俺の魔法科学園生活

お湯

第2章:中間試験【12】

「ふぁ…ああ…」

真っ暗な部屋の中俺は目を覚ます
俺が寝ている場所はかなり高価で雲のように柔らかいベッドだ
そして、俺の要望でこの部屋に窓はなく、光は俺が使う魔法のみ
なぜ窓がないか。それは侵入者にここから侵入してくれと言っているようなものだからだ

そんなことを考えながらいつの間にか家に届けられていた朝食を済まし、だぼだぼの部屋着から冒険者の服装へ着替える

「ったく、気になったことはすぐに謎を解き明かしたくなるこの癖。どうにかならないものか…」

そんなことをぼやきながら俺は顔を洗い、口を流したあと、屋敷を出ると直後空へ跳ぶ

空へ跳んでいる中俺は脳内で呟き魔法を発動する

(フライ)

すると先程までは筋力のみで跳んでいたが、魔法を発動したことにより自由に“飛ぶ”ことができるようになった

「はああ…くそ、エルナの父親がどこにいるのかもわかんねえのに…」

そう、俺は今からエルナの父親を探し出し、何故エルナに魔族の血が混じっているのかを聞きに行く

「はっ、今日俺が欠席したらルーニェが怒りそうだが、気になったら事実を確かめに行きたくなってしまうもんだからなあ…」

自重混じりにそう呟く
すると下に見える町中に、俺と同じ学園の制服を着た人が何人か見える

「まあ俺は数日間戻らないと思うからよろしくやってくれ」

そうぼやいて俺はフライを加速させる




人間の国を抜け、少し魔族の国へ入った俺は1度フライを解除し、地面へ着地する

「それにしてもエルナの父親なんてどこにいるんだ…俺の予想だと、魔族の母親に会いに行っている。もしくは父親自体が魔族で人間の街で暮らすのは難しいの、どちらかだな。」

そこまで推測したものの、魔族は4国もあるのだ
いまは西の魔国にいるが、簡単に見つかるとは思えない

「仕方ねえなあ…会いたくはないが…そろそろアイツ・・・頼るしかねえな…」

そうしてまた、フライを発動させた








「何者だ?!」
「こいつ人間だ!」
「殺せ!!」

そんなことを言いながら襲ってくる魔族が現れ始めたのは魔国の奥へ入り始めた時だ

この近くには魔王の城があり、その周りに自然と魔人族が集まって住んでいるのだ

そして今俺はその魔人族と戦っている

「【火炎・上】」

誰にでも使える火炎属性魔法の上級を使い、襲ってきた三体を同時に焼き尽くす

辺りには家が並んでおり、ほとんど人間の街と同じようになっている

「さてさて、ここからは魔人族が強くなるから気合入れてかないとな…」

そして俺はフライを使う

そして思う。ただ1箇所人間国と違う場所があった

それは、空がただただ暗かった──





俺は息を潜め、アイツ・・・から隠れる

「なんじゃ、いるのじゃろう?」

そう、透き通るような美しい声で、それでいて小さな声で囁かれた言葉は、静まり返るこの場では、大きく響いた

「気づくの早すぎだろ…」

俺は両手をあげ、降参のポーズでソイツの前へ出る

ここは、王座の間で、人間国の王座の間と何ら変わりはない

そして、王座の間ということは、言うまでもなく目の前にいるのは魔王──そう、魔王だ

そして俺は王座の間の天井に張り付いていたのだがどうやら気付かれてしまったようだ

そして、王座に座る魔王は銀髪赤眼で、頭には左右に金色の大きな角が生えており、だれにも逆らえない雰囲気を醸し出している
その魔王の顔はとても幼くあまりにも綺麗なため、それがまた従わざるを得ない容姿だ
大きな目に小さな口元、そして綺麗な鼻、文句のつけ所がない美少女だ。
そしてその魔王は少し笑いその口元を開く

「いいや?気付くのに少し時間がかかってしまったのう。さすがは、人類の英雄・・・・・と、言ったところかの?」

少し【英雄】を強調した気がしたのは気のせいではないだろう
こいつが、俺が自分で英雄だと言った人物のルーニェに続く二人目だ

「俺の潜伏に気付けるのなんてお前だけだよ。さすがは、魔人族の英雄・・・・・・と言ったところか?」

そしてこいつもまた、自分からそう言ってきたのだ

「くはは」
「ハハハ」

俺は魔王の目の前まで歩き、そして魔王もまた、王座から立ち上がり俺の方へ歩いてくる

そして10メートルくらい間が縮まったところで立ち止まる

「今日はどんな用なのかの?」

少し呆れた声で魔王はそう聞いてくる

「俺の友人の親の片方が魔人族の可能性が出てきた。そいつを調べたい」

俺がそう言うと魔王は納得したような顔で手を叩く

「なるほど、そのことを調べているのかの?」
「知っているのか…?」

俺が再度問うと、魔王は人差し指を立てニヤリと笑う

「ただで教えるわけがないじゃろう?」

そりゃそうだ。こいつは魔王、ただでさえ俺は人類。攻撃されず話しているだけで異常なのだ
本来ならば殺し合いが始まっていて何ら不思議はない

「何と取り引きだ」

少しため息混じりにそう聞く

「そうじゃの…やはり、我を人間国へ連れてけ」

やはりか…そう思わずにはいられないほどの、“いつも通りの要望”を提示してきた

「だからそれは無理だって言ってるだろ?」
「じゃがのう…今回ばかりは、そなたも我の力を得ずにことを運ぶのは難しいじゃろう?」

くっ、痛いところをついてくる…
こいつとの付き合いは2年ほどなのだが、俺が頼み事をする度、毎度毎度懲りずにこの頼み事をしてくるのだ

「で、でもよ?その姿で人間国へ入ったら即死刑じゃないのか?」

なんて言ったって頭にはツノがある

「なんじゃ?そんなことかの?この我が姿を変える魔法を持っていないとでも?」

くっ、くそ魔王め

「はあ…いつもは強い敵を紹介してくれ、とかで頑張ればひとりで解決できる問題なんだがなあ…」

「その問題は我がそなたと戦って終わったじゃろう?」

まあそうなんだけども…

「わかった。1度だけ人間国へ連れてってやる。だからその人間と繋がりのあるらしい魔人族を教えろ」

俺がそういうと魔王は目をキラキラさせ、俺の近くまで文字通り一瞬で詰め寄り顔を寄せてくる。近い近い…

「ほんとかっ?!人間国へ連れてってくれるのかのっ?!」

「あ、ああ…連れてってやるから、早く紹介してくれ」

そこで魔王が魔王らしくないことをしてないことを気付いたらしく少し咳払いをする

「じゃ、ついてくるのじゃ」

そう、背中から大きな黒い翼を出した魔王へ俺は問う

「お前も来るのか?」
「そなたらが戦いになると厄介じゃからの。それに、そなたのせいで魔王城の守りがゼロになってしまったからのう…」
「ああ…」

と、俺は上を向いて納得する
俺はこいつに会うために、城であった者全てを殺してきたのだ
魔人族に仲間意識などないため、魔王が怒ることはないが、いくら魔王とはいえ守りゼロの状態で1人は危険なのだ

「それで?俺に守ってもらおうと?」
「そうじゃ。そも、そなたが攻め込まなければこうはならなかったのじゃから責任を取るのじゃ」

まあ…仕方ないか…

「じゃあ、案内してくれ」
「わかったのじゃ!!」

ズドォォォォォオオオン!!

そして城の天井に穴が空いた
多分魔王の魔法だ

「おいおい…城壊してもいいのかよ…」
「いいのじゃよ。どうせ直すしの」

まあそんなもんか…俺らが戦った時の方が凄かった気がするし…

空いた穴からは特別光が差し込むこともなく暗い空が見えるだけだった

「それでは、行くのじゃ」
「ああ、」

そして2人ともが空を飛び出した

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