歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第49歩目 パルテールの種族事情!


前回までのあらすじ

アテナのにぱー☆を見る為に頑張った甲斐があった

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8/11 ステータスのレベルを計算間違いしていたので修正しました

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□□□□ ~宿場町ガタツ~ □□□□

旅に出てから3ヶ月。
無事2つ目の町であるガタツに到着した。

この町は荒野の宿場町というだけあってどこか無骨さが伺える。
荒野のど真ん中に建てられた町ということも無骨さの一因だろうが、なによりも無骨な理由。
それはこのガタツが鍛冶の町であるということが大きな要因だろう。

パレスとは異なり至るところで煙が立ち上っている。
更にはまだ昼であると言うのに、様々なところから聞こえてくる酒盛りの声。
幾分女性の声が多いような気もする。

.....どういうことだ?

後に知ったことだが、現代で言うところのママ友同士のちょっとランチに行く?
これが、この町ではちょっと呑みに行く?になっているらしい。この町の奥様方はランチ感覚で呑みに行く。
ここの種族から考えると、さすがと言うべきだろう。
俺のそんなに多くはない異世界知識でもここの種族は酒好きだから。

ここガタツはドワーフの町。
ドワーフと人間が共生している鍛冶の町。それがガタツという町だ。

町の構造はほぼ施設で埋め尽くされ、主な施設は武器屋、防具屋、宿屋、そして酒場だ。
武器屋と防具屋が多いのは、この町が鍛冶の町なのだから当たり前だ。
宿屋が多いのも宿場町なのだから当たり前。

しかし驚かされるのは酒場の多さだ。至るところに酒場がある。
町を歩くだけでも酒の臭いがプンプンと充満している。

この町は宿場町でもなく、鍛冶の町でもなく、酒の町に改名したほうがいいと思う。


□□□□ ~エルフの事情~ □□□□

俺は今、ギルドに向かっている。
道中で手に入れた素材の換金とある目的のためだ。

町を歩いていると、パレスとは異なり様々な種族を見かける。
まず色んな意味で目を引いたのが、美しい金髪をたなびかせ細長い耳が特徴のおなじみの種族。妖精族エルフだ。

でも、なんか俺が想像していたエルフとは全く異なる。
エルフと言えば、普通は美男美女の容姿端麗な姿を思い浮かべる人が多いだろう。
しかし目の前にいるエルフの集団は.....。いや、確かに美男美女ではあるのだが・・・

この集団が特別なのかもしれないと思った俺は、比較的胸の小さいお姉さんに尋ねてみた。

「お姉さん。なんであのエルフの集団は男女揃って筋骨隆々なんです?」
「エルフだからだよ」

いやいやいや!意味わからないから!エルフのイメージと全く違うから!

「あぁ。アユムは異世界人だったね。エルフってどんなイメージだい?」
「美男美女で容姿端麗。自然を愛し、魔法に優れている優しい種族ですかね?」

まぁ多少の違いはあるだろうが、大体この辺がどの異世界でも共通しているエルフ像だろう。

「ん~.....大体は一緒だよ。ただ優しいというよりかは厳格なイメージかな?融通が効かないとも言う」
「掟を厳しく守る、とかそんな感じですか?」
「そうそう。エルフは何よりも掟や伝統を優先するんだ。どこにいってもね。その結果どうなると思う?」
「どこにいっても.....そうなると様々なところで争いが発生します」

融通が効かないってそういうことか。狭っ苦しい生き方してんな~。

生きていく上では、ある程度妥協や融通は必要なものだ。
その土地その土地のルールもあるだろうし。それを意地でも我を通したりすれば、必ず争いが生まれる。

「その通り。だからエルフってのは多くの種族から結構嫌われてるんだよ」
「はぁ.....まぁ、それが彼らの生き方なら仕方がないですよね」
「大人だね。だからかエルフは争いがいつも絶えない。それは国家間の戦争も然り」
「戦争も!?」

どんだけ融通しないんだよ!?掟よりも人命優先だろ!?
と思ったが、この世界は命の価値が低いんだったな。

「そう。そんなのが何百年も続いたもんだから、自然と戦闘に特化した体になったんだろうね」
「いやいや。魔法に優れている種族なら筋骨隆々にならんでしょ」

「エルフは勇者様じゃないからね。普通のエルフが使えるのは風のみだよ。
 魔法使いのエルフでもそんなに多くはない。エルフであっても素質の壁はあるからね。
 風だけでも全員が使えるだけで魔法に優れた種族さ」

確かに魔法には素質が必要という壁がある中、風だけは全員使えるなら魔法に優れている種族だ。

それでもエルフの中でも魔法が苦手なものもいて.....
と言うよりも素質の壁があるから、大半が苦手になる可能性がある。
そして他の種族よりも争いが多いから、自然と戦闘に適した体になる。
さらにさらにこの世界は女性も積極的に冒険者になる。つまりは男女共に筋骨隆々に・・・?

「だからエルフは魔法種族というよりも、武闘派種族のイメージだね」
「そ、そうですか.....」

俺の中でのエルフ像が音もなく崩れ去った。

どうやらこの世界のエルフは相当世紀末な世界に生きているらしい。
せっかく美男美女なのだから、願わくばヒャッハー!とかあべし!とか言わない世界であることを祈るのみだ。


□□□□ ~ドワーフの事情~ □□□□

この世界のエルフ事情には驚かされた。
もしかしたら、他の種族も俺のイメージとは違う可能性がある。
これは確かめずにはいられないだろう。

俺は目の前にいる、人間に比べて身長が半分ほどのドワーフについて尋ねてみた。

「ドワーフは一言豪快だね。それに部類の酒好き。鍛冶に優れ、力持ちってあたりかな」
「気難しいってことはないですか?」
「ぜ~んぜん。ドワーフほど穏やかな種族はいないよ。一番好かれている種族なんじゃないかな?」

穏やか?そこだけはイメージとは違うけど、大体ドワーフ像は異世界知識にあるのと一緒だ。良かった。

「アユムは気付かなかったかい?この町の人の多さに」
「確かに人が多いですよね」

比較的胸の小さいお姉さんの言う通り、人の数がかなり多い。道も人でごった返している状況だ。
アテナとはぐれないよう手を繋いでいないと危ないぐらい多い。

.....今日は祭りか?

「違う違う。各地から色んな人種が嫁探しにきてるのさ」
「嫁探し!?」
「ドワーフの女はお嫁さんにしたいランキング圧倒的第1位なんだよ」
「圧倒的第1位って.....なんでですか?」

「穏やかで豪快。これだろうね。嫉妬とかに無縁で、細かいことは気にしない。
 男ってやつは甲斐性もないくせにすぐ浮気をするからね。
 それでもドワーフの女は怒らないらしいよ?本当信じられないよ。
 そもそも浮気するぐらいなら稼いで嫁にしろって、いつもいつも.....(ぶつぶつ)」

どうやら比較的胸の小さいお姉さんは、旦那さんの浮気について相当不満があるらしい。

・・・。す、すいません。男を代表して謝ります。

この世界は重婚が認められている。
それに関しては男女共に納得しているようだ。ただし経済的に余裕があれば、の話だが。
経済力もないのに、嫁以外の女性に手を出すのは浮気となるらしい。
比較的胸の小さいお姉さんの言う通り、気になる女性がいるなら嫁に迎えればいいだけなのだから。

「アユムも気になるかい?」
「気になるかどうかは置いといて、ちっこくてかわいいな~とは思いますね」
「.....あんたロリコンかい?」
「し、心外です!子供が好きなだけです!.....な?」

───ぽふっ。ぽんぽん

「子供あつかいするなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーヽ(`Д´#)ノ」

怒っているアテナもかわいい。アテナかわいいよアテナ!

「まぁいいか。でもドワーフの女を堕とすのはかなり大変だよ」
「競争率が高いからですか?」
「違う。条件があるんだよ。自分よりも酒が強い。ただそれだけさ。彼女らは酒が絶対条件だからね」
「.....ち、ちなみにどれぐらい呑むんです?」
「1番強い酒を1日呑み続けて少し酔うとか聞いたよ?」
「・・・」

おおぅ.....それはきつい。そんなの他の種族では勝てないんじゃないか?

多分ドワーフは肝臓が相当強いんだろう。
そんな強靭な肝臓は同じ種族でないと持ち得ないと思う。

.....いや、待てよ。酔うって状態異常なのだろうか?

もしそうなら俺なら勝てるかもしれない。
この世界にきて一度も酒を飲んだことがない。一度は試してみたほうがいいかもしれない。

「すごいだろ?.....うまい話なんてそうそうないってことさ。諦めな(笑)」
「そ、そうですね。ちなみにドワーフの男性はどうなんです?女性が人気あるのはわかりましたが.....」

「人気あるわけないだろ?
 チビってだけでダメなのに呑んべえのおまけ付き。嫁はお前のお母さんかっての!」

「・・・」

り、理不尽すぎる.....これって男女差別にならないか?
いやそれでも、お嫁さんランキング第1位のドワーフ女性を娶るチャンスがあると思えば、釣り合いは取れているのか?

異世界でも男性側にはある程度の身長は求められるらしい。
一度でいいからドワーフと、文字通り呑み明かしてみるのもいいかもしれないな。


□□□□ ~魔族の事情~ □□□□

このガタツには人間とドワーフがほとんどで、エルフがちらほらといった感じだ。
エルフがいるのは偏にドワーフの穏やかさが、エルフ達の頑固さを包み込んで余りあるからだろう。
それにこの世界のエルフは武闘派らしいので、このガタツにお世話になる機会も多いだろうし。

「そうそう。悪魔と魔族ってなにが違うんです?同じだと思ってたんですが」

ボス猿に聞いたときは、かなり怒っていた記憶がある。
魔族に悪魔が含まれると思っていたんだが.....

「そこはよくわからないね。そもそもどっちも見たことがないんだよ」
「見たことがない.....種族として数が少ないんですかね?」

「だろうね。ずっと大昔には魔族ってのはいたらしいけど、今ではほとんど聞かないね。
 意外ともう絶滅していたりしてね」

魔族と悪魔についての情報はどうやら皆無みたいだ。
ボス猿の件もあったから、少し情報がほしかったのだがないものは仕方がない

それにしても、絶滅してると思われるぐらい歴史の表舞台から姿を消しているのか。
案外お姉さんの言う通り絶滅してそうだ。

・・・。

.....ん?絶滅?
あれ?今いる魔王は魔族じゃないの?

俺の素朴な質問に、お姉さんはキョトンとした顔で衝撃の言葉を言い放った。

「.....え?今、魔王っているの?」

.....あれ?いるから勇者って召喚されてるんじゃないの?

「勇者様は文化革命を興しにきてるんだろ?」
「ベンリー君扱い!?」

この世界の住人は魔王の存在を知らないらしい。
と言うことは、こっそり倒してしまおうとの腹積もりなのだろうか?

それとも実は魔王なんて本当はいなかった?

う~む。この世界は本当によくわからない。てか、管理が雑すぎ!


□□□□ ~獣人の事情~ □□□□

魔王は確かにいる(アテナ談)
それでいいことにした。てか、どうでもいい。
そもそも俺には関係のないことだ。魔王とは一切関わり合わないと決めている。

それよりもずっと気になっていた違和感がある。
この異世界にきてからずっと不思議に思っていた。
異世界ものでは定番のあれが全くないのだ。

そう.....獣人が全くいない!

パレスは俺の行動範囲内では人間だけだった。
ここガタツでもパッと見、人間とエルフ、ドワーフしか見受けられない。
パレスは置いとくとして、ここガタツでも嫌われているエルフですらいるのに獣人が全くいない。

なにかこうずっと癒しが足りないと感じていた。
華やかさや愛くるしさ、そしてもふもふ感が圧倒的に足りないと感じていた。

そしてようやく獣人がいない理由がわかった。

「獣人は今完全に奴隷扱いだね」

どうやら獣人全体が奴隷扱いを受けているらしい。
そんな扱いを受けていたら、普通に見受けられないのは仕方がない。

「なんで獣人が奴隷なんです?」
「200年程前にいた魔王が獣人だったらしいよ。その魔王は時の勇者様が倒したらしいけど」

獣人が魔王って.....それは魔王ではなく獣王では?
まぁ、脅威になったことを考えれば魔王でも間違いではないか。

それにしても....

「200年前って.....昔のことじゃないですか」
「昔は昔でも事実がそうだからね。新しい魔王が出てきたら、もしかしたら変わるかもしれないけど」

それは結局奴隷になるのが別の種族に移るだけで、なんにも変わっていないような.....

古き悪習というものだろう。
人はなにか自分よりも弱いものがあると分かると安心すると聞いたことがある。
下方比較とか言っただろうか?
失敗したり、落ち込んだりした時に、自分よりも下のものと比較することで安心を得るらしい。

.....もしかしたら宗教とかも絡んでいるのだろうか?獣人徹底排斥とか。

いかんいかん。決めつけは良くない。

「それでも少しは変わってきているんだよ?
 エルフやドワーフなんかは獣人を酷く扱わないようになったし」

.....エルフやドワーフなんかは、か。どうしようもないな、人間は。

「.....200年経っても、溝は埋まらないものなんですね」

「難しいものなのかもね。
 こっちが仲良くしたいと思っても、獣人は人間を見ると襲ってくるし、私達も襲われたら反撃はする」

それはきっと獣人側も同じなんだろう。
獣人からすれば恨み連なる人間なんだから襲うんだろうし、下手したら捕まって奴隷行きだ。
獣人だって生きるのに必死だろうし。

時間すらもなかなか解決できない悪循環に陥っている。
でも、これがこの世界の常識なのだろう。

俺にはどうすることもできない。
できることと言えば、エルフやドワーフみたいに邪険に扱わないことぐらいだ。

むしろ獣人には会いたいが、奴隷には会いたくない!
絶対同情すること間違いなし!
同情する事しかできないなら、奴隷には一切関わらないほうが賢明だ。


この世界の種族事情に違和感を感じながらも、俺は思う。

あ~。でも、もふもふ専用奴隷とかなら考えてもいいかも。

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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小

種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀

職業:女神
称号:智慧の女神

体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50

女神ポイント:75240【↑60000】(2ヶ月分)

【一言】私はねー、犬よりも猫ちゃん派だよー( ´∀` )
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アユムの所持金:34000ルクア【±0】
冒険者のランク:A(クリア回数:3回)

このお話の歩数:約6003200歩(2ヶ月分)
ここまでの歩数:約10611100歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:4606【↑1571】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:4616(+4606)【↑1571】
魔力:4616(+4706)【↑1571】
筋力:4611(+4706)【↑1571】
耐久:4611(+4706)【↑1571】
敏捷:4766(+4806)【↑1571】

装備:疾風の剣(敏捷+100)

技能:言語理解/ステータス/詠唱省略

Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法

Lv.2:浄化魔法

Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密
   偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
   初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
   初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性
   状態異常耐性

共有:アイテムボックスLv.3
   パーティー編成Lv.1
   ダンジョンマップLv.3
   検査Lv.3
   造形魔法Lv.3

固有:ウォーキングLv.4606 1174/4607
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後書き

次回、大家族!

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今日のひとこま

~なにもかも違う!~

「そう言えば.....エルフってそんなに争いばっかりやってて大丈夫なんですか?」
「なにがだい?」
「ほら、エルフって長命な代わりに繁殖力低いじゃないですか」
「それは昔のエルフだね。今は人間に次ぐ繁殖力を誇るよ」

「.....え?」

「昔のエルフは生命力が細く長くって感じだったけど、今は大きく生態を変化させたからね。
 今じゃ男女共に生命力に溢れ、太く長くって感じだよ」

「だ、だから筋骨隆々に?」
「たくましいだろ?」

そりゃ、たくましいだろうが.....なんかこうそれはドワーフのイメージなような.....

「納得してないような顔だね?エルフに夢を見すぎだよ(笑)」
「は、はぁ.....あ!ダークエルフとかももしかして同じですか!?」
「ダークエルフ?それは魔族だろ?見たことないよ」
「.....え?魔族?」

「そうそう。あ~でも、ダークエルフはアユムの言ってる感じそのものかもね」
「なんでわかるんです?」
「数百年確認されてないんだ。生態系が大きく変わってるとも思えない」
「なるほど。じゃあ、ダークエルフに期待します」
「いないっての。エルフの女も案外いいものかもよ?エルフは一夫一婦制らしいから」

ダークエルフは絶対いる!いてください!お願いします!
それに筋骨隆々な女の人なら、まだお姉さんのほうがマシだわ!

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