RISING
護国師団反乱軍の意思
独立師団革命軍が並び立つ、その崖から正面に位置する同じ様な崖に並ぶ黒衣の団服の者たちがその光景を眺める。
「ヒャッハァ....正にここは、天下分け目の関ヶ原ァ....。天狗驚く蝉時雨ェ..アーイエー」
「ヒュズっち。相変わらずセンス無いよねぇ。ラップの」
リズの言う通り、センスの無い韻踏みを決めたヒューズとリズが笑顔を見せていると、何も言わず手拭いを頭に巻いた男がその列に加わる。
「なんやゼロ。お前、相変わらず無口なヤツじゃのう。....まあ今日はお前の方が正しいっちゅう事かい....」
ゼロと呼ばれた男の横に、首を鳴らしてアドラスが加わるが、ゼロからは頷くのみで言葉は返ってこず、アドラスは鼻を鳴らす。
「うおっしゃああああッ!!久ッしぶりの出番だ。仏恥義ッって行くぜェ!!」
「気合いパないっすねぇ..まあ俺っちもノリノリでいっちゃいまショウタ~イム..」
気合いのリーゼントを決めたガルダと、舌を出しながら笑みを浮かべたエゼルが同じように列に加わる。
「まあ、にしても。良くこんな幹部のみの戦い。ヤツらも呑んだよなァ?小娘....」
「はあ....だから小娘は止めなさい....。まあ向こうも余計な死者や怪我人は出したく無いって事ね....」
腕組みをして、列に加わるギルドを横目に、溜息を吐きながらアドリーがその列の前に立つ。
そして、その前に立っていた黒髪の男が口を開く。
「此処、レアドキルナは鉄鉱石の掘削も中断。人もいないし、戦闘で岩が掘り返されても、問題は無いどころか掘削作業も再開されるかもな。戦闘には打ってつけの場所、だな....」
「お前ら....」
その声に全員が口を噤み、目の前の金髪の男を眺める。
「幹部総勢十名ずつ、両軍残りは医療班のみの帯同。ギフトの覚醒を果たした連中以外は軍の刃にはなれねェ。そういう意図で組んだ戦だったが、ヤツらもそれを呑んだ。所謂、もう両軍にとってこれ以上の戦力は無く、事実上の最終決戦だろう」
エルヴィスの言葉に息を呑む、反乱軍の幹部衆。
「護国の意思を持って、この戦....必ず奪るぞォ!!行くぜ?テメェ等ァ!!!!」
エルヴィスの声を持って、反乱軍の幹部から鬨の声が上がる。
両軍幹部十名ずつと医療班という体制で陣を取った、純白と漆黒の団服。
今此処に、”レアドキルナ”の戦い、開戦ー。
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