異世界宿屋の住み込み従業員
149話 「まあ、うん……」
「昨日の今日でねえ……」
「たぶんさー、苦情結構来てるんじゃない? 探索者からも街の人からもさ」
「八木の件もあるし、対策するなら早めのほうがええんじゃろ」
ギルド内にある会議などの使用する大き目の一室、そこに数十名絵の探索者達が待機していた。
ギルド職員がくるまで暇なのだろう、思い思いに雑談をしつつ暇をつぶしているようだ。
話題に上がるのはやはりこれから話があるであろう、新人探索者達の件だ。
「あ、八木っちなんかあったんだ?」
「なんかすげーしつこく誘われたらしいな、それも仕事中」
「わー、そりゃ災難だね」
そんな感じで暇をつぶしていると部屋の扉を叩く音がし、ギルド職員が数名部屋の中へと入ってくる。
一斉に集まった視線に少し気圧されながらも彼らは壇上に立ち、資料片手に話を始める。
「皆さんお待たせしました。本日お集まり頂いたのは……もうお察しの事かと思いますが新人探索者達への教育についてです」
「前回依頼を受けてから時間が空いている上位の探索者……それにある程度の人数を確保できるとなると皆さんが適任なのです。もし、何か事情があって依頼を受ける事ができない場合はこの場で挙手を願います……では、皆さん問題ないと言う事で話を進めさせて頂きます」
職員の説明が一通り終わり、前回の依頼と差がない事が分かったところで探索者達は手元に配られた資料へと目を通す。
内容は対象の探索者の名前、それに期間やら契約条件が記載されている。
「……こっちも前と変わらんな」
「ええ、基本同じ内容ですから」
「期間は明日から1週間と……採取系の連中はいるのか?」
「います。ギルド内で期間中は基本待機してますので、必要な時に声をかけてください」
ギルド職員の回答に満足げに頷くヒューゴ。
契約書にさっとサインをし他の皆よりも一足早く部屋を出て行く。
「……私達全員と聞いて不思議に思っていたのですが、なるほど。この人数なら仕方のない事ですね」
ねアルヴィンが見ていた書類に記載されていた新人探索者の人数であるが、前回受けた際の数倍は軽くいる。
どうも新しく出来たばかりのダンジョンと言う事で一攫千金を狙う若者たちがかなり集まったようだ。
「ま、いいです……では、私も戻ります」
アルヴィンも書類にサインをし部屋を出て行く。
他の者達もその後を追うように次々に書類にサインをして部屋を出て行く。
後に残ったのは数十枚にも及ぶ契約書の束とギルド職員の面々だ。
彼らギルド職員は契約書その一枚一枚に不備がないか念のため再確認をしていく。そして不備がない事を確認しほっと息をつく。ここ最近ギルドへの苦情がかなり来ており心身共に疲れていたのだ、だが一度教育を物理的に受ければそういった事をする新人探索者も居なくなる事だろう。書類をまとめ部屋をでる職員の顔には久しぶりの笑顔が浮かんでいた。
「つーわけだ」
「どういうわけ?」
そして場面は変わり夕食前の宿の食堂。まだ夕食の時間には早いが椅子は全て探索者達によって埋め尽くされていた。
その暑苦しい空間の中、一つのテーブルにて対面に座り会った加賀とヒューゴが何やら話をしている。
「明日から例の新人共の教育でさー、ちょっと色々お願いすっかもしれねーんだわ」
「んー……例えばどんなお願い?」
ずっと宿に泊まってくれているし、もう気心しれて仲でもある。
そんな人のお願いであれば聞いてあげたいと思う加賀ではあるが、出来る事と出来ない事がある。
とりあえず判断は内容を聞いてからとヒューゴに話を聞く。
「ちょっと弁当作ってもらったりとか、もしかすっと夕飯食わせに連れてくるかも? まあその辺は後半なってからだろうけど」
「あー……うん、事前に教えてくれるならだいじょぶ」
ヒューゴの話を聞いて最悪の場合はデーモンに手伝ってもらえばいいかと、本人が聞いたら泣きそうな事を思いつつ、それぐらいなら大丈夫かと加賀は判断したようだ。
「おう、そんときゃ事前に話すよー」
「はーい、それじゃーそろそろ夕飯の時間かな。厨房戻るねー」
そう言って厨房に戻る加賀。
今日はほぼ全員が一斉に食堂に集まっている為、中々の修羅場が予想される。
うっし、やるぞーと声に出し気合を入れなおすのであった。
「……おっせえ」
翌朝、総合ギルドの受付前のテーブルに宿の探索者達が集まっていた。
いずれの顔にも不機嫌そうなオーラが漂っており、床を踏み鳴らす足音が地響きのように室内に響いていた。
約束の時間はギルドが開く時刻と同時であったはず、だがギルド内に居た他の探索者らが出かけてギルド内の人口密度が下がってきても新人らは未だに姿を見せないでいた。
「やっときたよー……もう、帰りたくなってきちゃった」
シェイラの視線の先にはギルドの扉をくぐりぞろぞろと入ってきた新人探索者の姿があった、その数およそ10人。
それをかわきりに残りの探索者達も小分けにギルドにやってくるが、結局全員そろったのはそれから30分ほどたってかれであった。
「たぶんさー、苦情結構来てるんじゃない? 探索者からも街の人からもさ」
「八木の件もあるし、対策するなら早めのほうがええんじゃろ」
ギルド内にある会議などの使用する大き目の一室、そこに数十名絵の探索者達が待機していた。
ギルド職員がくるまで暇なのだろう、思い思いに雑談をしつつ暇をつぶしているようだ。
話題に上がるのはやはりこれから話があるであろう、新人探索者達の件だ。
「あ、八木っちなんかあったんだ?」
「なんかすげーしつこく誘われたらしいな、それも仕事中」
「わー、そりゃ災難だね」
そんな感じで暇をつぶしていると部屋の扉を叩く音がし、ギルド職員が数名部屋の中へと入ってくる。
一斉に集まった視線に少し気圧されながらも彼らは壇上に立ち、資料片手に話を始める。
「皆さんお待たせしました。本日お集まり頂いたのは……もうお察しの事かと思いますが新人探索者達への教育についてです」
「前回依頼を受けてから時間が空いている上位の探索者……それにある程度の人数を確保できるとなると皆さんが適任なのです。もし、何か事情があって依頼を受ける事ができない場合はこの場で挙手を願います……では、皆さん問題ないと言う事で話を進めさせて頂きます」
職員の説明が一通り終わり、前回の依頼と差がない事が分かったところで探索者達は手元に配られた資料へと目を通す。
内容は対象の探索者の名前、それに期間やら契約条件が記載されている。
「……こっちも前と変わらんな」
「ええ、基本同じ内容ですから」
「期間は明日から1週間と……採取系の連中はいるのか?」
「います。ギルド内で期間中は基本待機してますので、必要な時に声をかけてください」
ギルド職員の回答に満足げに頷くヒューゴ。
契約書にさっとサインをし他の皆よりも一足早く部屋を出て行く。
「……私達全員と聞いて不思議に思っていたのですが、なるほど。この人数なら仕方のない事ですね」
ねアルヴィンが見ていた書類に記載されていた新人探索者の人数であるが、前回受けた際の数倍は軽くいる。
どうも新しく出来たばかりのダンジョンと言う事で一攫千金を狙う若者たちがかなり集まったようだ。
「ま、いいです……では、私も戻ります」
アルヴィンも書類にサインをし部屋を出て行く。
他の者達もその後を追うように次々に書類にサインをして部屋を出て行く。
後に残ったのは数十枚にも及ぶ契約書の束とギルド職員の面々だ。
彼らギルド職員は契約書その一枚一枚に不備がないか念のため再確認をしていく。そして不備がない事を確認しほっと息をつく。ここ最近ギルドへの苦情がかなり来ており心身共に疲れていたのだ、だが一度教育を物理的に受ければそういった事をする新人探索者も居なくなる事だろう。書類をまとめ部屋をでる職員の顔には久しぶりの笑顔が浮かんでいた。
「つーわけだ」
「どういうわけ?」
そして場面は変わり夕食前の宿の食堂。まだ夕食の時間には早いが椅子は全て探索者達によって埋め尽くされていた。
その暑苦しい空間の中、一つのテーブルにて対面に座り会った加賀とヒューゴが何やら話をしている。
「明日から例の新人共の教育でさー、ちょっと色々お願いすっかもしれねーんだわ」
「んー……例えばどんなお願い?」
ずっと宿に泊まってくれているし、もう気心しれて仲でもある。
そんな人のお願いであれば聞いてあげたいと思う加賀ではあるが、出来る事と出来ない事がある。
とりあえず判断は内容を聞いてからとヒューゴに話を聞く。
「ちょっと弁当作ってもらったりとか、もしかすっと夕飯食わせに連れてくるかも? まあその辺は後半なってからだろうけど」
「あー……うん、事前に教えてくれるならだいじょぶ」
ヒューゴの話を聞いて最悪の場合はデーモンに手伝ってもらえばいいかと、本人が聞いたら泣きそうな事を思いつつ、それぐらいなら大丈夫かと加賀は判断したようだ。
「おう、そんときゃ事前に話すよー」
「はーい、それじゃーそろそろ夕飯の時間かな。厨房戻るねー」
そう言って厨房に戻る加賀。
今日はほぼ全員が一斉に食堂に集まっている為、中々の修羅場が予想される。
うっし、やるぞーと声に出し気合を入れなおすのであった。
「……おっせえ」
翌朝、総合ギルドの受付前のテーブルに宿の探索者達が集まっていた。
いずれの顔にも不機嫌そうなオーラが漂っており、床を踏み鳴らす足音が地響きのように室内に響いていた。
約束の時間はギルドが開く時刻と同時であったはず、だがギルド内に居た他の探索者らが出かけてギルド内の人口密度が下がってきても新人らは未だに姿を見せないでいた。
「やっときたよー……もう、帰りたくなってきちゃった」
シェイラの視線の先にはギルドの扉をくぐりぞろぞろと入ってきた新人探索者の姿があった、その数およそ10人。
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