僕はヒューマ。

Reeya

僕の役割



僕はヒューマ。僕には生まれつき口がない。

だから君とお話しすることはできない。

そのかわりに感情がある。人間と同じ。




だから僕にできることは……











――君のそばにいること。君のそばで君を見守ること。










ただ、それだけ。それだけなんだ。






僕を作ったのは、ある、ひとりぼっちの女の子。名前は、かこちゃん。

君はうまく話せない。自分の感情をうまく言葉にすることができない。
だから君はいつもひとりぼっち。そんな君は僕をこの世界に生み出した。



「もうさみしくないよ。だってふたりぼっちだもん。」



君は僕に笑ってそう言った。

その笑顔が悲しそうに見えたのは僕だけだろうか。

その時、君を守りたい。そう思ったんだ。






きっと君が僕に口を作らなかったのは、「いっしょ」がほしかったからだろう。


え?かこちゃんには口がないのって?


違うよ。言葉にできないんだ。のどまで出てきた言葉はつっかえて声にならない。

だからうまく話せない。僕といっしょ。






でも……


君には僕と違って口がある。

だから僕は、君が誰かに思いを伝えられるようになるまで、君のそばにいる。

君が心から笑える日がくるまで君を見守る。そう決めたんだ。









――ひとりぼっちの誰かのとなりにあらわれ、そばで見守ること。その誰かの笑顔を見届けること。











それがこの世界に生み出された僕の役割。









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