やがて枯れる花たちへ

こむぎ子

世界で一つだけの願い事

洗われてない皿と雲のない空。
バウムクーヘンの残るまな板と午後四時。
水すら音を潜める部屋の中で、空気に溺れたまま時間を見送る。
忙しなさも枯れて、睡魔が手招きをしている。
このまま抱きしめられてもいいだろうが、私はまだ待っている。
こんな淡い願い事、言ったら君はどんな顔をするだろうか。
私におかえりを言わせてくれ。
君からただいまが欲しいんだ。

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