俺の魔法科学園生活

お湯

第1章:転入生【3】

あの事件から数日──
ヤバオはあれから俺の姿を見るだけで涙目になる
いや、やめてくれよ…俺1発で仕留めたしトラウマになられるようなことないと思うんだが
それと、もうひとつ俺の学園生活で変わったことがある
いや、変わりすぎたことか?

「アーグ君っ!今日の放課後空いてるかなっ?」

そう、彼女──ルーニェがやけに俺に話しかけてくるのだ

「おうおう、ルーニェ。デートのお誘いなのかな〜?」
「なっ?!そ、そんなんじゃないよ!」

と、ニヤニヤしながらからかってくるのはエルナだ
この前の授業中に俺が困っている時助けてもらった人だ

「そういえばエルナ、この前は助かった。ありがとう」
「ああ、気にしないで。アーグくんがあそこまで魔族に詳しいとは思わなかったけど」
「そ、そうだよ!前も聞こうとしてたけど答えてくれなかったし…」
「よし、拷問だーっ!」

二人とも目が怖いぞ…

「い、いやほんとなんでもないんだ。ただ親がそういうのに詳しかっただけで」

適当な理由を作る

「あ〜、そゆことね〜。そういえばアーグくんの両親って何してるの?」

納得してくれたようだ
親については嘘をつく必要もないだろう

「知らない」
「へ?」
「だから俺は親については全く知らないんだ。物心ついてからある程度俺を育てたらすぐに旅に出た。」

これは事実だ
俺がSランクになった途端親は旅に出た
最初の頃こそ手紙を送ってくることはあったが今となってはどこにいるのかさえわからない

「色々あるんだね〜」
「俺としてはこっちの方が気楽でいいけどな」
「ははは、それもそうかもね」

エルナは笑う
だが一般人では魔物を食うという習慣がないため親無しで生きていくのは難しい
もちろん魔物を食えばそこまで困ったりしないぞ?
金いらないし。

「ちょっと私を置いて話さないでよぉ」

と涙目で訴えてくるルーニェ

「ああ、悪いな」
「もう…それでアーグ君、放課後空いてるよね?」
「ん、ああ。空いてるが…」
「なら行きたいところがあるんだ!」
「それならひとりで行ってきた方が効率がいいだろう」
「「えぇ〜」」

なんだ二人ともその目は

「さすがにありえないね」
「ありえないよこれは」

なんだ二人ともその目は

「な、なんだよ?」
「はあ…とりあえず、効率とか関係なくルーニェはアーグくんとお出かけがしたいんだとさ」
「はあ、なるほど」
「だからお出かけくらい付き合ってあげなよ」
「それくらいならいいが…」
「「やったー!」」

と言ってハイタッチをする二人
仲良いな

「じ、じゃあ、放課後すぐに学園の門前に集合ね」
「別に教室からでも…」
「学園の門前ね!」
「わかったから、わかったって」

歩み寄ってくるルーニェを軽くあしらいながら俺は周りを見る

(うわぁ…この様子だとルーニェかなりモテてるな。男子が俺を見る目が怖いぞ)

ヤバオだけはこちらをちらっと見て悔しそうにしているが、俺と目を合わせた途端顔を青くして前を向く

「おーい。授業始めるぞー席につけー」

「授業始まるから。な?」
「むう…放課後絶対だよ?忘れないでね?」
「わかったから」

それからすぐに授業が始まり、いつも通りルーニェがこちらをちらちら見てくる
本人は気づかれていないと思っているのかずっとこの調子だ
それを不審に思いルーニェの方を向いたが目が合うとルーニェは顔を赤くしてしまう

(どうしたものか…)


そうこうしているうちに授業が終わり、あっという間に放課後になった

(行くか)

俺は学園の門前に向かった




「まだ来てないようだが…待つか」

俺にとって待つということはそこまで嫌なことでもない
というか魔族と戦っているとボスが現れるまで時間がかかったりするので、待つことに慣れたのだ

「アーグくーん!」

お、来たな。
校舎の方から走ってくるのは確実にルーニェだ
勿論他の生徒もいるため大声を出すと目立つのだが本人は気にしていないようだ
俺も気にしない。いや、気にしたくない

「ごめん。待った?」
「いや、そうでもない」
「あはは、じゃあ行こっか」

俺はルーニェについて行くように歩いた
そして俺とルーニェは数分歩いたところで街についた
学園は街と少し離れており、生徒達は登校する際困っているのだそう
俺は学園の隣に屋敷があるため登校の苦労を知らない

「街って人が多いんだな」
「そう?今日は少ないほうだよ?」
「うげぇ…これで少ないとか…人類滅びないかな」
「そんなこと言っちゃダメだよ」

お、ルーニェがちょっと怒ってる

「大丈夫だ。人類が滅びてもルーニェは守ってやる」
「にゃっ?!にゃ、にゃにを言ってるの?!」

噛んだ。

「まあまあ、それでどこに行きたいんだ?」
「えっ?あ、ああ。あそこの服屋だよ」
「えっ、た、高そうだけどいいのか?」
「大丈夫だよっ!」

俺は服なんかほとんど買わないのだが…だって金ないし

まあそこから俺はかなりの苦労をするのだが。
その時の俺は知らなかった






「なあ、もうそろそろいいんじゃないか?」

店に入って数時間。
未だに服を選んでいるルーニェに俺はそう言った

「えー、まあアーグ君がそういうなら…」
「い、いや。やめろとかじゃなくてだな…」
「そう?ならこれとこれどっちがいいと思う?」
「どっちも似合ってるから大丈夫」
「むう…」

それから何故か俺が2つとも買うことになってしまった
俺貧乏なのに…
まあルーニェが幸せそうだからいいかと俺は頬を緩めた

ルーニェの背後に危機が迫っているとは知らずに──



俺たちはその後、他の店も見て俺はとてつもなく疲れることとなるのだが、辺りが暗くなってやっと解散することとなった

「今日は楽しかったっ!ありがとうっ。それじゃあまた明日」

と手を振ってくるルーニェ

「ああ、またな」

俺もまた手を振った
ここからルーニェの家は離れているが街には人がたくさんいるから大丈夫だろう
そんなことを思いながら俺は屋敷へ戻った




そして次の日の朝
俺はいつも通り学園に行きエルナと挨拶を交わした
昨日のことをからかわれたが適当に流しておいた
だがそのからかわれるべきもう1人
ルーニェがいないのだ

俺がエルナにルーニェは?と聞いても「知らない」と帰ってくるだけだった
逆に何か知らないのと聞かれたが知らないものは知らない
まあ昨日あれだけはしゃいだのだから疲れたのかなと思った
だから先生の口から発せられた言葉に俺は耳を疑った

「うちの生徒…ルーニェは…攫われた…!」

「………………は?」

俺は言葉の意味が理解出来なかった

「ど、どういうことですか?!」

エルナが叫ぶ

「私にも詳しい事情はわからない。だが昨日、ルーニェのご両親から連絡があり、夜遅くになってもなかなか帰ってこなかったため、警備隊に連絡をしたところ、警備隊の調べによりルーニェが何人かの男に連れ去られているのを見た者がいたと」

つまり俺と別れてから攫われたということだ

「そんな…………ねえアーグ!あなた昨日一緒にいたんでしょ?!なんで守ってあげなかったの!」

エルナは俺を睨んでくる。確かに俺が勝手に大丈夫だと思い込んでルーニェを家まで送らなかったからこうなった。
完全に俺のせいだ。だから俺が行かねばならないのだろう

「行ってくる…」
「え……?」
「今からルーニェのところに行ってくる」

俺はそう言った
これは確実に俺の周りに危険が迫っているということでいいだろう
この場合俺が動くことに理由はない
俺や俺の周りに危害を加えるやつは全員殺す
それが今までの考え方であり、これからもそうだ

「そんな無茶よ!相手は私たちより強いのかもしれないんだよ?!」
「俺より強いやつなんていない…!」

俺はこの時正体を隠すということを忘れていた
もう隠す必要は無いと考えたのかもしれない

「ちょっとお前ら落ち着け、確かに友達が攫われて気が動転するのはわかるが…」

と俺たちを落ち着かせようとする先生

「先生、これから俺はルーニェを助けに行ってくる」
「何を…っ?!」

俺は魔力を身体中に纏わせて言う
その瞬間クラスの中の全員が恐怖に取り憑かれる
中には失禁してしまった生徒もいるだろう

「エルナ、お前はここで待っているか?」

俺は固まって動けないでいるエルナに問いかける

「っ!わ、私も行く…!」

体は震えているが目だけは俺を捉えて揺るがない

「よし、行くぞ」
「ちょっと待て!」

先生が俺たちを呼び止める

「なんだ」
「お前達は相手の拠点がどこにあるのかわかっているのか?!」
「わからない」
「ならどうやって!」
「それを今から探すんだよっ!」

俺は怒気を孕ませて言う

「エルナ行くぞ」
「う、うん…」

エルナは怯えながらも俺についてくる
気の強い子だと思った
もしくはそれだけルーニェのことを大事に思っているか
俺は勝手に後者だろうなと考えながら教室を出た

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