歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第109歩目 はじめての説明!
前回までのあらすじ
トキオさんと親友になろうと決意した。
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10/10 世界観の世界編!に一部追記をしました。
追記箇所は、『勇者』となります。
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□□□□ ~特別な存在~ □□□□
トキオさんと本当の意味での友好関係を築きたいと願った俺は、本当の素性を全て明かすことにした。
それが友として、トキオさんの誠意に応える唯一の方法だと思ったからだ。
だが.....
「そうか。舞日君は『勇者』ではなく、『付き人』なのか」
「はい。嘘を付いていてすいません」
「いやいや。『付き人』としての能力を考えれば、むしろ当然の行為だよ。
僕だって君の立場だったら、きっと素性を隠していただろう。
むしろ、僕を信じて打ち明けてくれたことに大いに感謝したいぐらいだ」
「そう言ってもらえると助かります」
「それにしても道理でか.....」
「どういうことですか?」
「いや、少し不思議に思っていたんだ。一勇者になぜアテナ様が同行しているのか、とね」
「あぁ.....なるほど」
どうやら不審に思われていたらしい。
普通に考えれば、勇者全員がアテナを見知っている訳だから、俺がアテナと一緒にいたら不思議に思われてもおかしくはないだろう。
「始め君を呼び止めたのも、友になっておこうと考えたのとアテナ様を見かけたからなんだ」
「肩車してたら目立ちますもんね.....」
「そうだね。だから『君は特別な勇者なんじゃないか』と思ったからこそ、敢えて僕も危険を冒してまで君に声を掛けたんだ」
「おおぅ.....。それじゃ俺が勇者の振りをしていたのも全く意味ないじゃないですか.....」
さすがトキオさんと言うべきか、それとも俺が単なるバカなだけなのか.....。
アテナという存在と一緒にいるだけで、俺すらも特別な存在に見られるとは微塵も思ってはいなかった。
俺は自分の能力さえ隠せれば他の勇者達と同じ立場だと思っていたが、アテナが一緒にいるというのも大きなアドバンテージになっているらしい。
いや、この場合はディスアドバンテージと言ったほうがいいかもしれない。めんどくさい存在だな!
「何か理由を用意しておいたほうがいいかもしれないね」
「理由.....ですか?アテナの旅行に付き添っている、ではダメですか?」
「う~ん.....。理由としてはちょっと弱いかな?」
「どういうことですか?」
「僕が何も知らない立場なら、アテナ様の旅行に付き添うに辺り、
僕達勇者とは違う何か特別な力を貰っているんじゃないかと疑ってしまうね」
「あぁ.....。そう言えば、さっきそんなこと言ってましたもんね.....」
これはトキオさんの助言に素直に従ったほうが良さそうだ。
トキオさんですら他の勇者の嫉妬に遭うぐらいだ。
ましてや女神と一緒にいる俺なんて、トキオさんの比ではないぐらいの嫉妬の対象にされてしまうだろう。
(はぁ.....。この世界は俺に対して本当にハードモード過ぎないか?
なに?アテナが一緒にいる弊害か?本当にめんどくさい存在だな!)
□□□□ ~勇者を知ろうpart.1~ □□□□
アテナと一緒にいる理由は後で考えるとして、目下の急務としては『勇者』についてだ。
俺は『勇者』について何も知らない。
アテナと一緒にいる理由を上手く誤魔化せても、俺の無知から『勇者』ではないとバレてしまっては元も子もない。
ここはやはりトキオさんを頼るべきだろう。
「それは別にいいけど、僕よりもアテナ様に伺ったほうがいいんじゃないのかい?」
「俺も本当ならそうしたいんですが.....。あれ見てくださいよ」
「ゼオラー。お菓子ちょーだーい( ´∀` )」
いつの間にか起き出したと思ったら、当たり前のようにゼオライトさんを愛名で呼び、当然の如くお菓子を求めている。
「あなたはっ!その呼び方は旦那様しか.....」
「どーでもいいから早くちょーだーい( ´∀` )」
「.....(キッ!)か、畏まりました」
「ありがとー(*´∀`*)」
「.....(ほわわ~)」
「おーいしーーーーーい(*´μ`*)もっとちょーだーい!」
そしてこれも世界の真理とも言うべきか、アテナのにぱー☆で、あのゼオライトさんが、俺を毛嫌いしているゼオライトさんまでもがアテナのかわいさに陥落してしまった。
今ではアテナを我が娘とでも言わんばかりに甘やかしているのだから、アテナの『好かれやすい』特性には驚嘆させられる。
「.....普段からあんな感じなので、全く当てにならないんです」
「.....舞日君も大変なんだね。アテナ様と一緒にいれて羨ましいと思ったが、どうやら.....」
トキオさん、分かってくれるんですね.....。
そして最後まで言わない辺りが優しさなのだろう。アテナにはその優しさは伝わらないだろうが.....。
ゼオライトさんの膝上で甘える駄女神を、男二人白い目で見つめながらトキオさんの勇者講義が始まった。
ちなみに、俺の膝上が空いたのをいいことにちゃっかりとドールがそこに座っている。もっふもふ~!
「まず勇者についてだが、各国貴族並みの待遇をしてくれるよ。
そもそも勇者は神の使いと称されていて、神に次ぐものとして認識されているんだ」
「貴族並みの待遇ですか。.....となると王や皇帝にも謁見できるんですか?」
別に好き好んで王や皇帝に会いたい訳ではないが、俺の場合はドールの母親の件がある。
普通、王や皇帝に謁見できるのは身分の高い人のみだろうから、ぜひとも確認しておきたい。
「できるね。直々に召し出されることもある。あぁ.....、でも西方にある帝国は無理かもしれない」
「西方の帝国って.....、アクアリオ帝国ってところですか?」
「そうそう、よく知っているね。あそこは実力至上主義だから、勇者というだけではダメだ。
勇者であっても、それにふさわしい実力を示さないと認めてもらえないと思う」
「主なら問題ないのじゃ!ごちゃごちゃ言うようなら滅ぼしてしまえば良いのじゃ!」
(滅ぼしちゃダメだろ。ドールは母親の事となると目の色が変わるからなぁ.....)
ドールの極端過ぎる意見に辟易しつつも、もふもふな尻尾をなでてドールを落ち着かせる。
「事情は知らないが、僕でも力になれることがあったら言ってくれ。協力しよう」
「ありがとうございます。その時には相談させてもらいます」
「そうしてくれ。では説明に戻るとしよう」
「お願いします」
その後も、各国に於ける勇者の立場を教えてもらった。
要約すると以下だ。
人間族・・・神の使いで貴族並みの待遇を得られる。各国が競って召し抱えようと躍起になっている。
特に王女や皇女、貴族令嬢との婚姻政策を積極的に行い、執拗に縁を作りたがるらしい。
ドワーフ・・神の使いで貴族並みの待遇を得られる。特に技術系加護持ち勇者は国の宝扱いとされる。
召し抱えることはないが、国お抱えとして技術提携を結んでいる。
ちなみに、獣人の国は確認されている地図上には存在しないらしい。
ここ数百年表舞台に表れていない魔族も同様だ。
そして.....
「一番気を付けないといけないのが、エルフの国だ」
「どういうことですか?」
「あそこは規則や規律、そして信仰を重んじる国なんだ。
だから神の使いとされる勇者の立場は王や皇帝よりもずっと高い。
それだからか、勇者は権力者からは嫌われているんだよ」
「王や皇帝も信仰しているんですよね?それなのに、ですか?」
「権力者とはそういうものだからね.....」
「だからファンタジーにそういうのを持ち込まないでくださいよ.....」
トキオさんが何を言いたいのかぐらいは俺にもよく分かる。
所謂、自己保身。
権力者であればあるほどその傾向は強くなる。
それこそ自身が信仰する神を裏切ってでも.....。
「だから勇者の間でも、エルフの国は用がない限り行くことはないし、避ける傾向にある」
「なるほど.....。俺も気を付けようと思います」
(そもそもムキムキエルフには興味ないからなぁ.....。行くこともないだろう。
と言うか、ハーフエルフやダークエルフの国ならすごく興味があるから行ってみたい!)
「ちなみに、ドールは勇者をどう思っているんだ?」
「神の使いで強き者じゃな。多くの獣人が勇者様を尊敬しておる。
将来、勇者様に付き従うことを夢見ておる者も多いぐらいなのじゃ」
「ふ~ん。ドールもそうだったのか?」
「うむ。でも.....今は主一筋なのじゃ!仮に勇者様に誘われてもお断りなのじゃ!」
「!!!」
───ギュッ!!
ドールのあまりのいじらしさに感動して、思わず抱き締めてしまった。
ドールかわいいよドール。
───ビクッ!
「い、いきなりはビックリするのじゃ!」
「す、すまん.....」
相変わらずまだ体は強張るものの、成果はちゃんと出ている。
尻尾だけは優雅に振られているからだ。かわいい。
しかし、そんな俺とドールを.....
「.....ごほん。僕達には遠慮するよう言いながら、舞日君自身がいちゃいちゃするのはどうかと思うんだよね」
「・・・」
ジト目で見つめるトキオさん。
最愛の妻をアテナに取られている腹いせも少しありそうな気もする。
(てか、いちゃいちゃしてないし!
パパと娘の他愛ないやり取りだから!トキオさん達と一緒にしないでくれ!)
□□□□ ~勇者を知ろうpart.2~ □□□□
トキオさんのジト目が煩わしかったので、アテナを呼び戻すことにした。
トキオさんは喜んだのだが、なぜかゼオライトさんとドールから睨まれることに.....。理不尽だ!
アテナを膝上に乗せて、再びトキオさんに勇者講義をしてもらう。
「いろいろと聞いた話を総合すると、最初から覚えているスキルはステータスと鑑定、それに加護だけらしい」
「んー、そうだねー。あとはー、勇者ちゃんだけにはもうちょっとあげたよー( ´∀` )」
「だ・か・ら!そういうことを教えろって言ってんだよ!このくそ駄女神!!」
この情報の後出しはなんとかならないのだろうか。
それともアルテミス様のように力が抑えられて.....、いや、アテナのことだからそれはないか。
「その『勇者ちゃん』とは誰の事なんですか?」
「そうそう、俺もそれが気になってたんだ。遊んでくれた人なんだろ?なら覚えているよな?」
「勇者ちゃんは勇者ちゃんでしょー(・ω・´*)」
「「・・・」」
「勇者ちゃんは勇者ちゃんだよー(。´・ω・)?」
「えっと.....。そうではなくてですね、誰の事を指しているのかを.....」
「あぁ.....、トキオさん。それは聞くだけ無駄ってものです。だって.....」
「勇者ちゃんは勇者ちゃんじゃなーい( ´∀` )」
トキオさんが一層冷ややかな目をアテナに向けていたが、アテナとはこういう神様なのだ。仕方がない。
だから.....
「アテナ、アウトー!」
「ええええΣ(・ω・*ノ)ノ」
アテナを膝上から追い出して、再びドールを迎えた。
大事な話をするのにアテナほど邪魔な存在はいない。
ここは一つ、ゼオライトさんに面倒を見てもらおう。
アテナは(´-ε -`)←こんな顔をしながらも、ゼオライトさんの元へ。
ドールの尻尾も嬉しそうに振られているし、ゼオライトさんも満更でもなさそうだからこれで全て解決だ。
「す、すごい女神様なんだね.....。
神界にいた時は別の女神様が対応してくれたから、アテナ様の事はあまり知らないんだよ」
「アテナは仕事を丸投げしていたみたいですしね.....。むしろそのほうが良かったと思っています」
トキオさんも頷いているところを見ると、俺と同感らしい。
ここまで人に呆れられるというのもある意味才能なのかもしれない。くだらねぇ才能だな!
邪魔者もいなくなったところで、勇者講義を再開してもらう。
ドールも気になって仕方がないみたいだ。振られる尻尾が腕に当たって気持ちいい。もっふもふ~!
「まず勇者もこの世界の人々同様、経験値でレベルが上がる」
「魔物を倒してですよね」
「そうだね。強大な魔物であればあるほど、貰える経験値も多い」
「なんか.....」
「『まるでゲームだな』でしょー(。´・ω・)?」
「やかましいわ!黙ってろ!」
「ふええ(´;ω;`)」
「.....(キッ!)」
怖い、怖い。
その「娘をいじめるな!」みたいな憎悪の籠った眼差しは勘弁してほしい。
ゼオライトさんは両眼を瞑っているからこそ、余計に迫力を感じられて身震いしてしまう。
「ただね.....。これは現地人と違うところなのだが、どうやら人を殺しても経験値は入るらしい」
「えぇ!?人もですか!?」
「間違いないよ。僕は山賊を退治したことがあるけれど、その際に経験値が入っていたからね。それに.....」
「それに、なんです?」
「どうやら.....魔物よりも人の方が経験値はたくさん入るっぽいんだ.....」
「.....え?つ、つまり効率的なレベル上げは殺人ってことですか?」
トキオさんは俺の問いには答えず、顔を背けてしまった。
そして俺は、それを見ただけで全てを理解してしまった。
「.....も、もしかして、いるんですか?そういうのを生業としている勇者が」
「・・・」
(おいおいおいおい.....。冗談だろ?)
旅をしていれば山賊に出会う機会は結構ある。
そうすれば否が応にも退治せざるを得ないだろうし、そうなれば自ずと魔物よりも経験値が多いことは誰でも気付くはずだ。
つまり勇者にとって、人はメ○ル系のスライムみたいなものと一緒になるということだ。
しかも、この世界でなら頻繁に会えるというおまけ付き.....。
「.....魔に魅入られし勇者とでも呼ぼうか。力に溺れたんだろうね」
「HAHAHA.....」
力に溺れた経験があるからこそ他人事のようには感じられない。
全身を高揚感が包み込むあの快感は経験しないとわからないものだと思う。
それを人を殺すことで、勇者は擬似的に感じることができるらしい。勇者、怖っ!
「賞金首とか、所謂職業として認められているものならいいけれど、
山賊の首領とかになっていたとしたら、もうどうしようもないね.....」
「だから.....、そういうリアルなことをファンタジーに持ち込まないでくださいよ.....」
考えてみれば当たり前のことだった。
『神様は善である』という妄想同様、『勇者は善である』というのも勝手なイメージに過ぎない。
勇者をしていたのがたまたま善人だったから、その勇者は善に過ぎないのだ。
つまり勇者が善なのではなく、その人が善であって、その人のおかげで勇者は善であることに他ならない。
勇者をしていたのが仮に悪人だったとしたら、その勇者は悪になる。
つまり勇者が悪なのではなく、その人が悪であって、それでもその人が勇者である以上勇者は悪となる。
・・・。
考えを改める必要がある。
勇者全員が善人である可能性は限りなく低い。
もしそうだったのであれば、地球はもっと平和になっているはずだ。
(つまり.....。魔に魅入られし勇者、『魔勇者』は確実にいるってことか.....)
暗澹たる思いに打ちひしがれながらも、ドールの尻尾をなでる。
───もふもふ
こういう時、ドールの単純というか、一途で真っ直ぐな忠誠心に心が洗われる。
みんなこれぐらい単純だったなぁ、とついつい思ってしまう。
「話が脱線してしまったので説明に戻ろう」
「.....お願いします」
「レベルが上がった際にステータスも上昇するのだが、実はその上げ幅は勇者であってもそこまで高くはない」
「そう言えば.....。トキオさんのレベルが3000以上もあるのにステータスが低いのは気になっていました」
トキオさんのレベルは3008なのに、ステータスの平均が5000なのは明らかにおかしい。
これでは勇者であっても、ゼオライトさんどころか、成体ドールにすら劣る存在になってしまう。
「良いところに気付いたね。僕達勇者はレベルが上がるごとに勇者ポイントと呼ばれるものが貰えるんだ」
「勇者ポイント?」
「そう。その勇者ポイントを各自好きなステータスに割り振っていくことで、ステータスを大幅に上昇させることができる」
「あぁ!ゲームとかによくあるボーナスポイントみたいなやつですか?」
「そうそう、それだ。レベルが高くなればなるほど、貰えるポイントも多くなるらしい」
「なるほど.....。てか、ボーナスポイントって、これじゃ.....」
「『まるでゲームだな』(。´・ω・)?」
「やかましいわ!黙ってろ!」
「ふええ(´;ω;`)」
「.....(キッ!)」
怖い、怖い。
以前アルテミス様が、「勇者は重要な駒だ」と言っていた。
そして、現地の人には無い設定を施しているとも.....。
ここはアテナの世界だが、もしかしたら神が管理する世界のそのものの基本原理がゲームみたいなものなのかもしれない。
そう考えると、このゲームのような設定もいろいろと納得できてしまう。
できてしまうのだが.....
(う~ん.....。俺達は詰まる所、神様の駒でしかないってことだよな?分かってはいたがなんとも.....)
とりあえず、ただの凡人に過ぎない俺ではどうしようもないので、トキオさんの説明に耳を傾ける。
そもそも、そういう世界改変みたいな大仕事は勇者の役割だ。凡人は凡人らしくいよう。
「勇者は各自好きなステータスに割り振るものだが、僕の場合はそのポイントをレベルに振ったんだ」
「.....え?そんなこともできるんですか?」
「できるんだよ。レベルを上げてポンイトを得、そのポンイトをレベルに振って、またレベルを上げたんだ」
「おおぅ.....。最初のうちは凄かったのでは?」
「そうだね。ポンイトを振る度にレベルが上がって、その都度ポンイトを得ていたからね。
しばらくは頭の中でレベルアップ音が鳴り止まなかったぐらいさ。うるさかったね(笑)」
「それ、めっちゃよく分かります!あれ、かなり鬱陶しいんですよね!」
妙なところで、トキオさんと共感できてしまった。
俺は今でこそ、レベルは一日に2~3ぐらいしか上がらなくなったが、この世界に来た当初はレベルアップ音の騒音に悩まされたぐらいだ。
少し歩くだけで、テレテレテッテッテ~、テレテレテッテッテ~、とバカの一つ覚えに.....。
(まさかこんなところで同じ悩みに苦しんだ同士に出会えるとは.....
この数奇な出会いに感謝します、神よ.....。いや、神はアテナだから感謝はいらないか)
「となると、トキオさんのステータスはレベル3008の地のステータスということになるんですね」
「そういうことだね。レベルアップの際に生じた上昇値のみになる」
「.....あれ?でも、そうなるとおかしくないですか?
ゼオライトさんやドールはトキオさんの10分の1以下のレベルなのに、ステータスを越えていますが.....」
「いい質問ですね~!」
「池○さん!?」
「ははは。一度言ってみたかったんだ」
そういう地球ネタは本当にいらない。
どこぞの駄女神が真似しそうで教育上良くない。
「いい質問ですねー( ´∀` )」
「やかましいわ!黙ってろ!」
「『まるで短気だな』 ┐(´ー`)┌」
「.....(ぷっ)」
あ、ちょっとかわいい。
ゼオライトさんは笑えばかわいいのにもったいない。
トキオさんも.....デレデレし過ぎなよう気がする。
「これはあくまで僕の憶測なのだが.....、現地の人達にも勇者ポイントに近いものはあるんだと思う。
もちろん貰える量は、僕達勇者のと比べたらかなり少ないだろうけどね」
トキオさんは眼鏡クイッをしながら、憶測とやらを語ってくれた。
「なるほど.....。それらが振られた結果ということですか。.....実際どうなんだ?ドール」
「む?主らが言っておる、その『ポイント』とやらがなんなのかさっぱりなのじゃ」
ドールは俺の質問になんのこっ茶と小首を傾げている。かわいい。
そもそも、俺もドールのステータス上でそんなものを見た覚えは一度もない。
「だそうですが?」
「これも憶測なのだが、現地の人は僕達勇者みたいに自由に振れないんだと思う。勇者が特別なのかもね」
それ、アルテミスさまが言っていた特別説にすごく合致する気がする。
それに設定うんぬんの説明にもピッタシだし、恐らくトキオさんの憶測は正しいだろう。
「恐らく現地の人達は、種族ごとによって自動で適切なところに割り振られているんだろうね。
例えば、妻ならば敏捷重視みたいな感じでさ」
「ドールはオールラウンダー、いや、魔力重視あたりかな?」
「そうなのか?妾にはよくわからぬ。
ただわかったことと言えば、主達はそのポイントとやらを自由に割り振れて、己が長所を伸ばせるということであろう?」
(.....残念。それは『勇者』が可能なのであって、『付き人』である俺はできません!)
しかし.....
「どうじゃ?妾は賢いであろう?」と自慢気に鼻息を荒くしているドールがかわいらしかったので、
───もふもふ
尻尾をいつもよりも優しくなでて誉めてあげた。
「ドールハカシコイナー」
「くふふ。当然なのじゃ!」
尻尾をもふもふされた妖狐は、尻尾を嬉しそうにたなびかせながら両手を口にあてる仕草でかわいく微笑んだ。かわいい。
(ちゃんとしてれば可愛い子なんだけどな~。もふもふだし)
こうして、トキオさんのためになる勇者講義は幕を閉じた。
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後書き
次回、トキオさんの提案!
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今日のひとこま
~自由に割り振れたら~
「主達は良いのぅ.....。自由に長所を伸ばせるのであろう?」
「いやいや。俺はできないから。レベル上がっても1しか増えないから」
「妾も主達のように自由に伸ばせたら.....」
「話聞けよ!俺はできないんだっての!」
「.....それで?ドールは自由に割り振れるとしたら、どうしたいんだ?」
「妾は、たられば、の話は好かぬ」
「あぁ、以前もそんなことを言って.....」
「だが、伸ばせるのだとしたら、そうだのぅ」
「.....好きじゃないんじゃないのか?」
「なんの話をしておるのじゃ?寝言は寝てから言わんか」
「(.....このエロ狐!)そ、それで?ドールさんはどうしたいんですか?」
「耐久にガン振りしてもらおうかのぅ!さすれば主を守れる盾となれるであろう?」
「いや~.....。それはアテナで十分だしなぁ.....」
「何を言うておる。姉さまなど、なんの役にも立たぬではないか」
「アテナのワンピースは特別製でな。ダメージを全て1にするんだよ」
「なん、、じゃと!?」
「だからあいつは最強の盾なんだ。一応、役には立っているだろ?」
「.....いや、それはワンピースが役に立つのであって、姉さまは関係ないのではないか?」
「あ.....」
でも、耐久全振りはないわ~。
守ってくれるのは嬉しいが、痛いのは変わらないし、何よりもかわいそう。
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