歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第124歩目 はじめての改装!


前回までのあらすじ

いろいろ考察してみた!

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□□□□ ~突撃!隣の~ □□□□

ドールがサキのところにお泊まりした翌日。
よくわからないが、げっそりした姿でドールが帰ってきた。なにされた!?

そして、

「お、お帰り.....」
「あ、主~!もう嫌なのじゃ!妾は二度と行きたくないのじゃ!お願いなのじゃ!」

───ふぁさ
───ふぁさ

高慢さが滲み出る普段のドールでは決してあり得ない姿を晒し、半泣きで俺の胸へと飛び込んできた。
ただ、サキと一緒にいた時は尻尾がシュンとなっていたのに、俺の胸に飛び込むやいなや猛烈な勢いで振られる様はなんともかわいらしい。

一方のサキは、

「ぉっさん、今日もドールちゃんぃぃっしょ?」
「いやいや。ドールの様子を見ろよ。怯えてんだろ。何したんだよ.....」

ツヤツヤな顔に満足げな表情で、今日もドールをお泊まりさせろとの要求。
ドールに嫌がられているとは一切思っていないこの図太い神経。さすがである。むしろ恐ろしい。

「なにもしてねーし。一晩中抱き締めてただけだっつーの」
「本当かよ.....」
「違うのじゃ!いろいろ触られたのじゃ!いろいろ舐められ.....」
「よ~し!それ以上は言わなくてもいいぞ!」

ドールの必死な抗議に、どうやらピンク色な展開があったのだろうと容易に想像できた。.....おつかれ、ドール。

「嫌がることはするなって言ったよな?」
「嫌がってねーし。ドールちゃんも気持ちよさそーに.....」
「よ~し!それ以上は言わなくてもいいぞ!」

おや?

サキが言うには、ドールも満更ではなかったらしい。
ドールの様子を窺うと顔が真っ赤だ。.....あれ?サキの言葉が正しいのか?

「とりま、今日もぃぃっしょ?」
「ダメ。1日の約束だろ?」
「ぉっさん、マジぅざすぎー↓」
「ウザかろうがなんだろうが絶対ダメ」

心底ウザそうにしているサキの、俺をまるで虫けらでも見るような視線が気持ちい.....じゃなくて、痛い。
そして、ドールへの愛が凄まじすぎてかなり引く。

まぁ、それはいい。それはいいのだが.....。

さっきから気になることがある。
いや、むしろ最初にそれを訊ねるべきだった。

それは、

「お姉様が頼んでいるのですから言うことを聞きなさい。このゴミ!」
「こんにちは、虫けら。あっ、返事はしなくてもいいですよ?気持ち悪いですから」
「ひぃぃぃ。男と一緒の空気を吸っただけで蕁麻疹が.....。今すぐこの世からいなくなってください!」

なんで、ひと・える・いぬ子ちゃんの3人を連れてきた?
先日の買い物では、3人に嫌な思いをさせたくない、との理由で置いてきたというのに.....。

「ぁんたら、ぅっさぃ」
「「「はい!お姉様♡」」」

それにしても、このひと・える・いぬ子ちゃんの3人は相変わらずだ。
俺をまるで親でも殺された仇かのように目の敵にしてくる。いぬ子ちゃんはかわいいだけにちょっとショック。


とりあえずしょんぼりしつつも、この3人を連れてきた理由を訊ねる。
次のライブに向けての出立の挨拶だろうか。

「みんなで泊まりに来たに決まってんしょ」
「.....は?」
「は?じゃねーし。ぉっさんのことだから、どうせ断ると思ったんだっつーの。
 だからサキ達が泊まりに来てゃったんだし」
「はあああああ!?おまっ!?そんな勝手に.....」

アポ無しお泊まりとか非常識過ぎるだろ!?
え!?いまどき.....、違う。3年前のJKはこれが普通なの!?

「いいから泊めなさい!このゴミ!お姉様が泊まってあげると言っているでしょう!」
「いちいちうるさい虫けらですね。口を開けば文句ばかり.....。男としての底が見えますね」
「きゃあああああ!つばっ!?男の穢らわしい唾が!?.....許さない。今すぐ死になさい!」

しかし、サキ達の様子を窺うにどうやら本気のようだ。
だから、ひと・える・いぬ子ちゃんの3人も連れてきたという訳か。

「ぁんたら、ぅっさぃ」
「「「はい!お姉様♡」」」

それに、

(.....なんだ?荷物が少し多すぎないか?)

よく見ると、ひと・える・いぬ子ちゃんの3人が持っている荷物の量が尋常ではない。
俺にはそれが1日お泊まりしに来たのではなく、まるでそのまま居座るつもりであるかのように思えてならない。.....まさかな?

ただ.....。

サキ達は既に泊まる気満々らしいが、俺達が宿泊しているのはトキオさんのダンジョンだ。
こればっかりは俺の判断だけでは決められない。.....そもそもアポを取れ!

「いま俺達は友人の家に泊めてもらっているんだよ。だから許可をもらわないとダメだ」
「はぁ?ァィドルでぁるサキが泊まってゃるっつってんだからぃぃに決まってんしょ。
 泣ぃて感謝されこそすれ断られるゎけねーし。それぐらぃゎかれょなー、ぉっさん」

どんな理屈だ!

この傍若無人ぶり、神に近いものを感じる。いや、アイドルと言えば偶像崇拝の対象。
つまり、『人間界の神』と言ってもいいのだろうから、あながち間違いではないのか。

更には、

「友人のお宅に泊めてもらっている?これだからゴミは!いい歳をして、いい加減自立しなさい!」
「くすくす(笑)所詮は虫けら。自分で稼ぐ能力がない人間など、人間以下!虫けらがお似合いですね」
「男というだけでもおぞましいのに、更には自立する力もないとか.....。生きている価値あるんですか?」

なんと言うか、悲しくなるほどの勘違い。

ひと・える・いぬ子ちゃんの3人は、俺をまるでニートかなにかと勝手に思い込んでいるようだ。
そもそも、この3人は罵声を浴びせられた人の気持ちを考えたことはないのだろうか.....。ちょっと酷すぎるぞ?

「ぁんたら、ほんとのことぃぃすぎ」
「「「はい!お姉様♡」」」

「.....」

もはやなにも言い返す気力が沸いてこない。
ただただ川の流れのように、ゆるやかにいくつもの罵声が耳から耳へと通り抜けていく。


(はぁ.....。早くニケさんに会いたいなぁ.....。慰めてもらいたい)


□□□□ ~大人の男トキオ~ □□□□

燃えたよ…。
まっ白に…燃えつきた…。
まっ白な灰に…。

サキとひと・える・いぬ子ちゃんの罵声攻撃に、俺は精も根も尽き果てていた。
気が付くと、サキ達に言われるがままにトキオさんのダンジョンへと案内していたのだから、まさに真っ白な灰だ。

「.....えっと?舞日君、これはどういうことだい?」
「すいません.....」

事態に困惑しているトキオさんをよそに、

「へー。ぉっさん、なかなか快適なとこに住んでじゃん。マジ卍」
「思ったよりも快適ですね。これならお姉様の玉のような肌に悪い影響が出なくて済みそうです」
「ダンジョンの中だと言うから、もっとジメジメしたのをイメージしていたのですが.....。これはいいですね」
「(すんすん)男の匂い.....。もっと換気をしっかりしてくれませんか?男の匂いがします!」

我が物顔でトキオさん宅に乗り込み、更には好き勝手言いたい放題のサキ達一向。

ここまで厚顔無恥な客を俺は知らない。
普通は少しなりとも先方に気を遣うものなのだが.....。

確か、ペットは飼い主に似ると言う。
ペットではないにしても、奴隷も主人に似たりするのだろうか。

(そうなるとドールの高慢さは俺に似た.....?いやいや!あれは元からだな!きっとそう!)


とりあえず、トキオさんに軽く事情を話す。
サキと知り合い、なんやかんやあって、今日お泊まりしたいということを。

「僕としては大歓迎さ。サキ君のことは風の噂で聞いていたからね。新たな出会いを祝おうじゃないか」
「少しはマシなぉっさん、なかなか話ゎかんじゃん。.....じゃー、よろー↑」
「.....」

サキの態度は明らかに人に頼む態度じゃない。横柄すぎる。
しかもそんなサキの態度に、ゼオライトさんの目付きが鋭くなった。怒っていらっしゃるようだ.....。怖いぃ!

「トキオさんは気にならないんですか?サキは明らかに口が悪いですよね?」
「ははは。舞日君もまだまだ若いね。僕とサキ君は歳が一回りも違うんだ。これぐらいかわいいものさ」
「はぁ.....。そういうものですか?」
「君もいずれ分かるときが来る。大人の余裕というやつだよ」

やはり、できる男と言うものは違うらしい。
俺はいちいちサキの言動にイラッとさせられるが、トキオさんはどこ吹く風といった感じで飄々としている。

(これが大人の男か。渋いなぁ~。
 奥さんを持つと余裕ができるというのはどうやら本当みたいだな)

こうして、サキ達のお泊まりが決まったところで、なごやかにマスター部屋の案内が始まった。


□□□□ ~ダンジョンの中の戦争~ □□□□

当然のことながら、サキ達がいて、なごやかに事が進むはずがなかった。
マスター部屋の案内に関してはおとなしくしていたものの、その後がとにかく酷かった。

まず、一通り見て回った後のサキの感想は.....

「なかなか気に入ったし。.....決めた。当分の間、ここに住むことにすっから」
「「え?」」

危惧していた通りの居座る宣言。
しかも、家主であるトキオさんの了解を得ることもせず、さも当たり前のように決めてしまった。

さすがに大人の男であるトキオさんも、サキの突飛な発言には驚きを隠せないようだ。

「サ、サキ君。アイドル活動をするんじゃないのかい?」
「はぁ?少しはマシなぉっさんには関係なぃっしょ。
 なに?ぉっさんは良くて、サキは住んじゃぃけなぃゎけ?」

「い、いや。そういう訳ではないんだよ。.....空いている部屋はあるから好きに使ってくれ」
「少しはマシなぉっさんに言ゎれなくても、そぅするっつーの」

俺にはどうしてもわからない。
ここまで傍若無人に振る舞うサキに対して、大人の余裕を見せるべきなのか、それとも大人としてきちんと注意をするべきなのか。

大人の余裕を見せれば、サキが増長するような気もするし。
大人として注意すれば、きっと「おやじくさい」と言われること間違いないなし。

どちらも多大なリスクがあるようで、俺には選択しずらい。


しかし悩む俺とは対照的に、トキオさんをバカにされてこの人が黙っているはずがなかった。

「旦那様をバカにするような言動の数々!もう許せませんっ!」

ご存知、旦那大好き人間ことゼオライトさんだ。

それはもうタコさんウィンナーのように顔を真っ赤にして怒っている。
尻尾も逆立っているのでガチギレというやつだ。あれ?これに似た光景をどこかで.....。

「ぉばさん。ぅっさぃから黙っててくんね?」
「お、おばさん!?私はこう見えても16です!」
「マ?サキと一緒なん?.....なんか老けてね?草生えるw」
「く、草???」

サキのほうがおばさんだろ!

そう、心の中でつっこむも、サキが言いたいこともなんとなくわかる。
ゼオライトさんは歳の割には妙な迫力があるから、どうしても年相応に見ることができない。
更けているとは言わないが、大人っぽいというやつだ。実際、最初見たときは20前半かと思ったぐらいだし。


実際にはおばさんサキ雰囲気がおばさんゼオライトさんが言い争っていたら、

「ゼオラ、止すんだ。僕は気にしていないから」
「だ、旦那様。しかし.....」
「僕の為に怒ってくれるのは嬉しいが、言うことを聞いてくれるね?」
「はい!旦那様♡」

美しきかな夫婦愛。
とは、どうしても思えない。

(なんだろう、この既視感は.....。こんなやり取りをどこかで見たような.....)

とりあえず、大人の男であるトキオさんが間に入ったことで大事にはならずに済んだ。
しかし、それで全てが解決するほど、サキは人間が出来てはいなかった。

「それで?サキ達の部屋はどこなん?」
「そうだね。空いている客間と応接室をそれぞれ使ってくれて構わないよ。
 2人ずつで使うなら、十分な広さだろうしね。必要な家具は言ってくれたら用意しよう」

客間と応接室はそれぞれ8畳だ。
トキオさんの言う通り、2人ずつで使うなら申し分ない広さだろう。

誰もがそう思っていたら、

「はぁ?少しはマシなぉっさんはなに言ってんの?なんでサキ達が別々にならなぃとぃけなぃん?
 2人で十分な広さだっつーなら、少しはマシなぉっさんとぉばさんがそっち使えし。
 サキ達は4人全員で少しはマシなぉっさんの部屋使ゎせてもらゎー。そのほうが良くね?」
「「.....」」

開いた口が塞がらないとはこのことだ。
俺はいまだかつて、家主の部屋から家主を追い出して、そこに居座る居候というものを聞いたことがない。

「何様だよ!?」とツッコミたいが、恐らく「サキ様だけど?」と返ってきそうなので止めておこう。

「.....あんなこと言ってますが、いいんですか?」
「.....ははは。あ、あのぐらいの年頃の女の子にはよくあることさ。僕は気にしていないよ」
「はぁ.....。そうなんですか?」
「お、大人の余裕というやつさ」

それにしては、トキオさんの顔が引き攣っているようにも見える。
余裕のスマイルということか。さすがだ。.....なんて思わないといけないのだろうか?

(.....俺には無理だなぁ。今すぐにでもサキの頬をつねりたい気分だ)


結局当たり前のことだが、夫婦部屋をサキ達に貸し出すことはなかった。
その代わりに、ダンジョンポイントを使用して客間と応接室を1つの部屋へと造り上げることになった。

これで16畳の部屋をサキとひと・える・いぬ子ちゃんの4人で使うことになったのだが.....

「せめーし。貯蔵庫とかぃらねーっしょ。そこも潰せし」

サキのわがままはまだ続いた。
こいつ、本当に遠慮が無さすぎる。欲の権化か!

「いやいや、サキ君。貯蔵庫は食料や生活の備品置き場だから必要だよ」
「だったら必要性のなぃ花壇潰せばぃぃっしょ」

「.....」
「トキオさん!?」

トキオさんの雰囲気が明らかに変わった。
今までの柔らかい大人のオーラではなく、明確な憤怒のオーラ。

「.....済まないね。ガーデニングは妻の趣味なんだ。そこは潰せないよ」
「んなもん外でゃれっつーの。サキの部屋を確保するのが優先っしょ。それぐらぃゎかれー」

「サキ君の部屋よりも妻の趣味が優先だ」
「はぁぁぁぁぁ!?少しはマシなぉっさんはバカなんじゃね!?一般人とァィドルを比べんなし!」

「そこまで言うなら、サキ君達を泊めることはできない」
「勘違ぃしてんじゃねーっつの。サキ達が泊めてもらうんじゃねーの。泊まってゃってんだっつーの。
 納得できねーなら、ここからでてけよ。少しはマシなぉっさん」

なんと言うか、サキが凄すぎる。
ここまで傍若無人に振る舞われるといっそ清々しく感じてしまう。

それに.....

俺はいまだかつて、家主の家から家主を追い出して、そこに居座る居候というものを聞いたことがない。


俺はあまりの事態に、ついつい呆けてしまった。
だが、呆けている暇はなさそうだ。

「.....」
「.....」

睨み合う勇者と勇者。


そして、

「.....」
「「「.....」」」

互いの主人の為に、臨戦態勢に入るそれぞれの奴隷達。


更には、

「お腹ぺっこぺこー。ゼオラー、お菓子ちょーだーい( ´∀` )」

状況を全く理解せず、ゼオライトさんにお菓子をねだるアテナ。かわいい。

(.....なんだこの状況は?もう訳わかんね~)


戦争ゴッコやってるんじゃないんだぞ!


□□□□ ~ダンジョンの大改装~ □□□□

「舞日君、済まないね。僕も大人気なかった」
「ぉっさん、余計なことすんなし」

一触即発状態だった二人の勇者をなんとか宥めることに成功した。

そして、

───ドカッ!

───ドカッ!
───ドカッ!
───ドカッ!

「.....見ないでください。気持ち悪い!」

「ゴミが偉そうに!ゴミに言われなくともそれぐらいわかっています!」
「虫けら風情が生意気な!人様に注意するとは、己が分を弁えなさい!」
「男。男。男!気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い!吐き気がします!」

同様に一触即発状態だった、それぞれの奴隷達をも宥めることに成功した。
但し、盛大に足蹴にされることとなったが.....。と言うか、なんか1人増えてる!?

「ゼオラ、止さないか」
「ぁんたら、ぅっさい」

「はい!旦那様♡」
「「「はい!お姉様♡」」」

「.....」

俺にできることはこれぐらいしかないとは言え、とても疲れる。はぁ.....。


とりあえず一緒に暮らすに辺り、サキ達の要望を聞いてみることにしてみた。
それをまとめたものが以下だ。

①部屋が狭い。
②風呂が狭い。
③部屋を完全防音にしろ。
④キングサイズ以上のベッドを用意しろ。

これでもかなり妥協してもらった結果だ。
やれ、部屋にサキ達専用の風呂を用意しろだの、レッスン施設を整えろだの、サキのわがままは尽きることがなかった。

さて、上記についてなのだが、

「部屋を広くしろ、と言われてもね.....。これ以上広げようがないんだよ」
「んなもん、無駄に広ぃダィニングとキッチンを削ればぃぃっしょ。マジ広すぎ」

確かにサキの言う通り、ダイニングキッチンは8畳もいらないんじゃないか、とは俺も思う。
リビングが12畳もあることだし、少なくともダイニングはいらないような気がする.....。

ただこれについては、ゼオライトさんの意見を聞くのが正しいのではないだろうか。

「済まないが、ダイニングキッチンのある家というのは妻の夢だったんだ。だからこれも削れない」
「はぁ?またそれかよ。少しはマシなぉっさん、マジメンディ↓バカが許されるのはただィケだけだから」
「悪いね。諦めて欲しい」
「だったら花壇を削るしかなぃっしょ」

おや?
また雲行きが怪しくなってきたぞ?

「それは無理だと言ったよね?」
「無理、無理ばかり言ってんじゃねーっつーの。
 大人なら、諦める前になんとか努力してみるもんなんじゃね?」

「.....」
「.....」

再び睨み合う勇者と勇者。


そして、

「.....」
「「「.....」」」

こちらも互いの主人の為に、再び臨戦態勢に入るそれぞれの奴隷達。


(はぁぁぁぁぁ。もういい加減にしてくれよ.....。なんなんだよ、こいつらは)


・・・。


───ドカッ!

───ドカッ!
───ドカッ!
───ドカッ!

再び4人の奴隷達に足蹴にされつつも、事態を治めることができた。
サキとトキオさんの話し合いは続く。

「ダィニングキッチンも削れねーなら、管理部屋ってのを削れし」
「いやいや。管理部屋は削ることはできないよ。このダンジョンの心臓に当たる部分だからね。
 とは言うものの、もう少し狭くしたり、移動させたりはできるけど」

「なら管理部屋を移動させて、サキ達の部屋と風呂に割り当てれば解決っしょ!」
「そうしたいのはやまやまだが、移動させられる場所がね.....」

「だーかーらー!意味のねー花壇か無駄に広ぃダィニングキッチンを.....」
「ストーップ!堂々巡りになるからそこまで!」

またしても、怪しい雲行きになりそうだったのをなんとか止めることができた。

さすがに二人とも、そろそろ学習をして欲しい。
さすがのアテナもこれだけ繰り返せば学習する.....訳はないか。


このままでは埒があかないので、一つの提案をしてみた。

「トキオさん。俺達の部屋に管理部屋を移動してみてはいかがでしょうか?
 俺達は3人で利用しているとはいえ、さすがに12畳は広すぎますし」

正直なところ、12畳もいらない。
利用しているスペースもベッド周辺のみで、アイテムボックスやマジックバッグのおかげで荷物もほとんどない。

つまり、寝る場所さえあれば十分ということだ。

「舞日君、それでいいのかい?」

「構いません。.....二人もそれでいいよな?」
「いいよー。それよりお菓子ちょーだーい( ´∀` )」
「妾も別に構わぬのじゃ」

「さすがぉっさん。スポンサーの鑑っしょ」

誰がスポンサーだ!
勝手にスポンサーにしてんな!


その後も不毛な争いを回避しつつ、以下のように大改装が行われた。

ゼオライトさんの趣味であるガーデニング用の花壇や、夢であるダイニングキッチンは死守することができた。
提案通り、管理部屋を俺達が宿泊している部屋へと移すことで、サキ達の部屋とバスルームの拡張にも繋げることができた。

変化後の各部屋の大きさは、

俺達が宿泊している客間・・・12畳から8畳へ。
サキ達が宿泊する客間 ・・・23畳。(客間8畳+応接室8畳+管理部屋4畳+貯蔵庫3畳)
管理部屋       ・・・8畳から4畳へ。
バスルーム      ・・・6畳から9畳へ。
脱衣所        ・・・1畳から2畳へ。
貯蔵庫        ・・・8畳から5畳へ。

俺達としては、少し手狭感はあるが別に4畳でも良かった。
ベッド周辺のスペースさえ確保できればいいのだから。

ただそこは、トキオさんが気を遣ってくれたらしい。
好意を無下に断るのも失礼にあたるので受け入れることにした。ありがとうございます!

サキ達の部屋が異常に広くなったが、サキ曰く「まだせめーし」とのこと。
もうさすがにこれ以上は無理。譲歩できるのもここまでだ。

そもそも、

「そんなに広くしてどうすんだよ?」
「ァィドルは大変なんだっつーの。一般人と一緒にすんなし」

と、まぁ活用目的は語られなかったが、恐らくはレッスンとかもこの部屋で行うつもりなのだろう。

ちなみに、要望通りサキ達の部屋は完全防音仕様になった。
どうして必要なのかと言うと.....。そこは察して欲しい。


いろいろあったが、こうしてダンジョンの大改装も無事終わり、新しいメンツとともに新しい生活が始まることとなった。


(これで一件落着っと。後は神の試練待ちだな。
 いまだに用意されていないし、アルテミス様は一体どうしたんだろう?)


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後書き

次回、閑話!

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