RISING

鳳 鷹弥

荒鷲が奏でるゴング



独立師団革命軍の陣取った岩壁の空中で起きる、ガルダとデュークの戦闘が白熱する中、真下で反乱軍の面々は言葉を発さず、その光景に目を向ける。

対陣に陣取った護国師団反乱軍の面々も恐らく、同じ心境なのだろう。

開戦の合図は狼煙を上げた。

ただ、何れ起こる、全面戦争のゴングを待つように。

其々が、其れをゆっくりと待っている。



「ハッ....何だか詰まらねェよな。俺様の仏恥義理の一撃で言われた通りによォ....風穴開けてやるぜ....!!」



ガルダが鉄パイプを旋回させると、大技を予測したデュークが大鎗を前に身構える。



「奏嵐絶技ィ...!!”鷲撃・荒鷲烈破しゅうげき・あらわしれっぱ”ァァァァ!!!!」



ガルダが高速で旋回させた鉄パイプとはためく様に、揺れ動く翼から、嵐の如き、羽根の連撃が円を描き、其れを纏めて放つように、ガルダが鉄パイプを二本、胸の前でクロスさせる。

そして、その羽根を身に纏い、デューク目掛けて一気に急降下し、その圧と共に、突撃。

直撃の直前にクロスされた鉄パイプを振り払うと共に、革命軍の陣地に大きな衝撃波を巻き起こす。

その一撃と共に、岩壁の肌が紙の様に捲り上がると、直後、岩の足場が崩れ落ちる。



「へっ...流石はウチの核弾頭...。良いゴング奏でやがる...。テメェらもガルダに続けェ!!」



対陣に陣取っていた反乱軍の総長、エルヴィスの鬨の声と共に、足場を失い下部に降りた革命軍の面々を追撃する為、反乱軍のメンバーもレアドキルナの掘削地域へと降りて行く。

対する革命軍の面々の影は、ガルダの一撃によって倒壊させられた岩壁から巻き起こる砂塵に依って隠されたものの、同じように下部へと降り立つ。

その上空、ガルダは一撃を放った相手、デュークの位置を首を回し、探していた。



「オイよォ...いくら俺様の一撃がハクくてマブいからって終わりとか言わねェよなァ?」


「....直撃の...」


「あァ!?」


「直撃の手応えは無かったろう?貴公は私が写し出した幻影に向かって大技を放ったに過ぎぬ」



砂塵の中から現れたデュークは、鋼の鎧が多少、傷を付けられた程度で無傷。

広範囲の一撃を全て躱す事は無理でも、直撃を避け、回避していた。



「ハッ....上等ォ!!!!」



ガルダは絶技の反動を受け、多少息を切らしながらも、ニヤリと笑みを浮かべ、デュークへと突進していった。



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