歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第9歩目 はじめての宿屋!


〔ではこちらが今回の報酬と冒険者カードとなります〕

受付嬢さんから一枚の紙とカードを渡された

カードは黒色の冒険者カード
そして紙には、【4000ルクアを冒険者カードに登録しました】との文字が書かれていた

なるほど。渡されたのは収紙か
確か冒険者カードが財布代わりになるんだったな

そんなことを考えていたら、

『歩~!疲れたー!休みたーい!』
「・・・」
〔・・・〕

アテナが駄々っ子のようにわがままを言い出した

お前さっきまで寝てただろ!というツッコミは置いといて、俺も色々あって疲れた。少し休みたい

ただ所持金が4000ルクアしかない
身分証を作るのに2000ルクアもかかったことを考えれば、あまり贅沢は望めないだろう

「ご覧の通りでして.....この辺りで一番安い宿屋ってどこになりますか?」

俺は受付嬢さんに尋ねながらも、アテナに視線を投げた
俺の視線の意図を汲み取った受付嬢さんは苦笑していた

ありがとうございます。俺は大きな子供を抱えているんです.....

〔安くて、ギルドが公認している宿屋となると現在三店舗ですね。それぞれおすすめできる特徴があるのですが、ご希望はありますか?〕

一つの町に宿屋が三つもあるというのは多い気もするが、それだけ人の出入りが激しいのかもしれない

とりあえず、選択肢がたくさんあることはいいことだ
ないよりは全然いい

ただ急に希望と言われても.....すぐには思い付かない

「アテナはなんか希望あるか?」
『ご飯が美味しいところがいいー!』

アテナがきらきらした目で見上げてきた
旅行中のアテナからしてみれば、ご飯は楽しみの一つなんだろう

「あぁ、なるほど。それは確かにそうだな」
『でしょー!お腹空いたー!』

ただ、俺からしてみれば盲点だった

どこか日本の感覚で考えていたが、ここは異世界だ
地球の食文化に慣れ親しんだ俺からすると、もしかしたら異世界の飯は口に合わない可能性がある
これはある意味、異世界もののお約束なのかもしれない

だったら、少しでも美味いと評判の店を選びたい!

アテナは当たり前のことを当たり前のように言っただけだろう
でも、そのことに気付かせてくれたアテナには感謝したい

だから.....

───ぽふっ。ぽんぽん

アテナが気に入っている、頭ぽんぽんをしてあげた

「ありがとな」
『にへへー!どうしたのー?歩、変なのー?』

そこにはいつものにぱー☆とした可愛らしい笑顔があった

本当、ちゃんとしてれば可愛いんだよなぁ。胸大きいし

□□□□

さて、アテナの希望を採用しよう
俺もアテナ同様、美味いご飯が食べたい!

「では、ご飯の美味い宿屋でお願いします」
〔でしたら、【小鳥のさえずり亭】となります。お二人なら一泊4000ルクアですね〕

え?たかくね!?
一晩泊まるだけで、稼ぎが全部ふっ飛ぶんだが.....

〔宿としては少々高めですが、朝食と夕食に、昼のお弁当がつきます〕

あぁ、なるほど。それならむしろ、安いかもしれない
コボルト討伐だけで2000ルクア稼げる世界だしな

宿屋は【小鳥のさえずり亭】でいいだろう

ただ宿屋が三つもある町だ
町じたいがある程度の規模だと思った方がいい
【小鳥のさえずり亭】を探すのも一苦労だろう

だから俺は受付嬢さんに【小鳥のさえずり亭】の地図を貰おうとしたのだが.....

『【小鳥のさえずり亭】ね!分かったー!先に行ってるねー!』
「先に行ってるって、場所わか.....」

バカがお約束のように飛び出して行ってしまった

〔・・・〕
「・・・」
〔苦労されてるんですね.....〕
「HAHAHA」

俺はただただ笑うことしかできなかった

この後、宿屋の場所が分からず、すごすごと戻ってきたアテナの頬を引っ張りながら【小鳥のさえずり亭】に向かった

□□□□

小鳥のさえずり亭

地図に従い歩くこと数分、【小鳥のさえずり亭】に着いた

外観は民宿のそれに近い感じといったところだろうか
高級感はないが、こざっぱりとした落ち着く感じだ
中に入ると食堂らしきテーブルがいくつか置かれていた

[いらっしゃい。初めて見る顔ね]

カウンターに向かうと奥から声がかかった

出てきたのは恰幅のいいおばちゃんだ
にこにこしていて、優しそうな雰囲気を醸し出している

「はい。今日この町にやってきました。よろしくお願いします」
[あいよ。ごひいきにしておくれ]

おばちゃんは微笑みながらもアテナをちらっと見た
そしてなにやらニマニマし始めた

な、なんだろう。すごく気になるな.....

[一泊二人で4000ルクア。うちはギルド公認店だからね。身分証を確認させてもらうがいいかい?]
「どうぞ」

変な客が入り込まないよう、いちおチェックはするのか
いや、公認店だからこそか。信用に関わるもんな

[食事は入り口横の食堂で取っておくれ。うちは朝食、昼食、夕食の3食付きだよ。昼食は前日に言ってもらえれば、お弁当にすることもできる。時間はそれぞれ朝、昼、夕方の鐘が鳴ってから4つ目の鐘が鳴るまでの間。ラストオーダーは3つ目の鐘が鳴るまでだから気を付けておくれよ]

「わかりました」

アテナから聞いた話だと、

朝の鐘は6時に、昼は12時に、夕方は18時に3回鳴るらしい
そして1時間事に1回、鐘は鳴らされるんだとか

つまり、
朝食は6時~10時
昼食は12時~16時
夕食は18時~22時

ラストオーダーはそれぞれ9時、15時、21時

ということになる

時間が鐘頼りとなると、聞き逃す訳にはいかない
かなり高価だが時計があるらしいので早めに取得したい

[体を拭くお湯がほしい場合は、帰ってきたときに申し出ておくれ。お湯は1人100ルクア。夕食後に部屋まで持っていき、回収は朝に行う。今回は今後もごひいきにってことでサービスしとくよ。カンテラを使う場合は貸し賃が100ルクア。大体一時間分の油が入っている。油を自分で足してもいいが、火の取り扱いには気を付けておくれよ]

「ありがとうございます!」

当然この宿屋にはお風呂なるものはないんだろう
それでもお湯をもらえるのは非常に助かる
だって宿泊料金で無一文になってしまったんだから
優しそうなおばちゃんは優しかった

今後ともここをひいきにしよう

そう思っていたら、

『えー!お風呂入りたかったなー!』

アテナがおばちゃんの厚意を踏みにじる発言をした

[ごめんなさいね。お風呂はお貴族様とかが入るものだからうちにはないんだよ]

申し訳なさそうな顔で謝ってくるおばちゃん
それを見て俺の心が痛んだ。すごく痛んだ

だから.....

「お前ふざけんな!おばちゃんの厚意を台無しにすんな!」
『ふえ~~~ん。ごめんなさーい!』

アテナの頬を思いっきりつねった

「このバカがすみません.....」
[あはは。正直な可愛い彼女さんじゃないか]

.....おばちゃん、今なんて言った?
彼女だと?このバカが?顔と胸しか取り柄のないこいつが?
断固否定する!俺の彼女はニケさんだ!こんなバカじゃない!

「いえ、こいつは彼女なんかじゃないですよ」
[いいから。いいから。照れなくてもいいんだよ]

その後、何度説明しても分かってもらえなかった
それよりおばちゃんがニマニマしていたのがすごく気になる

結局誤解されたまま部屋の鍵を渡された
仕方ないので説得は諦め、俺達は部屋に向かうことにした

部屋は十畳くらいはありそうな縦長長方形のワンルームだった
入ってすぐ横にクローゼット、部屋の奥に机とイスが二つ置いてある
イスの向こう側の壁には木窓がはめられていた

なかなか快適そうな部屋だ

『わーい!ベッドだー!』

部屋の中に入ったアテナは一目散に駆け出しベッドにダイブした
そして、きゃっきゃっと楽しそうに飛び跳ねている
本来なら注意すべき行為なのだろうが、俺はしばし魅入っていた
だってアテナのおっぱいがすごく揺れていたのだから!

それはいい、それはすごくいいのだが、気になることがある

「なんでベッドが1つしかないんだよ!!?」


おばちゃんがニマニマしていたのはこれか!なに勘違いしちゃってんの!?


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アユムの所持金:0ルクア
冒険者のランク:E(クリア回数:2回)

このお話の歩数:約820歩
ここまでの歩数:約9880歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:140【↑6】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:154(+140)【↑6】
魔力:140(+140)【↑6】
筋力:145(+140)【↑6】
耐久:145(+140)【↑6】
敏捷:204(+140)【↑6】

技能:言語理解/ステータス/鑑定Lv.1

固有:ウォーキングLv.140 10/141
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