事故死したので異世界行ってきます

暇人001

第28話 仲間


 アレクの肉片に蘇生魔法を唱える。

「我、生と死の秩序を乱す者
我、死者の魂を召喚する者
我、屍に魂を与え屍に生を与える者
我が、魔力を糧に死者を蘇らせよ
蘇生魔法【体魂蘇生リバイブ】」


  アレクの肉片は真っ白な光に包まれ、その光は次第に大きくなり、俺とリリカの視界を完全に奪った後に、肉片のあった場所にはアレクが五体満足の体で不思議そうな表情を浮かべながら立っていた。

「あ、アレクぅ…!」


 リリカがアレクに抱きつく。
 もし俺がアレクとリリカの関係を知らなかったらアレクを叩き斬っていたであろう。
 リリカはアレクにしばらく抱きついたあと、何故こんな場所に居るのかを事細かく説明した。
 リリカがアレクに説明をしている間に
 マグ、ゼル、エリシア
 の三人を蘇生させた。

 三人は口を開け呆然としている、俺はガンドラのヘルムを取り蘇生させた事を伝えた。
 すると死の直前でもフラッシュバックしたかのように三人とも倒れこんでしまった。
 俺とリリカとアレクは倒れ込んだ三人が落ち着くのをじっと待っていた。


「悪りぃな…迷惑かけちまって…」

「いや、構わないさリリカを死んでも守り抜いてくれたんだから礼を言うのは俺の方さ」

 リリカが死んだら蘇生魔法を探す気力すらなくただひたすら家で抜け殻のような生活を送っていたに違いない。

「リリカは何で奴隷になっていたんだ?」

「ん?聞いていないのか?」

「また、後で聞かせてくれるか?」

「おう」

「とりあえず皆んな一旦ここを離れよう、いつ魔物が来るかわからない」

 俺は全員に向けてそう言った後ゲートを開き自宅に繋げた






「ここがユウスケの家か?広いなぁ!」

 アレクはさっきまで死んでいたとは思えてない程元気な声でいいリアクションをしている。
 だが他の3人はまだそんな気分にはなれなかったようだ
、俺は3人をベットが有り尚且つまだ一度も使っていない部屋が後8部屋もあったので1人1部屋ずつ案内した、リリカも家に着いた途端に疲れ果てたようにぐっすりと眠りに落ちていたのでリリカの部屋に運んであげた。







「お前はは平気なんだな」

「お? 蘇生されたことにびっくりしすぎて 死んだショックがどっかに吹き飛んだだけだ」

「そうなのか、それで、なんでリリカは奴隷になってたんだ?」

 アレクは少し黙り込んでからゆっくりと口を開いた

「実は、クエストに向かっている途中フードを纏った謎の集団に襲われて、転移魔法を使われ全員ラゴウド国周辺の山脈に飛ばされたんだ、それで飛ばされた先には
黒死と名乗る男が居て、そいつは問答無用で俺たちに斬りかかってきた、黒死の攻撃にみんなは倒れて行き、最後に残ったのは俺とリリカだったんだ、俺とリリカ2人だけになった時、悪魔の翼を生やした女の魔族らしきヤツが移動魔法【ゲート】を使って突然現れ、リリカを連れ去ってしまったんだ、そしてその後俺は黒死と名乗る男に殺された」

「わかった、詳しく教えてくれてありがとう、今日は色々と疲れただろう?部屋を案内するよ」

 ふむふむ…
 黒死と名乗る男と翼を生やした魔族は繋がっていて…
 あーっ!もう!考えるのは苦手だなぁ…明日ラギナにでも相談してくるか…
 全く、こんな俺が大賢人の称号を持っていて良いものなのだろうか、とつくづく思うのであった。
 アレクを空き部屋に案内し、自分の部屋へと戻った。


「んー、やっぱり今ある情報だけで黒死と謎の集団そして、魔族の居場所はわからないな…」

 【心眼】を使って調べてみようとしたがマップが脳内に映し出されることはなく、当然だが、赤点が点滅することもなかった。


「それにしても… あのアレクがいともたやすく殺されるとはな… 黒死とか言うやつ相当の手練れなのか?」


 古代魔法を記した魔導書を雑誌のようにペラペラとめくりながら、眠気が来るのを待った。




ドンドンドンッーッ!

 家の扉、家の壁、またガラスまでもを叩く音が四方八方から聞こえる、その音にたまらず起きた俺は扉を開けようとリビングに向かった、するとリビングにはリリカと 【アライブ】のメンバーが全員揃っていた。


「すまねぇ… どうやら俺たちを蘇生しているところを誰かが見ていてその噂を聞きつけた人たちが亡くなった親族を蘇らせて欲しいと懇願してきている… 」

 アレクか深々と頭を下げて謝る、別にアレクが悪いわけではないのだから俺はアレクに顔を上げるように言う。

「大丈夫、なんとかする  リリカはアレク達と一緒に王宮に避難していてくれるか?」

 家はこの騒動、もしかしたら遺族を救って欲しいと言っている人の中に、リリカやアレク達の命を狙っている黒死関係の人間がいるかもしれない、俺が近くにいるから大丈夫だとは思うが念のために王宮に避難してもらう
この国で1番安全なのは王宮その中でも安全な国王室に。


「【ゲート】 さぁ、入って」

 リリカは俺が言った通りアレク達と、一緒にゲートをくぐった、そして俺も1度国王に断りをするために顔だけゲートをくぐらせ説明する、するとあっさり国王は承諾した。


ガチャーッ

揺れる玄関の扉を開けると……

「うちの息子を蘇らせて下さいっ!」
「俺の妻を蘇らせてくれ!金ならいくらでもはらう!」
「僕の、お母さんを生き返らせて…」

そんな怒号のような要望が山のように玄関の扉の向こうから聞こえてくる。
 皆、我先にと言わんばかりに手をあげたり、飛び跳ねたりしてアピールしている、しかしそんな彼ら彼女たちの蘇らせて欲しいと言う共通点の他に、蘇らせて欲しい人物であろう遺骨を持っていた。


 おかしい… 蘇生魔法【体魂蘇生リバイブ】の原理を知っているのは、俺とリリカだけ…

 俺とリリカ…
 
 リ、リカ…?


 俺の脳裏には電撃が走るように不穏な考えが浮かんだ。
 まさか全てリリカの策略?いや、そんなことをするはずがない…そんな事してもなんの得になる?
 でも、もしそうだとしたらどこからが策略なんだ…?
 アレク達と一緒にクエストに行った時?
 それとも俺と一緒に旅を始めた時?

 もしかして……俺に近づいたあの時から?

「せーかいだよ、ユウくん♪」

 いつも聞いていた声、でもどこか違う声、その声は真後ろから聞こえて来た俺は振り向きこの目で確認した。

「リ、リカ… な、なんでお前が…」
「ごめんねー、でもこれが仕事なんだぁ♪ おい黒死、殺れ」

 リリカが一言そう言うと、どこからともなく全身が黒い包帯の様なもので覆われた細身の男性が現れた。
 黒死は一言も発することなく腰に携えた黒い剣を引き抜き切り込んで来た。


「な、んで…」

 俺はリリカに裏切られていたショックで微動だにできない、黒死の剣は俺を袈裟斬りにした。

「グッ…」

 出血こそしたものの、ガンドラを装備していない状態ですらステータス(守)をカンスト値をオーバーしている俺には致命的な、一打とはならなかった。

「キャァーァッ!!」

 家に群がっていた人集りは、流血を伴う戦闘を目の当たりにして蜘蛛の子が散るように退散して行った。


 ポタポタと血が滴る。
 それでもなお動けずにいる俺に黒死は容赦なく斬撃を繰り出す。

 一太刀、また一太刀と俺の体を斬りつける、その度に鮮血が飛び散る、蓄積されたダメージと度重なる出血により俺の視界は揺らぐ。

 そして、ここに来てようやく自分の命が危険な状態であることを認識する。


「何故にも反撃しようとしない?」

 黒死が呆れたように俺に向かって訊いてきた。

「安心しろ… お前のターンはこれで終わりだこっからは俺の番だ」

 黒死は、なんの前触れもなく突如として雰囲気の変わった俺に警戒して構えを取る。

「水の精霊よ、我が言霊を聞け、古代魔法【クリスタルバブル】  躍り狂え、雷の精霊よ、天の裁きを持って敵を打ち滅ぼせ 古代魔法【雷轟迅グラディストトルディオス】」

 透き通った清らかな大きな水玉が黒死を一瞬で包み込んだ、黒死は必至に逃れようとするが水玉はそれを許さない、そこに家を揺らすほどの轟音とともに無数の雷が降り注がれる。
 数秒後、黒死の肉は爛れ、透き通っていた綺麗な水は赤黒い血で染まっていた。


「さ、さすがね…… でも私のことを攻撃できるかしら?」

 リリカは黒死がいともたやすく殺されたことに驚いては居るが、死ぬ事に対しては全く恐怖していなかった。 
 というよりも殺されないだろうとタカをくくっていた。

「くッ…」

 事実俺は、リリカを殺す事なんて出来ない。

「やっぱり、私に攻撃するなんて無理だよねー♪でも私はできるよ?
 範囲負荷魔法【オールダウン】
 負荷魔法【技封鎖】
 風魔法【ウェントススピネル】」


 体がグッと重くなる負荷魔法の影響だろうか、リリカから放たれた風は周りの空気を切り裂きながら形を槍へと変えて俺の方を貫いた。

「うっ、、、」

 明確な痛みを感じたのはレグルス法帝との戦闘以来だろうか、それにステータスを下げ更にスキルを封じてからの攻撃、レグルス法帝の時とまるっきり同じ手段だ、リリカはあの時の俺を見ていたのか?


「じゃあねユウくんこれでおしまい
蒼風多槍アークディスレヴィパルス】」

 そう唱えるとリリカの正面には大量の青い槍が現れた、見るものを引きつけるほど蒼く澄んだ綺麗な槍は暴風を纏い俺目掛けて放たれた、その瞬間動くもの全てがスローモーションに見えた。
 だが弱体化されている今の俺にリリカの放った魔法を避けられる能力は無い。
 愛する者に殺される最期を悟りゆっくりと目を瞑る。


 目を瞑り死を覚悟したその瞬間、俺の背後の空間が グワァン という音を上げた。

「ユウくん…っ!!」

 背後からは聞き覚えのあるリリカの声が俺の鼓膜を激しく揺らした。







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