異世界宿屋の住み込み従業員

熊ごろう

185話 「暇つぶし 5」

燃え尽きたようにテーブルに突っ伏す数名の男達。
結局あの後1試合だけでは満足できなかったのか日が暮れて玉が見えなくなるまで試合は続けられた。

「ぐそぉぉ~……雪玉尽きてなけりゃ勝てたのにぃぃぃ……」

悔しげにテーブルを叩くヒューゴ。
彼の目の前では実に美味しそうにご飯を食べる勝者達の姿があった。

「なんだよぉ~そのあほみたくでっかいハンバーグ」

「チーズ入ってるっす……うまそうっす」

加賀はどうやら追加の一品は普段のメニューとは少し違う物を提供することにしたようだ。普段出している物の数倍の大きさな上に中にチーズがたっぷりと入っているハンバーグは食べ応え十分な上に分厚いせいか肉汁がたっぷりと溢れている。

「はふっ……んぐんふ」

「……うまっ」

勝者達のヒューゴを煽るのも忘れ夢中でがっつく様子からその美味しさも想像できるという物だ。下手に煽られるよりもダメージのでかいその光景を見せつけられ再びヒューゴは悔しげにテーブルをばしばしと叩くのであった。


「ほい、今日の日替わり……なんか八木は普通だね?」

「おう?」

八木のテーブルに今日の日替わりを置く加賀。
その際に八木の様子をまじまじと見てぽつりとつぶやく。

「あんま悔しそうにしてないなーって。負けちゃったんでしょ?」

「あーまあな。悔しいっちゃ悔しいけど、そもそも遊ぶこと自体が目的だし、そういった意味では満足してるからなあ」

「ふーん。楽しめたならなにより。明日もやるの?」

明日もやるのかと問われ少し考えるそぶりを見せる八木。

「たぶん明日はやらんかなー……」

明日はやらないと言ってスプーンを口に運ぶ八木。
程よく煮込まれた芋をごくりと飲み下し言葉を続ける。

「ダンジョンに行くみたいでさ、人数足らないっぽいんだよね。だから明日はまたトランプでもやるんでないかな」

「そかそか、お仕事もあるしあれを毎日やるのも大変だっしねー……んじゃま厨房戻るからごゆっくりーご飯食べたらちゃんと休むんだよー」

そう言って手をひらひら振りながら厨房へと戻る加賀。
一人フルボッコになっていた八木はちょっとだけ心配していたらしい。

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