歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第181歩目 義弟の想い!女神ヘスティア②
前回までのあらすじ
ヘスティア様でかすぎだろ!?
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□□□□ ~真理と現実~ □□□□
柔らかい.....。
とても柔らかい.....。
あまりの柔らかさに、一切の抵抗なく際限なく沈んでいく。
いや、もがけばもがくほど、逆に沈んでいくような気もする。そんな柔らかさ。
安心する.....。
とても安心する.....。
体温と体温が触れ合っているせいか、とても気持ちいい。
叶うことならずっとこのままで居たい、そう思わせてくれる心地好さだ。
・・・。
俺は現在、ヘスティア様の巨大なるおっぱいの中にいる。
ユミエルちゃんの時のようにぱふぱふしている訳ではない。本当に体丸ごと谷間の中にいるのだ。
イメージとしては、あるテレビ番組の体が小さくなった男性が女性に悪戯しているようなものに近いだろうか。
それも『見た目は子供、頭脳は大人』のAPTX4869を飲んだ時のようなサイズではなく、顔を真っ白にしたお馬鹿な殿様のミニ殿様サイズぐらいだと思って欲しい。
とは言え、今回は逆で、ヘスティア様があまりにも大き過ぎるので、相対的に俺が小さく見えるに過ぎないが.....。
一応言っておくが、俺は別に悪戯している訳ではない。
ヘスティア様に「お願いね~」と言われ、訳も分からず谷間に放り込まれたに過ぎないのだから。ひゃっは~!おっぱいは最高だぜ!!
もう一度言うが、俺に落ち度は一切ない。
これで司法に問われると言うのなら、俺は司法の在り方そのものに異議を唱えるつもりだ。
・・・。
柔らかい.....。
とても柔らかい.....。
安心する.....。
とても安心する.....。
俺の体が、ヘスティア様の胸の柔らかさでどんどん沈んでいく。
果てしなく、果てしなく、どこまでも.....。
「.....」
そして、この全身を優しく包み込むような幸福感と安心感。
なんとなくだが記憶がある。なんだったっけ?
(.....思い出した!これはお袋の!)
昔、辛いことや悲しいことがあった時に、お袋に励ましてもらったり、抱き締められ慰めてもらった時の感覚に近い。
体だけではなく心も含めて、俺の全てを100%預けられる幸福感と安心感。まさにそれだ。
直近では、ニケさんと抱き合った時にも近い感想を持ったが.....。今はそれ以上な気がする。
申し訳ないが、どうやら今の俺とニケさんの関係では、まだそこまでの真理には至らないようだ。
(あぁ~。幸せだ。やっぱり男はみんなおっぱい星人なんだよなぁ.....)
『肉体が精神を凌駕する』とはよく言ったものである。
だからこそ、今度は精神が肉体を凌駕できるよう、ニケさんとの関係をより深めていきたい。
その為には.....。
(今度のデートは絶対にキスをする!)
頼めばさせてもらえそうな気もするが、そういうことじゃない。
俺が納得できて、ニケさんにも喜んでもらえるような素敵なキス。これが最終目標だ。
(やっぱり、きれいな夕陽を背景にキスとかがいいかな?)
ド定番過ぎるような気もするが、俺の貧弱な発想ではこれが限界だった。
欲を言えば、本当は夕陽の映える海岸が良かったのだが、トランジュは内地なので本当に惜しまれる。
俺はヘスティア様のおっぱいの中に沈みつつ、そんなことを考えていた。
他人のおっぱいの中で彼女のことを考えるという、ヘスティア様やニケさんに対してとても失礼な行為ではあるが、それだけリラックスしていたということだ。
そんなリラックスしている状態の俺に、それは突然やってきた。
───ゴツンッ!
「イタッ!?」
何かが勢いよく俺の頭にぶつかってきたのだ。
いや、もしかしたら、俺がぶつかりにいったのかもしれない。
「ふぇぇえええ(´;ω;`)いたーい.....」
「お、お前は!?」
□□□□ ~ようやくの登場!~ □□□□
何故かは分からないが、ヘスティア様のおっぱいの中にアテナがいた。
このくそ駄目女神は、こんなところで何をしていたのだろうか。
「寝てたんだけどー(。´・ω・)?」
「寝てたんだけどー(。´・ω・)?じゃねえ。
俺が聞きたいのは、なんでこんなところで寝ていたのかってことだ」
「なんでってー。ヘスティアお姉ちゃんはねー、私のベッドだからだよー( ´∀` )」
「姉をベッド扱い!?」
羨まし過ぎるだろ!
代われ!今すぐ俺と代われ!!
なんでも、アテナの幼少期からヘスティア様はアテナのベッドとして大活躍なんだとか。
それに、今回はやることを全て終わらせたとのことで、俺が下界に戻るまでの間、ここでお昼寝をしていたらしい。やることってあれか?ガチャ特典のことか?
「そーそー!パパにお願いしたよー!ねぇー、えらいー?」
「はいはい。えらいえらい。.....それで?期待してもいいんだな?」
「とうぜーん!うそついたらー、一生話してあげないもんねー(`・ω・´)」
お、おぅ.....。
いつもなら、アテナのことだし話半分程度で聞き流すのだが、今回は本当に期待しても良さそうだ。
一生話してあげないとか、アテナもなかなかエグいことをする。.....ゼウス様、ざまぁ!
「ちなみに、どんな特典を付けてもらえたんだ?」
「それはしーらなーい(´-ε -`)」
つ、使えねぇ.....。
「.....」
「で、でもー、どどーんと付けてくれるらしいよーr(・ω・`;)」
俺の穏やかならぬ気配を察知したのか、アテナが慌て出した。
こいつには、『確認する』という当たり前のことができないのだろうか。
いや、所詮はアテナだ。
そこまで期待するのは酷というものか.....。
まぁ、せっかくここまで頑張ってくれたことだし、俺を置き去りにした件は今回に免じて不問にしてやろう。感謝しろよ?
「それでー?なんで歩はこんなところにいるのー(。´・ω・)?」
「実は俺も困っているんだよ」
アテナにここまでの経緯を簡単に説明する。
十連ガチャのラストがヘスティア様だったこと。
色々お話をして、それなりに仲良くなったこと。
突然訳も分からずに、ここに放り込まれたこと。
などなど。
「なんか「お願いね~」って、言われたんだけどさ。何をお願いされたのか分からないんだよ」
「そう言われたのー(。´・ω・)? 」
「あぁ。.....もしかして、どういうことか分かるのか?」
「簡単じゃーん!私を起こしてきてー!ってことだよー( ´∀` )」
それならそうと、言ってくれればいいのに.....。
と言うか、なぜアテナを起こす必要が?
「どーせ、歩がなにか言ったんでしょー┐(´ー`)┌」
「な、何かってなんだよ?」
「ヘスティアお姉ちゃんが気にしてることー!.....そだねー。身長とかー?」
うぐ.....!?
アテナの探りを入れるような、問い詰めるような視線が地味に痛い。
どうやらヘスティア様は、その巨大なる身長を気にしていたらしい。.....いや、だって、40m越えだぞ!?
「寝る子は育つって言うじゃなーい!ヘスティアお姉ちゃんは寝てばっかりだからねー!」
「育ち過ぎだろっ!?」
「人間基準で考えないのー!あーははははは( ´∀` )」
それでも育ち過ぎだろっ!?
ちなみに、ヘスティア様はいまだに成長し続けているらしい。
それに合わせて、神殿風ベッドも拡張しているんだとか。ま、まだ大きくなるのか.....。
つまり、神様とは全てにおいて規格外ということだ。
そもそも、俺のような凡人の尺度で神様を図ること自体が間違いなのである。
「ねぇー。ねぇー」
「なんだよ?」
そんな神様の無茶苦茶さに呆れていると、アテナがあることを指摘してきた。
それは決して忘れてはいけないことなのに、急展開が続いたことですっかりと頭から抜け落ちていたある一つの事実だ。
「私を起こしにきたってことはー、もう全部終わったのー(。´・ω・)?」
「!!」
それは、アテナからしてみれば、なんてことはない質問だったのだろう。
しかし、俺からしてみれば、それはあることを思い出させてくれた貴重な質問でもあった。
(残り時間は.....後8分!)
あと僅かしか時間がない。
やはり、アテナは俺が本当に困っている時には力になってくれる頼もしい相棒だ。
今度、お礼に好きなものをたらふく食わせてあげよう。
───ぽふっ。ぽんぽん
「ありがとな?」
「にへへー!よくわかんないけどー、ありがとー(*´∀`*)」
頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。
ちゃんとしてれば可愛い子なんだけどな~。胸大きいし。
「急ぐぞ!!」
「はーい( ´∀` )」
こうして、俺とアテナは広大に広がるヘスティア様のおっぱいの海を必死にかき分け、遥かなる頂きを目指したのだった。
□□□□ ~疑心暗鬼~ □□□□
「は~い。アテナちゃ~ん」
「ありがとー。ヘスティアお姉ちゃーん( ´∀` )」
「.....」
目のやり場に困る。
それが素直な感想だ。
前を見れば、大きなおっぱいぱい。
左を見ても、大きなおっぱいぱい。
右を見ても、大きなおっぱいぱい。
後ろは物理的に見れないので、目のやり場に困って仕方がない。
所謂、四面楚歌というやつで、俺はいまおっぱいという(嬉しい)大軍に包囲されてしまっている。
では、なぜこんな(嬉しい)大軍に囲まれてしまっているのか.....。
簡単にだが、説明しておこう。
俺とアテナが広大なるおっぱいの海をかき分け遥かなる頂きに到着すると、突然摩訶不思議なことが起こった。
なんとヘスティア様が縮んだのだ。それも人間サイズに、だ。
と言っても、ヘスティア様は相変わらず大きかった。
いくら人間サイズになったとは言え、身長は2mを越えていたのだ。まぁ、それでも40m越えよりかはマシなのだが.....。
詳しくと聞くと、なんでも身長に関しては伸縮自在なんだとか。
だったら、最初から.....とも思ったのだが、元の身長が40m越えであって普段はそれで過ごしているらしい。
更に言うのなら、アテナがヘスティア様の胸の中にいたので、俺と対面時は伸縮魔法が使えなかったとのこと。
つまり、ヘスティア様が俺を自身の胸に放り込んだ理由は『伸縮魔法を使いたかったから』ということのようだ。
「えぇ.....。そ、そんな理由なんですか.....」
「だって~、義弟君が~気にしてること言うから~」
それは本当にごめんなさい!
神様だって傷付く。当たり前のことだ。
モラハラはダメ!絶対!!き、気を付けねば.....。
そんな経緯を経て、話をすべくミニマムヘスティア様からベッドに腰掛けるよう促された。
そして、俺がベッドに腰掛ければ、アテナがさも当然だと言わんばかりに俺の膝の上に座ってくる。
もはや毎度のことなので構わないのだが、なんだか久しぶりにアテナの重さを感じることができて、俺の膝も喜んでいるようだ。
これで、前のおっぱいぱいの完成である。
「あ~。アテナちゃんいいな~。私も座らせて~」
「だめー!歩は私専用のイスなんだからーヽ(o・`3・o)ノ」
誰がイスだ、誰が!
それにしても、なぜヘスティア様はダメなのか。
ドールやモリオンが俺の膝の上に座ることはたびたびあるが、その時は特に目くじらを立ててはいないはずなのに。
「んー?コンちゃんもー、モーちゃんもー、私の妹だからだよー!
私はおねーちゃんだからねー!妹にはやさしくするんだー(`・ω・´)」
ほほぅ。
そうきたか。
どうやら、お姉ちゃんとしての矜持らしい。
アテナはアテナで、ちゃんとお姉ちゃんとしての自覚を養っているようだ。
「お姉ちゃんにも~、優しくしてよ~」
「だめーヽ(o・`3・o)ノ」
そして、姉には厳しいらしい。
いつの世も妹がかわいがられるのは、例え神様の世界であっても変わらないみたいだ。.....ご愁傷様です、ヘスティア様。
「いいも~ん。じゃ~、私は~ここね~」
い、いいも~んって.....。
あんたは子供か!かわいいな、もう!!
そう言って、俺の左側にピッタリと腰掛けてくるヘスティア様。あ、あの.....。少し近すぎやしませんか?
───むぎゅ。
それだけではない。
腰掛けたと思ったら、まさか腕をも組んでくる始末。だ、だから.....。少し近すぎやしませんか!?
俺の腕にヘスティア様の暴力的、そう暴力的な柔らかさが伝わってくる。
「.....」
圧倒的だ。
圧倒的な力の差を感じる。
もはや戦争だ。
革命に他ならない。
「は~い。義弟君も~どうぞ~。お姉さんが~食べさせてあげる~」
「あ、ありがとうございます.....」
仙桃という神界きってのデザートを、その美しい御手で俺の口まで運んでくるヘスティア様。
えっと.....。
このままでは、ヘスティア様のその美しい御手すらも俺の口の中に.....。
ヘスティア様は気にしていないようだが、この女神様はスキンシップが過剰過ぎる。
思わせ振りなその態度に、俺の心が何度跳ねたことか.....。
これで、左のおっぱいぱいも完成した。
そして、最後のおっぱいぱいはというと───。
「アテナ様、失礼いたします」
「んー。ありがとー( ´∀` )」
仙桃の果汁でべっとべとになったアテナの口周りを、甲斐甲斐しく拭いているユミエルちゃん。
いま俺の目の前で、ユミエルちゃんのおっぱいぱいがぶるんぶるんと主張激しく揺れている。
さすがに主人のベッドということもあって腰掛けることはないが、それでも位置的には俺の右側に配している。
これで、右のおっぱいぱいの完成である。
まさに四面楚歌。
かの赤壁の戦いのような圧倒的な戦力差で、俺は包囲されてしまっていた。
・・・。
さて、いつまでも(嬉しい)大軍に包囲されている訳にはいかない。
俺には時間がない。
東南の風が吹いている今がチャンスなのだ。
早速、ヘスティア様に報酬の話を持ち掛けた。の、だが.....。
「報酬~?なんのこと~?」
「えぇ!?」
まさかの答えが返ってきて仰天してしまった。
ヘスティア様の様子を窺うに、どうやら意地悪をしているようには見受けられない。
本当に分からないようだ。ちょっ!?どういうこと!?
「ヘスティア様。恐らくは『神々の恩寵』のことかと思われます」
「あ~。なるほど~。そういえば~そんなものあったね~」
どうやら、攻略の証を捧げた人間に与えられる報酬のことを『神々の恩寵』と呼ぶらしい。
正直、名称なんてものはどうでもいいのだが、ユミエルちゃんがいて本当に助かった。
さすがは付き神代理である。
「ごめんね~。私に当たったのは~数千年ぶりだったから~忘れてたよ~」
「す、数千年ぶり!?」
スケールでかすぎだろ!
いや、ガチャのほとんどが確率的にニケさんであることを考えれば、至極妥当でもある。
俺だって、仮に数千年間も間が空いたのなら余裕で忘れられる自信がある。
そう考えると、ヘパイストス様が報酬の件を忘れていたのもなんだか納得できてしまう。
いや、あの一件は俺も忘れていたけどさ.....。HAHAHA。
とにかく、ヘスティア様が思い出してくれたのならそれでいい。
早速、その『神々の恩寵』とやらを受けさせてもらおう。
「じゃ~、用意するね~」
ダーツは神様によってそれぞれ異なる。
ダーツ盤の形式や投げるルールなどは様々だ。
しかし、用意されるこの瞬間だけはどうしても緊張してしまう。.....か、簡単なダーツだといいなぁ。
そして、ヘスティア様に用意してもらったダーツというのが───。
神界の規定とされている、ニケさんタイプのものだった。はぁ.....。
ヘスティア様は甘えさせてくれる優しい女神様なので少しは期待していたのだが、ちょっとガッカリだ。いや、すごくガッカリだ。はぁ.....。
だが、この後ヘスティア様から驚天動地な発言が飛び出してこようとは誰が予想できただろうか。
「どうぞ~。好きなところに~刺していいよ~」
「えぇ!?マ、マジですか!?あ、あの.....。俺には仲間が.....」
「いいよ~。義弟君だけじゃなくて~、お仲間さんのも~好きなところで~」
ファ!?
なんと、俺のすぐ目の前にあるダーツ盤にそのまま刺していいらしい。
矢を投げるのではない。刺していいのだ。
しかも、ダーツ盤はニケさんの時のように豪快に回転している訳ではない。
そのままの状態で止まっている。
これでは、もはやダーツとは言えないような.....。
いや、そもそもダーツをする意味自体がないような.....。
「いちお~規則だしね~。『やったよ~』っていう~体裁が~必要なの~」
「舞日様!お願いします!そうでないと、私が叱られます!お給料減俸とか嫌なんです!!」
こ、こわい。怖い。
必死すぎるユミエルちゃんのマジ顔に、俺はドン引きだ。
そして、どうやら神界もお給料制らしい。世知辛いなぁ。.....と言うか、ファンタジーにリアルを(略
ユミエルちゃんのお給料の件はともかく、体裁うんぬんは他の神様も同様なので良しとしよう。
問題は、なぜヘスティア様がここまで大盤振る舞いをしてくれるのか、これに尽きる。
基本的に、世の中はギブアンドテイクで成り立っている。
善意によるボランティアなどもなくはないが、それはむしろ一般的ではない。
人が人と暮らす以上、利益を求めることはごく自然なことで、人として当然の権利である。
それは、例え血縁者であっても例外ではない。
だからこそ、他人との間ではギブアンドテイクが基本となる。
『タダより高いものはない』と言われるのは、それが由縁である。
つまりヘスティア様も、アルテミス様がそうであるように、俺に何か頼みごとがあるとみるべきだろう。
しかも、俺だけではなく、ドールやモリオンの分までOKという大盤振る舞いだ。よほどの案件だと考えたほうがいい。
「な~んにもないよ~?」
「えぇぇえええ!?」
しかし、予想に反した答えがヘスティア様から返ってきた。
嘘.....だろ!?
し、信じられない.....。
「義弟君は~すれ過ぎだよ~?お姉さんからの~善意~善意~」
「.....」
「信じられない~?」
「しょ、正直に言えば.....」
俺はそこまで人が優しさに溢れているとは到底思えない。いや、ヘスティア様は神様だけどさ?
特に神様連中ときたら、ニケさんやヘパイストス様などのような一部を除くと、優しさの『や』の字すらもないようなわがままな連中ばかりだ。特にアテナ。他にアテナ。その他にアテナ。
「そう~?困っちゃうな~。だったら~、何かお願いしたほうがいい~?」
本音を言えば、ヘスティア様が善意だと言うのなら、信じてあげたい気持ちは十分にある。
ヘスティア様は優しいし、甘えさせてくれるし、結構タイプだし?
しかし、俺のこれまでの経験が、ここまでの大盤振る舞いであることが、それを頑なに受け入れようとしないのもこれまた事実なのである。
どうしても、過分なまでの優しさが俺を疑心暗鬼へと誘っていく。.....申し訳ありません、ヘスティア様。
そんなめんどくさい俺に、一筋の光明を与えてくれたのは当然こいつの存在だった。
「歩はバカだねー( ´∀` )」
「.....どういうことだ?」
そう、みんなご存じの駄女神ことアテナだ。
困惑している俺とヘスティア様を見て、どうやら口を挟みにきたらしい。とりあえず口周りを拭け!汚ねえな!!
「善意か悪意かなんか関係ないじゃーん!」
「いやいや。関係なくはないだろ。本当に善意だとしたらお礼を言わないと.....」
「ちがうよー?悩む必要がないって言ってるのー(・ω・´*)」
「.....ん?」
いまいち理解できない。
善意と悪意はハッキリと区別しないといけないものだと思うが.....。
いや、そもそも、ギブアンドテイク自体は悪意でもないし。
「あのねー。気持ちなんてものはー、私達神ぐらいしか分からないものなんだよー?」
「そ、そうかもしれないが.....。いや、以心伝心なんてものも.....」
「そんなの妄言でしょー!ぐーぜんあたっただけだよー( ´∀` )」
さすがに言い過ぎ!
実際はそうなのかもしれないけどさ?
「気持ちが分からない以上はー、相手を利用するつもりでいいんだよー!
それでねー、ほんとーに善意だったらお礼いっとけばいいんだからさー(`・ω・´) 」
「り、利用って.....。なんかそれも嫌というかなんというか.....」
「なにいってるのー?
ヘスティアお姉ちゃんの善意を信じてない時点でいっしょでしょー(´・ω・`)」
うぐっ.....。
アテナの言いたいことはよく分かる。
結局、結果が同じだと言いたいんだと思う。要は俺の気持ち次第ということかなんというか.....。
「昔の人が言ってたけどー、誰でも簡単に信じちゃう人はダメなんだってー。
それってー、こうも言えるよねー?何をいっても信じられない人はダメだってー(・ω・´*)」
「!!」
昔の人は良いこと言うなぁ.....。
なるほど。
それで『利用するつもりぐらいがちょうどいい』ということか。
「わかったー(。´・ω・)?」
「まぁ、なんとなくは」
利用するかどうかは置いといて、『それぐらいの心積もりであることが重要であり楽である』と、アテナは言いたいらしい。
確かにその通りだ。
そうさせてもらおう。
せっかくの大チャンスなんだ。
そもそも、仮に何かあったとしても、これを受けない手はない。
「さすがアテナちゃんだね~。いよっ~。良妻賢母の鑑~」
「とうぜーん!歩は私がいないとー、ほんとーにダメだよねー!
感謝しなさーい!あーははははは( ´∀` )」
「.....」
このくそ駄女神がっ!
つねりたい。
非常につねりたいが、ここは我慢しよう。
最後の後押しは、間違いなくアテナだったのだから.....。
「それで~どうする~?」
ヘスティア様が、変わらない穏やかな表情で俺の答えを今かと今かと待ち兼ねている。
俺がヘスティア様に疑心暗鬼を抱いたと知っていても、なお相変わらずに.....。ありがとうございます、ヘスティア様。
だから、俺はヘスティア様に感謝の意味も込めて高らかに宣言した。
「お願いします!俺の『付き人』のレベルを上げてください!!」
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後書き
次回、本編『俺の、俺の話を聞け!』!
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今日のひとこま
~魔乳の罠~
「まってーr(・ω・`;)」
「急げ!時間がないんだよ!」
「だってー、動きに、く、、い、、、(^-ω-^)Zzz」
「うぉい!?なんで寝た!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ.....ヘスティアお姉ちゃんおそるべしー」
「はぁ?なにをい、って、、るんだ、、、」
「歩~!おきてー!」
「ハッ!?も、もしかして、寝てたのか!?」
「そだねー。一瞬で寝てたねー(・ω・´*)」
「ど、どういうことだ!?アテナならまだしもこの俺が.....」
「私ならまだしもってなにーヽ(`Д´#)ノ」
「そう、いう、、こと、、、」
「おきんしゃーいΣヾ(´∀`*」
「ハッ!?ま、またか!?」
「フツーに寝てたねー(・ω・´*)」
「な、なぜだ!?まさか疲労が溜まっているのか!?」
「えっとねー。たぶんヘスティア、おね、、ちゃん、、、(^-ω-^)Zzz」
「話してる途中で寝る.....だと!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ.....ヘスティアお姉ちゃんおそるべしー」
「ヘスティア様が何か関係が、ある、、のか、、、」
「お、きん、、しゃー、、、(^-ω-^)Zzz」
「ハッ!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ」
「あ、危なかった.....。まさかダブルノックアウトとか.....」
「にへへー!いっしょだねー(*´∀`*)」
なんで喜んでんの!?
どうやらヘスティア様の魔乳には、それはそれは恐ろしい催眠効果が、ある、、らしい、、、。ぐぅ.....Zzz
ヘスティア様でかすぎだろ!?
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□□□□ ~真理と現実~ □□□□
柔らかい.....。
とても柔らかい.....。
あまりの柔らかさに、一切の抵抗なく際限なく沈んでいく。
いや、もがけばもがくほど、逆に沈んでいくような気もする。そんな柔らかさ。
安心する.....。
とても安心する.....。
体温と体温が触れ合っているせいか、とても気持ちいい。
叶うことならずっとこのままで居たい、そう思わせてくれる心地好さだ。
・・・。
俺は現在、ヘスティア様の巨大なるおっぱいの中にいる。
ユミエルちゃんの時のようにぱふぱふしている訳ではない。本当に体丸ごと谷間の中にいるのだ。
イメージとしては、あるテレビ番組の体が小さくなった男性が女性に悪戯しているようなものに近いだろうか。
それも『見た目は子供、頭脳は大人』のAPTX4869を飲んだ時のようなサイズではなく、顔を真っ白にしたお馬鹿な殿様のミニ殿様サイズぐらいだと思って欲しい。
とは言え、今回は逆で、ヘスティア様があまりにも大き過ぎるので、相対的に俺が小さく見えるに過ぎないが.....。
一応言っておくが、俺は別に悪戯している訳ではない。
ヘスティア様に「お願いね~」と言われ、訳も分からず谷間に放り込まれたに過ぎないのだから。ひゃっは~!おっぱいは最高だぜ!!
もう一度言うが、俺に落ち度は一切ない。
これで司法に問われると言うのなら、俺は司法の在り方そのものに異議を唱えるつもりだ。
・・・。
柔らかい.....。
とても柔らかい.....。
安心する.....。
とても安心する.....。
俺の体が、ヘスティア様の胸の柔らかさでどんどん沈んでいく。
果てしなく、果てしなく、どこまでも.....。
「.....」
そして、この全身を優しく包み込むような幸福感と安心感。
なんとなくだが記憶がある。なんだったっけ?
(.....思い出した!これはお袋の!)
昔、辛いことや悲しいことがあった時に、お袋に励ましてもらったり、抱き締められ慰めてもらった時の感覚に近い。
体だけではなく心も含めて、俺の全てを100%預けられる幸福感と安心感。まさにそれだ。
直近では、ニケさんと抱き合った時にも近い感想を持ったが.....。今はそれ以上な気がする。
申し訳ないが、どうやら今の俺とニケさんの関係では、まだそこまでの真理には至らないようだ。
(あぁ~。幸せだ。やっぱり男はみんなおっぱい星人なんだよなぁ.....)
『肉体が精神を凌駕する』とはよく言ったものである。
だからこそ、今度は精神が肉体を凌駕できるよう、ニケさんとの関係をより深めていきたい。
その為には.....。
(今度のデートは絶対にキスをする!)
頼めばさせてもらえそうな気もするが、そういうことじゃない。
俺が納得できて、ニケさんにも喜んでもらえるような素敵なキス。これが最終目標だ。
(やっぱり、きれいな夕陽を背景にキスとかがいいかな?)
ド定番過ぎるような気もするが、俺の貧弱な発想ではこれが限界だった。
欲を言えば、本当は夕陽の映える海岸が良かったのだが、トランジュは内地なので本当に惜しまれる。
俺はヘスティア様のおっぱいの中に沈みつつ、そんなことを考えていた。
他人のおっぱいの中で彼女のことを考えるという、ヘスティア様やニケさんに対してとても失礼な行為ではあるが、それだけリラックスしていたということだ。
そんなリラックスしている状態の俺に、それは突然やってきた。
───ゴツンッ!
「イタッ!?」
何かが勢いよく俺の頭にぶつかってきたのだ。
いや、もしかしたら、俺がぶつかりにいったのかもしれない。
「ふぇぇえええ(´;ω;`)いたーい.....」
「お、お前は!?」
□□□□ ~ようやくの登場!~ □□□□
何故かは分からないが、ヘスティア様のおっぱいの中にアテナがいた。
このくそ駄目女神は、こんなところで何をしていたのだろうか。
「寝てたんだけどー(。´・ω・)?」
「寝てたんだけどー(。´・ω・)?じゃねえ。
俺が聞きたいのは、なんでこんなところで寝ていたのかってことだ」
「なんでってー。ヘスティアお姉ちゃんはねー、私のベッドだからだよー( ´∀` )」
「姉をベッド扱い!?」
羨まし過ぎるだろ!
代われ!今すぐ俺と代われ!!
なんでも、アテナの幼少期からヘスティア様はアテナのベッドとして大活躍なんだとか。
それに、今回はやることを全て終わらせたとのことで、俺が下界に戻るまでの間、ここでお昼寝をしていたらしい。やることってあれか?ガチャ特典のことか?
「そーそー!パパにお願いしたよー!ねぇー、えらいー?」
「はいはい。えらいえらい。.....それで?期待してもいいんだな?」
「とうぜーん!うそついたらー、一生話してあげないもんねー(`・ω・´)」
お、おぅ.....。
いつもなら、アテナのことだし話半分程度で聞き流すのだが、今回は本当に期待しても良さそうだ。
一生話してあげないとか、アテナもなかなかエグいことをする。.....ゼウス様、ざまぁ!
「ちなみに、どんな特典を付けてもらえたんだ?」
「それはしーらなーい(´-ε -`)」
つ、使えねぇ.....。
「.....」
「で、でもー、どどーんと付けてくれるらしいよーr(・ω・`;)」
俺の穏やかならぬ気配を察知したのか、アテナが慌て出した。
こいつには、『確認する』という当たり前のことができないのだろうか。
いや、所詮はアテナだ。
そこまで期待するのは酷というものか.....。
まぁ、せっかくここまで頑張ってくれたことだし、俺を置き去りにした件は今回に免じて不問にしてやろう。感謝しろよ?
「それでー?なんで歩はこんなところにいるのー(。´・ω・)?」
「実は俺も困っているんだよ」
アテナにここまでの経緯を簡単に説明する。
十連ガチャのラストがヘスティア様だったこと。
色々お話をして、それなりに仲良くなったこと。
突然訳も分からずに、ここに放り込まれたこと。
などなど。
「なんか「お願いね~」って、言われたんだけどさ。何をお願いされたのか分からないんだよ」
「そう言われたのー(。´・ω・)? 」
「あぁ。.....もしかして、どういうことか分かるのか?」
「簡単じゃーん!私を起こしてきてー!ってことだよー( ´∀` )」
それならそうと、言ってくれればいいのに.....。
と言うか、なぜアテナを起こす必要が?
「どーせ、歩がなにか言ったんでしょー┐(´ー`)┌」
「な、何かってなんだよ?」
「ヘスティアお姉ちゃんが気にしてることー!.....そだねー。身長とかー?」
うぐ.....!?
アテナの探りを入れるような、問い詰めるような視線が地味に痛い。
どうやらヘスティア様は、その巨大なる身長を気にしていたらしい。.....いや、だって、40m越えだぞ!?
「寝る子は育つって言うじゃなーい!ヘスティアお姉ちゃんは寝てばっかりだからねー!」
「育ち過ぎだろっ!?」
「人間基準で考えないのー!あーははははは( ´∀` )」
それでも育ち過ぎだろっ!?
ちなみに、ヘスティア様はいまだに成長し続けているらしい。
それに合わせて、神殿風ベッドも拡張しているんだとか。ま、まだ大きくなるのか.....。
つまり、神様とは全てにおいて規格外ということだ。
そもそも、俺のような凡人の尺度で神様を図ること自体が間違いなのである。
「ねぇー。ねぇー」
「なんだよ?」
そんな神様の無茶苦茶さに呆れていると、アテナがあることを指摘してきた。
それは決して忘れてはいけないことなのに、急展開が続いたことですっかりと頭から抜け落ちていたある一つの事実だ。
「私を起こしにきたってことはー、もう全部終わったのー(。´・ω・)?」
「!!」
それは、アテナからしてみれば、なんてことはない質問だったのだろう。
しかし、俺からしてみれば、それはあることを思い出させてくれた貴重な質問でもあった。
(残り時間は.....後8分!)
あと僅かしか時間がない。
やはり、アテナは俺が本当に困っている時には力になってくれる頼もしい相棒だ。
今度、お礼に好きなものをたらふく食わせてあげよう。
───ぽふっ。ぽんぽん
「ありがとな?」
「にへへー!よくわかんないけどー、ありがとー(*´∀`*)」
頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。
ちゃんとしてれば可愛い子なんだけどな~。胸大きいし。
「急ぐぞ!!」
「はーい( ´∀` )」
こうして、俺とアテナは広大に広がるヘスティア様のおっぱいの海を必死にかき分け、遥かなる頂きを目指したのだった。
□□□□ ~疑心暗鬼~ □□□□
「は~い。アテナちゃ~ん」
「ありがとー。ヘスティアお姉ちゃーん( ´∀` )」
「.....」
目のやり場に困る。
それが素直な感想だ。
前を見れば、大きなおっぱいぱい。
左を見ても、大きなおっぱいぱい。
右を見ても、大きなおっぱいぱい。
後ろは物理的に見れないので、目のやり場に困って仕方がない。
所謂、四面楚歌というやつで、俺はいまおっぱいという(嬉しい)大軍に包囲されてしまっている。
では、なぜこんな(嬉しい)大軍に囲まれてしまっているのか.....。
簡単にだが、説明しておこう。
俺とアテナが広大なるおっぱいの海をかき分け遥かなる頂きに到着すると、突然摩訶不思議なことが起こった。
なんとヘスティア様が縮んだのだ。それも人間サイズに、だ。
と言っても、ヘスティア様は相変わらず大きかった。
いくら人間サイズになったとは言え、身長は2mを越えていたのだ。まぁ、それでも40m越えよりかはマシなのだが.....。
詳しくと聞くと、なんでも身長に関しては伸縮自在なんだとか。
だったら、最初から.....とも思ったのだが、元の身長が40m越えであって普段はそれで過ごしているらしい。
更に言うのなら、アテナがヘスティア様の胸の中にいたので、俺と対面時は伸縮魔法が使えなかったとのこと。
つまり、ヘスティア様が俺を自身の胸に放り込んだ理由は『伸縮魔法を使いたかったから』ということのようだ。
「えぇ.....。そ、そんな理由なんですか.....」
「だって~、義弟君が~気にしてること言うから~」
それは本当にごめんなさい!
神様だって傷付く。当たり前のことだ。
モラハラはダメ!絶対!!き、気を付けねば.....。
そんな経緯を経て、話をすべくミニマムヘスティア様からベッドに腰掛けるよう促された。
そして、俺がベッドに腰掛ければ、アテナがさも当然だと言わんばかりに俺の膝の上に座ってくる。
もはや毎度のことなので構わないのだが、なんだか久しぶりにアテナの重さを感じることができて、俺の膝も喜んでいるようだ。
これで、前のおっぱいぱいの完成である。
「あ~。アテナちゃんいいな~。私も座らせて~」
「だめー!歩は私専用のイスなんだからーヽ(o・`3・o)ノ」
誰がイスだ、誰が!
それにしても、なぜヘスティア様はダメなのか。
ドールやモリオンが俺の膝の上に座ることはたびたびあるが、その時は特に目くじらを立ててはいないはずなのに。
「んー?コンちゃんもー、モーちゃんもー、私の妹だからだよー!
私はおねーちゃんだからねー!妹にはやさしくするんだー(`・ω・´)」
ほほぅ。
そうきたか。
どうやら、お姉ちゃんとしての矜持らしい。
アテナはアテナで、ちゃんとお姉ちゃんとしての自覚を養っているようだ。
「お姉ちゃんにも~、優しくしてよ~」
「だめーヽ(o・`3・o)ノ」
そして、姉には厳しいらしい。
いつの世も妹がかわいがられるのは、例え神様の世界であっても変わらないみたいだ。.....ご愁傷様です、ヘスティア様。
「いいも~ん。じゃ~、私は~ここね~」
い、いいも~んって.....。
あんたは子供か!かわいいな、もう!!
そう言って、俺の左側にピッタリと腰掛けてくるヘスティア様。あ、あの.....。少し近すぎやしませんか?
───むぎゅ。
それだけではない。
腰掛けたと思ったら、まさか腕をも組んでくる始末。だ、だから.....。少し近すぎやしませんか!?
俺の腕にヘスティア様の暴力的、そう暴力的な柔らかさが伝わってくる。
「.....」
圧倒的だ。
圧倒的な力の差を感じる。
もはや戦争だ。
革命に他ならない。
「は~い。義弟君も~どうぞ~。お姉さんが~食べさせてあげる~」
「あ、ありがとうございます.....」
仙桃という神界きってのデザートを、その美しい御手で俺の口まで運んでくるヘスティア様。
えっと.....。
このままでは、ヘスティア様のその美しい御手すらも俺の口の中に.....。
ヘスティア様は気にしていないようだが、この女神様はスキンシップが過剰過ぎる。
思わせ振りなその態度に、俺の心が何度跳ねたことか.....。
これで、左のおっぱいぱいも完成した。
そして、最後のおっぱいぱいはというと───。
「アテナ様、失礼いたします」
「んー。ありがとー( ´∀` )」
仙桃の果汁でべっとべとになったアテナの口周りを、甲斐甲斐しく拭いているユミエルちゃん。
いま俺の目の前で、ユミエルちゃんのおっぱいぱいがぶるんぶるんと主張激しく揺れている。
さすがに主人のベッドということもあって腰掛けることはないが、それでも位置的には俺の右側に配している。
これで、右のおっぱいぱいの完成である。
まさに四面楚歌。
かの赤壁の戦いのような圧倒的な戦力差で、俺は包囲されてしまっていた。
・・・。
さて、いつまでも(嬉しい)大軍に包囲されている訳にはいかない。
俺には時間がない。
東南の風が吹いている今がチャンスなのだ。
早速、ヘスティア様に報酬の話を持ち掛けた。の、だが.....。
「報酬~?なんのこと~?」
「えぇ!?」
まさかの答えが返ってきて仰天してしまった。
ヘスティア様の様子を窺うに、どうやら意地悪をしているようには見受けられない。
本当に分からないようだ。ちょっ!?どういうこと!?
「ヘスティア様。恐らくは『神々の恩寵』のことかと思われます」
「あ~。なるほど~。そういえば~そんなものあったね~」
どうやら、攻略の証を捧げた人間に与えられる報酬のことを『神々の恩寵』と呼ぶらしい。
正直、名称なんてものはどうでもいいのだが、ユミエルちゃんがいて本当に助かった。
さすがは付き神代理である。
「ごめんね~。私に当たったのは~数千年ぶりだったから~忘れてたよ~」
「す、数千年ぶり!?」
スケールでかすぎだろ!
いや、ガチャのほとんどが確率的にニケさんであることを考えれば、至極妥当でもある。
俺だって、仮に数千年間も間が空いたのなら余裕で忘れられる自信がある。
そう考えると、ヘパイストス様が報酬の件を忘れていたのもなんだか納得できてしまう。
いや、あの一件は俺も忘れていたけどさ.....。HAHAHA。
とにかく、ヘスティア様が思い出してくれたのならそれでいい。
早速、その『神々の恩寵』とやらを受けさせてもらおう。
「じゃ~、用意するね~」
ダーツは神様によってそれぞれ異なる。
ダーツ盤の形式や投げるルールなどは様々だ。
しかし、用意されるこの瞬間だけはどうしても緊張してしまう。.....か、簡単なダーツだといいなぁ。
そして、ヘスティア様に用意してもらったダーツというのが───。
神界の規定とされている、ニケさんタイプのものだった。はぁ.....。
ヘスティア様は甘えさせてくれる優しい女神様なので少しは期待していたのだが、ちょっとガッカリだ。いや、すごくガッカリだ。はぁ.....。
だが、この後ヘスティア様から驚天動地な発言が飛び出してこようとは誰が予想できただろうか。
「どうぞ~。好きなところに~刺していいよ~」
「えぇ!?マ、マジですか!?あ、あの.....。俺には仲間が.....」
「いいよ~。義弟君だけじゃなくて~、お仲間さんのも~好きなところで~」
ファ!?
なんと、俺のすぐ目の前にあるダーツ盤にそのまま刺していいらしい。
矢を投げるのではない。刺していいのだ。
しかも、ダーツ盤はニケさんの時のように豪快に回転している訳ではない。
そのままの状態で止まっている。
これでは、もはやダーツとは言えないような.....。
いや、そもそもダーツをする意味自体がないような.....。
「いちお~規則だしね~。『やったよ~』っていう~体裁が~必要なの~」
「舞日様!お願いします!そうでないと、私が叱られます!お給料減俸とか嫌なんです!!」
こ、こわい。怖い。
必死すぎるユミエルちゃんのマジ顔に、俺はドン引きだ。
そして、どうやら神界もお給料制らしい。世知辛いなぁ。.....と言うか、ファンタジーにリアルを(略
ユミエルちゃんのお給料の件はともかく、体裁うんぬんは他の神様も同様なので良しとしよう。
問題は、なぜヘスティア様がここまで大盤振る舞いをしてくれるのか、これに尽きる。
基本的に、世の中はギブアンドテイクで成り立っている。
善意によるボランティアなどもなくはないが、それはむしろ一般的ではない。
人が人と暮らす以上、利益を求めることはごく自然なことで、人として当然の権利である。
それは、例え血縁者であっても例外ではない。
だからこそ、他人との間ではギブアンドテイクが基本となる。
『タダより高いものはない』と言われるのは、それが由縁である。
つまりヘスティア様も、アルテミス様がそうであるように、俺に何か頼みごとがあるとみるべきだろう。
しかも、俺だけではなく、ドールやモリオンの分までOKという大盤振る舞いだ。よほどの案件だと考えたほうがいい。
「な~んにもないよ~?」
「えぇぇえええ!?」
しかし、予想に反した答えがヘスティア様から返ってきた。
嘘.....だろ!?
し、信じられない.....。
「義弟君は~すれ過ぎだよ~?お姉さんからの~善意~善意~」
「.....」
「信じられない~?」
「しょ、正直に言えば.....」
俺はそこまで人が優しさに溢れているとは到底思えない。いや、ヘスティア様は神様だけどさ?
特に神様連中ときたら、ニケさんやヘパイストス様などのような一部を除くと、優しさの『や』の字すらもないようなわがままな連中ばかりだ。特にアテナ。他にアテナ。その他にアテナ。
「そう~?困っちゃうな~。だったら~、何かお願いしたほうがいい~?」
本音を言えば、ヘスティア様が善意だと言うのなら、信じてあげたい気持ちは十分にある。
ヘスティア様は優しいし、甘えさせてくれるし、結構タイプだし?
しかし、俺のこれまでの経験が、ここまでの大盤振る舞いであることが、それを頑なに受け入れようとしないのもこれまた事実なのである。
どうしても、過分なまでの優しさが俺を疑心暗鬼へと誘っていく。.....申し訳ありません、ヘスティア様。
そんなめんどくさい俺に、一筋の光明を与えてくれたのは当然こいつの存在だった。
「歩はバカだねー( ´∀` )」
「.....どういうことだ?」
そう、みんなご存じの駄女神ことアテナだ。
困惑している俺とヘスティア様を見て、どうやら口を挟みにきたらしい。とりあえず口周りを拭け!汚ねえな!!
「善意か悪意かなんか関係ないじゃーん!」
「いやいや。関係なくはないだろ。本当に善意だとしたらお礼を言わないと.....」
「ちがうよー?悩む必要がないって言ってるのー(・ω・´*)」
「.....ん?」
いまいち理解できない。
善意と悪意はハッキリと区別しないといけないものだと思うが.....。
いや、そもそも、ギブアンドテイク自体は悪意でもないし。
「あのねー。気持ちなんてものはー、私達神ぐらいしか分からないものなんだよー?」
「そ、そうかもしれないが.....。いや、以心伝心なんてものも.....」
「そんなの妄言でしょー!ぐーぜんあたっただけだよー( ´∀` )」
さすがに言い過ぎ!
実際はそうなのかもしれないけどさ?
「気持ちが分からない以上はー、相手を利用するつもりでいいんだよー!
それでねー、ほんとーに善意だったらお礼いっとけばいいんだからさー(`・ω・´) 」
「り、利用って.....。なんかそれも嫌というかなんというか.....」
「なにいってるのー?
ヘスティアお姉ちゃんの善意を信じてない時点でいっしょでしょー(´・ω・`)」
うぐっ.....。
アテナの言いたいことはよく分かる。
結局、結果が同じだと言いたいんだと思う。要は俺の気持ち次第ということかなんというか.....。
「昔の人が言ってたけどー、誰でも簡単に信じちゃう人はダメなんだってー。
それってー、こうも言えるよねー?何をいっても信じられない人はダメだってー(・ω・´*)」
「!!」
昔の人は良いこと言うなぁ.....。
なるほど。
それで『利用するつもりぐらいがちょうどいい』ということか。
「わかったー(。´・ω・)?」
「まぁ、なんとなくは」
利用するかどうかは置いといて、『それぐらいの心積もりであることが重要であり楽である』と、アテナは言いたいらしい。
確かにその通りだ。
そうさせてもらおう。
せっかくの大チャンスなんだ。
そもそも、仮に何かあったとしても、これを受けない手はない。
「さすがアテナちゃんだね~。いよっ~。良妻賢母の鑑~」
「とうぜーん!歩は私がいないとー、ほんとーにダメだよねー!
感謝しなさーい!あーははははは( ´∀` )」
「.....」
このくそ駄女神がっ!
つねりたい。
非常につねりたいが、ここは我慢しよう。
最後の後押しは、間違いなくアテナだったのだから.....。
「それで~どうする~?」
ヘスティア様が、変わらない穏やかな表情で俺の答えを今かと今かと待ち兼ねている。
俺がヘスティア様に疑心暗鬼を抱いたと知っていても、なお相変わらずに.....。ありがとうございます、ヘスティア様。
だから、俺はヘスティア様に感謝の意味も込めて高らかに宣言した。
「お願いします!俺の『付き人』のレベルを上げてください!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後書き
次回、本編『俺の、俺の話を聞け!』!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日のひとこま
~魔乳の罠~
「まってーr(・ω・`;)」
「急げ!時間がないんだよ!」
「だってー、動きに、く、、い、、、(^-ω-^)Zzz」
「うぉい!?なんで寝た!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ.....ヘスティアお姉ちゃんおそるべしー」
「はぁ?なにをい、って、、るんだ、、、」
「歩~!おきてー!」
「ハッ!?も、もしかして、寝てたのか!?」
「そだねー。一瞬で寝てたねー(・ω・´*)」
「ど、どういうことだ!?アテナならまだしもこの俺が.....」
「私ならまだしもってなにーヽ(`Д´#)ノ」
「そう、いう、、こと、、、」
「おきんしゃーいΣヾ(´∀`*」
「ハッ!?ま、またか!?」
「フツーに寝てたねー(・ω・´*)」
「な、なぜだ!?まさか疲労が溜まっているのか!?」
「えっとねー。たぶんヘスティア、おね、、ちゃん、、、(^-ω-^)Zzz」
「話してる途中で寝る.....だと!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ.....ヘスティアお姉ちゃんおそるべしー」
「ヘスティア様が何か関係が、ある、、のか、、、」
「お、きん、、しゃー、、、(^-ω-^)Zzz」
「ハッ!?」
「はっΣ(・ω・*ノ)ノ」
「あ、危なかった.....。まさかダブルノックアウトとか.....」
「にへへー!いっしょだねー(*´∀`*)」
なんで喜んでんの!?
どうやらヘスティア様の魔乳には、それはそれは恐ろしい催眠効果が、ある、、らしい、、、。ぐぅ.....Zzz
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