チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第二十五話 幸せな日々

 「リンゴ三つください」

 俺は今タマと買い物をしている。

 「めんどくさいニャー」

 「ほんとな」

 俺もそう呟かずにはいられなかった。

 今俺達はCランクのクエストを受けている。

 Cランクのクエストでは、草むしり、家の掃除、おつかい、などの何でも屋みたいなことだらけだった。

 それに金額も少ない。一回の報酬は一銅から三銅がいいぐらいだ。

 俺は今買いたい物がある為出来るだけ早くBランクに上がってお金を稼ぎたい。

 Bランクでは魔物などのクエストが主で、魔石等の換金もあるので、お金はCランクより遥かに多くもらえる。

 その為今はセシリアさんとリリアは別のクエストを受けている。

 俺達はパーティという事になっているので、別々に受けても俺達全員の評価にしてもらえるらしい。

 リリアもBランクに早く上がりたいらしく、頑張っている。

 俺とタマはクエストを完了し、ギルドに報告しようと思っているとリリア達も丁度クエストを完了したらしく、ギルド前で鉢合わせ一緒にギルドへ報告しに行った。

 「確かにクエスト完了を確認しました」

 受付の人はそう言い、お金を渡してくれた。

 Cランクのクエストは魔物等のクエストじゃない為、一々クエスト発注者にサインを貰わないといけない。

 魔物等のクエストなら冒険者カードに記載されるため、そこまで考えなくてもいいのだ。だからCランクのクエストは色々とめんどくさい。

 今日一日頑張って働いて銀貨五枚分ぐらいにしかならなかった。

 今回の宿代も払えねえよ。森での魔石がなかったら俺達ほんとに生きていけなかったな。

 「あの、Bランクに上げてもらうことは出来ませんかね?」

 俺は流石に今後の生活もあり提案するしかない。

 受付の人は困った顔をした。

 「Bランクは魔物を倒すのが殆どですから、大人が一人いるにしても流石に厳しいんじゃ」

 俺は精神年齢は大人だが、この世界ではまだまだ子供だ。一カ月前に六歳になったばかりだ。

 この受付嬢の人も俺達の事を思って言っているから諦めようと思っていると、

 「いいじゃない!私達は子供かもしれないけど、私も先生も上級魔法使えるんだから」

 リリアは俺を指さしながら言った。

 最近は大人しくなったと思ったリリアだがあまりそうではないらしい。

 しかし、その言葉に受付の人は驚き、本当なのかとセシリアさんを見ると、セシリアさんは頷き、

 「ああ、本当だ。私も使えるが、こいつらはもっと凄いぞ」

 そう言ってくれた。そんな訳が無いんですけどね。

 それに受付の人は驚愕し、大変な事を口走った。

 「それは凄いですね。お母さん直々に教えたんですか?」

 「......私はこの子達のお母さんというわけでは....」

 受付の人にも悪気はなかったのだろう。

 しかし、俺はその言葉に我慢できず大爆笑してしまった。

 俺が笑ったことでセシリアさんに拳骨された。

 ......悪いのは受付の人でしょ。俺は悪くない。.....悪いですね。ごめんなさい。

 それから、受付の人に上級魔法が使えるのなら、ということでBランクのクエストを受けさせてもらえることになった。

 俺達は朝からずっとCランクのクエストを受けていたから、もう夕方だ。

 Bランクのクエストは明日受けようと俺が提案すると、皆頷いた為宿に戻ることにした。

 俺は帰る道中先程の話もあって気になって聞いてみた。

 「そういえば、セシリアさんって今何歳なんですか?」

 セシリアさんはその言葉に動きを止めた。

 すると、リリアとタマに同じ所を拳骨された。

 ......今のは俺が完璧に悪いですね。

 それからセシリアさんの年齢の話は有耶無耶になった。

 俺は女子のプライベートは聞いたらいけないと教訓を得た。

 ~翌日~

 俺達はまた森に来ていた。

 それはクエストの為だ。

 俺達は朝ギルドに行き、受付の人に貰ったクエストが、

 『森付近にいるゴブリンを五体討伐 三銀貨』だった。

 その為俺達は森に来ているが、今回はなにも想定外の事は起きなかった。

 想定外の事は起きなかったが俺達はチームプレイが案外苦手と言う事が分かった。

 冒険者には役割がある。

 前衛、中衛、後衛の三つの役割がある。

 前衛には戦士ウォーリアと言われている、剣と盾を持った重装備の人。

 中衛には、魔法剣士、又は指揮官だ。中衛は周りの様子を見て攻撃、防御を見極めて指示を出す。

 後衛は、魔法使いマジシャン又は弓使いアーチャーで、後衛から前衛の援護または回復をする所だ。

 俺達のパーティ-には前衛がいない。俺は魔法剣士なので、中衛になる。リリアとセシリアは後衛だ。

 なので俺が前衛と戦うがそうすると指揮をする人がいなくなる。

 一度戦う相手を間違って危うく俺にセシリアさんの魔法が当たりそうになったこともあった。

 指揮をする人がいないから現在はタマを中衛に置いて、指揮をしてもらっているが、やはり中衛、もしくは前衛がもう一人欲しい。

 まあ無い物ねだりをしてもしょうがない。今の所は難なくクエストを完了したからそれでいいだろう。

 晴れてBランク冒険者になることも出来たしな。

 Bランクでは魔物を倒すだけでなく、採取などのクエストもある為、出来るだけクエストを何個も受けた。

 これを連続クエストチェーンクエストと言うらしい。だがこの連続クエストは他の皆の分の仕事を取ってしまう事にも繋がる為、何度か成功出来ない事が続くと連続でクエストは受けることが出来なくなってしまうらしい。

 それを達成すると、お金も昨日とは比べられないくらい貰えた。

 三金貨、六銀だ。

 日本円で三万六千円だ。だがこれを四人で分ける為、一人当たり一日八千円だ。

 一日の労働としては高いかもしれないが、命がかかっているから高いように見えない。

 それにこれから宿の宿泊代等、他にも色々と計算しないといけない。そういう事は苦手なので俺はセシリアさんに任せている。

 俺の今日の小遣いは五千円だ。これなら欲しい物が買える。

 少しお金が余ることが分かったので、俺はクエストを発注することにした。

 『ジルダ、アリアンナ、アネットという名前を最近聞いたことがある人は情報提供してください』

 というものだ。

 村人と書かなかったのは盗賊などがこれを見て、万が一にも俺達が村の住人という事がバレて襲われにようにする為だ。

 俺達はクエストを発注してから皆とは別行動することになった。皆それぞれ行きたい場所があるらしい。

 俺は目的の物を探していた。

 今日はリリアの誕生日だ。

 俺の誕生日は過ぎたが精神年齢は大人のせいか別に何とも思わなかった。

 けど、リリアはまだ子供だ。

 誕生日を祝って欲しいに決まっている。

 この事はセシリアさんとタマにも話している為二人もそれぞれプレゼントを買っているだろう。

 俺も目的の物を買い一足先に宿に戻った。

 皆が帰ってくるまで待っていた。こういう時は本当に時間が長く感じる。

 そういえばこの世界に時計はなかったが街や王国などでは、労働の始まりの朝と、昼の休憩、労働終わりの夕方に鐘が一回なるのだ。

 それ以外は皆適当だ。暗くなればご飯でも食べるかという体内時計だ。

 皆が帰ってきたのは労働終わりの鐘が鳴った一時間後ぐらいだ。夜ご飯を食べ、俺は切り出した。

 「リリア」

 「先生」

 ここで俺とリリアの言葉が重なってしまった。

 リリアがお先にどうぞと言うので俺はプレゼントを渡した。

 「リリア。誕生日おめでとう」

 リリアは相当驚いていた。

 サプライズ成功だと俺は心でガッツポーズをする。

 「開けてもいい?」

 リリアは喜びながら聞いてくる。

 どうぞ。と俺が言うとリリアは箱を開けた。

 「......これって」

 「前一緒に店を回ってた時にこれ見てただろ。だからこれにしようかなって」

 俺はリリアに以前見ていた白い服を買ったのだ。

 リリアが買ってしまったらまた違うプレゼントをあげようと思っていたがそれは大丈夫そうだ。

 それからセシリアさんとタマからもプレゼントを渡していた。

 セシリアさんは魔法使いが着るローブだ。

 タマからは靴をプレゼントされていた。

 リリアは今日一番の笑顔で、

 「みんな。ありがとう」

 そうお礼を言った。

 「そういえばリリアからはなんだったんだ?」

 リリアは俺の言葉にハッとし、

 「先生。遅れたけど誕生日おめでとう」

 そう言い、俺にプレゼントをくれた。

 ......え?

 どういうことだ。

 俺の困惑した顔で察したのか、リリアが説明してくれた。

 「最近になって先生の誕生日が過ぎていることを思い出してね。それで急いで準備したの」

 ここで俺はようやくリリアが早くBクラスになりたかったのかが分かった。二人とも同じ事を考えていたようだ。

 俺はその気遣いに嬉しすぎて、口がニヤニヤしないよう冷静な顔を作る。

 それからセシリアさんとタマからも誕生日プレゼントを貰った。

 「開けてもいいか?」

 それに三人は頷き、開けさせてもらった。

 リリアからは、冒険者が愛用する剣を貰った。これは短剣でもなく長剣でもないその中間に当たる冒険者の一番人気の片手剣ブロードソードだった。

 「今持っている剣ずっと使ってだしょ?だから安いけど新しい剣の方がいいかなと思って」

 確かに森での戦闘もあって俺の剣はボロボロで変え時かなとは思ってた。

 リリアは安くてごめんねと言ってくれる。

 だけどこういうのはお金じゃない。

 「いや、嬉しいよ。大切に使う」

 セシリアさんからは軽装の防具だった。

 「大変だったぞ。二人から同時に誕生日プレゼントをあげましょうって言われるからな」

 「本当ニャー。二人分隠すのは大変だったニャー」

 タマもそう言った。

 タマからは靴だった。

 どうやら二人共違う場所ばかり行ったら怪しまれると思い同じ場所でそれぞれ違うものを買ってくれたらしい。

 「三人共、ありがとう。大切に使うよ」

 俺達はそれから四人で俺が買っておいたケーキを食べながら幸せな時間を過ごした。

 俺はこんな楽しい時間が続いているからこそ思う。

 こんな楽しい時間はいつまで続くのか。

 この三人との関係が壊れてしまったら俺はどうなってしまうのだろうか。

 皆いなくなり、一人になったら俺はどうなるか。

 そんな事を考え、俺は直ぐにその事を考えるのを止めた。

 俺は自分が皆に依存していくことから目を背けるのだった。

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