事故死したので異世界行ってきます
第33話 新国王誕生
魔王軍との戦いで勝利を収めた俺は、玉座の間に居た。
玉座の間の両側には沢山の騎士と兵士が左右にズラリと一列に並んで居た。
「そなたのこの度における活躍は凄まじいものであった、その功績として《王家の家紋》を譲渡する」
ラギナは玉座の間の最奥に置かれた、豪華を極めた椅子に腰掛けながらそう言った。
大臣がその言葉と同時に扇子の様なのを俺に手渡す。
「どうぞ」
「あ…はい…」
俺は少々戸惑いながら受け取る、なぜ戸惑っているかって?帰ってきて来たら、いきなり玉座に間に連れてこられたと思ったらこんな事になってるからだよ!
『おぉ…』
兵士と騎士達は感慨深いもの言いで言葉を呟きながら盛大な拍手を送る。
「今日をもって儂は国王を退位する。これからはユウスケが皆を引っ張ってやってくれ」
「は?」
冗談だよね?俺に王になれってこと?無理だから、そんなのイヤだからっ!!!
「ちょっと待て!!」
「なんだ?」
「なんだ?じゃねーよ!何言ってんだよっ!」
「聞こえて居なかったか、すまない、ではもう一度…」
「聞こえてるわっ!なんで俺が国王になるんだよ!?」
「なんだ、そんなことか」
え?そんなこと?コイツもしかしてバカなんじゃ無いか?
「それは、国王の任期を終えたからじゃよ」
「任期?」
「そうじゃ、国王は最長30年で退位するのが決まりとなっているのだ、そして儂は今日をもって任期を終えたのじゃ」
「なるほど…… ってなるかぁぁっ!俺は国王なんかにならねぇからな!?」
ラギナは目を点にしてこちらを見ている。どうやら断られるなんて思っていなかった様だ。
「どうしますか…?」
大臣が口を開きラギナを問いただす。
「う~む… どうするも何も……」
「「なってくれ(下さい)」」
国王と大臣が俺の方を向いて息を合わせてそう言った。
「だから、イヤだって言ってんだろ!?」
「そんなこと言われてものぉ… もう国民に公表してしまったしのぉ……」
おい、マジか……
「と、言うわけで国王になってくれませんか?」
大臣が俺に向かってそういう。
「うっ… リリカに相談した後でも良いか?」
「それについては心配せんでも良い、リリカ殿の承諾は既に得ておる」
コイツっ!! ︎リリカに相談する前にまず俺に相談しろやぁぁっ!
場所はカルダド王国中央広場へと移る、広場の真ん中に何やらステージらしきものが設置されており、俺とラギナはそこに並んで立っていた。
ステージの周りにはぎっしりと人が集まっており遠くの方まで人が居るのが見える。
「今日、皆の者に集まって貰ったのは他でもないッ!!」
ラギナは遠くにいる国民にも声が届くように声を大にして話す。
「今日をもって、ラギナ・ローレルは国王の座を退位するッ!!」
その言葉が発せられるも同時に、涙ぐみうつむくものを居たが、希望に満ち、目をキラキラと輝かせこちらを注視している者の方が多くいた。
「そして、明日から皆の王となるのは、隣にいる大賢人でもあり、闘神でもあるユウスケだッ!!
皆の者、国民として王たる彼を支えてやってほしい ︎」
『おぉぉぉっッッ!!!』
その言葉と同時に国民からは怒号のような歓声が上がり、俺は王として認められたのであった。
そしてこれをきっかけにカルダド王国は大きな躍進を遂げることとなる。
場所は大広場から国王室へと移る。
「明日からココはそなたの部屋になる、儂の私物は全て撤去するので心配なく」
「おう。本当に俺、王になるんだな……なんかまだ実感ないや……」
「まぁ、初めはそんなもんじゃよ、儂も王になってからしばらくは何をすれば良いか分からなかったしな。今も手探りの状態に変わりはないのだが……」
よくそんな重役を俺に任せられたな……
「そんな事より魔導書が見つからなかったことについてなんだが……」
魔王軍との戦いの末、勝利を収めたものの本来の魔導者は見つからなかった。
おそらく魔族の誰かが本土へ持ち帰ったのだろう。
だが、俺にとっての問題はそこではない、アレク達を救出することが出来ないと言う事に問題があるのだ。
俺が覚えているのは、無属性を含む全属性の古代魔法で第12位階に値する魔法を各属1つずつだ。
俺の覚えた全属性魔法の中に『呪いを解く』と言った効力を持つ魔法はなくどれも攻撃魔法だった。
「あぁ……リリカには今から伝えようと思う」
「その必要はない、こちらで伝えておいた。納得してくれているようだったぞ」
「そうか……なら俺も異論はない。でも、最後に合わせてくれないか?」
「あぁ、構わない」
「リリカも連れて行って良いだろう?」
「もちろんだ」
ジメジメとした地下牢にアレクは収容されていた、これではまるで犯罪者ではないか、後でココから解放してあげれるよう交渉してみよう。
「アレク、具合はどうだ?」
「おぉ、ユウスケ…… リリカも来てくれたのか」
「う、うん……」
か細く心配そうな声でアレクに声をかけるリリカ。
「心配すんなって!俺はだいじょ…ゴホゴホ……」
「お、おい!大丈夫か!?」
「わりぃ、大丈夫だ……はぁはぁ…」
「そ、そうか…… アレク落ち着いて聞いてほしい」
「わかってる、助からないんだろ?」
アレクは全てを悟りきったかの様な眼差しで俺を凝視した。
「……すまない」
「なに、俺は元々死んでた人間なんだから今生きていられるだけでありがたいよ」
「ねぇ……アレク、他のみんなは?」
 
リリカはマグたちが居ないことに気づきアレクに問いかける。
「そういえば、見当たらないな」
「アイツらは先に逝ったよ……」
アレクの目からは、これまで堪えていたものが爆発するかの様に、大粒の涙が溢れ出した。
「おい、ラギナそれは聞いてないぞ?」
不意にラギナに当たってしてしまう。
「すまぬ…」
「なぁ、俺には後どれくらい時間が残ってるんだ…?」
アレクのその表情は気休めの為に嘘をついて欲しいという感じではなかった。
「……」
俺は無言でラギナに目配りをする、それを察知し、どういう意味なのかも汲み取ったラギナはゆっくりと口を開いた。
「……持って1日、早ければ1時間も無いというところだ」
「そんなぁ……」
魂が抜けるようにそう呟きながら、リリカは泣き崩れた。どうやらこの話は聞かせれていなかったようだ。
「そっか。ありがとう」
アレクはまるで他人事のように素っ気なくそう言った。
「お前のことなんだぞ……助かりたいとは思わないのかよ」
生に執着しないアレクに俺は、本当に生きたいと思わないのか問いただした。
「そりゃ、助かりたいとは思う」
「だったら……」
「でもな、どう祈ったって無理なものは無理なんだよ。救ってもらってこんな事を言うのもなんだが、死者を蘇らせる事自体あってはならないことだと思うんだ、だから俺は自分の死を受け入れる」
アレクのその言葉は生と死の在り方を歪めてしまった俺を戒める様に聞こえた。
この言葉を最後にピタリと時間が止まったようにアレクは動かなくなった。
「お、おい!アレクどうしたんだよッ!」
「……どうやら思ったよりも早く来てしまったようだな」
「ど、どういうことだよ」
「今その者の心臓は止まっておる、1時間もすれば心臓は再び動き出す。そして次に心臓が動き出す時はもう彼に理性は無い」
「それってつまり…」
それは魔物になることを意味しているのだ。
「力になれなくて済まない……」
王は肩を落とし、俺は何もできなかった自分の無力さとやるせなさに襲われ、リリカに至ってはただひたすらに泣き続けていた。
死ぬ間際アレクが放った言葉により俺は、禁術である蘇生魔法をあるべき姿に還すのであった。
更新遅れてすいません!
これからもよろしくお願いします!
次回の更新は2/10を予定しています!
『俺が魔王!?』と言うタイトルで新しく作品の方作っておりますのでそちらもよろしければご覧下さい!!
玉座の間の両側には沢山の騎士と兵士が左右にズラリと一列に並んで居た。
「そなたのこの度における活躍は凄まじいものであった、その功績として《王家の家紋》を譲渡する」
ラギナは玉座の間の最奥に置かれた、豪華を極めた椅子に腰掛けながらそう言った。
大臣がその言葉と同時に扇子の様なのを俺に手渡す。
「どうぞ」
「あ…はい…」
俺は少々戸惑いながら受け取る、なぜ戸惑っているかって?帰ってきて来たら、いきなり玉座に間に連れてこられたと思ったらこんな事になってるからだよ!
『おぉ…』
兵士と騎士達は感慨深いもの言いで言葉を呟きながら盛大な拍手を送る。
「今日をもって儂は国王を退位する。これからはユウスケが皆を引っ張ってやってくれ」
「は?」
冗談だよね?俺に王になれってこと?無理だから、そんなのイヤだからっ!!!
「ちょっと待て!!」
「なんだ?」
「なんだ?じゃねーよ!何言ってんだよっ!」
「聞こえて居なかったか、すまない、ではもう一度…」
「聞こえてるわっ!なんで俺が国王になるんだよ!?」
「なんだ、そんなことか」
え?そんなこと?コイツもしかしてバカなんじゃ無いか?
「それは、国王の任期を終えたからじゃよ」
「任期?」
「そうじゃ、国王は最長30年で退位するのが決まりとなっているのだ、そして儂は今日をもって任期を終えたのじゃ」
「なるほど…… ってなるかぁぁっ!俺は国王なんかにならねぇからな!?」
ラギナは目を点にしてこちらを見ている。どうやら断られるなんて思っていなかった様だ。
「どうしますか…?」
大臣が口を開きラギナを問いただす。
「う~む… どうするも何も……」
「「なってくれ(下さい)」」
国王と大臣が俺の方を向いて息を合わせてそう言った。
「だから、イヤだって言ってんだろ!?」
「そんなこと言われてものぉ… もう国民に公表してしまったしのぉ……」
おい、マジか……
「と、言うわけで国王になってくれませんか?」
大臣が俺に向かってそういう。
「うっ… リリカに相談した後でも良いか?」
「それについては心配せんでも良い、リリカ殿の承諾は既に得ておる」
コイツっ!! ︎リリカに相談する前にまず俺に相談しろやぁぁっ!
場所はカルダド王国中央広場へと移る、広場の真ん中に何やらステージらしきものが設置されており、俺とラギナはそこに並んで立っていた。
ステージの周りにはぎっしりと人が集まっており遠くの方まで人が居るのが見える。
「今日、皆の者に集まって貰ったのは他でもないッ!!」
ラギナは遠くにいる国民にも声が届くように声を大にして話す。
「今日をもって、ラギナ・ローレルは国王の座を退位するッ!!」
その言葉が発せられるも同時に、涙ぐみうつむくものを居たが、希望に満ち、目をキラキラと輝かせこちらを注視している者の方が多くいた。
「そして、明日から皆の王となるのは、隣にいる大賢人でもあり、闘神でもあるユウスケだッ!!
皆の者、国民として王たる彼を支えてやってほしい ︎」
『おぉぉぉっッッ!!!』
その言葉と同時に国民からは怒号のような歓声が上がり、俺は王として認められたのであった。
そしてこれをきっかけにカルダド王国は大きな躍進を遂げることとなる。
場所は大広場から国王室へと移る。
「明日からココはそなたの部屋になる、儂の私物は全て撤去するので心配なく」
「おう。本当に俺、王になるんだな……なんかまだ実感ないや……」
「まぁ、初めはそんなもんじゃよ、儂も王になってからしばらくは何をすれば良いか分からなかったしな。今も手探りの状態に変わりはないのだが……」
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魔王軍との戦いの末、勝利を収めたものの本来の魔導者は見つからなかった。
おそらく魔族の誰かが本土へ持ち帰ったのだろう。
だが、俺にとっての問題はそこではない、アレク達を救出することが出来ないと言う事に問題があるのだ。
俺が覚えているのは、無属性を含む全属性の古代魔法で第12位階に値する魔法を各属1つずつだ。
俺の覚えた全属性魔法の中に『呪いを解く』と言った効力を持つ魔法はなくどれも攻撃魔法だった。
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「その必要はない、こちらで伝えておいた。納得してくれているようだったぞ」
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ジメジメとした地下牢にアレクは収容されていた、これではまるで犯罪者ではないか、後でココから解放してあげれるよう交渉してみよう。
「アレク、具合はどうだ?」
「おぉ、ユウスケ…… リリカも来てくれたのか」
「う、うん……」
か細く心配そうな声でアレクに声をかけるリリカ。
「心配すんなって!俺はだいじょ…ゴホゴホ……」
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アレクは全てを悟りきったかの様な眼差しで俺を凝視した。
「……すまない」
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「ねぇ……アレク、他のみんなは?」
 
リリカはマグたちが居ないことに気づきアレクに問いかける。
「そういえば、見当たらないな」
「アイツらは先に逝ったよ……」
アレクの目からは、これまで堪えていたものが爆発するかの様に、大粒の涙が溢れ出した。
「おい、ラギナそれは聞いてないぞ?」
不意にラギナに当たってしてしまう。
「すまぬ…」
「なぁ、俺には後どれくらい時間が残ってるんだ…?」
アレクのその表情は気休めの為に嘘をついて欲しいという感じではなかった。
「……」
俺は無言でラギナに目配りをする、それを察知し、どういう意味なのかも汲み取ったラギナはゆっくりと口を開いた。
「……持って1日、早ければ1時間も無いというところだ」
「そんなぁ……」
魂が抜けるようにそう呟きながら、リリカは泣き崩れた。どうやらこの話は聞かせれていなかったようだ。
「そっか。ありがとう」
アレクはまるで他人事のように素っ気なくそう言った。
「お前のことなんだぞ……助かりたいとは思わないのかよ」
生に執着しないアレクに俺は、本当に生きたいと思わないのか問いただした。
「そりゃ、助かりたいとは思う」
「だったら……」
「でもな、どう祈ったって無理なものは無理なんだよ。救ってもらってこんな事を言うのもなんだが、死者を蘇らせる事自体あってはならないことだと思うんだ、だから俺は自分の死を受け入れる」
アレクのその言葉は生と死の在り方を歪めてしまった俺を戒める様に聞こえた。
この言葉を最後にピタリと時間が止まったようにアレクは動かなくなった。
「お、おい!アレクどうしたんだよッ!」
「……どうやら思ったよりも早く来てしまったようだな」
「ど、どういうことだよ」
「今その者の心臓は止まっておる、1時間もすれば心臓は再び動き出す。そして次に心臓が動き出す時はもう彼に理性は無い」
「それってつまり…」
それは魔物になることを意味しているのだ。
「力になれなくて済まない……」
王は肩を落とし、俺は何もできなかった自分の無力さとやるせなさに襲われ、リリカに至ってはただひたすらに泣き続けていた。
死ぬ間際アレクが放った言葉により俺は、禁術である蘇生魔法をあるべき姿に還すのであった。
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