歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第108歩目 はじめての親友!


前回までのあらすじ

勇者トキオの加護は『レベル差だけタイムストップ』というとんでもチートだった。

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□□□□ ~悪い理由~ □□□□

トキオさんの加護は『レベル差だけタイムストップ』というとんでもチートだった。
イケメンで、美人の奥さんもいて、とんでもチート.....。まさに人生に於ける勝ち組だろう。

本当に爆ぜろ!と心の中で呪っていたら、

「君も知っての通り、勇者の力は強力になればなるほど何かしらの制限を受けるんだ」

なんだか勝手に説明が始まってしまった。
勇者を知る機会だし、この際徹底的に勇者ぶろう。

「そうですね、よくわかります。トキオさんの場合は、それが『レベル差』であると?」
「どうなんだろうね?それも制限に入るのかはわからないんだ。もともとの仕様かもしれないしね」

「というと?」
「僕の場合は、加護を使うとステータスが大幅にダウンするんだ。それこそ100分の1にね」

「100分の1!?」
「あぁ、だから『時間停止』はできても、僕自身ではなかなか相手をどうこうできるものでもないんだ」

トキオさんのステータスは平均5000程度だ。
それが100分の1となると、平均50.....。確かにどうこうできるものではない。

しかし、トキオさんは自身を「負けなしの最強勇者」だと言っていた。ではどうやって?

「『時間停止』さえできれば、殺せずともそれこそ色々なことができるからね。
 そして、時間から解放された時に、一気にその痛みが押し寄せてくるものさ」
「.....そ、想像したくないです。でも相手が人間ならともかく、魔物相手では厳しいのでは?」

トキオさんが言う「色々」というものが具体的にはわからないが、人間相手ならそれこそ急所あたりにナイフのようなものを突き刺せば大概は決着が着くだろう。
卑怯くさいと思う人もいるだろうが、命のやり取りをするに当たって卑怯なんてものは存在しない。
それは負け犬の遠吠えであって、ここは異世界なのだ。それぐらいの心構えは俺にもできている。

しかし、魔物相手では勝手が違う。
スライムのような急所であるコアが見えているならまだしも、大抵の魔物はどこが急所かは全くわからない。
もしかしたら、俺が知らないだけの可能性もあるが.....。

「その通り。だから魔物相手の場合は妻に任せているんだよ。
 妻の種族である白狼族というのは、根っからの戦闘種族なんだ。
 一説では、かの大神獣フェンリルの末裔であるとも言われている」
「フェンリル!?」

「そうだが.....、どうしたんだい?」
「い、いえ.....」

(うちのドールもそうだが.....、大神獣の末裔とやらがちょっと身近にいすぎやしないか?
 こうレアリティというものを考えてほしいんだが.....。所詮はアテナの管理する世界ということか)

レアなものは希少だから価値があるのだ。
それが簡単に手に入るようでは、お宝感が皆無というものだ。どうしてそこを理解できない!?世界よ!

「だから、僕と妻は二人揃って『最強』と認識されることが多い」
「それはよくわかります。ゼオライトさんの放つ殺気は尋常じゃないですもんね」

ドールほどではないが、俺も多少は相手の強さがなんとなくはわかる。
培ってきた経験の賜物だろう。

そして、だからこそわかるゼオライトさんの明確な殺気とみなぎる力。.....鑑定!

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『ゼオライト』 レベル:312(SSS) 危険度:中

種族:白狼族
年齢:16
性別:♀

職業:奴隷(任意奴隷)
称号:ゴーレム破壊者クラッシャー/スライム討伐者バスター
   インキュバス征討者キラー
所有:リョウ・トキオ

体力:9500
魔力:4500
筋力:10500
耐久:6600
敏捷:20000

【一言】うまいー!もういっこー!.....すやすや。
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「!?」

確かに強い。
この力に『時間停止』さえ加われば、それは最強と謳われても間違いないだろう。

しかし、それ以上に驚いたのが.....

(16!?ゼオライトさんって16だったのかよ!てか、トキオさんとゼオライトさんは16歳差!?)

ゼオライトさんの年齢だった。
今更こう言ってしまうと失礼にあたるかもしれないが、てっきり20歳前半あたりかと思っていた。
老けて見えるとかではなくて、身に纏う雰囲気が小娘のそれではなくて、とてもしっかりしているのだ。


JKと結婚か.....羨まけしからん!と思いつつも、気になることを尋ねた。
それは『レベル差だけタイムストップ』についてだ。実際、その有効時間が知りたい。

正直、ここまで色々と明かしてくれているトキオさんには好印象を持っている。友になれるのならなりたい。
そして、可能ならお互いに協力しあっていきたいとも考えている。それぐらいにトキオさんの力は魅力的だ。

「読んで字の如くだね。相手とのレベル差分だけ時間を停止できるよ」
「実際にはどれぐらいですか?」

「そうだね.....。僕とヘリオドール君で説明しようか。
 僕のレベルは3008で、ヘリオドール君は201だ。それを単純に引き算する。
 すると結果は2807となる。それが有効時間なんだ。そうそう、単位は秒だね」
「すると.....、ドールの場合は約46分間も停止できるんですか?」

「そうなるね」
「す、すごい力ですね.....。でも、無限に使える訳ではないんですよね?」

「その通り。先程も言ったが、僕は加護を使うとステータスが100分の1となる。
 だから、その状態の時の魔力が限界となるね。1回使うごとに1減る。
 更には止めている対象が1時間停止状態を迎えると、これまた魔力が1減る仕組みなんだ」
「なるほど.....。色々と制限があるんですね」

トキオさんの魔力は4800だから100分の1をして48となる。
つまり、48回も『時間停止』を行えるということになる.....。多すぎないか?

それにしても、トキオさんは尋ねれば尋ねた分だけ、いや、それ以上に色々と親切に教えてくれる。
俺としても気になるから尋ねている訳なのだが、それでもあっさりと答えすぎているようにも思える。

「尋ねておいてなんですが.....。
 普通、自分の力は隠しませんか?いいんですか?こんなにも簡単に教えてしまって.....」
「構わないよ。僕としては君が怖いんだ。下手に逆らうことのほうがデメリットが大きい」

「.....それは、俺がトキオさんの加護を受け付けないからですか?」
「その通りだ。先程も言ったが、被害が僕だけに及ぶなら別にいいんだ。
 でも、もし妻にまで被害が及んだら.....。そう考えると恐ろしい。震えが止まらないよ」

「だから、俺と友になりたいと?」
「そういうことだね。打算的だろ?僕は、僕と妻の身の安全を図る為に、君と友になりたい」

確かに打算的だ。
でも、嫌な打算ではない。

事実を受け止めた上で、媚びへつらうこともなく、きちんと話してくれていることにとても好感を持てる。

それに.....

「俺の力は尋ねないんですか?」
「すごく興味はある。僕はこの5年間必死にレベルを上げてきた。
 それが、たった1年間しか過ごしていない君に追い抜かれたんだ。その秘密を知りたいとは思う。
 だが.....、それは止すとしよう。今は身の安全を図ることが最優先だ。それぐらい僕は妻を愛している」

己の好奇心やプライドよりも、ゼオライトさんへの愛情を優先することにすごく共感が持てる。

いまや『土下座』というあだ名が定着した俺だ。
これは酒場で大衆が見つめる中、アルテミス様に土下座したことが発端なのだが.....。
その時の俺もニケさんへの想いで、見栄も外聞も全てかなぐり捨てて土下座したものだ。

状況や条件は全く違うものの、愛しい人の為に己を捨てる決断をしたトキオさんに、俺はどこか親近感を覚えていた。
それ故に、俺と友になりたいと思う『良い理由』というのがすごく気になる。

だから.....

「トキオさん、『良い理由』とやらを教えてもらってもいいですか?
 それと襲ったりは絶対しないので、ゼオライトさんはいい加減睨むのをやめてもらっていいですか?」
「.....(キッ!)」


(それをやめろって言ってんの!
 警戒する気持ちはわかるけど、睨みすぎ!どんだけ俺は嫌われているんだよ!?)


□□□□ ~良い理由~ □□□□

「ゼオラ.....」
「旦那様.....」

睨むゼオライトさんを宥めてもらったら、またお互い大好き人間共がいちゃいちゃし始めた。
この人達は、「本当は俺を恐れているのではなく、からかっているのでは?」と思えてならない。

とりあえず、いちゃいちゃする二人を引き離して『良い理由』とやらを伺う。
べ、別に羨ましくなんてないんだからねっ!

「それは舞日君が信用できる人だからだよ」
「信用って.....。さすがに楽観的過ぎませんか?
 こう言っちゃなんですが、もしかしたら俺は極悪人かもしれませんよ?」

「仮に君が極悪人だったとしても、僕は君を信じるよ」
「え?なにその尋常じゃない信頼感.....」

トキオさんは、実はその気があるんじゃないか、と勘繰ってしまう程に俺を信じている。これも愛なのか!?

だが.....

「ちゃんと理由もあるんだ」
「理由.....ですか?」

「それは君とヘリオドール君の関係にある」
「俺とドールの?」

思ったよりもちゃんとした理由があるらしい。良かった.....。
トキオさんのことは嫌いではないが、まだお互いを良く知らないし.....ではなくて!俺は断然女性が好きだ!!

「君はヘリオドール君に名前を与えている。それだけで僕は君を信用に足る人物だと判断したよ」
「はぁ.....?」

「君は奴隷に名前を与える行為がどういうものかは知っているかい?」
「それは聞いています。一蓮托生になるんですよね?」

「その通り。では、名前を与えてもらっている奴隷が世界に何人いるかは知っているかい?」
「さぁ.....。あまり多くないことはなんとなくわかりますが.....」

奴隷の9割以上が完全奴隷だと言っていた。
それらの奴隷は、まず名前なんてものは与えてもらってはいないだろう。

そうなると、ゼオライトさんのように任意奴隷が名前をつけてもらっている可能性が高い。
そもそも伴侶となるぐらいなのだから、お互いを愛し合っている訳だし、名前ぐらいは付けそうだ。

(.....あれ?そうなると、そこそこいるんじゃないのか?奴隷の総人数はわからないが、絶対数は多いだろうし)

20~30人ぐらいはいそうだな、と思っていたら、

「今もきっと増えてはいないだろう。名前のある奴隷はヘリオドール君を含めて3人だけだよ」
「さ、3人!?そんなに少ないんですか!?」

「それだけだ」
「任意奴隷ってそれなりにいますよね!?そ、それなのに3人なんですか?」

「任意奴隷だからこそ付けないんじゃないのかな?」
「ど、どういうことですか?」

「愛している人なら少しでも長く生きていてもらいたい。僕はそう思うよ。
 一緒に死んでくれるという気持ちは嬉しいが、それでも生きて幸せになってもらいたい」
「!!!」

そこには本当の愛を良く知る一人の男の姿があった。

家族や子供もそうだが、実際に持たないとその大切さやその愛おしさはなかなか理解できないものだと言われている。
持ってみて、築いてみて、初めて分かる感情というやつだろう。

そしてそれは、当然恋人や伴侶となる妻への愛情も同様なものだと思われる。
口では「愛しているよ。大切だよ」と簡単に言葉にできるが、実際に恋人や伴侶がいるかどうかで、その想い、その行動が全く異なってしまう。

俺とトキオさんがいい例だ。

年齢=彼女無しの俺は、「任意奴隷にするぐらいだし、それぐらい愛しあっているのなら名前ぐらい付けるだろう」と安易に考えていた。
対して、美人の奥さんを持つトキオさんは、「愛しているからこそ、少しでも長く生きてもらいたいから名前は付けない」と俺とは逆の考えを示した。

「仮に君がヘリオドール君を愛しているとしよう。そうしたら、どう思うか考えてみるといい」
「俺がドールを.....」

───ふぁさ
───ふぁさ

俺の腕に、尻尾で激しく主張をしてくるドールをまじまじと見つめる。もっふもふ~!

ちなみに、当たり前だが『時間停止』は既に解除してもらっている。
解除された瞬間に、放り込まれたお菓子に噎せていたドールがちょっと面白かった。

「ど、どうなのじゃ!?あ、主は、妾をあ、愛しておるのか!?」
「いやいや。トキオさんが言っているのはそういう意味じゃないだろ.....」

(う~ん.....。いまいちドールじゃピンとこないなぁ.....。ドールをニケさんと置き換えてみるか?)

しばらく考えてみる。

俺と一緒に死んでくれると言うニケさん。凄く嬉しいし、愛を感じる。
しかし.....、ニケさんを想えば想うほど、トキオさんの言っていた意味が少しずつ分かってきたように思える。

人それぞれ考え方は違うだろうが、それでも俺の考えは薄っぺらく、トキオさんの考えは本物だと痛感させられてしまった。

(くっ.....!年齢=彼女なしの弊害がこんなところにも出るとは!!)


「.....そうですね。俺もトキオさんと同じように思います」
「!!!.....ふ、ふん!
 あ、主が、わ、妾を愛しておるのは良く分かったが、そ、それでも妾は主と運命を共にするつもりなのじゃ!
 主が妾をどんなに想ってくれたとしても、そこだけは変わらぬし、変えるつもりもない。ずっと一緒なのじゃ!」

───ふぁさ
───ふぁさ
───ふぁさ
───ふぁさ

ドールはそっぽを向いてしまったが、尻尾による主張が先程よりもずっと激しい。
照れている.....と受け取っていいのだろうか?よくわからない。

「ヘリオドール君は妻と同じことを言うんだね。
 だからこそ、舞日君もその想いに応えて名前を付けてあげたんだろう?」

「え?いや、俺の場合はほぼ脅迫みたいな.....」
「うむ!その通りなのじゃ!」

お前が答えんのかよ!と、ツッコミを入れたくなる程に絶妙なタイミングで俺の言葉は遮られてしまった。
何やら満足に頷くトキオさん。もうこれでいいや.....。

「お互いに壮絶な覚悟と信頼を持って臨む命名だからこそ、その人となりが信用できると言うものだ」
「な、なるほど.....。それで俺が信用できると言うんですね」

「その通りだ。それに、奴隷に対して差別や偏見もなく、一人の人として扱っている点も非常に好感が持てる」
「勇者なら大概そうなりませんか?この世界の人々とは価値観が違うでしょうし」

「そうとも言い切れないよ?『奴隷』という特殊な立場が、価値観を狂わせることもある」
「うわ~.....。モロにリアル過ぎてちょっと引きますね.....」

奴隷の大半は完全奴隷となっており、完全奴隷とは所謂操り人形に等しい。
己の欲望を満たすのに、完全奴隷ほど都合が良くて便利なものは存在しないだろう。

地球、特に日本というぬるま湯に浸ってきた人達が、そんな存在を手に入れたとしたら.....理性よりも欲望が優先されそうだ。
俺はそんな存在を知る前にニケさんと出会い、ニケさんに恋をし、ニケさんを頂く約束をした。
だからこそ、欲望よりも理性が優先される訳だ。後、童貞も一役買っているかも?ありがとう!童貞!!

「そういう訳で、勇者だからと言っても、みんながみんな信用に値する存在とは言えないんだよ」
「つまり奴隷の命名は、一つの基準として推し量るのにも大いに信用性があるということですね」

「そういうことだ。だからこそ、舞日君とは友になっておきたいんだ。
 いざ、という時に、これほど信頼できて頼れる存在はいないからね」
「それは俺としても願ってもないことです。俺もその、いざ、って時にトキオさんの力を借りたいですし」

「おぉ!そうかい!!それはとても嬉しいよ。
 僕としても、君が僕のダンジョンに攻略に乗り出してきたらどうしようかとひやひやしていたからね」
「.....え?」

これって暗に、「友達になったんだから、僕のダンジョンはクリアしないよね?」と、釘を刺されたことになるのではないだろうか。
俺を恐れている割にはこういうところは抜け目ない。日本でも相当エリートリーマンだったのだろう。

(くそが!イケメンで美人な奥さんがいて、更に最強の力を有し、それに性格も良くエリートリーマンだと!?
 なんだよ!?その勇者感!この物語は俺が主人公なの!!.....本当に爆ぜろ、リア充!!!)

心の中ではどうにも割り切れない感情が渦巻いているが、

「今後ともよろしく頼むよ、舞日君」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

そこは俺も一社会人だ。
そんなことはおくびも出さずに、爽やかな営業スマイルでお互いに固く握手を交わす。

そう握手を交わそうとしたのだが.....

「.....(キッ!)」
「.....え?」

ゼオライトさんに物凄い勢いで遮られてしまった。

「済まないね、舞日君。妻は多少嫉妬深いところがあってね」
「・・・」

(どんなオチだよ、これは!?本当に嫉妬深いのか!?単に俺を嫌っているだけなのでは!?)


こうして握手を交わさずまま、俺はトキオさんと異世界での初めての『親友』になることになった。


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後書き

次回、勇者の仕組み!

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今日のひとこま

~親友~

「気になったんですが、ゼオライトさんを自由奴隷にはしないんですか?」
「本当はそうしたいんだが、なかなか難しくてね.....」
「難しい?トキオさんは結構稼いでいるように思えるんですが?」
「確かにその通りなんだが、妻はオークションで購入したからちょっと特別なんだ」

「オークション.....ですか?」
「この王都でも時々開催されるよ。そこで妻を購入した訳なのだが、貴族と競り合った結果10億にもなってしまってね」
「じゅ、10億!?」
「自由奴隷にする為には合計60億もの大金が必要となる。さすがにそんな大金は持ち合わせていないんだ」

確か自由奴隷の場合は、購入費用と契約費用 (購入費用の半額)を合わせた金額の4倍の料金がかかる。

「お金は貯めてはいるんだが、妻の目の治療費にも充てたいからなかなか貯まらなくてね.....」
「なるほど、そういう事情でしたか.....」
「だから君とヘリオドール君の関係がとても羨ましいよ。本当に大切にしてあげているんだね」
「・・・」

俺はこのまま嘘を貫き通していいのか?
トキオさんは俺を信用していると言ってくれたんだぞ?
いい交友関係を築きたいと思っている相手に、このままで本当にいいのか?

・・・。

友の善意を、好意を、ただ享受するだけが本当の友だと言えるのか?

・・・。

「.....俺が、トキオさんの望みを叶えますよ」
「.....?どういうことだい?」
「こういうことです。.....終わりました。ゼオライトさんを鑑定してみてください」
「あ、あぁ。.....!!!」

「き、君はこんな力も持っているのかい!?」
「俺、本当は勇者じゃないんです。だから、こういう力も使えるんです」
「.....どうしてそれを僕に明かすんだい?君も言っていたじゃないか。力は隠すものだと」
「トキオさんが俺を信じてくれるように、俺もトキオさんを信じてみたいんです」

「ははは!君は最高にお人好しで、最高の友だよ!ありがとう。感謝する」
「友達なのだからお互いに対等でいたい、そう思っただけです」
「本当にありがとう。君とはいい友になれそうだ。これからもよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。頼りにさせてもらいます」

そして、先程は叶わなかった握手を交わそうとしたら.....

「.....(キッ!)」
「えぇ.....」
「済まないね、舞日君。妻は多少強情なところがあってね」

(そういうオチかよ!もはや強情とかの問題じゃないだろ!!)


結局、トキオさんとの握手は叶うことはなかった。

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