は聞いてみた。

 「魔法を圧縮させて放つものとか色々だけど、そんなに期待しないでおくれよ」

 そう言うが、期待しないわけにはいかなかった。

 なんせ、圧縮させて放つ魔法なんて聞いた事が無かった。

 なので、早速魔法の修行を始めることになった。

 まず、始めたのは瞑想だ。

 「何で瞑想をするんですか?」

 私は、てっきり早速圧縮させる魔法を教えて貰えるのかと思った。

 「これをして心を無心にするんだ。これをする理由は、戦闘の時にいらない情報を省いて戦闘にだけに集中できるようにする為のものよ。じゃあ手始めに一分間無心でいるんだ」

 なるほど。

 それを聞いてみると、確かに必要不可欠な気がする。

 私とセシリアは早速やってみた。

 だが、中々無心と言いうのは難しい。

 こうやって目を閉じると、先生の顔が思い浮かぶ。

 二人で色んな所をデートして、色んな見たこともない所で浮かれて遊んだり、また田舎者だねって言う声を聴いて、恥ずかしくなって少し大人しくなりながらも、二人で手をつないで、仲良く色んな所を見て回るのが思い浮かぶ。

 ~セシリアの場合~

 レイと一緒に、デートして、レイが恥ずかしがりながらも私の手を握って、一緒に街を歩いて、夜には景色を見たり、ご飯を食べながら、笑い合ったりして、夜には......

 ~リリア視点~

 私が、そんな妄想をしていると、

 「「痛い!」」

 私とセシリアは頭を叩かれた。

 「あんたら、真面目にする気あるの?」

 「あるに決まっているだろう!」

 セシリアが反論する。

 「じゃあ、どうして瞑想中に顔が二人共幸せそうに笑顔になってるのよ!妄想するんじゃなくて、心を無心にするのよ!?」

 それに、私達は何も言い返せなかった。

 多分顔がにやけてただろうし。

 「何か無心になれるコツとかないんですか?」

 このままだとまた妄想で終わってしまいそうだ。

 「そんなものないわ」

 「なら、母はどうやってこれが出来るようになったんだ?」

 確かにその通りだ。

 「心を無心にするってことは、そう簡単にできるものじゃないわ。だからこそ何回もやるのよ」

 反復練習ということね。

 だけど、私はそれが一番苦手だ。

 だけどやるしかない。

 先生に追いつく為にも。

 「もう一回やらせてください」

 私がそう言うと、セシリアも頷き、それから、一日に三回それをやる事に決まった。

 瞑想が終わったら、現在どれだけの魔法が使えるのかを確認をして、今日は終わった。

 ちなみにミレイアさんも無詠唱が使えるようで、私達が使っても驚いていなかった。

 それから、三人で食事をし、家の空いている部屋にセシリアと私を泊まらせてくれることになった。

 セシリアが、寝ている事を確認した私は、リビングに行くと、やはり起きていたミレイアさんがいた。

 「どうしたんだい?寝れなかったかい?」

    ミレイアさんは、編み物をしているようだ。

 「そうじゃないの。聞きたい事があって」

 「聞きたいこと?」

 「どうして、私達に魔法を教えてくれることになったの?」

 私は、あの時不思議に思った。

 「ああ。あんた達が私と同じだったからだよ」

 「同じ?」

 「私も昔あなた達と同じ理由で追いつきたくて弟子にして貰ったのよ」

 それから、ミレイアさんは昔話をしてくれた。

 ミレイアさんが、勇者パーティーにいた頃、一人のパーティーメンバーが死んでしまったらしい。

 だからこそ、今度こそ、パーティーメンバーが死なないように。

 その中でも強かった勇者と同じぐらいの強さを手に入れて、皆を守る為に。

 そして、二年間ルドノフという人の弟子となって強くなったそうだ。

 「すいません。変な事を聞いたみたいで」

 「気にするんじゃないよ。私はあんたに感謝しているからこそ話したんだ」

 「感謝?」

 私は、感謝なんかされる覚えはない筈だ。

 「娘の事だよ」

 「セシリアの事?」

 「そうだよ。あの子は、昔から、不愛想で、友達なんていなかったのさ。それに昔から、人族に復讐の事しか考えてなかったもんだったんだよ」

 私は今のセシリアとは別人としか思えない。

 今なんて先生の事を話すときなんて毎回顔を真っ赤にしているし。

 「あの子の事はずっと心配だったけど、これで一安心だよ」

 「もし、セシリアが変わったのなら、それは先生のおかげですよ」

 「先生?」

 ミレイアさんは、不思議そうな顔をしていたので、私は先生について、話した。

 「......そうか。人族にもそんな人がまたいたんだね」

 ミレイアさんは、嬉しそうな顔をしている。

 「怒らないんですか?先生は彼女が二人いるのに」

 普通なら怒ってもいい筈だ。

 「あの子は結婚出来るとは思っていなかったからね。そんなにいい人なら、きっとセシリアも幸せにしてくれる筈だよ」

 この人は、セシリアの事を本当に大事に思っている優しい人なんだな、そう思った。

 「あの、一つ聞きたいんですけど、修行するなら何年ぐらいで、先生と対等な存在になれるにはどれだけの期間が必要ですかね?」

 これは、一番私が気になっていることだ。

 これで、私がどれだけの間、先生と会えないのか決まる。

 「そうだね。その子の実力をさっき聞いた感じだと、更に強くなっていると思うから、私の全てを教えるとして、七年ぐらいだな」

 七年。それまで先生と会えないのはきつい。

 だけど、先生なら待ってくれる気がする。

 「じゃあ、六年で終わらせてみせます」

 待っていてくれる気はするけど、私が待てない。

 だからこそ、頑張る。

 「明日からよろしくお願いしますね、師匠」

 私は、この人を師匠と呼ぶことに決めた。

 「弟子と呼べるだけの存在になれるか楽しみだよ」

 ミレイアさんは、試すような目線を向けてきた。

 「師匠が、私が弟子だと自慢出来る存在になってみせますよ」

 私は、そう言い、部屋に戻り明日からの修行に励むのだった。

 その後、リリアとセシリアは、恋の力だろうか。

 修行を五年で終わらせてしまうのだった。

 

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