チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第四十八話 戦争開始

 今日、いよいよ戦争がある。

 今回、魔法学校の生徒の参加人数は半数以上が集まった。

 俺が、校長に参加すると、伝える前に、すでに半数以上の生徒が、参加すると申し出たらしい。

 校長は、それから参加する人に、戦争についての授業をしたりして、生徒も相当、力を付けたらしい。

 俺も、今まで以上に鍛錬して、一つの技を身に付けた。

 これなら、魔王にも立ち向かえるだろう。

 自分なりの剣術。

 これは、なんとなく掴めてきた気はするが、完成は出来なかった。

 戦争に参加した人数は百万人ぐらいだ。

 その中の六十万人は、剣士、四十万人が魔導士として後衛に配置されている。

 その中でも、魔法学校の生徒は、後衛に配置されている。

 後衛ならば、魔物が現れることもないだろう。

 俺と、母さん、親父は最前線に配置され、一緒に魔王の足止めだ。

 ちなみに、タマ、マリー、シアは後衛に配置されている。

 マリーとシアは初め俺と前線に行くと言っていたが、何とか説得させることに成功した。

 タマには、そこにいてもらい、後ろからの襲撃に備えてもらえる。

 俺は、今最前線にいるのだが、とてつもなく緊張して、足が震えている。

 やはり、流石に怖いのもあるだろう。

 「おお。久しぶりだなレイ」

 そう呼んだのは、アラン三世だ。

 「久しぶりだな。お前も呼ばれたのか?」

 「ああ。親父がこれたら楽勝なんだろうが、丁度邪神のとこに行っちまってるからな」

 アランは残念そうに言う。

 アランにそこまで言わせる親父の戦いを見せて欲しいものだ。

 まあ。いない人の話をしてもしょうがないんだが。

 「なんだ?お前緊張してるのか?」

 アランは、俺の足を見ながら言ってくる。

 「当たり前だろ。初めてだ。こんな戦争なんて」

 「そういう時には、守りたい人を想像するんだ。俺達が、緊張して負けたらそいつらが死ぬんだぜ?」

 俺は、その言葉に衝撃を受けた。

 死。

 もし、俺がこの緊張で、やられてしまって、皆も死んでしまったら。

 そう思うと、足の震えは止まった。

 「ありがとなアラン」

 「いいってことよ」

 アランに感謝の言葉を言っておいた。

 すると、次は校長が現れた。

 「レイロード君。準備は大丈夫のようですね」

 「もう大丈夫です。それよりも校長にお願いがあるんですけど」

 「お願い?」

 校長は、不思議そうな顔をした。

 「念の為に、魔法学校の生徒がいる後衛にさがってもらってもいいですか?」

 「どうしてですか?」

 「本当に念の為なんですが、嫌な予感がするんです。その代わり、ちょっとタマをこっちに来るように言ってもらっていいですか?」

 「正直に言って私は、最前線で魔法を撃った方がいいと思いますが、今は校長ですし、生徒の安全の為にも分かりました。しかし、ピンチになりそうになったら、駆け付けます」

 そう言い、風魔法を使って後衛に下がって行った。

 俺は、神のお告げがどうしても気になった。

 昨日の敵は味方。

 これは、いい意味なはずだ。

 だけど、そんな事ならば、あいつがわざわざ出てきて言う必要はないはずだ。

 俺は、何故か嫌な予感がするのだ。

 そんな事を思っていると、次はライドさんが現れた。

 「レイか?どうしてここに?」

 「久しぶりです。ライドさん。俺もこの戦争に参加しますのでよろしくお願いします」

 「おお。そうか。よろしくな」

 ライドさんは、何故かそれから戸惑いながら、自分の配置に戻った。

 「お前は、色んな知り合いがいるんだな」

 親父は、感心しているようだ。

 「ほんとよね。まさかレイにこんなにも知り合いがいるなんて」

 母さん。その言い方だと、俺に知り合いがいない風に聞こえるんだが。

 それから、雑談をしていると、タマが丁度やって来た所で、戦争開始の合図だ。

 遠くを見ると、魔人のような奴らがうじゃうじゃいる。

 最近の情報によれば、魔人の人数は六十万人ぐらいらしい。

 正直に言えば、勝てるのだ。

 こちらは、数でも勝っているし、アランや校長もいる。

 負けるはずがない。

 なのに何故だろう。俺の嫌な予感がするのは。

 俺は、そう思いながらも進んだ。

 魔人。

 それは、魔物の上位版だ。

 俺は、魔人に魔法を放つ。

 何十体といるが、何とか出来る。

 俺は、剣を振りながら、魔法を倒す。

 俺の隣にいるアランも余裕そうだ。

 親父や母さんも何とかやっている。

 俺は、周りの状況を見れる余裕を持ちながら、魔物を倒しまくる。

 だが、魔王の姿が見えない。

 あいつの存在が現れてからが本番だ。

 俺は、あいつが現れるのに警戒しながら、進む。

 まあ、あいつは正々堂々来る気もするが。

 先程から、ちらほらとこの国の冒険者が戦っているのも見える。

 皆、この国の為に頑張っているのだろう。

 そう思った時だ。

 俺が、見ていた一人の冒険者が国の兵士を殺した。

 周りは、自分の戦闘に集中しているようで気付いてない。

 だが、俺にははっきり見えた。

 俺は、魔物を殺しながら、タマに聞いた。

 「今の見たか?」

 タマは頷いた。

 「他にもちらほら冒険者の奴がこっちの兵士を殺しているニャー」

 俺の嫌な予感が当たてしまったかもしれない。

 俺が、そんな風に思っていると、

 「レイ!後ろだ!」

 アランのそんな叫び声が聞こえたおかげで、俺は後ろから刺そうとしていた、奴の攻撃を回避することが出来た。

 危なかった。

 アランが叫んでなかったら、気付かず、殺されていただろう。

 俺は、その人物を見て、固まってしまう。

 「何やってるんだ!」

 そう言って、アランは俺を襲おうとした魔人を倒してくれた。

 だが、俺はそれどころじゃない。

 俺は、何とか声を振り絞り聞いた。

 「......どうして」

 俺を刺そうとした人物は、俺をパーティーに誘ってくれた、ライドさんだった。

 そこで、俺はイルイラのお告げを思い出す。

 『昨日の敵は、友』

 だが、もしそれを反対で呼ぶのだとしたら。

 『昨日の友は、敵』

 俺はここで、イルイラが言いたかったことが分かってしまった。

 

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