異世界宿屋の住み込み従業員
126話 「サッカーやろうぜ、ボールはお前な」
街の中心部にある一際目立つ巨大な建物、その中に4人は案内された。
そこには複数の護衛に囲まれた、長と呼ばれるリザートマンが椅子に腰かけ4人が来るのを待ち構えていた。
「よくきたラヴィ……5年振りだったか」
「20年振りです長、ご無沙汰しております」
「おぉ、もうそんなに立っていたか……時がたつのは早いものだ」
長は護衛らと比べると全体的に細身で小柄であった、それに声は若干しゃがれ肌の部分には皺が見られる。恐らくそれらは加齢によるものだろう。
「さて、本題だがドラゴンと交渉したいと言う事だったかな? お客人よ」
「えぇ、この汽水湖での漁を許可して貰おうと思って」
アイネの言葉を聞いてじっとアイネを見つめたまま考えこむリザートマンの長。
やがて考えがまとまったのか視線をうーちゃんに移し口を開く。
「したいのは交渉のみだな? ……良いだろう、場所は案内する。それで少し聞きたい事があるのが」
「ええ、どうぞ」
「漁の許可と言う事だが貴方がたが実際に漁を行うのかね?」
「実際には私達ではなく私達が雇ったものがになるね」
なるほどと呟き、しばし目を瞑るリザートマンの長。
ゆらゆらと揺れる尻尾が動きを止めると再び口を開いた。
「それはやめて貰いたい。理由としては間違いなく汽水湖に住む他の種族と争いにならからだ。もし人が襲われればどうなるか、護衛を雇うかな? それとも大勢で討伐しに来るのだろうか」
一息に話し、加賀が翻訳するのを待つりリザートマンの長。
長の言葉が通じるのは加賀とラヴィのみ、長文だとたまに一部が抜けたりするのである程度のところで区切るようにしたようだ。
「どちらにしてもトラブルとなる、そうなれば許可を出したドラゴン様も見過ごすことは出来なくなるだろう」
「それはつまり漁をする事に反対と言う事?」
「そ、そうでは無い。漁を行ってもトラブルにならない者がすれば良いのだ……内の者に貴方達の必要な分をとらせれば良い」
加賀やアイネにとっては結果的に魚介類を入手できれば良いのであって、誰が漁をしようがそこは関係ない。
長の提案は二人にとっては悪いものではない、アイネは長の言葉を吟味しいくつか質問を問いかける。
「それは嬉しい提案ね。海岸まで人をやって受け取れば良いのかしら? 後、対価はどうするの?」
「海岸に人をやるのも……ああ、いや反対ではないぞっ」
一瞬漏れた赤い燐光をみて慌てて訂正する長。
「内の者を街まで行かせよう。そこで対価の代わりとして買い物するのを手伝ってほしいのだ」
「それは……加賀次第ね。拘束時間はどれぐらい?」
1時間程度と答える長。ちらりと視線を向けるアイネに対しこくりと頷いて返す加賀。
「なら大丈夫ね、一度に持ってこれる量はどれぐらいかしら?」
魚介類は宿の客の食事と出すのだ、最低でも30人分は必要となる。
長はアイネの質問を聞いてゾロリと生えそろった牙を見せる、どうやら笑みを浮かべたようだ。
「30人であれば毎食全員が腹いっぱいになるだけの量を用意できるぞ」
「すごいね、でも毎日はさすがに要らないかな」
そうか、と言って少し肩を落とす長。
リザートマンにとっては主食なのかも知れないが人はそうもいかない。毎日魚となるとさすがに飽きが来ると言うものだ。
「この先にいるの?」
4人は長と護衛の者達と共にリザートマンの街から少し離れた所にあるちょっとした祭壇へと来ていた。
長はアイネの言葉にああと答えると祭壇へと向かい深く頭を下げる。
「ドラゴン様、リザートマン長です。どうかそのお姿をお見せください! ……呼ばなくてもくるんじゃがな」
そう言うや否や祭壇の前の水面が盛り上がりを見せる。
やがて水面は荒れ水が渦巻く音が激しく辺りに響いていた。
「でっか!」
「神の落とし子か、久しく見てなかったが……」
鮫を彷彿とさせる頭部に首長竜のような首と胴体、体の動きに合わせ色合いを変化させる滑らかな鱗。全長は30mを優に超えているだろう、いかにも水竜といった姿をしたドラゴンは加賀の言葉に反応を示す。
「それで、神の落とし子が何の……用…………」
加賀に視線を向けていたドラゴンだが隣にいたうーちゃんに気が付くとびしりと固まる。
そしてゆっくりと水面の下へと戻ろうとする。
「えっ……う、うーちゃんお願い!」
うっ(まかせろー)
数分後そこには海岸に打ち上げられた魚のように砂浜に身を横たえるドラゴンの姿があった。
「あ、あんたらドラゴン様になんつーことを」
「綺麗に飛んだねえ」
うっ(やったぞい)
ドラゴンはうーちゃんにより水中から空中へと蹴り上げられていた。
体格差とか考えると色々とおかしいが、とにかく見事な飛びっぷりであった。
故に加賀にすりより褒めてオーラ全開のうーちゃん。
とりあえず加賀は全身をぷるぷると震わせる長と横たわるドラゴンの姿をあまり視界に入れないようにしつつうーちゃんの頭をなでくり回すのであった。
そこには複数の護衛に囲まれた、長と呼ばれるリザートマンが椅子に腰かけ4人が来るのを待ち構えていた。
「よくきたラヴィ……5年振りだったか」
「20年振りです長、ご無沙汰しております」
「おぉ、もうそんなに立っていたか……時がたつのは早いものだ」
長は護衛らと比べると全体的に細身で小柄であった、それに声は若干しゃがれ肌の部分には皺が見られる。恐らくそれらは加齢によるものだろう。
「さて、本題だがドラゴンと交渉したいと言う事だったかな? お客人よ」
「えぇ、この汽水湖での漁を許可して貰おうと思って」
アイネの言葉を聞いてじっとアイネを見つめたまま考えこむリザートマンの長。
やがて考えがまとまったのか視線をうーちゃんに移し口を開く。
「したいのは交渉のみだな? ……良いだろう、場所は案内する。それで少し聞きたい事があるのが」
「ええ、どうぞ」
「漁の許可と言う事だが貴方がたが実際に漁を行うのかね?」
「実際には私達ではなく私達が雇ったものがになるね」
なるほどと呟き、しばし目を瞑るリザートマンの長。
ゆらゆらと揺れる尻尾が動きを止めると再び口を開いた。
「それはやめて貰いたい。理由としては間違いなく汽水湖に住む他の種族と争いにならからだ。もし人が襲われればどうなるか、護衛を雇うかな? それとも大勢で討伐しに来るのだろうか」
一息に話し、加賀が翻訳するのを待つりリザートマンの長。
長の言葉が通じるのは加賀とラヴィのみ、長文だとたまに一部が抜けたりするのである程度のところで区切るようにしたようだ。
「どちらにしてもトラブルとなる、そうなれば許可を出したドラゴン様も見過ごすことは出来なくなるだろう」
「それはつまり漁をする事に反対と言う事?」
「そ、そうでは無い。漁を行ってもトラブルにならない者がすれば良いのだ……内の者に貴方達の必要な分をとらせれば良い」
加賀やアイネにとっては結果的に魚介類を入手できれば良いのであって、誰が漁をしようがそこは関係ない。
長の提案は二人にとっては悪いものではない、アイネは長の言葉を吟味しいくつか質問を問いかける。
「それは嬉しい提案ね。海岸まで人をやって受け取れば良いのかしら? 後、対価はどうするの?」
「海岸に人をやるのも……ああ、いや反対ではないぞっ」
一瞬漏れた赤い燐光をみて慌てて訂正する長。
「内の者を街まで行かせよう。そこで対価の代わりとして買い物するのを手伝ってほしいのだ」
「それは……加賀次第ね。拘束時間はどれぐらい?」
1時間程度と答える長。ちらりと視線を向けるアイネに対しこくりと頷いて返す加賀。
「なら大丈夫ね、一度に持ってこれる量はどれぐらいかしら?」
魚介類は宿の客の食事と出すのだ、最低でも30人分は必要となる。
長はアイネの質問を聞いてゾロリと生えそろった牙を見せる、どうやら笑みを浮かべたようだ。
「30人であれば毎食全員が腹いっぱいになるだけの量を用意できるぞ」
「すごいね、でも毎日はさすがに要らないかな」
そうか、と言って少し肩を落とす長。
リザートマンにとっては主食なのかも知れないが人はそうもいかない。毎日魚となるとさすがに飽きが来ると言うものだ。
「この先にいるの?」
4人は長と護衛の者達と共にリザートマンの街から少し離れた所にあるちょっとした祭壇へと来ていた。
長はアイネの言葉にああと答えると祭壇へと向かい深く頭を下げる。
「ドラゴン様、リザートマン長です。どうかそのお姿をお見せください! ……呼ばなくてもくるんじゃがな」
そう言うや否や祭壇の前の水面が盛り上がりを見せる。
やがて水面は荒れ水が渦巻く音が激しく辺りに響いていた。
「でっか!」
「神の落とし子か、久しく見てなかったが……」
鮫を彷彿とさせる頭部に首長竜のような首と胴体、体の動きに合わせ色合いを変化させる滑らかな鱗。全長は30mを優に超えているだろう、いかにも水竜といった姿をしたドラゴンは加賀の言葉に反応を示す。
「それで、神の落とし子が何の……用…………」
加賀に視線を向けていたドラゴンだが隣にいたうーちゃんに気が付くとびしりと固まる。
そしてゆっくりと水面の下へと戻ろうとする。
「えっ……う、うーちゃんお願い!」
うっ(まかせろー)
数分後そこには海岸に打ち上げられた魚のように砂浜に身を横たえるドラゴンの姿があった。
「あ、あんたらドラゴン様になんつーことを」
「綺麗に飛んだねえ」
うっ(やったぞい)
ドラゴンはうーちゃんにより水中から空中へと蹴り上げられていた。
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