歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第187歩目 女神と半神!最強神vs最強種②
前回までのあらすじ
ニケさんとドールが仲良くなった!?
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ニケさんとちょっといちゃいちゃ回。
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□□□□ ~まさかの展開~ □□□□
モリオンに、ニケさん達についての紹介を強引に済ませた俺は早速デートを開始しようと思う。
当然、デートなのだから二人きりで、だ。
誰にも邪魔はされたくはないし、邪魔をさせない。
一番の心配要素であるアテナ達についても.....。
「では、テディ。アテナ様の護衛をしっかりするのですよ?」
「キュ、キュ、キュ!(あいあいさー!任せてくれよぉ!ニケ様!)」
「言うまでもないと思いますが、もしアテナ様の身に何かあったら.....後は分かりますね?」
「キュキュキュ!(だ、だだだだいじょうぶで、す!こ、この身に代えても必ず!)」
ニケさんがにっこりと微笑んだだけでガタガタと震え出すテディ。
俺の隣にいたドールですらも、ニケさんのその微笑みという名の殺気にぶるぶると震え、全身の毛や2本の尻尾がピーンと逆立ってしまっている。
まさにハリネズミドールの完成だ。
このままではかわいいのが台無しなので、安心させる為にももふもふしてあげよう。
テディ?テディは知らん!
「ドール。尻尾触るぞ」
「あ、主.....」
───もふもふ
「ほら、大丈夫だか.....固った!?」
まるで鋼鉄かよ!?
ドールの尻尾はもふもふなんていう心地好い感触ではなかった。
小突いたら、キンキンキン!と音がしそうなぐらいの強度をほこっていた。
それぐらい、ニケさんの微笑みという名の殺気が恐ろしかったのだろう。
正直言えば、俺もちょっと怖かった。
生物であるのなら全て恐怖に至らしめるような、そんな殺気だ。
「な"ーちゃーん、おいでー( ´∀` )」
「な"ー?(あんた、だれー?)」
うん、分かっていた。
アテナとな"ーが全く大丈夫なことは。
生物であって生物ではない存在というか、究極のわがままを貫くこの一人と一匹には、ニケさんの微笑みの裏にある意味を理解できるとは到底思えないからだ。
そして、そこに加わる新たな存在。
「こいつ、もふもふでかわいいのだ」
「な"ー.....zzz(ありがとー。おやすみなさーい)」
なんとなくだが、分かっていた。
モリオンも大丈夫なことは。
スキルではなく生きる為に培ったスカ○ターのような力で、自然と相手の実力を推し量れるドールとは異なり、モリオンはどこかそういうのに疎い。
俺の名前を見破った経緯から、Lv.4以上の【鑑定】スキルを間違いなく所有しているのだろうが、己に絶対的な自信があるのか全く活用していない。
所謂、宝の持ち腐れというやつだ。
「歩様。歩様」
「どうしました?」
「一応、隠していますし、仮に見たとしても分からないのだと思いますよ?」
それもそうか。
俺も(ニケさんに確認を取って)見てみたが、さっぱりだったし。
そういう意味では、ドールのスカ○ターのような力が如何に優れているのかがよく分かる。
時尾さんやサキ、キャベツさん、アルテミス様の力もそれなりに理解していたようだし、ほぼほぼ正確なのだろう。
ちなみに、ニケさんのステータスはこんな感じだった。
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『ニケ』 レベル:ーーー 危険度:ーーー
種族:人間族
年齢:ーーー
性別:♀
職業:ーーー
称号:ーーー
体力:ーーー
魔力:ーーー
筋力:ーーー
耐久:ーーー
敏捷:ーーー
【一言】私もこんな感じで偽造してるよー(`・ω・´) 
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ちょっと興味はあったが、さすがに見ることはできなかった。
恐らく、【偽造】のレベルが5なのだろう。当然か。女神様だしな。残念。
「歩様が望まれるのであれば、構いませんよ?」
「え!? い、いいんですか!?」
「はい。.....アテナ様。よろしいですか?」
「んー? いいよー? 私は見せないけどねー!あーははははは( ´∀` )」
マ、マジか.....。
まさかの展開にちょっと驚いた。
心がドクンッと跳ねたのをしっかりと感じることができる。
当然だ。
これから『神』という存在を知ることができるのだから。
神界においても最強の女神と謳われる『ニケさん』の、その力の一端を知ることができるのだから。
これで、心踊らない者がいるだろうか。
いや、心踊らない者はいない。
と言うことで、早速【鑑定】をしてみようとしたら.....。
「お待ちください。そのままでは危険です」
「危険.....とは?」
「取り込む情報量が多いのでしょうから、そのままだと頭部が破裂してしまいます」
なにそれ!?
こっわ!?
「で、では、どうすれば?」
「一時的にですが、歩様の体を強化致します。.....アテナ様、よろしいですか?」
「んー。おさんぽいきたいからー、はやくしてよー(´・ω・`)」
なんで、いちいちアテナに許可を?
ニケさんに尋ねてみたところ、何かしらの力を使う際にはアテナの許可がいるそうだ。
こういうところが、主神と付き神では大きく異なるらしい。
「とは言え、恐らくですが、私ぐらいしか守っていないと思われます」
「本当に神々の皆さんは適当ですよね!?」
そもそも、ニケさん以外規定を遵守していないのなら、神界規定とかもはや有って無いようなものだ
ニケさんは「一応、必要なものですから」と苦笑してはいるが.....。まぁ、神様が適当なのは今に始まったことじゃないからどうでもいいか。
「分かりました。では、その強化とやらをお願いします」
「畏まりました」
ニケさんからの強化を待つ。
実はどういうふうに強化されるのか、わくわくしているのは内緒だ。後で、自分のステータスも確認してみよう。
・・・。
ニケさんからの強化を待つ。
.....って、あれ?
一向に、ニケさんから何かをしてくる気配はない。
そればかりか、顔を赤く染め上げ、何かもじもじしているような.....。
「あ、あの。ニケさん?」
「.....」
こちらを、いや、俺の手をちらちらと見ているニケさん。
なんとなくだが分かってしまった。
恐らくだが、手を繋ぎたいのだろう。
デートだし、少しでもいちゃいちゃしたい気持ちは俺にもある。
だからこそ、ちょっと意地悪したい気持ちが沸き起こってきた。中学生か!
ここは敢えて分からないフリをしよう。
「どうしました? 早くお願いします。.....それとも何かありますか?」
「む。歩様? 実は分かっていますよね?」
ひぃ!?
睨まないで!
一瞬、背筋が凍る思いをしたが、気のせいだろう。
うん。絶対気のせい!HAHAHA。
「な、何のことでしょう?」
「.....そうですか。あくまで、そのスタンスを貫くというのですね?」
うひっ!?
ニケさんの表情が、少女のそれからデキるお姉さんのものへと早変わりした。
さすがに意地悪し過ぎてしまったようだ。ご、ごめんなさい.....。
「あ、あの、手を繋げばよろしいでしょうか?」
「もともとはそのつもりでしたが.....。そ、その、歩様には罰を要求します!」
ば、罰?
ニケさんの表情が、今度はデキるお姉さんのそれから少女のものへと早変わりした。
本当に忙しなく変化している。と言うか、少女モードになったということは、何か恥ずかしいことを要求されるのだろうか。
「ば、罰とは何でしょうか?」
「え、えっとですね.....。き.....」
「き? なんです?」
「もうっ!キスしたいんですっ!!」
ふぁ!?
それは罰じゃなくて、ご褒美なんだが!?
更なるまさかの展開に驚いてしまった。
こんな形で、ニケさんからキスを要求されるとは.....。
「い、いえ。歩様の心の中が、そのことばかりで埋め尽くされていますので.....」
「ぶふっ!?」
だから、心を読まないでくださいよ.....。
あぁ、そうだ。
確かに、ニケさんの言う通りだ。
俺の心の中はニケさんとキスすることばかりで埋め尽くされている。そう勢い込んでいるし!
それに、俺の視線なんて、さっきからずっとニケさんの美しい唇にロックオンしているぐらいだ。
「わ、私も、その.....。い、嫌ではないというか.....。し、して欲しいなって.....」
「あ、ありがとうございます.....」
なにこれ!?
ニケさんがめっちゃかわいい件!
俺とニケさんの顔が、みるみる赤く染め上がっていくのが分かる。
俺自身は「キスをする!」と勢い込んではいたものの、いざニケさんに「キスして欲しい」なんて言われたものだから、急に恥ずかしくなってしまった。だから中学生か!
心と体が上手くマッチしていない、この体たらく。
はぁ.....。彼女ができたというのに、俺の恋愛偏差値はまだまだ低いままなようだ。
そんな俺とニケさんの様子を見て、ドールがぽつりっ。
「はぁ.....。たかが接吻ではないか。主もニケ様もウブ過ぎなのじゃ。
早う交尾をしてもらわねば、妾も困ると言うもの。これではいつになることやら.....」
「う、うるせえな!.....と言うか、え、Hはまだ早すぎるだろ!? ねぇ!ニケさん!?」
「え?」
「え?」
きょとんとした表情でお互いを見つめ合う、俺とニケさん。
と言うよりも.....。
うわぁぁぁぁぁあああああ!
お、俺は勢いに任せて、何てことをニケさんに聞いているんだ!?
「こ、これじゃまるで「ニケさんとHしたいです!」って、言ってるようなもんじゃねえか!?」
「したくないのかの?」
「い、いや、したくない訳じゃないんだ!むしろ、したい!!
で、でも、まだ早いというか時期尚早というか.....」
「ならばすれば良かろう。好きおうておる者同士なのだから、時期尚早もくそもあるまい」
「そ、そうか.....。そうなのか.....。そうだよな.....。俺達付き合っているんだもんな」
「納得したなら、早う交尾してこんか。その次には妾が控えておるのじゃからな」
「い、今から!? ま、まだ日が高いし!?.....って、え?」
ギギギとまるで音がするように声のしたほうに視線を向けると、「なんじゃ?」と首を傾げるドールがそこにいた。
おいおいおい.....。
ま、まさか、今までのやり取り全てが声に出ていたとでもいうのか.....?
「今更そんなお約束展開はいらぬ。ニケ様を見てみたら分かるであろう?」
「.....ニケさんを?」
ドールに促されるまま、ニケさんを見てみると.....。
「.....」
敢えてそっぽを向いていたニケさんが俺の視線に気付いたのだろう。
全身を、そう白く透き通る肌を手の先まで真っ赤に染め上げ、更にはお風呂上がりと言っても過言ではないほどに湯気を立ち上らせ始めた。
うん。間違いなく、全てを聞かれていたようだ。はぁ.....。
「二人の仲を進展させた妾に感謝するのじゃぞ?」
「なん.....だと!?」
こ、このくそ狐!
分かってて誘導尋問しやがったな!!
「Hがしたいです!」とか、そんな下心満載な言葉に進展もくそもない。
かの有名な先生だって、「諦めなさい。もう試合終了ですよ」と匙を投げるレベルだ。
「ほら。何をボサっとしておる。さっさと男らしく決めてこんか」
「何を決めるの!?」
ドールにバシンッ!と思いっきり背中を叩かれ、改めてゆでダコ状態のニケさんと向かい合う。
ニケさんの視線がちらちらと、時折俺の股間部分に向いていることから、相当意識はしているのだろう。き、気まずい.....。
お互いが気まずい思いをしながら俯いていたら、先に声を掛けてきたのはニケさんだった。
それと同時に「主はヘタレじゃのぅ」みたいな、ドールの溜め息が後ろから聞こえてきたような気もする。
「あ、歩様は.....。そ、その.....。わ、私と、し、したいのですか?」
「.....え?.....しょ、将来的には、し、したいです」
どんな会話だよ!?
と言うか、ドールはニヤニヤすんな!
「あ、歩様が、の、望まれるのであれば、わ、私は、い、いいいいつでも構いませんよぉ!?」
え!?マジ!?
ニケさんの様子から察するに、嘘や冗談ではなく本気らしい。
声が上擦っているところからも、既に覚悟は出来ているのだろう。
ニケさんも俺と同じ気持ちなのがとても嬉しい。
それに脱童貞のチャンスだ。素直に嬉しい。
だが.....。
「ありがとうございます。ですが.....、段階を追っていきたいと思います」
「そう.....ですか」
だが、断る!
ニケさんのテンションがあからさまに落ちたような気がするが、それでも断る!
「はぁ.....。やはり主はヘタレであったの」と、後ろでなにやら聞こえてきたが、それでも断る!
ニケさんを本気で好きだからこそ大切にしていきたい。
惜しい、実に惜しいと思えば思うほど、ここは断腸の思いで未練を断ち切るべきだ。
「では、歩様? 段階と言いますと、キス、からでよろしいですね?」
「.....」
うわぁ.....。
ニケさんの凍てつくような視線と呆れたような声が、俺を逆境に立たせる。
どうやら、ニケさんのテンションは間違いなく下がったみたいだ。
ただ、唯一の救いは俺への気持ちが冷めていな.....。
「.....歩様。さすがにそれ以上は看過できませんよ?」
「な、なんでもありません!」
「いいですか? 例え何があろうとも、私の歩様への想いが冷めることなど決して有り得ません。
そこを疑われるのはとても心外です。それが例え、歩様であっても許されるものではありません」
ニケさんの想いはニケさんのものだ。
それが俺への想いであったしても、俺が否定することは許されない。
俺だって、きっとそうだ。
ニケさんへの想いをニケさんに否定されたら怒るに違いない。
これは全面的に俺が悪い。
心よりニケさんに謝罪しよう。疑ってごめんなさい、と。
「分かって頂ければ十分です。私はそれだけ歩様を、あ、愛しているのですから!」
「あ、ありがとうございます.....」
「歩様は私を、あ、愛していますか?」
うぐっ!?
そ、それはずるいですよ!ニケさん!!
うっすらと涙を滲ませ、まるでお願いするかのように上目遣いで尋ねてくるニケさん。
あざとい。あざとすぎるが、かわいくもある。と言うか、こんな演技どこで覚えてくるのだろうか。.....って、雑誌か。GJ!雑誌!!
「も、もちろんです」
「ダメです。きちんと言葉にしてください。
『言葉にしないと伝わらない』と仰ったのは歩様ご自身なのですよ?」
うごごっ!
よ、よく覚えてるなぁ.....。
「当然です。歩様の仰った言葉一つ一つは、私の脳内メモリーに保存済みですからね。
では、もう一度お願いします」
「う、う~ん。だ、大好きですよ」
「あれ!? なんか落ちてませんか!?」
これは仕方がない。
先程はニケさんのかわいさと勢いに負けて頷いてしまったが、まだまだ「愛している」と言える程、俺の中で覚悟が決まっている訳ではない。
限りなく『LOVE』寄りの『LIKE』といった感じだ。
「むぅ。歩様は意地悪です!」
「すいません。でも、本気だからこそだと理解してもらいたいです」
「本気.....。う、ふふ.....。で、では!その本気とやらの気持ちを態度で示してください!」
「態度.....と言いますと?」
「先程、言いましたよね? キ、キスしてくださいと。もしかして.....忘れてました?」
「と、当然、覚えてましたよ?」
再びニケさんからの凍てつくような視線を浴びせられそうになったが、なんとかごまか.....(ごほん)。なんとか回避することができた。
すっかり忘れていたなんて口にしようものなら、どんな罰が待っていることやら.....。
「では、お願いします」
ニケさんはそう言うと、燃え盛るきれいな灼眼の両の目を閉じ、俺がキスしやすいよう顎を少しだけ上げてくれた。
しかも、以前同様、まるで祈るかのようなポーズをきれいに添えて。
うん。完全にキスを待つ態勢だ。
さすがに、ここまで期待されてしまうと断りづらいだろう。
だから、俺は───。
□□□□ ~半神になっちゃった!?~ □□□□
「歩様の匂い.....。とても落ち着きます」
「あ、あの。臭くはないですよね?」
俺の胸の中で、ニケさんが恥ずかしいことを宣っている。
かくいう俺も、実はニケさんのかぐわしい香りを胸一杯に溜め込んでいることは内緒である。
結局、キスは勘弁してもらうことになった。
流される形でのキスが納得できなかったからだ。
ドールからは「し、信じられぬ.....。ヘタレどころではないのじゃ.....」と心底呆れられたが、ファーストキスぐらいはロマンチックにしてみたいものだ。
それで、最終的には、ニケさんが満足するまでハグをするという形で納得してもらうことになった。
「えっと.....。ところで、ニケさんのステータスを見てみたいのですが.....」
「もうちょっと、このままでお願いします」
俺の胸の中で、頭をすりすりと擦り付けてくるニケさん。
この仕草.....。どことなくドールに似ている。
ドールもまた俺の膝の上に座っている時は、まるでマーキングでもしているかのように、自分の頭や体をよく擦りつけてくることがある。
まぁ、ニケさんにマーキングされるなら大歓迎だがなっ!
・・・。
「お待たせしました。歩様ニウム充填完了です」
歩様ニウムってなに!?
ひとしきり俺を堪能したニケさんは早速準備に入るようだ。
と言っても、いまだニケさんは俺の胸の中にすっぽりと収まってはいるが.....。なんでも、歩様ニウムとやらを更に取り込んでいるらしい。充填完了とは!?
「俺はどうすればいいのでしょうか?」
「そのままでいいですよ。.....あっ。いえ、もっと強く抱き締めてください!」
「「あっ」って、聞こえたんですが!? これ、準備なんですよね!?」
ニケさんは、しまった!みたいな顔をしているが、言われた通りに強く抱き締めることにした。
華奢な体ではあるがアテナとは異なり、力を入れてもぽきっと壊れそうな印象は受けない。さすがはニケさんと言うべきか。
「あっ。それはとても良い感じです。歩様の想いが伝わるようです」
「だからこれ、準備なんですよね!?」
大丈夫かな.....と思いつつも、彼女の要望なのでしばらく抱き合ったままでいる。
すると、俺の体を白銀のハッキリとした光が包み込んできた。
なんかこう、シャキ!とさせられるとても強い光だ。アテナの淡く心地好い金色の光とは随分と異なる。
「ニケさん、これって.....」
「ご安心ください。いま歩様に、私の神気を流し込んでいるだけでございますので」
「なるほど。だから、こう身の引き締まるような感覚が.....」
いやいやいやいやいや!
神気ってなに!?俺、どうなっちゃうの!?
ニケさんは俺の不安を察してか、「大丈夫ですよ」とにっこり微笑んでくれた。
ニケさんが大丈夫だと言うのなら大丈夫なのだろうが.....。
それでも、さっきから俺の神経という神経が軒並み活性化しまくっているように思えてならない。
それに、神経だけではない。力が溢れてくる。
それも、以前【自己犠牲】を発動した時以上の力が.....。な、なんだこれ!?
更に、更に、信じられないことまで起こった。
(ぐ、ぐぬぬ.....。ニケ様が羨ましいのぅ.....。妾だって、主に抱き締めて欲しいのじゃ)
ドールを見ると、「な、なんじゃ?」と慌てたように首を傾げている。
まるで、俺がドールを見た意図を全く理解していないかのような素振りだ。
つまり、今のはドールの心の声.....?
「仰る通りです。これがスキル【読心】の効果です」
「心を読まないでくださいよ.....。と言うか、何で俺にそんな力が?」
「私の神気を歩様に流し込みましたので、一時的にですが、歩様は神となったからですね」
あぁ、なるほど。
確かに神ならば心を読むことぐらい容易いよな。
・・・。
おや?
神様.....だと!?
「いやいやいやいやいや!.....え!? 俺って、神様になっちゃったんですか!?」
「一時的に、ですよ? とは言え、神でも一番下の半神ではありますが」
半神.....?
ニケさん曰く、半神とは神と人との間で産まれた神様のことを指すらしい。
所謂、準神ってやつだ。
地位はあまり高くはなく、神獣と同程度なんだとか。(※世界編!【遺伝子相関図】参照)
「そ、その、何か副作用的なものはあるんですか?」
悪い副作用については、ニケさんのことだから心配はしていない。
ただ気になるのは、今後神様としての道を歩むのかどうか、これに尽きる。こういう展開は小説やラノベなどではあまりにも多い案件なので、そこだけがすごく気になる。
「本当に一時的に、なのでご安心ください」
「ふぅ。そうですか。良かったです。急に「神様になれ」と言われても困っちゃいますからね」
「ふふっ。さすがに私でも、そこまでの権限はありませんから」
権限さえあればできるの!?
神界はいくらなんでも緩すぎないだろうか。
いや、まぁ、俺に「神様になれ」とか無茶ぶりしてこないなら、緩くてもどうでもいいのだが。
「それでも、力だけなら、主神よりも強くなっているはずですよ?」
「え?そうなんですか?」
「私の神護『勝利』とはそのようなものですから」
さすがは最強の女神と謳われるだけのことはある。
恐らく、力の一部しか流し込んではいないと思うが、それでも主神以上とは恐ろしいものがある。
ただ、どの程度の力があるのかは非常に気になるところだ。
ちょっと力試しでもしてみるかな、と思っていたら.....。
「おやめください。いくら半神と言えど、それでも神です。
初級魔法程度でも、この世界なら半分ぐらいは吹き飛びますよ」
こっわ!?
半神怖すぎだろ!?
いや、真に怖いのは『勝利』を司っている最強の女神ニケさんか。
ドールが信仰の対象でもあるアルテミス様には逆らえたのに、ニケさんには手も足も出せずに白旗をあげた理由がよく分かった。
逆らえるかどうかではない。
そもそも逆らってはいけない存在なのだ。
それを身を持って知ったということなのだろう。
・・・。
俺も『ニケさんを怒らせないようにしないと』と肝に命じ、早速ニケさんのステータスを確認してみる。
でも、ニケさんの尻には敷かれたいんだよなぁ!これが!!
それに「お任せください!」とか言っているニケさんが頼もしすぎる!うっひょ~!
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『ニケ』 レベル: 危険度:皆無
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:勝利の女神
体力:
魔力:
筋力:
耐久:
敏捷:
Lv.6:
神護:『勝利』
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「.....あれ?えっと?」
見間違いかと思ってもう一度よく見てみたが、やはり見間違いではないようだ。
肝心のところがほとんど表示されていない。どういうこと!?
いや、それ以外にもツッコミどころが満載ではあるのだが、今は一旦置いておこう。
「つまり、そういうことです。表示できないほど、ということですね」
「ふぁ!? 数字では表せないってことですか!?」
「そうなります。ですので、本来は隠す必要もないのですが、一応決まりですので」
数字では表せないとなると、∞よりもそのまた上ということになる。
さ、さすがはニケさん.....。
いやいや、無茶苦茶過ぎるだろ!?
∞より上ってなんだよ!?
それに、危険度が『皆無』というのも初めて見た。
あのアテナですら『極小』だというのに、ニケさんはそれをも上回るというのか。
「アテナ様には申し訳ありませんが.....。
私はアテナ様以上に歩様のことを愛しておりますので、この結果は当然のことでございます。
むしろ、これ以外の結果は認めないと言いますか、有り得ないと言いますか、ホッとしております」
ニ、ニケさん.....。
ニケさんからの溢れる程の愛情をひしひしと感じる。
俺はこの嬉しさを、この喜びを伝えるべく、胸の中に収まっているニケさんを更にぎゅっと強く抱き締めた。.....ありがとうございます。
「歩様からの『愛している』という想いが、より一層伝わってくるようです」
「大好きですよ、ニケさん」
「むっ!意外と強情なんですね!」
ニケさんも人のこと言えないですよね?
頬をぷく~っと脹らませ、ぷりぷりと怒っているニケさんもまたとても愛らしい。
すごくいい。すごく充実している。今の俺は、めっちゃいちゃいちゃしている感がある。リア充の仲間入りって感じ?
さて、最後に気になることを確認しよう。
「『Lv.6』ってなんですか?初めて見るのですが」
「説明が難しいのです。それと言うのも、私は対神戦というのもありますので、それ用と言いますか。
Lv.5を『神級』と評するなら、Lv.6は『天上級』と申しますか、神の力の中でも特別なものなのです」
なんとなくだが、ニケさんの言いたいことが分かるような気がする。
つまり、『神をも滅することのできる力』だということなのだろう。
通常はLv.5スキルまでしかないので、Lv.6スキルなんてものを有するのはそれこそ極小数、限られた者のみにしか扱えない力なんだと思われる。
まさにニケさんの言う通り、『対神』用なのだ。
俺の中で、神界の株がちょっと上がった瞬間だった。
それと言うのも、俺は小説やラノベなどで、神すらも倒してしまう創作物を幾つも読んできた。
そして、いつも疑問に思っていた。
何故、神様から貰った力 (=チート)で神様が倒されてしまうのだろうか、と。
おかしくはないだろうか。
貰った力と言うものは、所詮神様の力のコピーでしかないはずだ。
そして、コピーはオリジナルに勝てないのが世の常でもある。
運用方法うんぬんではない。所詮は劣化でしかないのだから。
それはつまり、この場合は『基本的にLv.5を有している神様相手にLv.5スキルでは打ち勝てない』ということだ。
では、どうしたらいいのか。
Lv.6スキルを創っちゃえばいいじゃない!となる訳だ。
万事適当な神界ではあるが、Lv.6スキルの存在だけは認めざるを得ないだろう。
そして、そんなLv.6スキルを有しているニケさんは、やはり最強の女神と謳われるだけの資格と名誉があって然るべきなのである。さすがニケさん!
「お、驚きました。さすが歩様ですね。ここまで理解が早いのはさすがに驚きました」
「いえいえ。さすがなのはニケさんのほうですから」
「ふふっ。さすがなのは歩様ですよ」
「いやいや。ニケさんのほうですから。さすがは頼れる彼女です」
「!!.....あ、歩様。嬉しいです。嬉しすぎて、キスを所望したいです」
「ありがとうございます。ですが、今はハグで我慢してください。アテナ達の目もあることですし」
俺とニケさんの間で、キスを巡って一進一退の攻防が行われる。
俺としてもニケさんとキスをしたいのはやまやまではあるが、せめてアテナ達の目がないところ(子供の教育に良くないしな!)で、欲を言えばロマンチックな場所でファーストキスをしたい。
ニケさんには今しばらく我慢をしてもらおう。
そう思っていたら、遂にこいつの堪忍袋の緒が切れた。
「こらー!はやくしろー!いつまでいちゃいちゃしてんのーヽ(`Д´#)ノ」
そう、みんなご存知、駄女神ことアテナだ。
さすがに、ちょっといちゃいちゃし過ぎたようである。
我慢の『が』の字も知らないアテナには退屈で仕方がなかったようだ。いや~、めんご。めんご。
「めんご。めんご。じゃなーい!私はな"ーちゃんとおさんぽいきたいのーヽ(`Д´#)ノ」
「悪かったって。いつもよりも多めにお小遣い渡すからさ。.....ドール、頼むな?」
「うむ。任された。主もニケ様に迷惑を掛けぬようにするのじゃぞ?」
「テディも任せましたよ?」
「キュ、キュ、キュ!(がってん承知でさぁ!ご安心くださいよぉ!)」
こうして、いよいよニケさんとのデートが始まろうとしていた。
俺とニケさんは二人きりのデートを楽しむ。
そして、アテナ達とドール、モリオン、テディとな"ーは、ショッピングセンターでそれぞれの日々を過ごすべく分かれることとなる。
そう、分かれることになると思ったのだが.....。
「我もアユムと一緒に行くのだ!」
うぐぅ.....。
や、やはりそう来たか.....。
このモリオンの一言が切っ掛けで、事態は混迷の一途と化していくことになるのだった───。
(1日分の取得品)
①ニケとのデート7日間 (女神ニケ)
②加護『不協和音』 (女神エリス)
③たわし計16個 (女神ニケ+男神アレス)
④店舗への損害賠償 (↓200,000,000)
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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:智慧の女神
体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
装備:殺戮の斧
女神ポイント:492,640【↑800】(1日分)
【一言】歩の目がまっかーΣ(・ω・*ノ)ノ
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アユムの所持金:3,309,952,200ルクア【↓200,000,000】(1日分)
冒険者のランク:SS(クリア回数:26回)
このお話の歩数:約22,000歩(1日分)
ここまでの歩数:約101,438,200歩
アユムの旅行年:44ヶ月+19日(↑1日)
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『アユム・マイニチ』 レベル:
種族:半神
年齢:26
性別:♂
職業:半神
称号:女神の付き人/竜殺し
所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ
体力:
魔力:
筋力:
耐久:
敏捷:
装備:竜墜の剣 (敏捷+2400)
神剣デュランダル(???)
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法
Lv.2:浄化魔法
Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
状態異常耐性
Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)
Lv.5:??? (※『神剣デュランダル』装備時のみ)
共有:アイテムボックスLv.3
パーティー編成Lv.3
ダンジョンマップLv.3
検査Lv.3
造形魔法Lv.3
奴隷契約Lv.3
待機:申請魔法Lv.3
ワールドマップLv.3
マッピングLv.3
加護:『ウォーキング』Lv.14241 13743/14242
『NTR』 Lv.10810 5010/10811
『不協和音』 Lv.209 50/210
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後書き
次回、本編『最強神vs最強種③』!
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今日のひとこま
~半神の特徴~
「ふぁ!? お、俺のステータスが異常なことに!?」
「歩様も半神となっておりますからね」
「な、なるほど.....。半神の時点で既に表示しきれないんですね.....」
「数字で表せるものなど極僅かということです」
「それにしても、こう、なんというか落ち着かない感じです。
ふわふわしているというか、変に高揚しているというか、ハイな感じです」
「ふふっ。神の素質がお有りなのでは?」
「えぇ.....。それはそれで微妙ですね。なんか傲慢になってしまいそうです」
「その成れの果てが神ですから」
言い切っちゃったよ!?
でも、半神になってみて分かったことがある。
こんな高揚感を常に感じているのなら、神様が傲岸不遜にもなる訳だ。
今のは俺は無敵だぜ!ひゃっほ~い!!とか、そんな感じ。
「でも、思ったよりも体への負担はないんですね。変化はありますか?」
「特にこれと言ってありませんよ? 鏡でも見ますか?」
「お願いします」
「では、どうぞ」
ふむふむ。
確かに、これと言って変化はなさそうだ。
髪が金色になったり、急に伸びたり、眉毛が無くなったりなどはしていない。
「あれ? 目の色が.....」
「ふふっ。気付きました?」
「この色って、まさか.....」
「はい。私とお揃いです!」
「やっぱり。きれいな灼眼ですもんね。どうです? 俺に似合いますかね?」
「とてもお似合いですよ。むしろこのままでもいいかと!」
「HAHAHA。さ、さすがに日本に戻った時には目立つかと.....」
「カラコンでいきましょう!そういう文化があるんですよね?」
「ありますが、職場では怒られます」
「分かりました。私が説得に参りますのでご安心ください」
「いやいやいやいやいや!職場に居づらくなるので勘弁してください!」
「むぅ。そうですか? 私が行けば何の問題もなく片付きますよ?」
何を片付けるの!?
怖すぎて聞けやしない、聞けやしないよ.....。
でも、今日一日はニケさんと灼眼カップルデートと洒落込みますか!
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コメント
なつきいろ
感想ありがとうございます。
主人公は基本的に毎日2万歩(朝1万、夜1万)前後。
更に旅に出ると、毎日12万歩前後歩いていることになります。
しかも、異世界に来て(歩くだけでレベルアップを得て)まもなく4年近く経とうとしていますので、結構血の滲むような努力?はしていることになります。
それでも、1億歩歩いてもステータスが15000前後というのも微妙ですよね.....。
Qual
毎話楽しく読ませて頂いてます!今思ったんですけどアユムの歩数1億歩超えてるんですね…w凄い歩いてる(笑)