惨めな無能は異世界で願いを夢見る

ノベルバユーザー148366

05:訓練の結果と模擬戦

ステータスを確認してから三日間が経過した。

どうやら訓練をしてもレベルが低いうちは経験値が手に入るらしい。

訓練といっても走り込みや筋トレ、木の棒で素振りや剣術の練習といったものだ。
最初は元の世界でも身体づくりで行なうような内容をするみたいだ。
しかし、ちゃんと経験値が入ってLv.も上がっている。
それによって今のステータスがこれだ。

名前 内谷 優星 Lv.3
種族 人族
クラス 無の才能者
状態 正常
生命 250/250
魔力 150/150
攻撃 200
防御 170
魔攻 150
魔防 150
俊敏 170
精神 160
運気 D
称号
異世界人

どうやらLv.1毎に各能力値が25上昇するみたいだ。
平均してみるとこの上昇値は高いらしい。
しかも一定レベル以上になると上昇値が変わるらしくレベルが上がっていけば意外と強くなるかもしれないと思った。

…まぁそれも直ぐに夢だったと分かったのだが。

クラスメート全員のレベルが上がり上昇値を確認出来た事もあり戦闘とスキルの練習のため模擬戦を行うこととなった。

相手と模擬戦の順番をクジで決めることとなり順番に引いていくこととなった。

順番が回ってきてクジの入った小箱にから一枚紙を取り出し開いて確認する。

「…1番だ。」

うぼぁ…1番最初かよ運悪いな。
まぁ引いちまったもんは仕方ない。準備しよう。

1番最初という事もあり引いたら直ぐに準備室に案内してもらいそこで皮鎧一式を身に付け木の剣を腰に差す。

うーむ、雑魚だな俺。そんな見た目してる。

準備が終わったら訓練所に向かう。
まだ相手は来ていないようだ。

それから10分程待つと自分と同じように皮鎧を身に付けたクラスメートがやって来た。

「揃ったようだな。では、今から模擬戦を行う。勝敗条件は相手を戦闘不能にすること、負けを認めさせることだ。致命傷を与えるような攻撃を繰り出した際は負けたする。以上だ、頑張ってくれ。」

審判役の人からルール説明を受ける。
俺はスキルないし武器は木の棒だけだから心配ないな。

城島きじま 勝利しょうりだ。よろしく頼む。」
「…内谷 優星だ。」

思わぬところで名前を言われて少し驚いた。
だけど城島か。真面目そうなやつだけど気が合いそうだ、覚えておこう。…覚えなきゃな。
だが今は模擬戦だ。訓練の結果どのくらい戦えるようになったか知りたいからな。
勿論負けるつもりはない。

「それでは構え!始めっ!」

始まりの合図と共に城島に向かって飛び出す。
城島は動かず此方を見据え左腕に付けた木のスモールシールドを胸の辺りに構えている。

俺は武器を左下から斬り上げる。
城島はそれを盾で受け止める。

ん?右目閉じてるけど完璧に盾で受け止めてるぞ?
しかも衝撃をうけたような様子もない。スキルか。

反撃を受けないように直ぐ後ろに飛び退く。

城島は木の棒を振るのを途中でやめ此方を見てまた同じ構えを取る。
見た所俊敏は高くなさそうだ。
無の才能者の能力の上がり方でそこそこ俊敏はあるからそれを利用して攻撃しよう。

もう一度斬りかかる。
次は顔に向かって右上段から振りかぶる。

また盾で受け止められる。
だが今回は飛び退くのではなく盾を持った左側に移動して視線を切る。
やはり目を閉じているため上手くいったみたいだ。

そのまま無防備の背中に向かって木の棒を振る。

だが、俺の木の棒は城島の持つ盾によって塞がれてしまった。
そして足の止まった俺に対して城島が上段から木の棒で斬りかかる。
俺はそれを自分の木の棒で受け止めようとした。

「【兜割かぶとわり】」

木の棒で受け止める。
だが、勢いを止めることができず木の棒は受け止めたところで折れ、城島の木の棒が俺の頭を捉える。

ダンッ

頭から足まで衝撃が走る。
痛みがない。だが、思考は停止し、体から力が抜ける。
手に持っていた木の棒が力の抜けた手から落ちる。

「【盾攻撃シールドバッシュ】」

腹に城島の盾がぶつかり衝撃が走る。
気付いた時には足が地面から離れ吹き飛んでいることが分かった。

だが俺は地面に触れる前に意識を失った。

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