チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第四十四話 決着

 校長に目掛け全速力で駆け抜ける。

 皆が応援してくれた。

 その期待にも応える為にも勝つ!

 校長に木刀の突きを繰り出す。

 だがそれが校長に当る事は無かった。

 校長は俺が飛び出すと同時に校長も木刀を取り出した。

 「なっ!」

 俺驚いた声をあげてしまう。

 なんせ校長は木刀を持っていなかった筈なのだ。

 校長は俺の突きを横にいなし俺を地面に叩きつけるように空から落とされる。

 やばい。

 俺はそう思い咄嗟に風魔法を背中に使い地面への衝撃を弱める。

 だがそこに校長から上から追い打ちをかけてくる。

 下から攻めるのと、上から攻めるのだとどちらが有利かは聞くまでも無い。

 「.......ガハ!」

 地面に落ちた衝撃を少し食らってしまったが耐えられない程じゃない。

 すぐに立ち上がり校長に向かおうとするがもう決着は着いた。

 校長の木刀は俺の首筋に当てていた。

 「降参です」

 負けてしまった。

 「試合終了です!今回は校長が勝ちましたが、レイロード君は大健闘をしました。ここまで頑張った両者に大きな拍手を!」

 俺達に大きな拍手が送られる。ていうかナタリア先生何も実況してない気がするけど気のせいか?

 「今度は絶対勝てるぞ!またみせてくれ!」

 「最高の試合だったよ!」

 そんな言葉が投げかけられる。

 「いやー。私勝てましたけど、案外ショックなんですよね」

 校長は何故か勝てたのに悔しそうだ。

 「ショックなんですか?」

 「はい。本当ならこの木刀を使わずにあの魔法で終わるつもりでしたから。あれを破られたのは初めてですよ」

 校長は、悔しそうにしながらも笑っている。

 この前向きさは羨ましいと思う。

 俺はいつも落ち込んでしまうからな。

 けど今回は俺も可能性を感じたからだろうか。

 全然落ち込む事は無かった。

 「そういえば、校長は木刀を何処から出したんですか?」

 気になっている事を聞いた。

 「あー。あれはこれですよ」

 そう言ってマントを裏返すと背中に剣を入れる鞘があった。

 「ただの飾りだと思っている場所は案外何か隠れているものですよ」

 校長は笑いながら言ってきた。完敗と言う言葉しか思いつかなかった。

 「今回の勝負は、いい勉強になりました。またやりましょう」

 そう言い手を差し出した。

 すると校長も俺の手を握り今回の試合に決着がついた。

 次にその場で校長の話がある。

 ナタリア先生からマイクを貰い話し始めた。

 「今回の勝負で皆さんも私の意図に気付いて貰えると助かります。私が今回やりたかったものは、魔法には誰にでも可能性があるという事です。ここにいるレイロード君は別に魔法の特別な訓練を行った訳でもない、親が魔力量が多い訳でもない。ただ、努力してここまでこれたのです」

 校長は語る。

 それは皆に知ってもらいたくて必死になっているようにもみえる。

 「この七歳の子でも、ここまでこれたんです。君達皆にもその可能性がある筈なんです。これから先生達、それに生徒達全員が変わり、今まで以上に魔法を使う時の戦略、応用、無詠唱を学んでいきましょう」

 だが、ここで校長の雰囲気が変わる。

 「しかしもし努力しても変わらない。めんどくさい。そう思っている輩がいれば、今すぐこの学校から出ていってもらって構いません」

 この言葉に何人もの生徒が息を呑む。

 少し心にその言葉が刺さった。まるで前世の頃の自分に言われているような気がしたから。

 「私は、ここにいる全員で頑張って行きたい!皆さんは付いて来てくれますか?」

 「「「はい!」」」

 その言葉に、生徒が反応するだけでなく、先生をも反応していた。

 今日この瞬間から学校が大いに変わっていくのだろう。

 何故かそう確信が持てた。

 その後更衣室で制服に着替えていた。

 その時ドアがノックされた。

 「どうぞ」

 俺がそう言うとマリーそれに変身魔法を解いた親父とココ、タマもいる。

 「惜しかったな」

 親父が励ましてくれた。

 その言葉に皆頷く。

 マリーに関しては何か言ってくるかと思ったが何も言うことは無さそうだ。

 「それはいいとしてなんで親父達がいるんだ?来て良かったんだっけ?」

 確かこの学校はそう簡単に親が入っていいわけがない。

 親父とココはそっぽを向く。

 おい。

 「いや。別に怒ってるわけじゃないんだ。どうやって来たのかなって」

 俺がそう言うと親父が話してくれた。

 「初めに、ココがお兄ちゃんの試合を見に行きたいっていうから、俺も行きたかったから、タマに頼んで、変身魔法をかけてもらったんだ。それで学校に侵入したのは良かったんだが、どこでやっているか分からない時に、マリーちゃんがいたから、事情を説明して道案内してもらったんだ」

 なるほど。

 「初めはビックリしたわよ。ナンパされているのかと思ったもの」

 それに親父は苦笑いだ。

 まあ、全員グルだったわけか。

 「ごめんね。お兄ちゃん。どうしても見てみたくって」

 ココは俺がそれを聞いて怒ると思ったんだろう。

 「さっきも言ったけど、別に怒ってないから気にしなくていいよ。応援に来てくれてありがとな」

 「うん!」

 ココが笑顔でそう言った所でまたしてもドアがノックされた。

 「レイロード君。入ってもよろしいですか?」

 それはアスタナシアさんの声だった。

 「ちょ、ちょっと!待ってください!」

 「あ、はい。分かりました」

 急いで呼び止めタマに大急ぎで親父達に変身魔法をかけてもらった。

 「大丈夫ですよ」

 俺のその言葉で、アスタナシアさんは入ってきた。

 「そちらの方々は?」

 アスタナシアさんは、最もな疑問を言ってくる。

 「この学校で出来た友人です」

 俺はそう答えるしかなかった。

 「そうですか。それはそうと、今回あなたと勝負をしたおかげで自分が未熟だと気づけました。ありがとうございます」

 アスタナシアさんはそう言いお辞儀した。

 上級生に急に頭を下げられ俺は慌てて言った。

 「いえ!こちらこそあなたと戦えたおかげで、校長の技を攻略することが出来ました。ありがとうございます」

 俺は笑顔で感謝の言葉を述べた。

 今回、アスタナシアさんとの勝負がなければ風の超級も纏えなかっただろうし。

 すると何故かアスタナシアさんが固まってしまった。

 どうしたんだろうか。

 すると意識を取り戻して顔を真っ赤にして言った。

 「これからもお互い頑張りましょうね」

 アスタナシアさんは笑顔でそう言ってきた。

 そこで俺も固まってしまう。

 何故か身体が熱い。

 俺はそこで悟ってしまった。やばい、ごめんなさい、リリア、セシリア。

 アスタナシアさんのその笑顔に俺は惚れてしまった。

 そこでは二人が互いに笑顔に一目惚れしてしまうという事件が起きた。

 その様子をニヤニヤしながら見つめる親父とタマの姿。

 マリーとココは面白くないような顔をしているのだがレイロードはそれ所ではないのだった。

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