チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第三十八話 魔法学校入試

 ~三ヶ月後~

 今日は、魔法学校の入試の日だ。

 入試は今出来る魔法を披露、軽く面接をしそこで合格が出た者は別室で算数のテストを受けられる。

 算数のテストは殆ど飾りの様なもので余程悪い点数を取らない限り落ちる事は無い。

 ほんとに勉強に裂いた時間を返して欲しい。

 改めて気を取り直し、家を出ようとしたのだが、

 「忘れ物ない?鉛筆は持った?」

 先程から母がずっとこの調子だ。

 持って行くものは、羽ペンのみだけだと言うのに。

 因みにこの世界には鉛筆というものが存在しない。

 「大丈夫だから!もう何回忘れ物確認するんだよ!」

 俺はそう言って家を出た。

 母は心配性すぎる。

 家を出るとすぐ目の前には学校がある。

 魔法学校は非常にデカい。

 前世での高校の倍以上はあるデカさだ。

 余裕と思っていたがこんなデカい学校を見ると緊張してくる。改めて気を引き締めよう。

 俺は学校に入り一人の女性に部屋へと連れて行かれた。

 そこには色んな人がいた。

 多分、全員ここを受けに来たのだろう。

 すると部屋から一人ずつ減っていく。

 多分面接を受けに行ったのだろう。

 「レイロード君。こちらに来てください」

 俺は呼ばれ、部屋の前まで来た。

 ~校長視点~

 最近、この学校もつまらないものになってしまった。

 面白い人材は確かに学校にいるがそれもほんの一握りだけだ。

 昔は誰も彼もがそんな可能性があったのに。

 今年は一人しか面白そうな人材はいない。

 最近では貴族の連中がお金で先生を買収して入らせようとしている者もいる。

 そういう人達で入試を行わないよう私が直接面接をしているのだがいまいちだ。

 初めこの学校は魔法をもっと詳しく極めてもらえるように作ったものだったのに。

 今ではただ魔法で遊んでいる学校になってしまった。

 何処かに学校を変えるような面白い人材はいないだろうか。

 そう思いながら次の人の名前を見る。

 名前は、レイロード君。

 年齢は七歳か。下に名前が無い事から平民だ。

 こんな早い段階で学校に入るのも珍しいものだ。

 そう思っているとドアがノックされた。

 「どうぞ」

 「失礼します」

 レイロード君は、意外と礼儀正しい人だ。

 最近は入って何も言わず勝手に椅子に座る人が多いので他の教師からも意外と好印象だろう。

 彼が椅子に座ったことで面接を開始する。

 「この学校に入る前は何をしていましたか?」

 「冒険者をしていました」

 .......ん?

 私は不思議に思いもう一度彼の年齢を見る。

 七歳のはずだ。

 これが偽造という事はないだろう。姿も七歳ぐらいに見える。

 一応、気になり私は聞いた。

 「最近はどんなクエストを受けたんですか?」

 「最近は行ってないんですが、一番最後に受けたのはリザードマンの群れを討伐するクエストですね」

 レイロード君は普通に言うが、それは確かAクラス冒険者のクエストのはずなんですけどね......。

 それに確かそのクエストはどこかで聞いた事がある気がしますね。

 「君は、もしかして、『ドラゴンスレイヤーレイ』と呼ばれている人物かな?」

 他の先生が、気になり聞いた。

 そういえば、そのクエストで、何故かドラゴンが現れたと有名になっていましたね。

 「ドラゴンはそのリザードマンの群れのクエストの時に倒しましたけど、そのあだ名は知りませんね」

 .......天才だ。

 私はそう思ってしまった。

 他の先生が私を見るので頷いておいた。

 私は長年生きてきたので人の嘘が見抜けるようになったので、こういう面接の時、偶に嘘を言う人もいるので否定の場合は首を横に振る様にしていますが彼は嘘を言ってないのでしません。

 私はこの子にもう夢中になってしまった。

 「君は、魔法は何級まで使えるのかな?」

 私は一番気になっていたことを聞いた。

 「火魔法が超級で、他は上級です」

 私は笑いそうになるのを必死に我慢する。

 まさかここまでの逸材がいたとは。

 「披露してもらってもいいですか?」

 「はい」

 レイロード君は頷き全部の魔法を披露した。

 「......君。詠唱は?」

 他の先生が、思わず聞いていた。

 「していませんけど」

 レイロード君は、普通とばかりに答えている。

 「合格です」

 私は即決断した。

 もし他の先生が全員反対しても、私はこの子を入学させただろう。

 他の先生は私が即合格にしたのを少し驚いていましたが誰も彼の合格には反対しませんでした。

 「これから、テストを受けてもらうので、別室で待っていてください」

 「わかりました。失礼します」

 そうして、レイロード君が退出していき、それからも色んな人が受けてきましたが、特に目ぼしい人はいなかった。


 ~レイロード視点~

 ......緊張した。

 俺は一度面接を前世で受けたが、こればっかりは何度やってもなれないな。

 そう思いながら、別室に先程の女性に道案内された。

 「ここで、暫く待っていてください」

 「分かりました」

 俺はそう答え、部屋の中に入る。

 ああ、やらかしてしまった。緊張して全て正直に話したけどあれは喋り過ぎただろう。

 嘘は嫌いだからいいんだけどこれはこれでめんどくさい事にならないといいけど。

 そこにいる人達は、最初の部屋の時とは皆雰囲気が違っていた。

 大分リラックスしている。

 これだけでテストがどれだけ楽なのか分かってくる。

 だが一応頭の中で復習はしておく。

 それから何人か集まって先程面接をした人も入ってきた。

 「先程、面接をした校長です。これから算数のテストを受けてもらいます。これをクリアすれば、魔法学校へ入学することが出来るので頑張ってください」

 やっぱり先程の人は校長だったか。

 校長はそう挨拶をした後一人ずつ問題用紙を配った。

 「制限時間は五十分です。では、初めて下さい」

 校長の合図で、試験が始まった。

 俺は問題用紙に目を通す。

 親父の言った通り、問題は楽勝だった。

 小説などではここで本当の力を隠したりする奴らもいるだろう。

 だが俺はそんな事はしない。

 それはこの問題を作ってくれた人に対して失礼だし、ここにいる人は全力で取り組んでいるんだ。

 俺も全力で取り組んだ。

 全力で取り組んだ事で、二十分ぐらいで終わった。

 テストが終わったので、面接の時から気になっている校長を見た。

 この校長になんか違和感があるんだよな。

 俺は面接の時からそれが気になってしょうがなかった。

 すると、校長と目が合った。

 だが目は逸らさずじっと見たことでようやく違和感の正体に気付いた。

 けれど、これが合っているか分からない。

 どうにかして、知りたい。なんだこの焦らされている感は。

 こんな性癖は俺は望んでない。

 俺はそこでふと思いついて、答案用紙に書いた。

 「そこまでです」

 俺が丁度書き終わった所で、テストが終わった。

 そして校長が一人ずつ答案用紙を回収していく。

 俺の答案用紙を回収した所で、

 「俺の答案用紙をよく見てください」

 俺はこっそり校長に伝えた。

 校長は俺に一瞬目を向けたが、何事もなかったかのように他の人達の答案用紙も回収して答えを確認した。

 全員の答えを見終わり、

 「皆さんおめでとうございます。合格です。明日入学式の時に、必要な物を渡すので、貰ってください」

 その言葉で俺は魔法学校に入学することが出来た。

 それから俺は家に帰り合格した事を報告した。

 皆合格すると思っていたらしく驚いてはいなかった。

 俺は明日の学校が楽しみで早めに寝た。

 小学生かよっというツッコミは止めて欲しい。

 ~翌日~

 早めに学校に来て門で制服を貰った。

 制服は青でネクタイがあるカッコイイ制服だった。

 女子は上は一緒で下がスカートだった。

 俺はそのカッコイイ制服に着替え教室に向かおうとした所で背中を叩かれた。

 案外強く叩かれて結構痛かった。

 誰だ?ゴリラでも入学してんのかよ。

 俺は何が起きたのか確認する為、後ろを振り向くと、

 「久しぶりね」

 そう言われた。

 ......誰ですか?

 ~校長視点~

 「はっはっはっは」

 私は可笑しくてしょうがなかった。

 目の前にはレイロード君の答案用紙がある。

 その点数は満点だった。

 このテストだけ私の独断で少し難しくしたのにも関わらずだ。

 それは大方予想は出来ていた。

 最後にレイロード君に言われた通り答案用紙をよく見るとそこにはこんな事が書かれていた。

 『変身魔法を使ってますよね?』

 これが笑わずにいられるだろうか。

 私は今までこの変身魔法がばれたことが無かった。

 それを七歳の子供にばれるとは。

 その校長室では一人で笑っている変身魔法を解いたエルフの青年がいた。

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