チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第三十話 アドルフ王国

 昨日あれからは何も起きず俺達は旅を再開した。

 途中魔物に襲われそうになったこともあったが、魔法で返り討ちにしてやった。

 特にこうやって狙うのはリリアが得意のようだ。まあ、昔から好きな事に関しては集中力が凄かったからな。

 馬車に乗っているため魔物が襲いにくいのもあってか簡単に倒すことが出来た。

 因みにどちらが多くの魔物を倒せるかという勝負で俺はリリアに負けてしまった。もしかしたらリリアは俺より魔法は強いのかもしれない。

 俺達は荒野を走り続け、目の前には森がある。

 「どうする?違う道を探すか?」

 「いえ。時間が勿体ないのでこのまま進みましょう」

 正直森にいい思い出はないが、今の俺達は大抵の敵は倒せると思う。

 俺達はそれからも順調に進み、村が見えた。

 セシリアさんの事はタマに頼み、一応変身魔法を使ってもらっておく。

 俺達は村に入ると、周りに人はいるが、皆話しかけてはこないがこちらをじっと見てくる。

 正直話しかけられるよりずっと見られる方がきつい。

 全く歓迎されてないな。

 俺達が村を見ていると、顔が髪と髭でいっぱいのおっさんが現れた。

 後ろには二十代前後の若者が槍を持って立っている。

 多分この人は村長か何かだろう。

 「この村には何か用がありましたか?」

 「この村じゃなく、この先に行こうと思ったら、村があったので立ち入りました」

 「そうですか。周りの仲間は皆君達に警戒心を抱いとるから、早く行った方がいいぞ」

 村長のお爺さんはそう進言してくれる。

 「分かりました。明日には出ます。今日一日だけここに滞在してもいいでしょうか?」

 「構わんよ。泊まる所が無いのならわしの家に泊まっていくのがいいじゃろ」

 その言葉に後ろの若者は反対した。

 「何を言っているんですか!そんなの駄目です!村長の身に何かあったらどうするんですか!」

 「この人達は悪い人達じゃない。安心せい。ワシが何年生きとると思っとる」

 それから村長は俺達の方を振り返り、

 「すまんな。この村は皆心配性なんでな。気を悪くせんでくれ。改めて、わしはこの村の村長のオリドじゃ」

 それからタマ、セシリアさん、リリアが自己紹介した。

 「自分はレイロードです。今日一日よろしくお願いします」

 俺の言葉に村長は、驚いた顔をした。

 後ろの護衛の連中や周りにいた村人も何故か驚いている表情だ。

 俺の名前で何でそんな驚いているんだろう。

 村長が戸惑いながらも聞いた。

 「すまんがお前さんの父親と母親の名前を聞いてもいいかの」

 「ジルダとアリアンナですけど」

 オリドさんはやはりみたいな顔をしている。

 ......まさか。

 「もしかしてお父さん達を知っているんですか?」

 「ああ。あの人達には大変世話になった」

 「何処にいるんですか!?俺は親父達を探しているんです」

 村長は残念そうな顔をして、

 「二週間前にお金を稼ぎにどこかの国に行くと言って行ってしまった」

 「何処の国に行くって言ってましたか?」

 「すまんが思い出せんな」

 そうか。親父達はこの村に来たってことはこのまま進めば何処かで会えるだろう。

 「......そうですか。なら仕方ないです」

 「あの人達にはお世話になった。ゆっくりしていってくれ」

 後ろの護衛の人も俺が親父達の息子と分かってか反対しなかった。

 それから俺達はオリドさんの家に泊まらしてもらい、俺は村長と親父達について聞いた。

 親父はこの村で、色んな人に剣術を教えてあげてたらしい。

 母さんはこの村で怪我をしていた人の治療などをしたらしい。

 アネットはこの村にいる色んな所の仕事を手伝っていたらしい。

 双子は村の子供たちとよく遊んでいたらしい。

 俺の話を皆はしていたので、俺の事を知っていたという事だった。

 皆元気に暮らせているなら、良かった。

 正直に言えば少し諦めかけていた自分がいたしな。俺は安心して寝るのだった。

 ~翌日~

 俺達は朝早く起き、村を出ることにした。

 村長が見送りしに来てくれた。

 「もうお前さん方を警戒している奴らはおらんからゆっくりして行っていいんだぞ」

 「いえ。親父達を探しに行かなければならないので」

 俺はそう言い、村を出ようとした所で村長にまた呼び止められた。

 「そこの黒髪のお姉さん」

 「どうかしたか?」

 村長は笑顔で、

 「別にここにはエルフを虐げる輩はおらん。今度来るときは変装なんかせずにありのままの姿で来るがいい」

 これにはセシリアさんだけでなく、全員驚いた。

 「........知っていたんですか?」

 「当たり前じゃ。ワシが何年生きとると思っておる」

 ドヤ顔で言ってきた。

 セシリアさんは笑顔で、

 「分かった。今度来るときは堂々と来よう」

 俺達はそれから今度こそ村をでた。

 村長は独り言のように、

 「エルフか。あいつは元気かのう」

 そう呟くのだった。

 俺達は村を出て森を走る。

 なんのトラブルもなく、森を抜けた。

 そこにはまたしても荒野が広がっていた。

 「もう荒野の景色は見飽きたんだけど」

 リリアは不機嫌そうに言う。

 「しょうがない。けど、この荒野を抜けたら、親父達が国に行くって言ってたらしいし、国があると思うから、そしたらまた遊べばいいだろ」

 「それもそうね。また一緒に回りましょ」

 リリアはそっぽを向きながら言う。

 「もちろん。今回はお金もあるし、何か買ってあげられるだろうし」

 そんな雑談をしながら進むのだった。

 ~一週間後~

 ようやく国のようなデカい建物が見えてきた。

 リリアは終始文句を言っていたが、俺も文句を言いたいぐらいだった。

 だが、ようやく着いたと思ったんだが、

 「......でかい」

 俺はその入り口に入っただけでそう呟いてしまった。

 街とは違い、所々に城のようなものが見える。

 俺達は唖然としながらも進む。

 街は大きいものだと思っていた。

 だがここはその倍の広さと人口があった。

 何だか田舎生まれの人が都会に来た時に唖然としてしまう感じだ。

 だが段々と慣れてきて、俺達は以前のように俺とリリア、セシリアさんとタマで別れることになった。

 「ねえ!先生。あっちに行ってみましょ!」

 リリアは先程までとは違い大はしゃぎだ。

 けど俺も浮かれている。

 ただ俺とリリアは何故か色んな人から見られ、

 「あの子達田舎者だね」

 と呟かれ恥ずかしくなり大人しく観光した。

 一つ嬉しい誤算があったのはこの国でもプチ肉があった。

 なので食べてみたがあの街と変わらない美味しさだった。

 それから、皆で冒険者ギルドに行き、

 「すいません。以前違うところで冒険者をやってたんですけど、ここでもできますかね?」

 「はい。冒険者カードを見せていただければ出来ますよ」

 俺達はカードを見せた。

 「確認しました。ようこそ。アドルフ王国の冒険者ギルドへ」

 受付の人は笑顔で出迎えてくれた。

 アドルフって何処かで聞いたことがある気がする。

 「アドルフって何処かで聞いたことあるんですけど何ですか?」

 「アドルフは王の名前です。アドルフ王がいた国なのでアドルフ王国となったんです」

 ああ。『三大最強』の王アドルフか。やっと思い出せた。

 気になっていた事が分かったので本題に入る。

 「クエストを発注したいんですけどいいですか?」

 「はい。大丈夫ですよ」

 俺は親父達の情報についてのクエストをまた出した。

 それから宿に戻り、今後の方針を決める。

 「これからは、お父さん達の情報を集めるのを待ちつつBクラスのクエストを沢山受けて行こうと思います」

 「妥当なところだろうな」

 皆頷く。

 「一つ言っておきますがここにはもしお父さん達の情報が集まらなくても一年以上は滞在しようと思います」

 「どうして?」

 リリアは否定するというより、ただ、疑問なのだろう。

 「この国はデカいからクエストが沢山あると思う。だから、ここでお金を出来るだけ貯めようと思う」

 「お父さん達に会わなくていいの?」

 まさかリリアが俺の事を心配してくれるなんてな。昔はあんた呼ばわりだったのにな。

 「大丈夫だ。俺は親父達が安全だったんならそれでいいよ。それに俺は今の環境が気に入っているから、無理して会いたいとも思わないしな」

 「そうね。私も気に入ってるわ」

 リリアはそう呟く。

 俺も続いて欲しいと思う。

 だが、約一年後俺達の関係は唐突に崩れてしまうのだった。

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