チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第三十七話 双子の妹

 ~三ヵ月後~

 今宿で学校の入試に向けて勉強している。

 こんなにも勉強するのは、前世で高校受験をした時以来だ。

 あの高校受験以降俺は勉強を二度と頑張らないと決めていたのに。

 こんな事なら冒険者活動したい。

 そういえば、ライドさん達は俺がパーティを抜けると言っても、寂しくなるがいいぞ。と言われ、すんなり辞めることが出来た。

 学校の受験はどんなのが出るか、ライドさん達に聞いたがやはり知らなかった。

 学校に聞きに言ったが学校に入る前に警護していた人に止められてしまった。

 それもそうだろう。入試に何が出るんですか?と聞いて教えてくれるわけがない。

 なので現在は銀貨などの足し算引き算をしたり、他にも日本でやった方程式やら色々勉強はしている。

 もう相当やったが、これで本当に受かるのかと不安になり勉強が辞めれない始末だ。

 「暇だから何処か遊びに行こうニャ」

 タマは退屈そうに言ってくる。

 「さっき、オセロやってあげたろ」

 オセロを土魔法で作りタマと遊び完勝した。

 「それでもいいからもう一回やりたいニャー」

 勘弁してほしい。

 タマともう十回以上やっている。

 こいつは負けるともう一回ニャーと言って自分が勝つまで止めない。もうこのエンドレスだ。

 一体誰に似たんだか......。

 先程からタマがうるさくて勉強に集中出来ない。

 「分かった。じゃあ家を掃除しに行こう」

 俺は等々家を買ったのだ。

 なるべく学校に近い所にある安くてデカい物件を買った。

 そこだけ言われるととてもお得のように感じるが、なんともぼろいのだ。

 それでも二百五十万はしたがそこは気にしないでおく。

 明日俺達は引っ越しをするが掃除や修繕を一切していない。

 引っ越しをした後にすればいいと思っていたが、気分転換にもいいし今から行くことにしよう。

 俺とタマは一緒に家に向かった。

 「ほんとぼろいニャー」

 タマは家を見て改めて言った。確かにその通りだけど口に出すのは止そうな。

 「大丈夫だ。俺が土魔法で修繕するから」

 初めは修繕屋に頼もうかと思ったが、少しでもお金を節約する為自分ですることにした。

 俺達は早速家に入り、手分けして作業に当たった。

 この家は古く汚いがとにかく広い。

 二階もあるので手分けをしないと全く手が足りない。

 俺はまず買っておいた両面テープのようなものを大量に切り、それをタマに渡して修繕した方がいい場所に貼ってもらう。

 テープを貼るのと並行して、俺は土魔法で硬く少し固まりやすいセメントのような物を生成する。

 これを修繕する場所に貼り付け、水で冷やして固めると丈夫なものが出来る。

 これは、何度も検証したので間違いない。

 俺はそれを修繕場所に張り付ける。

 それを二時間ほど繰り返したのだが、

 「修繕するとこ多すぎるニャー」

 タマは愚痴を言う。

 だが、俺もそう思う。

 思った以上に多いのだ。二時間もやっているが全然終わっていない。

 もう、お金がかかっても修繕屋に任せようかと思った所で、

 ピンポーン。

 玄関の音が鳴った。

 俺はタマに引き続きテープを貼ってもらうように指示し玄関に行き、扉を開けた。

 「どちら様で......ゲハ!」

 俺はいきなり誰かに抱き着かれた。

 .......何だ。

 その人物を見ると、

 「久しぶりね。レイ」

 .....母さんだった。

 「.......え?なんでここに?」

 母は誇らしげにして、

 「一時間前にこの国に来て、レイがいるホテルに行ったんだけど、いなかったから、色んな人に聞いたら、ここに入ったって聞いてね」

 この人は相変わらずだな、そう思い少し笑ってしまう。

 「お父さん達は?」

 「お父さん達なら後で来るんじゃない?私が走って探し回ったから」

 そう言われたら母は額から汗が流れている。

 「まあ。久しぶりだね母さん」

 俺は久しぶりに母さんに会うことが出来た。

 母さんを、部屋に招いた。

 「家を買えるお金があるってお父さんに聞いてたけど、本当に買えるとはね」

 母は周りを見ながらしみじみ言う。

 「なんだか汚いわね。これ、今掃除してたの?」

 俺は頷いた。

 そこに丁度テープを取りにタマが帰ってきた。

 「その人誰ニャー?」

 「初めまして。タマちゃんよね?お父さんから聞いてるわ。レイの母のアリアンナよ」

 母さんはそう言って、挨拶した。

 「タマニャ。よろしくニャ」

 最近思ったがタマはニャーからニャに変わってきている気がするんだが気のせいだろうか。

 タマも挨拶した所でまた誰か来た音が鳴ったので玄関を開けた。

 そこには疲れた様子の親父といつも通りのアネットがいた。

 「久しぶり。レイ君」

 アネットは相変わらずだが、頭にフードを被っている。

 多分獣人の事を隠しているのだろう。

 「久しぶり、アネット。父さんはなんで疲れてるの?」

 親父は息を整えて、

 「アンナが急に、走って色んな所を走り回るから、俺も走って疲れたんだ」

 親父が母さんより疲れるとはおかしな話だなと思いながら、気になっていることを聞いた。

 「妹達は?」

 俺がそう言うと、

 「おい。お前達、俺から降りて挨拶しなさい。お兄ちゃんだぞ」

 親父が後ろに話しかけた。

 そういうことか。

 親父は妹達を背負ってたから遅くなったのか。

 妹達らしき人物は親父から降りたが後ろからひょっこり顔をだしている感じだ。

 何この可愛い生物は。

 「初めまして。お前達の兄のレイだ」

 俺はしゃがみ、目線を合わせなるべく怖がらせないように喋った。

 すると妹達は後ろで顔をお互い向けて頷きあって出てきた。

 「......はじめましてお兄ちゃん。ココです」

 「......はじめましてお兄さん。ロロです」

 二人はそう言って、挨拶した。

 ココとロロはお互い黒髪で、顔は殆ど一緒で、判断がつかないだろう。

 だが、ココは髪をツインテールにしてあり、ロロはポニーテールにしてあるので見分けがつく。

 双子は母さんの遺伝子をきちんと受け継いでいて、贔屓目無しで相当可愛い分類に入ると思う。

 二人はそう挨拶すると、また親父の後ろに隠れた。

 だがロロは親父の後ろから顔を出さないが、ココに何故かとても見られている気がするが、俺の自意識過剰だろうか。

 親父は苦笑いして、

 「すまんなレイ。まだ緊張しているようだ」

 「いや。これから頑張って仲良くするから大丈夫」

 それから皆を家に招いた。

 親父以外の人にはタマを紹介した。

 アネットは少し驚いた表情をした程度だったが双子は違った。

 双子はタマにとても興味深々だった。

 「タマと遊ぶか?」

 俺がそう提案すると、双子は息ぴったりに頷いた。

 なのでタマには庭があるので、そこで危険な事をしないように言いつけ双子と遊ぶように言った。

 タマもテープ貼りに飽きていたのだろうか。あっさり了承した。

 それから、親父達が手伝ってくれるというので役割分担をしてやる事に決めた。

 母さんとアネットがテープ貼り、俺がセメントを出し、それを親父が修繕箇所に付ける作業をした。

 そのおかげで四時間ぐらいで終えることが出来、次に家の外見を木で修復をした。

 金槌で釘を打ちながら作業している中、タマ達の笑い声が聞こえる。

 羨ましい。

 俺も双子と遊んで仲良くなりたいのに。タマだけ仲良くなりやがって。

 はあ。俺も猫に生まれたかったと一瞬でも思ってしまった。

 「そういえば、レイは魔法はどの程度扱えるんだ?」

 親父が作業の合間に聞いてきた。

 「今は、火魔法が超級で、他は上級まで使えるよ」

 もう少しで、風魔法も超級まで使えそうになりそうだがそれはまた今度、披露しよう。

 「なら試験も楽勝だな」

 親父は笑いながら言う。いや。ちょっと待て。

 「......どういうこと?」

 「お前知らないのか?試験は魔法で中級を三属性以上出来たら合格みたいなものだぞ」

 親父は不思議そうに言う。

 「......え?算数とか数学は?」

 俺はなんだか嫌な予感がする。

 「数学?それは知らないが、魔法学校は基本的な算数で、お前はもう小さい頃から出来るだろ?」

 親父はそう聞いてくる。

 だが、それは待ってほしい。

 俺がこの三カ月頑張った意味は?

 勉強の苦痛に耐えながらも頑張ったものは?

 「ふざけんなーーーー!」

 「「「あああああ!」」」

 俺は、怒りのあまり強烈な風魔法を使ってしまい、先程まで修復していた木を全て元通りにしてしまった。

 それから久々に叱られ、母さんと親父は作業を辞めてタマ達と何処かに行ってしまった。

 畜生。最終的に俺しか悪い目にあってねえよ!

 アネットだけは残って作業を俺としてくれる。

 「ありがとな。アネット」

 俺は残っているアネットにお礼を言うも、

 「謝らなくていいから、もう絶対に壊さないでね」

 「あ、はい」

 俺達はそれから、二人で頑張って作業を続けた。

 ......俺も双子と遊びたい。

 作業が終わるころに丁度親父達が帰ってきた。

 俺も双子と遊ぼうと思ったのだが先程の風魔法で怖がらせてしまって、親父の後ろに隠れて怯えていた。

 .......泣いていいかな?

 俺はそう思いながら、二度と勉強を頑張らないと決めた。

コメント

  • べりあすた

    ホテルって言語もあるのか、この世界は…凄いな

    1
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