チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第五十五話 レイロードVSオリド

 俺がそう提案すると、真っ先にタマに否定される。

 「ご主人様って馬鹿なの?魔王に負けたのに、魔王を追い詰めたオリドに勝てるわけないニャー」

 タマの最もな正論に俺は何も言い返す術をもっていない。

 だけど、これからの為にもやる必要はある。

 「いいぞ。手助けしてやるって言ったばかりだしな。付いて来い」

 オリドさんがそう言って立ち上がったので、俺達も立ち上がり付いていった。

 俺達が、来たのは誰もいない荒野だった。

 「どうしてここなんですか?村の近くでもいいんじゃ」

 「お前さんは、魔法も使うからな。森が火事にでもなったら、たまったもんじゃないからな」

 なるほど。そういうことか。

 「本当にご主人様やるの?」

 タマが心配そうに聞いてくる。

 「大丈夫だって。勝ってみせるから」

 俺は、そう言いライドさんと向き合う。

 「ルールはどうしますか?」

 「なんでもありでいいだろう」

 ルールはいいのだが、俺は一つ気になった。

 「あの、なんでオリドさん、剣を反対にして持ってるんですか?」

 剣の刃を反対にするという事は、斬れないという事だ。

 「そうしないと、お前が死んでしまうだろ?」

 ......こいつ絶対後で後悔させる。

 俺は、心にそう誓う。

 俺も剣を構え、火魔法を纏う。

 「いきます」

 俺は、そう伝え、オリドさんに突撃する。

 剣を横からオリドさんに振る。

 だが、剣で受け止められる。

 これで終わりでない。剣をそれから縦に、あるいは斜めから斬りつける。

 だが、全て防がれる。

 多分、精霊の加護で身体を強化しているのだろう。

 今回は、魔法を使うか迷ってしまう。

 なんせ、俺も強くなり、魔法で殺してしまう事もある。

 そんな俺の気持ちが分かったのか、

 「お前の魔法など、どうとでもなるから本気でこい」

 オリドさんがそう言った。

 決めた。

 .......こいつ絶対泣いて参りましたって言わせてやる。

 俺はそう決めて、遠慮なく魔法を使う。

 片手で剣を振り、もう片方で水の中級を放つ。

 それでも、オリドさんには当たらない。

 剣は弾かれ、魔法は身体を避けて躱す。

 全く当たる気がしない。

 だけど、やるしかない。

 今回の勝負を挑んだ理由は、三大最強まで、どれだけの実力差があるのかを知りたかったからだ。

 それに、魔王を追い詰めたオリドさんとの戦闘で学ぶ事も出来るだろう。

 あわよくば勝ちたかったが、勝てる気がしない。

 けど、やれるだけやってやる! 

 俺は、一度オリドさんから離れ、水魔法の上級を使い、オリドさんを囲む。

 だが、魔王と同じく剣で魔法を斬られる。

 魔王の時も思ったがどうやって魔法を斬るって反則だろ......。

 そんな疑問が浮かんで来るが、それどころではない。

 俺は、すぐに雷魔法をオリドさんに落とした。

 これは、魔王でも食らった技だ。

 直撃したのかと思ったが、そうではなかった。

 オリドさんは土魔法の上級を自分の上に作り、防いでいた。

 ......これは、想像以上に強いな。

 まさか、初見の魔法までも防がれるとは思っていなかった。

 「今のは少し驚いたぞ」

 オリドさんは、そう言いながら俺に突撃する。

 俺は、急いで剣を構えなおし、オリドさんの攻撃を跳ね返そうとする。

 だが、剣が速すぎる。

 俺は、防戦しか出来ない。

 「一つ言っておくが、俺は魔王よりも弱いと思うぞ」

 戦闘中にそんな事を言ってきた。

 俺が、魔王との差を今回の模擬戦で計ろうとしていた事はバレバレだったらしい。

 「なんせ相手は本気じゃなかったしな」

 それは分かっている。

 「だけど、オリドさんも本気じゃなかったんじゃ」

 「俺は相手にそう思わせるように戦っただけだ。もしあそこで魔王が逃げなければもしかしたら全滅もあり得たな」

 魔王も凄いが、オリドさんの本気じゃないよう見せる演技も凄い。

 「だけど、俺は今回の模擬戦でどれだけの差があるのか知りたい」

 俺は、そう言いながら、防戦する。

 「なら、どれだけの差があるか教えてやる」

 そう言いながら、オリドさんは剣を振るう。

 段々とペースを上げてきている!?

 俺は新技を繰り出す暇もない。

 段々と攻撃を与えられていく。

 「剣を振るいながら、魔法を使うのもいいが、それだと剣がはじかれるぞ」

 そう言いながら、オリドさんは俺の剣を弾き、俺の腹に剣を当てる。

 「かは!」

 これで何回当たっただろうか。

 これが、斬る方だったら、何回も死んでいる所だ。

 「だったらどうすればいいんですか?」

 俺は、防戦しながらオリドさんに聞く。

 「それは、自分で見つける事だ」

 最もだ。

 それからもオリドさんのアドバイスは続く。

 「腰が高いんだ。だから爺さんの俺でも剣を跳ね返せる」

 またしても剣を弾かれ、ガラ空きの体にダメージが入る。

 俺がこれほどやられても倒れないのは、オリドさんが手加減しているからだろう。

 俺は、勝負中にもオリドさんに言われたことを実践して修正していく。

 「剣が扱えきれてない。その剣はお前にあっていない。もっといい剣を見つけろ」

 ......今から修正出来ないんですが。

 俺はそう思いながらも、確かに俺は今まで剣にこだわりはなかったので、それに気付かなかった。

 それからも何度もアドバイスを受けながら、俺は痛めつけられた。

 そして、何とか俺は一旦下がることが出来た。

 オリドさんが、真剣な表情で言った。

 「最後にお前は最初から本気を出すから、相手は後々そのペースになれてしまう。最初から本気を出すのではなく、相手の力量に合わせ、本気を出す場面を考えろ」

 そう言い、オリドさんが剣を構えなおす。

 オリドさんは、これが最後と言った。

 俺は、新技を繰り出して、一矢報いようと思ったが、

 「なっ!」

 オリドさんが、一瞬で間合いを詰めて、俺の腹に剣を振るった。

 これが、三大最強か。一矢報いる事すら出来ない。

 次元が違いすぎる。

 俺は遠のいていく意識の中でそう思う。

 俺が、精霊の加護を使っていると思ったオリドさんは、通常のままだったのだ。

 それが、今の一撃で分かった。

 俺が、どれだけ弱いのかも。

 「だが、ここまで弱点があってその強さということは、弱点を直せば、お前は必ず、三大最強をも倒せる力を得るだろう」

 そう最後に締めくくった。

 俺は、ありがとうございますと言おうと思ったが、その力は残されていなかった。

 「だい.....じょう......ぶ?」


 俺が、気絶する瞬間、そんな声が聞こえた気がした。

 第三章 魔法学校編 終了

 第四章 青年編 開始

 次回から第四章が始まる前に、2、3話かけてリリアとセシリアの話を書きます。

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