RISING
幻魔団団長 グレイ・ギルノーブル
その岩場から姿を見せた男が一段、下の岩場へと降り立つと少し近づいただけの威圧の上昇に、ディルとレイドのみが存在を認識し、表情を曇らす。
「しゃらくせぇ..。出てきやがったか」
レイドがその男へと声を挙げると、四眷属全員が血相を変えたように、その男が降り立った岩場付近へ、跳び、揃って並び膝を着く。
「フフフ....やはり来ていたか....」
その男へとディルが視線を動かすと、リゼアとソフィアも目を向け、四眷属の行動にその男が誰かを察知する。
「....ふわあぁ...ぁあ。煩くて良く眠れ無ェじゃ無ェか..」
大きな欠伸と共に、低音の声を響かせたその男に向けて、ロードが踵を返す。
「オイ..誰だか知らねェが、こんな所で寝てるなんて変だろ」
「あァ....?面倒臭ェ奴だな。変かどうかはカス如きが決める事じゃ無ェよ」
「ニャロウ....いきなり出て来て随分な態度じゃ無ェか。コッチは今、大事な話してんだ。邪魔すんじゃ無ェ!!」
声を荒げたロードにその男が、鋭い剣幕で睨み付ける。
「面倒臭ェ..。弱ェくせにイキがんなよ。カス」
「んだとォ!?」
怒りに任せて、抜刀しようとするロードの手を瞬時に察知したレイドとディルが同時に止めに掛かる。
「しゃらくせぇヤツだな。やめとけ、ロード」
「離してくれよ!!」
「奴と戦うのは止めた方がいい...四眷属のあの姿を見て、奴が何者かは解るだろう?」
ディルとレイドに諭され、昂ぶっていた怒りが鎮まって行くロードの視界が安定する様に状況が見えて来る。
ロードが口を開けて刀から手を離すと、レイドが名を伝える。
「ヤツは、グレイ・ギルノーブル。幻魔団の団長を務める男だ」
政府直下裏帝機関 幻魔団 団長
グレイ・ギルノーブル
38歳 188cm 90kg
左目側に流した短髪の深い青の髪で、右目側は刈り上げられ、剃りこみが入れられており、肌は褐色、瞳も深い青。
左目をも覆うほどに、大きな火傷の傷跡を抱え、袖無しの藍鼠色の羽織の下に着用した黒い着物の下の開かれた胸元からはサラシが見えており、その着物は足元の長さまで裾が伸び黒いレザーのパンツを履いている。
そして、棘付きの黒いブレスレットを填め、腕と胸元と素肌が見えた箇所には無数の傷が伺える、身体つきの屈強な男。
「向かっても来れねェ..やっぱイキがるだけのカス....いや、テメェの面どっかで見たな..」
グレイはロードを睨みつけながら、思い出そうと頭を捻る。
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