俺の魔法科学園生活

お湯

第1章:転入生【4】

私は目が覚めると知らない部屋の中で手足を鎖で拘束されていた。いや、吊るされているような感じだ
周りはコンクリートのようで、部屋の中は灯りがなく、私の吊るされているところの上にある小さい穴からしか光は入ってきていない

「おや、目が覚めましたか?」

前の方から声がした
そしてコツッコツッと歩いてくるような音がする
私はその声のする方を見た
そこにはこちらに歩み寄ってくる少し小太りの脂ぎった薄毛の男いた
正直気持ち悪い

「貴方は…誰ですか…?」

何故かここに来るまでの記憶が無い
確かアーグ君と別れて…それから…

「っ?!」
「どうやら思い出したようですね、そうです、貴女は攫われたのです」

思い出した

「そして残念ですが…貴女はこれから奴隷になります。この首輪のことくらい貴女でも知っているでしょう?」

そう言って男が見せてきたのは奴隷の首輪
その首輪をつけたものは奴隷となり、その首輪はつけたものしか外せない

「い…いやっ…」

奴隷になるなんて嫌だ。
女が奴隷になるなんて確実と言っていいほどに性奴隷しかないからだ
私はそんなの絶対嫌だ

「ですが…貴女奴隷にしてそのまま売るのは勿体無いと思いましてね」

そんなことを言い出す男

「奴隷になる前に私が存分に堪能しようかと」

そう言って脂ぎった顔をニヤッと歪ませる男
怖気が走った
いまから私はこの男に犯されるのだろうか
そんな不安が私の頭の中に募る
そうしているうちに男は顔を近づけてきて

「クン、クン、すぅーはぁー、いい匂いですねえ…はぁ…堪らないっ!」

この前にもこんなことがあったなと私は思った
何故私ばかりこんなことに会うのだろうか
そんなことを考えると同時、今と同じような状況で助けに来てくれた男の顔を思い出す

(アーグ君…アーグ君…)

「たす…けて…!」

私は絶望寸前の精神で精一杯叫んだ

「グヒヒッ、助けなんて来ませんよ…何故ならこの建物の中には優秀なAランクが16人、そしてこの建物の前には優秀なSランクの見張りが二人もいます。たとえSSランクの人物が来てもここには来れませんよ。SSSランクになれば無理でしょうが貴女のためにそんな大層な人が来るとは思えない」

「あ、あぁ…ああああぁぁぁああ!!」

私は絶望した
ヤバオは確かにSランクだが、あれはぎりぎりSランクになっただけで、Aランクの人間と強さがあまり変わらないのだ
だがこの男の口ぶりからして見張りをしているSランクの二人は正真正銘のSランク
SSランクが来たところで勝てるわけがない
しかも建物の中に入ったところでAランクが16人。勝てるわけがない
大体、SSSランクほどではないにしてもSSランクもかなり珍しいのだ。そんな人を私のために使うとも思えない
SSSランクなんてもってのほかだ

「わかりましたか?さあ私が可愛がってあげます。ぐふふ…さあ、」

男の手が私の胸元目掛けて伸びてくる

「い、いや…助けて…」
「助けなんて来ませんよ」
「助けて!アーグ君!」

私は絶望の中、彼に助けを求めた
助けてほしいのではなく、最後に姿を見たかっただけかも知れない
そしてその直後

ドゴォォォォォオオオン!

「な、なんだ?!」

男は慌てて振り返った
その時

「遅れて悪かった」

どこからともなく声がして、
その声は──

キンッ、キンッ

そんな音がした直後
私を拘束していた鎖が切れた
吊るされていた私はそのまま落ちて
地面に叩きつけられる前に優しく誰かに抱き抱えられた

「もう大丈夫だ」

───その声は、私の求めていた声だった───



私が安堵していると

「おいお前、自分が何したのかわかってるんだよな?」

あの時と同じ、アーグ君の身体中に物凄く強い魔力が流れて、放出される
あの時はとても怖かった印象がある。
でも今はとてもそれが…心地良い

「なんだ貴様!くそぉ!ここが何故バレた!?おいお前達!早く出てこい!」

直後16人の男が現れた
さっき言っていたAランクたちなのだろう
そんな大勢集められたらいくらアーグ君が強くても勝てるわけがない
そう思って私はアーグ君を見た
すると彼は微笑んで

「大丈夫だ。人類の英雄が負けるわけないだろう?」
「え?何を言って──」
「エルナ、ルーニェを頼んだ」

その直後アーグ君は壁を殴った
いや、破壊した。
私はその壁の中から入ってくる光の眩しさを受け入れるのに時間がかかったが、その破壊した壁の中からは

私の親友エルナが入ってきた

「全く、なんで私が向こうの壁を破壊してこっちまで逃げてこないといけないんだか」
「悪かったよ、でも俺がしてたらお前の仕事なかったんだぞ?」
「わかってるよ。足で纏いで悪かったね」

「なん…で…」


「なんでってそりゃあ、私の親友が危ない目にあったんだから助けに来るのは当然でしょ?」

そんな理由でこんな危険なところに来てくれたのかと思った
でもそれが嬉しかった

「エルナ、ルーニェを頼んだ」
「わかりましたよ。英雄さん」
「だからいつも通りでいいって…」

そう言いながら彼は私をエルナに預けた

「おいお前ら覚悟はできてるんだろうな」
「貴様ァ!私の邪魔をしてぇ!」
「そんな怒るなよ、ただ、俺の周りに手ぇ出したんだ。ここで死ね」

アーグ君がそう言った途端ここら辺の気温が一気に下がったような錯覚を感じた
それと同時にとてつもなく息苦しい

「ぐ、お前ら!あいつを殺せ!」

男がそう言った直後周りで件を構えていた男達がアーグ君に襲いかかった
私は今まで何を考えていたのだろうか。ここは敵の拠点、そして敵は総合評価Aランクの16人
1人1人が私と同じくらいの強さなのに、それが16人。
同級生である彼らが勝てるわけがないと、何故気付かなかったのだろうか
私は彼らを逃がすべきだったのだ
何を安堵していたのだろうか
これでは私のせいで彼らが死ぬことだってある

「危ないっ!」

私は我慢出来ずに叫んだ
だが彼は笑ったような気がした

「そんな程度で俺に勝てると思うなよ。俺を殺そうと挑むやつは、魔王を一体でも倒してからにしろ。」

私はその言葉の意味がわからなかったがエルナは何か知っているような顔だ

直後

ヴゥォォォォン!!

アーグ君を中心に砂煙が起きた
私はまた絶望した
彼のことはヤバオに襲われて、助けられた時からずっと好きだった
彼は私の初恋の人
初恋がこんな形で終わる?

「うわああぁぁっ!うぐっ…うえぇっ…ぐすっ…!」

だから好きな人が自分のために死ぬなんて、と
こんなのは私が殺したも同然だ

「大丈夫だよ」

だからそんなことを言ってくるエルナの顔が笑っている意味がわからなかった
私はエルナに怒りを覚えた
友達が死んでいるのに何故笑っていられる。と

「ハッハッハ!さあ邪魔者はいなくなった!女が二人に増えたのはこちらとして好都合だ!」

私はまたか──
と思った。助けられたかと思ったらそれより酷い絶望に襲われる
もう奴隷になってもいいかなと思った
その時

「邪魔者ってのは誰のことだ?」

私は自分の目を疑った
何故なら砂煙が止んだあと立っていたのはアーグ君ただ1人
そしてアーグ君の下には16人の屍

本当に死んでいるのかはわからないが気絶しているのは確認するまでもないだろう

「何ィ?!」
「おいおい、こんな程度で倒せると思ったのかよ」
「SSランクはAランク15人で倒せるはずだ!保険をと思ってもう一人派遣したのに…まさか!」

私もそこであるひとつの可能性を思いついた

「まさか…」

私が驚いている中エルナはこちらを向いて微笑んだ
この時私はエルナの微笑みの意味を知った

「そうだよ彼は──」
「そうだよ俺は──」

二人が言うのはほぼ同時で
彼は手で銃の形を作りそれを男に向けた

「「SSSランクだよ」」


直後私の目の前は全てが爆発した──

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