天使に紛れた悲哀の悪魔

堕天使ラビッツ

【プロローグ】

「国王様! 無事生まれた様です!」

 静かな王宮の廊下に声が響く。

「何?! 男か?」
「いえ……女子で御座います」

「所詮は奴の子、やはり呪われておったか……」

「国王……様…? 今、何と……」
「子供は牢獄にでも閉じ込めておけ。――いいな?」




 そうして生まれたのがわたしだった。暗い部屋、差し込むのは一筋の光だけ。
 流石悪魔信仰の国の王、愛情は疎か、わたしが生きていては迷惑だ、とでも言うのかしら。
未だに親の顔も見た事はない。

 ――こんな暗闇はもう沢山。

 お願い、誰かわたしを攫って、まだ見た事の無い外の景色を見せて……。

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