俺の魔法科学園生活

お湯

第2章:中間試験【10】

「それで、教えるって言っても何を教えたらいいんだ?」

学園の中にある訓練場まで来た俺は、目の前にいるエルナにそう問いかける

この訓練場は王宮にあるものよりかはふた回りほど小さいが、かなり大きくなっている。
俺達がいるところの地面は砂になっており、半径100メートルほどの丸い建物だ
そしてその周りには、俺たちのいる場所より2、3メートル高い位置に、観客席のようなものがあり、訓練場というよりは、闘技場を思わせる場所だ

そしていくら中間試験前とはいえ、いちいちここに来てまで魔法の練習をするやつは少ないのか、俺たち以外に人はいない

「そうだねぇ…とりあえず私の得意な氷属性魔法から教えてもらっていいかな」

唇に人差し指を当てて首を傾げるさまは少し可愛かった

「氷か…そうだなぁ…じゃああれでいいか、今からやるから見てろ。っと、その前に」

エルナが「ん?」という顔をしているのを見ながら俺は光属性魔法を使う

「【聖母の守りマザー・ウォール】」

すると俺の周りに黄色いカーテンのようなものが出来上がり、それが俺を中心に広がっていく
そして訓練場の壁際のところでカーテンは止まった

「い、いまのは?」
「ああ、ここの結界じゃ、俺の魔力余波に耐えられないから、結界を強くしたんだ」
「な、なるほど…とりあえずアグナ君の魔法に耐えられるとてつもない結界になったということだけわかったよ…」

何故か遠い目をしているエルナに訂正を入れる

「俺が本気を出せば潰れるけどな」

「怖っ!そ、そんなに強い魔法は教えなくていいからね…?」

どこか怯えているエルナだが、今回はそれほど難しい魔法を教えるつもりは無い

「大丈夫だ。比較的弱い魔法だ」
「よ、よかったぁ…」

「じゃあ早速魔法を使うから、少し離れててくれ」
「分かった」

エルナはしっかり魔法が届かないあたりまで避難してくれた
それを確認し、体内の魔力を動かす

魔法が完成すると同時俺は右手を前に突き出す

「───【氷の一撃アイス・ブースト】」

俺の開いた右手の中から、冷気が漏れ出し、そしてその中心から手のひらサイズの氷が生まれる
それに俺は魔力を注いでいき、氷を大きくさせていく
そして氷が人の頭よりも一回り大きくなったところで、氷を前へ飛ばす

ドッッゴォォォオオオオオォォォォォン!!

氷が地面に直撃すると同時そんな音と共に前方が爆発を起こした

「………」

「これが氷属性魔法だ」

無言で両手を口元を抑えているエルナにそう言う
だがエルナは慌てたように両腕を左右にぶんぶんさせる

「ちょ!弱いやつって言ったよね?!すごい強いやつじゃん!」

「これは氷に送る魔力量で強さが変わる。だから加減もできるから、大丈夫だ。」

「な、なんだぁ…先に言ってよ…」

ホッとしているようだがこれ実は、上級魔法です。

魔法には上から順に
合成魔法
幻想級魔法
超級魔法
上級魔法
中級魔法
下級魔法
とある。ちなみに合成魔法とは、2つ以上の魔法を合わせた魔法であり、本来反発し合う他属性同士を合わせることによって完成する魔法である
別名…神級魔法

まあ、学園の奴らなら、中級魔法辺りがいいんだろうが、なんで上級なのかというと、それは別に深い意味は無い
ただ、ただ──


────俺中級魔法使えねぇっんだよっっ!!


顔は笑顔のまま、心の中でそう叫ぶ俺

いやだってよ、中級魔法なんて正直威力微妙だし?覚えるだけ無駄だし?
下級魔法は生活に使えたりするから覚えてるけど、なあ?覚える必要ないんだよ

誰かに向かって早口で言い訳を始める俺だが、そんな俺を不思議そうに見つめるエルナの存在に気づき、意識を現実へと呼び戻される

「大丈夫?アグナ君なんか、自分の異常さに今更気づいて、仕方なかったんだって自分に言い聞かせてるような顔してるよ?」

「どんな顔だよっ!!」

「あはは、冗談」

ほとんど当たってるから怖い…
読心能力とかあんのかよ

「まあ1度使ってみろよ」
「うん。やってみるね」

俺はエルナから少し離れ、何かあった時のため、一応防御魔法の準備をしておく

何かの間違いでこっちに来て俺に直撃とか笑えない
流石にあれを直撃はかなり痛い

そしてエルナが右手を前に向ける

「じゃ、やるよ【氷の一撃アイスブースト】っ」

エルナがそう唱えると同時、右手が冷気に包まれる
そして、その中から小さな氷が出来上がり、少しずつ大きくなっていく

そして次の瞬間、氷が暗い色へ変化した──

「───っ?!」

俺はエルナの前へ飛び出し、防御魔法を発動する

「【絶対防御イージス】っ!!!!」

キィィィンッ!!

ガラスとガラスがぶつかったような音が鳴り響き、その音に遅れて、パキンッと氷が割れた音が鳴った

「えっ……と……」

状況を把握出来ず戸惑っているエルナだが、俺はそんなことに構っていられる状態じゃない

「エルナ…お前の親は誰だ?」

「え…?」

かなりドスの効いた声になっていたとは思う
少し殺気が漏れていたかもしれない
だからエルナが混乱するのも無理はない
しかし俺はお構い無しに再度問いかける

「お前の親は誰だ。」

「え…なんでそんなこと?」

「いいから答えろっつってんだよっっ!!」

思わず叫ぶ俺、その俺に怯えるように縮こまるエルナ

「えと…お父さんはライドネ=ラールで、あ、私もエルナ=ラールで、お母さんは知らない…」
「知らない…?」
「本当に知らないの!物心ついた頃からいなくて、お父さんに聞いても答えてくれなくて…多分死んじゃったんだと思う…」

「そうか…そりゃ聞いて悪かった。」
「ううん。大丈夫。でもなんで?」

雰囲気が和らいだ俺に安心したのか、ホッとした表情を見せる

「いや、なんでもない。魔法の威力が強かったから、どこか有名な魔法使いが親だったりするのかな、と思ってさ」

俺は極力笑顔を作って、内心の焦りを表に出さないようにする

「ほんとっ?!威力強かった?!やったぁ!」

ジャンプして喜ぶエルナに対して俺はどう反応していいかわからない

「まあ、あの魔法は強過ぎるから、もう少し威力を抑えてやろうな。あのままだと凄いことになるから」
「うーん。わかった。ありがとうアグナ君」

そしてもう一度威力を抑えて魔法を使うエルナ、今回は威力もまずまずだ

しかし、これは1度エルナのお父さんに合わないと行けないかもしれないなあ…


あの一瞬、氷が暗く変色した感じ
一瞬すぎてほとんど分からなかったが、あれは多分─


魔族の魔力だ


魔族と人間の魔法能力では大きな差があり、人間の上級魔法が魔族の中級魔法だったりする
というか、魔族と人間がもし、同じ魔法を使えば、100パーセントと言っていいほど魔族の魔法の方が強い
その代わり、人間には魔法以外にも体術や剣術といった戦い方もあるため、それを上手く使えば魔族にも勝てる
魔族は体がほとんど魔力なため、体術などといった体を使うことは苦手なのだ
まあ何が言いたいかというと魔法のみの戦いで、人間が魔族に勝つことなど不可能だということ
それほどまでに魔族と人間は違うのだ

だから、さっきエルナが放った【氷の一撃アイス・ブースト】が地面にぶつかっていれば、俺の結界があるとはいえ、この訓練場の地面が崩壊するなどということはあっただろう

しかし、そこでひとつ不可解な点がひとつ
エルナが魔法の威力を抑えると人間の魔法とほぼ同じ威力になったことだ
魔族がいくら力を抑えようと、魔力の性質上どうしても強くなってしまう
なのに何故、そしてここで導き出される答えはひとつ



エルナは人間と魔族のハーフだ。





更新遅れてすみません(いつも言ってる気がする)

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コメント

  • 志麻リス

    めっちゃ×2面白いです!
    早く続き読みたい!です(*^^*)

    1
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