異世界を追い出された俺は──元の世界でハーレム作りに勤しみます【凍結】

決事

一人目なるか

ズルズルズル
ここが化学室だ。
オレに今度逆らったら薬品ぶっかけんぞあ"あ?
ズルズルズル
ここは相談室。
相談だと?あ"あ?相談してる暇があったら自分で解決しやがれ!
ズルズルズル
ここは……事務室。
おっかねがかっけえおばちゃんがいるんだ。世話んなったら絶対礼、忘れんなよ!あ"あ?

「いてーよ!」
「なんだこらやんのか!? あ"あ?」
いやいやいや。
おかしいだろ!
転入生に校舎を案内してる美女。
センテンスは響きがいいけれど、実際のビジュアルがいけない。
片足持って廊下どころか階段すらも引きずり回してる、目つきの悪いスケバン。
と、ボロ雑巾のように薄汚れた、俺。
「おい、綴真くんや。可哀想で哀れな俺を助けようという気にはならんのか!?」
カッと目を見開き威嚇するも、イケメンガードの前では何の役にも立たない。
弁当を作ってくれない母親並みの役立たずっぷりだ。
そしてイケメンの、俺を助けない理由がこれまたふるっている。
「あいにくと、僕は彼女を敬愛している。従って、彼女の言うことに否やはないよ」
忠誠を誓っているといってもいいくらいだね。
最後にキラッとイケメンスマイルで攻撃して来る。
なんだ、このイケメン科白とイケメンスマイルのコンボは!?
俺を人殺しにする気か!?
ハーレムのメンバーを一人も集めていないのに人を殺すわけにも、学校の設備を壊すわけにもいかない、と廊下をぶち破ろうと力を込めた右手を左手で抑え込む。
「だーかーらー。オレは舎弟を持つ気はねえっつってんだよ! あ"あ?」
そう、抑え込んだのだ。
だかその努力は限りなく無に近いものと化した。
龍生の足が火を吹き、廊下にあなをあけたのだ。
比喩で火を吹くという表現をしたが、あながち間違いではないくらいの威力であった。
「そんなに嫌がるから、僕も弟子にしてくれ、なんて言ってないじゃないか。ただ、君のことを敬い、愛しているだけだよ」
再び歯の浮くような言葉をずらずらと。
おえっ、砂糖吐きそうだ……。
そんな茶番劇を繰り広げていた俺たちは、突然開いたドアによって一時停止されられた。
詳しく言うと、開いたドアから顔を覗かせた推定小学5、6年生の少女によって。
「ひ、火矢さん〜! 体育祭の書類、まだ残ってますから副会長と、喧嘩、してない、で……。

お兄ちゃんじゃないですか!」

ハーレムメンバー、記念すべき第一号はロリな予感!?

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