ユグドラシルの奇跡

穂村千聖

プロローグ

平凡なことが続けば人はその平凡さが嫌になる。
その平凡さがある人にとっては救いになるかもしれない。
はたまた、ある人にとっては人生を大きく左右するかもしれない。
恥ずかしいこと、辛いこと、嬉しいこと、、、
そのすべてを捨ててまであなたは平凡を嫌と言い続けることが出来るだろうか。


「何か面白いことが起きないとつまらないよね」


一人の子どもがそうつぶやく。


「こんなに何も起きないと人生も楽しくないまま終わるかもな」

もう一人の子どももまたつぶやく。

互いに理解し合えたかのように話が進んでいく。
人生とは楽しいことが全然ない。今日は昨日と同じように過ごし、明日は今日と同じように過ごすのだろう。
子どもはそう思うようになった。

その日々に退屈を覚えるのはそう先の話ではなかった。


その子どもたちが住む土地ではある伝説があった。



「ユグドラシルの奇跡」



その伝説とは何なのかそれを知る者は誰もいなかった。

だが、二人の子どもはこの伝説を明らかにすれば平凡から抜け出し毎日を楽しく過ごせるはずだと妙な確信を得ていた。

子どもは二人で決意を固め伝説の解明に向けて毎日を費やした。
手がかりらしきものを見つけた二人は伝説に繋がる手がかりを胸に伝説解明の旅へ出た。


しかしそれ以来その子どもたちを見た者はいなかったという…

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